*A部門入選作発表*


当季雑詠=全87投句(入選65句)

【特選】

一席
●蜜豆やジュークボックスよりタンゴ=白馬


◎や、ぶ、玻○虹、秀、ラ、雪、ま△葱、村=21点
(や:あの音感は密の味する。 ぶ:この季語だったのかぁ〜!!!!脱帽 虹:バンドネオンの軽い音色と蜜豆の取り合わせの妙。 雪:第一句集上梓、おめでとうございます!この句を読んでおやっ?と思ったら、季語が変わってました(笑)「蜜豆」で女性的な句に! ま:タンゴの流れるちょっとミスマッチな雰囲気がとても良いです。 葱:秀子さんの第一句集への挨拶句としていただきました。 ラ:池谷秀子さんの御句集上梓のお祝い句。めでたい! 村:レトロ感たっぷり。)


二席
●炎天や道行く影の剥がれゆく=十志夫


◎メ○や、清、雪、紅、喋、水△葱、裕、秋=18点
(や:年々気象が荒くなってゆく。影が剥がれる逃げ水が揺れる。 清:影の剥がれるの措辞が良い。 紅:暑さが伝わってきます。「?がれゆく」に臨場感がありますね。 水:炎天の影は実際にはとても濃いのに、感覚的にはコントラストが消えて白っぽい光景となる。 葱:暑すぎて何もかも剥がれてゆく。 雪:影まで剥がしていくような日照り、まさに共感です。 裕:蜃気楼が上がるようです。)


三席
●教はりし道は途切れて花山葵=虹魚


◎雪、白○ぼ、香△十、久、茶=13点
(雪:途切れた道が深い山の中を想像させ、少し不安げな作者が感じ取れます。山葵はそんな所に育つんですよね。いい季語ですね。 白:何処に行く道を尋ねたのか。でも花山葵に出会えて良かったですね。 ぼ:すっきり姿のよい句。 香:山道ののどかさが感じられます。 十:聞き方がマズイのか、よくある光景。「花山葵」 が効いている。 久:不安と安堵が入り交じり面白いです。 茶:花山葵が正負どちらに働いているのか。その曖昧さがかえってよいと思いました。)


三席
●蔓に蔓こんがらがつてゐて大暑=紅椿


◎秀、十、ま○白△虹、水=13点
(十:まさに暑苦しい光景である。 ま:とにかく暑いこの夏の暑さを的確に表現されています。 白:こんなにくっつき合って。 虹:「こんがらがつて」が愉快。 水:「こんがらがつて」が暑さを増幅させる。)


【入選】

●嬰(やや)の目にやんちやの素質雲の峰=雪絵
◎虹○ぶ、茶、秋△葱、砂、ま=12点
(虹:成長が楽しみ。 ぶ:巧みなカメラワーク! 茶:季語が効いていて、「や」の多用も上手いなと思います。 葱:それぐらいがいいですね。 ま:元気そうな赤ちゃんの姿が微笑ましい。季語とぴったりです。)

●縄文の埴輪の涙旱星=水音
◎ぼ、裕○砂、資△ぶ=11点
(ぼ: 時空を素敵に詠み込んで、詩的。 資:まさにさそり座のアンタレスなどの赤い星の季節。 ぶ:今年の旱は厳しいです。また縄文展に行くのを楽しみにもしています。 裕:地球の異常気象を悲しんでいるでしょうね。)

●星雲の翳を負ひたる海月かな=ラスカル
◎葱、秋○裕、白=10点
(葱:海月句のファンタジー。 裕:宇宙と海の繋がりを感じます。 白: 海月はいろいろな色(翳)に見えますね。)

●淡彩のひらがな縷々と星まつり=茶輪子
◎砂、香○資△子、葱=10点
(香:縷々と、、ことばが美しい。 資:中七が良い。 葱:「淡彩」が涼しげ。)

●自ずから水葬となる海月かな=ラスカル
◎し○葱、十△清=8点
(し:ちょっとダークな雰囲気で惹かれました。 葱:海月句シリーズの季節も今月まで。 十:生きてゐるうちから死に方が決まっている。うらやましい(笑) 清:生と死の間が見分けの付け難い海月、それは水葬だからだろう。)

●がんばれば金魚は空を飛べるはず=葱男
◎清、村△紅、水=8点
(清:金魚が空を飛ぶとは奇想天外な佳句。 村:季語が観念の中にあるようだがいかにもそう見え普遍性も。 紅:面白いです。是非頑張った姿を見せてください。 水:猛暑で思考が彷徨っている?面白いと思う。)

●古書店に香水かすか雨宿り=まさこ
◎資○メ、茶△葱=8点
(資:ジメジメした黴臭い古本屋と香水の組み合わせが面白い。 葱:経営者が若い女性とか? 茶:匂い立たせる雨のおかげ。乙な雨宿りです。)

●届きたる南瓜ふたつに割りてさて=十志夫
◎入、紅△雪、玻=8点
(紅:少人数の家では、あの大きな南瓜はちょっと持て余し気味。最後の「さて」が秀逸です。雪:「さて」の先はさて・・?(笑))

●夏の蝶グラスの雫つつきをり=しゃが
○裕、ま、秋△虹、入=8点
(裕:蝶も暑いんですよね。切り取りが素晴らしい。 ま:暑い夏の中の涼やかな世界が繊細に表現されていて、緑に囲まれた避暑地での景が浮かびます。 虹:暑気払いに蝶々のように華奢なお嬢さん。)

●風鈴やひとり汽車待つ無人駅=清一
◎子○や△資、ま=7点
(や: 別な自分を発見する旅。 資:無人駅の静けさが伝わってくる。おそらく長時間待っているのでしょう。 ま:静けさのなか、草の薫りと、爽やかな風に乗ってくる風鈴の音が聴こえてきます。)

●空蝉や箱舟すでに岸を発つ=葱男
◎水○秀△喋=6点
(水:なにやら深い意味があるような、、。)

●兜虫秩父盆地の空を舞ふ=資料官
○清△ぼ、秀、ラ、白=6点
(清:金子兜太氏への弔いの句であろうか、兜虫が効いている。 ぼ:兜太追悼の句。 ラ:金子兜太さんへの追悼句ですね。 白:兜太先生の追悼。)

●初蝉に地上の熱の重たさよ=香久夜
○紅、し△十、喋=6点
(紅:特に今年の暑さは初蝉には酷でしょうね。し:熱が重たさ、日本の猛暑を経験しないと出ない言葉ですね。 十:熱の重たさによって、やがて「空蝉」へと。)

●空蝉の中の時間のたつぷりと=秀子
○メ△砂、雪、ま=5点
(雪:今の私の心境のような・・、と勝手に解釈です(笑) ま:蝉の短い命に対して永遠の空蝉の姿ですね。)

●木下闇極楽からの余り風=白馬
○水△や、し、裕=5点
(水:全く同感。 や: 緑陰の風は大きい。 し:余り風でも有り難い! 裕:ホッとする風は極楽から?)

●月涼し碧き目のバリトンを聴く=入鈴
○ぶ、香△虹=5点
(ぶ:腹にしみとおる歌が聞こえてきますね〜? 香:本当に涼しさを感じます。 虹:独特の澄んだ歌声。男のそれはやや暑苦しいかも。)

●満身のエアギターなる油照=雪絵
○入△葱、久、裕=5点
(葱:ほんと、暑っ苦しい!! 裕:観るほうも演じるほうも暑そう!)

●産土の海に水母の骨拾ふ=清一
◎ラ△玻=4点
(ラ:前回の僕の句への挨拶句ですね♪ どうもありがとうございます!)

●杖突いて一歩踏み出す溽暑かな=裕
◎久△資=4点
(久:日常のさりげないことなのに、うまいです。 資:意を決して暑さの中に飛び出す姿をうまく捉えている。)

●夏つばめ三角屋根の無人駅=資料官
○喋△秀、清=4点
(清:三角屋根の無人駅の措辞が良い。)

●太息やきのふもけふもあすも炎ゆ=虹魚
◎茶△秋=4点
(茶:上五「太息や」に共感できます。そろそろ明日は炎えずに済みたいものです。)

●夕立に清められけり天邪鬼=やんま
◎喋○入=4点

●朝涼の吊広告の笑顔かな=裕
○十△ラ=3点
(ラ:清々しい句。上品で美しい女優の笑顔を想像します。十:)通勤の電車内もクーラーからの涼風と美人の笑顔で快適に。)

●団扇風ばあばの横でやっと寝る=香久夜
○ぼ△や=3点
(ぼ:団扇風がノスタルジック。敢えて孫俳句、けっこう、けっこう。 や:昭和の世界遠くなってゆく感多々あり。)

●遠雷や湖底に眠る縄文土器=清一
△や、香、秋=3点
(や:  祈りて暮らす往時の化石。 香:湖底から世界が広がります。)

●漢ひとり丸ごと?る青林檎=ぼくる
○村△秀=3点
(村:凜々しい男の姿。)

●サヨナラのホームスチール大夕焼=紅椿
△雪、茶、水=3点
(雪:野球はドラマですね! 茶:大詰め感の取り合せがよいと思います。 水:甲子園が始まりました。大夕焼けに似合うシーン。)

●凌霄花やよいしょと覗く万歩計=白馬
△資、村、茶=3点
(資:ただ万歩計を見るだけなのに,よいしょとは面白い。  村:ユーモラスで作者が見える。 茶:中七「よいしょと覗く」が面白いです。)

●蓮池の水の沈黙重たくて=秀子
△子、葱、メ=3点
(葱:そんな感じ。)

●八月や海へと崖はなだれ込み=秀子 
○虹△葱=3点
(虹:崖っぷちの表現が見事。 葱:下五の修辞。)

●夕凪やこころあたりのある輪廻=玻璃
○葱△メ=3点
(葱:「輪廻」にいろいろな思いを馳せる。)

●迂闊なり巨大胡瓜を創りけり=十五
△久、し=2点
(久:大きい方が美味しいらしいです。 し:あっという間に胡瓜は育つのですね。実感がこもっていて面白い。)

●思ひ出す夢半端なり竹婦人=十五
△清、十=2点
(清:竹婦人を枕にすると寝難いのは確か、夢も中途半端かも。 十:支離滅裂なのが「夢」である。)

●カップルの揃ひの日傘バスを待つ=まさこ
○久=2点

●木苺を食むや昭和がほのぼのと=ぼくる
△砂、紅=2点
(紅:平成の夏も最後ですね。昭和が遠くなっていきます。)

●ククルクク鳩のうた聴く晩夏かな=ぶせふ
△し、玻=2点
(し:オノマトペが軽くていいですね。)

●雲の峰?に白き翼あり=やんま
○村=2点
(村:動きが鮮やかに見える。)

●コヨーテの十色の咆哮夏の果=しゃが
○ラ=2点
(ラ:「音」を「色」で表現したところがユニーク。)

●さくらんぼ弾むインカの音色かな=しゃが
△ぼ、ラ=2点
(ぼ:面白い取り合わせ。弾むが双方に効いている。 ラ:「さくらんぼ」と「インカ」の取り合わせの妙。)

●蝉時雨青天白雲観自在=子白
○玻=2点

●遠山の茜の空や夏料理=紅椿
○子=2点

●夏草や風の行方を花に聞く=ぶせふ
△子、メ=2点

●夏帽子かつぱらはれて風の外=虹魚
△ぶ、紅=2点 (ぶ:コメディ映画のワンシーンのようです。 紅:中七の乱暴な言い方が風の強さを伝えています。)

●難解の横文字言葉浮いてこい=雪絵
○し=2点
(し:浮いてこいが絶妙ですね。)

●寝返りをうつたびどこかで夜の蝉=秋波
○砂=2点

●星涼し岩塩削る音涼し=水音
○子=2点

●幾度か一夜に秋を待ちにけり=十五
△葱=1点
(葱:実感。)

●炎昼の我慢比べやブーフーウー=メゴチ
△ぼ=1点
(ぼ:ブーフーウーが、ため息にも聞こえて、面白い。)

●炎天の虫の居どころ頭頂に=葱男
△喋=1点

●大夕焼鬱抱きつつも外に出づる=砂太
△村=1点
(村:「も」が気になるが大景に晒すのはいい。)

●海月より教はりしことまだ秘密=ラスカル
△玻=1点

●たおやかにかくも涼しきマリアかな=ぼくる
○久=2点

●熱帯夜冷やしてあげたし室外機=メゴチ
△入=1点

●初蝉や風はさわさわ川さらさら=子白
△ぶ=1点
(ぶ:楽しい!のひとことにつきます。)

●ハンモック寝返る横に倫乃風=茶輪子
△香=1点
(香:倫乃風?当たり前のとか、そこにあるべき?とかの意味にとりました。)

●向日葵も顔を背ける酷暑かな=喋九厘
△白=1点
(白: そうですか?)

●虫聴きの丘に登れば江戸の風=十志夫
△葱=1点
(葱:風情がありますね。)

●山百合や谷間の駅の行き違い=資料官
△葱=1点
(葱:山の風がいかにも涼しそう。)

●夕立に雨宿り噂始まる=久郎兎
△葱=1点
(葱:中高生のころのときめき。)

●詠みたきダリアもう彼の人が詠み枯れり=玻璃
△葱=1点
(葱:「詠み枯れり」がいい。)

●わが居場所葉裏と決めて蝸牛=やんま
△白=1点
(白: 暑くてもそうでなくても。)


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