*A部門入選作発表*
当季雑詠=全61投句(入選45句)
【特選】
一席
●湯煙の背丈いろいろ青岬=紅椿
◎砂、ス○資、五△ま、喋、メ=13点
(資:湯煙の白とこの時期の岬の緑が美しい。何処の風景だろうか? 五:岬の温泉、城崎? ま:擬人化しているところがほのぼのと感じられます。行ってみたいです。)
二席
●鍵のあく音のかすかに緑の夜=まさこ
◎紅、ぼ○十、入=10点
(紅:ドラマを感じます。ちょっと危険な香りがするのは私だけでしょうか? 十:家人を気遣って靜かに開ける帰宅人。遅い帰りを心配して耳を澄ます家人・・・夏の夜の静寂の中の一コマ。 ぼ:美しきドラマが展開しそう。)
二席
●滝落ちて霊さかしまに昇りけり=葱男
○香、喋、ぼ、修△メ、雪=10点
(香:もし、パソコンのことを思うなら、いろんな霊が昇天したでしょう。 ぼ:水の精霊が見えたか。 修:猫脚という言葉の発見
)
【入選】
18●先導の赤いバンダナ夏木立=紅椿
◎ラ○十、ぼ、五=9点
(ラ:赤いバンダナが、印象鮮明です。 十:林間学校かポーイスカウトのキャンプか。万緑の中のバンダナの赤が映える。 ぼ:緑と赤がいきいきと。 五:バンダナをした先生?)
●このあたり空き家ばかりや枇杷熟るる=紅椿
○淳、ま、香△ラ、久、水=9点
(淳:なるほど、枇杷熟るると空き家だと分かるんですね。 ま:増えていますね、空き家。
枇杷の実の存在感が語っています。 香:木は残ってますね。昔は隣近所で食べてたのにね。
ラ:滅びてしまったものと、盛んなものとの対比。 久:田舎は特にこの情景が似合う。
なぜだかビワがぴったりきますね。)
●早送りのやうな田仕事南風吹く=スライトリ・マッド
○砂、葱、水△資、ラ、香=9点
(葱:日に日に風景が一変するのにはおどろきです。 水:手慣れた作業なのでしょうね。遠景に見て爽やかな感じです。 ラ:「早送りのやうな」という比喩、実感があります。 香:出来上がった田を眺めれば、いかにも、早送りでやったようにも見え、きれいだってことでしょうか?ご苦労様です。)
の情景が似合う。なぜだかビワがぴったりきますね。)
●噴水の落ちて骨格残りけり=十志夫
◎葱、雪△紅、入=8点
(葱:水を噴き上げていないときの「噴水」に着目したところがすごい。 雪:確かに骨格ですね。でも「寂しさ」に置き換えて読んでました。 紅:よく写生されていて、なるほどと思いました。)
●夏草に沈みゆくもの地震の町=十志夫
◎久、喋△香=7点
(久:津波被災地ですね。時事で発想がいいです。 香:時がたち、忘れ去られそうな恐怖感が出てます。)
●猫脚の家具の涼しき応接間=葱男
◎修○久△十、雪=7点
(久:うちにあるのも猫脚かなと考えてしまいました。:猫足の家具は大理石の床が似合う。
その上を涼しい風が渡っていく。)
●防空壕跡より出づる梅雨の蝶=ラスカル
○修△十、淳、久、入、ス=7点
(十:まるで旧日本兵が出てきたような思いがする。 淳:蝶が意外な所から出てくるのが驚きですね。
久:なにか物語が出来そう。)
●液晶の背後億なる罌粟の花=十志夫
◎資、入=6点
(資:壊れたMACの奥には無数のけしの花が咲いていたのかもしれない。)
●額の花わたしは変化などしません=白馬
◎香△ま、葱、メ=6点
(香:面白い句。こんな捉え方、初めてです。 ま:言い切っておられるのがすごい! 葱:「口語調」の句、もっと私も挑戦してみたい。)
●新緑の小ぶり万緑の大ぶり=葱男
◎十、水=6点
(十:破調のギクシャク感が大小の葉を上手く表現しているやうな。 水:言われてみて改めて納得。)
●時計屋の時の記念日正三時=メゴチ
◎五○水△ぼ=6点
(五:時の記念日は、天智天皇時代に遡る。何故、正三時なのかは分からないが、味のある句だ。 水:時計屋の時の記念日というのが面白い。 ぼ:時計も句もピタリ決まってます。)
●朝顔や溢るるほどの水をやり=修治
◎淳○入=5点
(淳:水がしたたる情景が浮かびますね。)
●あぢさゐや手水の龍のシルエット=資料官
△十、ラ、久、五=4点
(十:龍は水をつかさどる神。 あぢさゐ、手水、龍が一体になってみえてくる。 ラ:旧仮名遣いとカタカナ言葉のミスマッチが面白いです。 五:あぢさゐと手水は合っている。 葱:シルエットは焼印? それとも水神のイメージ? 久:視点が手元に移って何か考え事でもあるかのよう。)
●影ふたつ雨の合間の青紅葉=秋波
◎ま△喋=4点
(ま:季語のみずみずしさが、二人を表していますね。)
●滝白く落ちゆく先の四分五裂=砂太
◎メ△資=4点
●七夕や父さんお酒飲まないで=修治
○喋△葱、ぼ=4点
(葱:子供にそうお願いされるとおとうさん、辛そうですね〜〜、あまりたくさんは飲まないでね、ってことにしておきましょう。 資:七夕の短冊にあるような句。タバコ吸わないでが良いのでは! ぼ:親思いのいい子だ。)
●土砂降りと晴れ間行き交ふ梅雨のJAZZ=五六二三斎
○砂、淳=4点
●夏めくや糸寒天をよく溶かし=まさこ
○ス△水、五=4点
(五:寒天と夏の取り合わせがいい。)
●ビル二階心療内科の十薬=スライトリ・マッド
○ま、雪=4点
(ま:十薬がほっとさせてくれますね。良いお医者さんです。 雪:何度も読むうちに引き込まれてしまいました。)
●干し物のゆらりゆらりと昼寝覚=ラスカル
○紅△雪、修=4点
(紅:梅雨明けの青空と白い洗濯物が見えてくる気持ちのよいお句です。)
●緑蔭に憩ふピエロの無表情=ラスカル
○雪△砂、ま=4点
(雪:無表情には見えないピエロの無表情を感じた凄さ。 ま:ピエロから、人に戻った瞬間がうまく描写されています。)
●冒険に繰り出す刻や梅雨上がる=水音
△淳、ス、修=3点
●短夜やサッチモ唸る地下酒場=ぼくる
○ラ△資=3点
(ラ:「サッチモ」という具体性がよいと思います。)
●ジャズライブ終へ荒梅雨の直中に=雪絵
○ラ△砂=3点
(ラ:まだ昂っている心が、「荒梅雨」という季語に託されて。)
●紫陽花の顎を数へて雨に遇ふ=久郎兎
○入=2点
●香を焚く靴屋ひと日の祭かな=砂太
○久=2点
(久:情況が今一つつかめないが田舎の情景のようでいいですね。)
●サングリアのグラスに透ける夏の月=まさこ
○資=2点
●女王蟻わたし働かないだけよ=白馬
△葱、紅=2点
(葱:何人かの女性の顔が浮かびました! うそうそ^^; 紅:面白いお句ですね。断言しているところが何とも頼もしいです。)
●菖蒲葉を矢羽根に活けて水の庭=久郎兎
○メ=2点
●梅雨の夜のひとり酒なぞひばりの忌=ぼくる
○紅=2点
(紅:お酒の飲める人はいいですね。こんな夜を過ごしてみたいものです。BGMは「悲しい酒」?)
●合歓の花墨筆短冊持ちて逝く=香久夜
△ぼ、ス=2点
(ぼ:故人の人柄が偲ばれます。)
●表札に二つの名字アマリリス=雪絵
△水、ス=2点
●薄雲るビルの谷間の春カラス=淳一
△砂=1点
●友もぎし杏はるばる酒になる=入鈴
△紅=1点
(紅:杏を通じて、毎年遠くのお友達と交流を深めておられるのでしょうね。)
●ふと父の忌日まもなく夏至の雨=資料官
△砂=1点
●呆けゆく母に暴言はたた神=修治
△香=1点
(香:句に詠むことで、発散できることもあります。)
●呼ぶ声にふりさき見れば梅雨の月=白馬
△メ=1点
●ラタトゥイユ老いては胡瓜きざむべし=入鈴
△五=1点
(五:洒落た句。)
●畦道をのらりくらりと雨蛙=喋九厘
△淳=1点
●風車草(かざぐるま)遠くで嬰の泣きやまず=雪絵
△喋=1点
●仄暗き酒蔵の店蠅虎=水音
△修=1点
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