*A部門入選作発表*


当季雑詠=全83投句(入選56句)

【特選】

一席
●線香花火はぜてわたくしだけの闇=秀子


◎葱、玻、砂、紅、ぼ、白、久〇ぶ△ラ、喋、裕、茶=27点
(葱:「わたくしだけの闇」にグッときました。 紅:句またがりが功を奏していますね。「わたくしだけの闇」が秀逸です。 ぼ: この闇には、懐かしさがあり、深い境涯を感じる。 白: ポトリと落ちて後は闇。私だけの。 ぶ:しづかに恐ろしい時間を体験する思い。 ラ:「わたくしだけの闇」というフレーズが魅力的です。 裕:「わたくし」がちょっと気になりますが、素敵です。 茶:句またがりが効いて闇は闇でもプラスの闇に。)


二席
●一雨を呑み干す今朝の額の花=五六二三斎


◎や、し、メ○清、ス、白△香=16点
(や:旬の輝き妖艶の様。 清:額の花が雨を呑んで生き返った様だ。 し:ー雨を呑み干すという発想が素晴らしい!!生き生きと咲いている額の花も想像させます。 白: 呑み干すの措辞が佳いですね。)


三席
●聖火のごとソフトクリーム掲げ来る=ラスカル


◎ま○十、ス、水、裕△葱、秀、砂、し=15点
(ま:お子さんでしょうね、目に浮かびます。 十:句意、景とも鮮明です。 裕:子供が得意になっている情景が浮かびます。 葱:スイーツ王子の才能には参りました^ ^ 水:可愛らしい光景。ソフトクリームはタラ〜リと融けてますね。 秀:なんと素直な感性。童のように、この世を感じたいですね。 し:ソフトクリームが嬉しくてしかたがない様子がかわいいです。転けないように。。。)


【入選】

●ゆったりと妊婦のくぐる茅の輪かな=資料官
○水、入、香△十、子、清、紅、ス、修=12点
(水:「ゆったりと」が情景を深くしている。無事出産されんことを。 入:茅の輪にぴったりのくぐり人二人。 十:幸せ感一杯の句に好感。 清:お腹の子と共に無事の出産を祈る。 紅:茅の輪の風習がないので、一度はくぐってみたいです。安産に違いありませんね。)

●伽羅の間を抜けて川床へと出でにけり=十志夫
◎秀〇子、紅、裕△葱、資=11点
(秀:その部屋を抜けると川床の川の音、風、光が一斉に降り注いでくるような仕掛け。 紅:京都らしい上品さに惹かれました。 裕:季語は川床ですか、素敵な情景です。 葱:「伽羅」の香りがほんのりと漂っている日本間は客室にも使われる部屋でしょうか?夏場はみな、個室より川床を選びますね。その部屋を通りぬけて川床、最高ですね! 資:これぞ京の夏の風情。お酒も美味しかろう。)

●ご破算に願ひましては冷奴=やんま
◎ぶ○ま、入、資△喋、白=11点
(ぶ:面白くて、旨すぎる。そろばんの音や子供の声が聞こえるし、冷奴がすごい! ま:冷奴の白さと冷たさがきっぱりと、潔く合っています。 入:すごいシュール。 資:ご破算という硬い言葉も冷奴によってゆるくなる。 白: 居酒屋の支払いか、今月の家計簿か。)

●ダンベルのころがっている夏座敷=裕
○玻、し、修△ま、ラ、秀、紅、入=11点
(し:シンプルな表現でいて生活がいろいろ見えるようで面白いと思います。 ま:畳の敷いてあるような感じの部屋にダンベルの意外性、と、夏に向かっての心意気が良いですね。 ラ:黒光りしているダンベルが見えます。 秀:このぶっきら棒とも言える詠みっぷりには、表記も旧かなではないほうが、いいと思えました。 紅:風の通る広い広間が見えてきました。運動の成果はどうでしょう。 入:ダンベルとお座敷が面白いです。)

●角砂糖の街を探せばさみだるる=水音
◎ス○ラ、喋△玻、メ=9点
(ラ:メルヘンの世界へと、誘われるような感じがします。)

●角ふつて肉をのばして蝸牛=修一
◎十、喋、裕=9点
(十:「肉をのばして」 がリアルです。写生の効いた秀句。 裕:「角ふって肉を伸ばして」が気に入りました。)

●梅雨晴や工事現場の雨合羽=紅椿
◎水○茶、久△十、修=9点
(水:雨合羽がずらりと並び干してある景 これぞ梅雨晴間。 茶:どこかしらに干してあるのでしょう。また活躍の折を待つ合羽へのフォーカスでいただきました。十:さりげない日常の切り取りが見事。)

●夏の月微動だにせぬ蛙の目=秋波
◎香○し、修△メ、白=9点
(し:月と蛙の目がシンクロしていいですね。 白: 蛙が月を凝視して。)

●路地集め大路となりぬ祭かな=十志夫
◎茶○秀、ぶ△や=8点
(茶:「集め」の措辞が「祭」のいきいきとした勢いや姿に繋がっていて、そのシンプルさが俳句らしいと思います。 秀:いかにも、「祭」がさまざまな路を束ねているようでダイナミック。 ぶ:京都の祇園祭か。人込みや熱気が伝わる巧みな句だと思う。 や:各町内の熱気むんむん。)

●雨垂れの音符となりて虹の立つ=しゃが
○ラ、喋、メ△ぼ=7点
(ラ:拙句集『音符』への挨拶句ですね♪  どうもありがとうございます! ぼ:音と色の取り合わせで、イメージ鮮明。)

●生ぬるき風を呼び込み薪能=秀子
○や、ぼ△葱、清、久=7点
(や:熱演に汗を拭きながら見入る。 ぼ:幽玄の世界にふさわしい風。 葱:情念の具象化。 清:野外の敷舞台で行われている能に生ぬるい風が入る。)

●初演待つ譜面の音符月涼し=ぼくる
◎ラ〇子△し=6点
(ラ:拙句集『音符』への挨拶句ですね♪  どうもありがとうございます! し:ドキドキ感が伝わってくるようです。月涼しが効いています。)

●でで虫はしろがねいろの全音符=ラスカル
◎清△ぼ、メ=5点
(清:確かに蝸牛を見ていると銀色の音符に見えて来るから不思議である。 ぼ: なるほど、上手い見立てだ。)

●老鶯や雨の合間の茶をゆらす=ぶせふ
◎入○久=5点
(入:このようなひと時が、私にも叶えられますよう。)

●ある百寿俳人の死や白菖蒲=水音
○ま△葱、茶=4点
(ま:お見事な生きざまであり、俳句でしたね。白菖蒲が効いています。 葱:金原まさ子さんのことが頭に浮かびました。 茶:百引く一は白。全うした人生が白菖蒲のように凛と立っています。)

●大夕焼追ひ行く先の角打屋=砂太
○十△葱、久=4点
(十:懐かしい昭和の景。摘まみは冷奴があればいい。 葱:知能犯ですね、本当は「角打屋向かふ途上の大夕焼」ですね。)

●香水や闇を動かす人の影=十志夫
○や、葱=4点
(や:寂光に香るものあり。 葱:女性の色香は闇をも動かせますね。)

●泰山木の花に抱かれし夜のしじま=しゃが
○ぼ、資=4点
(ぼ: 艶があり、詩情あり。 資:花の香りにつつまれた静かな夜。)

●万緑の風来る箱根峠かな=ぼくる
◎修△紅=4点
(紅:気持ちの良い、涼しそうなお句です。)

●水海月チュチュの少女の細き脚=まさこ
○香△ス、茶=4点
(茶:諧謔味のある取り合わせに。)

●百合の香のわつと溢ふるる楽屋口=秀子
○紅△葱、水=4点
(紅:カサブランカでしょうね。楽屋の奥にも胡蝶蘭や何やらたくさん並んでいそうです。 葱:上手い切りとり方! 水:とても華やかで、非日常の緊張感も感じる。)

●緑蔭や放課後を待つすべり台=五六二三斎
○玻△十、裕=4点
(十:子供たちを心待ちしている「滑り台」の気持ちが可笑しい。 裕:昼下がりの公園の光景がいい感じです。)

●あめんぼう跳ねる水面は雨模様=メゴチ
◎資=3点
(A音にA音。リズミカルで心地良い。)

●イケメンの駆け抜けてゆく立葵=ぶせふ
△ぼ、水、香=3点
(ぼ:さっそうとして気持のよい句。 水:立葵に男性を取り合わせたことが新鮮。)

●空気より軽き声聴く青葉風=白馬
△十、や、ラ=3点
(十:どんな声?と思わせる不思議さ。 や:清涼感に五感癒され。  ラ:どんな声なのか、妙に気になります。)

●月光に蟷螂生る散り散りに=しゃが
○砂△ぶ=3点
(ぶ:写生の句だろうか?見てきたような嘘でも、迫力満点。)

●登山電車スイッチバックしてあぢさゐ=資料官
△玻、ぶ、ス=3点
(ぶ:楽しい旅行のスナップ写真をみるよう。紫陽花が美しい。)

●夏風邪や恋の媚薬の匙加減=やんま
○清△裕=3点
(清:恋人から移された風邪なのか、納得の恋の媚薬。 裕:看病の極意のようです。)

●ひとの死の美学に触るる花氷=葱男
○砂△香=3点

●群るるほど冷たかりきやほうたるの=玻璃
○葱△入=3点
(葱:俳句の文体としてはどうか、という以前にあるポエジー、好きですねえー。)

●もの言はぬ母も見ている梅雨の月=メゴチ
○白△修=3点
(白: 遠い故郷で。)

●屋根を打つ梅雨音で寝る心地よさ=淳一
◎子=3点

●朝涼や列なす傘は五線譜に=茶輪子
○メ=2点

●生ききつて高地に青き芥子の花=葱男
△ま、ぶ=2点
(葱:「生ききつてて」は誤記でした!(>_<)  ま:シルクロードを描き続けておられる入江一子さんの姿と重なりました。 ぶ:すがすがしくも氣高い人の一生をほうふつとする。) 

●風薫る役立つ菌の増殖中=水音
△十、秀=2点
(十:中7がなるほどと思わせる。季語も決まっている。 秀:学問的なことはわかりませんが、麹菌も、ヨーグルトの菌もこの時期よく育つような。)

●九十五歳香水はシャネルの五番=まさこ
○秀=2点
(秀:説明を省かれたことで、95歳の女性がくっきりと見えてきます。)

●仕舞た屋に夜雨の連打夢破り=久郎兎
○茶=2点
(茶:どんな夢だったのでしょう。仕舞屋から豪邸に引っ越す夢だったのかも。)

●合歓の花息と背筋を整へり=ぶせふ
△清、資=2点
(清:合歓の花の目覚めの様子が良く表現されている。)

●眠るるや吾と一匹の蠅と=玻璃
△し、入=2点
(し:一匹の蠅、とても印象に残りました。 入:シンプルさにひかれました。)

●ふる里の宙へ草矢の幾度も=清一
△砂、資=2点
(入:郷愁そのもので、草矢を真似したくなります。)

●穴子寿司つまみ故人を惜しみけり=裕
△喋=1点

●天地に等しく時の日を刻む=五六二三斎
△十=1点
(十:悠々とした宇宙観の句。)

●一斉メール父の日を促せり=紅椿
△ま=1点
(ま:これは、ご家族かはたまたご自身で送信したのでしょうか、微笑ましい。)

●熟るる枇杷デートのシャツを着比べる=まさこ
△玻=1点

●思ひ出に辛きことあり虎が雨=白馬
△久=1点

●驕れる者聞く耳持たぬ青葉木菟=清一
△子=1点

●市議選の街宣遠く青田風=秋波
△十=1点
(十:候補者の必死な声と青田風の長閑さのギャップがいい。「街宣」という略し方はやや生硬な感じ。)

●梅雨明けや貧乏ゆすり止みてをり=茶輪子
△水=1点
(水:そんなに夏を待ち焦がれていたのですね。)

●梅雨晴間旅の写真をUPする=香久夜
△砂=1点

●売国の種子法廃止かはづ泣く=子白
△白=1点
(白: 日本の農業に大打撃。)

●はんざきのあぶくは刻の黙となり=清一
△や=1点
(や:永遠に発す一言何と。)

●また傘を買う嵌めになり送り梅雨=やんま
△子=1点

【無選】

●約束の時間忘れし夏衣
(入:実感こもってます。)

●夜半は来ぬただほうたるを待つてゐて
(入:ただただ待つことを忘れて久しいです。)


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