*A部門入選作発表*
当季雑詠*全60投句(入選44句)
【特選】
一席
●さへづりの中に置かれし譜面台=修治
◎淳、ぼ、佳◯十、ま、ラ、雪、香、メ、資=23点
(ぼ:小鳥達が譜面を読んでるような楽しさ。 佳:予定調和のようですが、譜面台だけ置かれている情景の不思議さも感じます。人の気配があるような、無いような。宮沢賢治的空間を思いました。 十:自然の中での音楽会たろうか。小鳥たちもその譜面を見ているかのように囀り続ける。何とも爽やかな景。 ま:緑の中で聴く音楽、すばらしいでしょうね。 葱:美しい情景ですね。 ラ:美しい音色の合奏が聞こえてきます。 雪:野外コンサートでしょうか。さえづりが清々しさを感じます。 資:囀りと譜面台の組み合せが妙。)
ニ席
●すぐ折れる色鉛筆や猫の恋=ラスカル
◎十、紅、メ◯香△ぼ、砂、佳=14点
(十:確かに色鉛筆の芯は脆い。猫のけたたましい色恋も直ぐに終るのが定め。 紅:季語への飛躍が素晴らしいです! ぼ:何となく納得。 佳:最近色鉛筆はあまり使わないので、校正などで使う赤鉛筆だと納得します。
この猫の恋は失敗したのでしょうか?)
三席
●吹き出しのなかは空つぽ石鹸玉=佳世子
◯葱、修、雪、水△秋、メ=10点
(葱:「吹き出し」にセリフを置かないところが面白い。 修:哲学的、虚無? 雪:季語の石鹸玉がいいですね。 水:吹き出しの中には何が入るのか、石鹸玉は割れて何を残すのか、取り合わせが面白です。)
三席
●窓からの引越し荷物朝桜=紅椿
◎秋◯ま、ぼ、喋△佳=10点
(秋:出入り口が狭いとかの事情でこんな事もある。当事者はきっと真剣。でも滑稽味のある句。 ま:新しい生活の始まりに希望を感じる、明るい句ですね。 ぼ:シンプルでさわやか。 佳:引越荷物はピアノそれともソファー?具体的に書いてもよかったかも。)
【入選】
●丸枠の写真の記憶花の雨 =十志夫
◎ま、資◯紅△砂=9点
(ま:花の雨が効いています。いつも心の奥にあったのでしょうね。 資:丸枠の写真に色々な想像が広がるが,花の雨が良い。 紅:進級する時に撮った、クラス全員の写真でしょうか。欠席者は丸枠でしたね。季語とよく合っています。)
●雪柳夕べを告げるオルゴール=まさこ
◎五、阿△葱、修、資=9点
(五:夕方になってもキラキラ光る雪柳。そこに、オルゴールの響き。色彩と音の共演です。 葱:どんな曲が夕べには似合うのかな? 修:その曲は白くつづく花の面を遠くまで流れて行く。 資:日暮れ時の雪柳は風情がある。)
●一斉に句帳開きぬ花の寺=十志夫
◯白、久△ラ、紅、香、資=8点
(白:花見吟行の感じを言い留めています。 久:この状況に出会ったことはないけど俳句会の盛り上がりを感じさせてくれます。 ラ:「一斉に」が妙にリアル。皆さん、真剣勝負ですね! 紅:実際の句会に参加した事はありませんが、きっとこんな風なんでしょうね。 葱:吟行の一行は普通の観光客とふるまいがちょっと違いますよね、かぶりつくように「自然」や「もの」に接近して写生する俳人をよく見ます。 資:吟行の風景でしょうか。句帳も花も一斉に開くようで面白い。)
●地卵を売る露天商春の虹=ラスカル
◎香◯喋、水△白=8点
(水:地卵の不揃いな形や色、露天商の表情まで見えてきます。春の虹がやさしい。 白:今でもそんな人が居るとは長閑ですね。)
●初蝶の供花なき墓を巡りけり=十志夫
◎白◯葱△ぼ、香、秋=8点
(白: 広い墓地の中には寂しいお墓もあります。蝶が慰めてくれました。 葱:「供花」は「くげ」と読んで決まりました。 ぼ:蝶には死者の霊が宿るとかや。)
●春愁や触れても開かぬ自動ドア=まさこ
◎水◯修、秋=7点
(水:春愁の正体わかります。 修:どうしたんだろう?向こうは見えてるのにという戸惑い。 秋:ため息が聞こえそう。冬なら、なんで〜!ってきっと叫んでる。)
●菜の花挿すドレッシングの空き瓶に=ラスカル
◎修△十、ま、佳、雪=7点
(修:家の中が明るく元気になるようです。 十:菜の花は野の花である。立派な花瓶よりもドレッシングの空き瓶がよく似合う。 ま:何気ない生活の一こま、毎日を大切に生きていらっしゃる姿勢が素敵です。 佳:なんでもないけれど、日常のささやかな喜びが伝わってきます。)
●春の雲バーバーパパもムーミンも=ぼくる
◎雪◯ラ、佳=7点
(雪:春の雲だからこそ!ですね。 ラ:「あらいぐまラスカル」は、居ませんでしたか?〈笑〉 佳:あのふわふわのパパとムーミンは春の雲になっていたのですね。)
●しばらくは花の下なる高瀬川=葱男
◯五、阿△雪、喋=6点
(葱:本歌は「しばらくは花の上なる月夜かな」、芭蕉です。 五:森鴎外を髣髴させる文学の薫りのする古風な句ですね。)
●鳥帰るライブハウスに長き列=雪絵
◎ラ△五、紅、秋=6点
(ラ:参りました! 僕も、「ライブハウス」で詠みたかったのですが、この句を超えるような句は、到底出来ないような気がします。 五:おしゃれな句ですね。 紅:鳥から目線では、下の様子はどう見えているのでしょうね。)
●春の雲つひに見つけし母の顔=白馬
◎喋◯淳△阿=6点
●梅ひらく臨時出張郵便局=資料官
◯佳△十、ま、ラ=5点
(佳:「梅ひらく」がいいですね。確かに旅先などで見かけます。 十:梅の名所に設けられた記念ハガキを出すための仮設郵便局。道真公にも報せよとばかりに。 ま:梅園の中にもできていました。 葱:「臨時出張」というところがのどかな感じです。 ラ:消費税が上がるため、2円切手も販売して。)
●応援は体育座り春の土手=雪絵
◯紅△ラ、水、久=5点
(紅:アマチュアの試合の応援でしょうが、春を感じられて、気持ちがいいです。 ラ:土手には、椅子などのような人工物は一切無いですね。 久:黄色い風景が広がりました。 葱:ボート競技かなにかでしょうか?)
●春愁の顔拭くグランドピアノ拭く=佳世子
◎葱◯砂=5点
(葱:「グランドピアノ」の出現が意外でした。)
●背負ひ篭の筍揺れし日暮れ坂=久郎兎
◯五△淳、喋、白=5点
(五:日暮れ坂という言葉が決まってます。 白: 今夜さっと茹でて一杯やるか!)
●河口まで橋の三つやつくづくし=紅椿
◯砂△五、水=4点
(五:これは、雪絵さんの句だと思います。情景は、室見川だと思います。間違ってたら、筑後川かな?その場合は、違う作者でしょう。)
●小学校の裏門を出る春の泥=雪絵
◎久=3点
(久:小学生が泥をはらわず登校し、そのまま下校する様子かな。桜の花びらが長靴に着いているかも。)
●卒園す実(げ)にあんな事こんなこと=ぼくる
◯秋△紅=3点
(秋:子ども達の歌声をバックに感慨がわきますよね。 紅「♪あんなこと こんなこと あったでしょ〜」、卒園式で涙したのもついこの間の事のように思えます。 :葱:幼稚園の卒園式なのでしょうが、これが「女学園」とかだったら面白いな、と。)
●一鉢の楽園となる沈丁花=香久夜
◎砂=3点
●朧夜や猫悠々と道わたる=秋波
◯阿△ぼ=3点
(ぼ:絵もあり詩もあり。)
●一人静大きな家に小さき母=資料官
◯十△修=3点
(十:大家族の時代は今は昔。年老いた母の姿が、白い小花をつけた一人静の清楚なイメージと重なる。 修:ちかすぎる?でもピッタリの季語、淋しくはない。 葱:「小さな家」という映画はありましたが、このシチュエーションにも物語が生まれそう。)
●遥かなる旅の心や初蝶来=砂太
◯メ△阿=3点
(葱:分ります、旅したい。)
●降る雪や荷台の豚と目があひて=修治
◯ぼ△淳=3点
(ぼ:ユーモラスで哀しい。 ま:春の雪でしたらいただきました。)
●終わりなき春雨の止む読書かな=葱男
△喋、阿=2点
●冴え返る猫正座してドアの外=白馬
△メ、久=2点
(久:猫の正座が面白い。これから何かが始まる予感がします。)
●詩歌集の夢二の挿絵月朧=まさこ
△水、資=2点
(資:春の夜は夢二の美人画です。)
●水仙や老老介護の散歩道=資料官
△砂、白=2点
(白: おふたりのいたわり合う姿が水仙のようで。)
●スマホ繰る五色のネイル苺パフェ=秋波
△葱、ま=2点
(葱:カタカナがみっつはルール違反かもしれませんが、少し跳ねた感じが逆にまた春らしい。 ま:若い女性の勢いと可愛さが好ましいです。)
●つづら折り停まれば花に囁かれ=久郎兎
△修、メ=2点
(修:吉野の桜を想いました。)
●春寒や頬膨らませすねてみる=秋波
◯淳=2点
●マフラーを手に持ちかえる日和かな=淳一
◯久=2点
(久:マフラーの居場所がなくなる様をよく表現されていると思います。)
●水草生ふ文化文明西方に=水音
◯資=2点
(資:水草を文化文明の大きなロマンに結びつけたことろが良い。)
●嫁菜摘む万葉歌碑のある崎で=五六二三斎
◯白=2点
(白:春の静かな岬で昔の気分に浸って。)
●大桜見上げる先の新年度=五六二三斎
△葱=1点
(葱:「大桜」が効いていますね、「大志」を抱いて新年度。)
●李(すもも)咲けやがて傘寿の誕生日=砂太
△雪=1点
(葱:おめでとうございます。)
●鉢植えの喜ぶ顔や春の水=メゴチ
△久=1点
(久:水も笑ってるような。この句の主人公は水だと思います。)
●春彼岸いつもどほりの懺悔かな=メゴチ
△淳=1点
●春めく日タモリいいとも大団円=メゴチ
△五=1点
(五:タモリ先輩長きに亘りお疲れ様でした。先輩は丘16回生です。)
●人を待つ橋なき数寄屋橋の春=ぼくる
△十=1点
(十:高速道路が横切る銀座4丁目付近はビルの建て直しなどで様変わり。そんな思い出の場所に今年もまた春がくる。 )
●流鏑馬や手元も狂ふ桜吹雪=喋九厘
△香=1点
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