*A部門入選作発表*
当季雑詠=全76投句(入選57句)
【特選】
一席
●寒波来るぴしと瞬間接着剤=ラスカル
◎雪、紅、ス○る、砂、資△喋=16点
(雪:声に出すと音が心地いいです。接着剤までもが句材に。参りました。 紅:「お見事!」というほかはありません。 資:身が引き締まる状況をうまく瞬間接着剤にたとえていて面白い。)
一席
●静かなる鼓動真冬の水族館=資料官
◎入○砂、ま、雪、水、秋、ス△修=16点
(ま:自分と魚の鼓動が同調してくるような感じがします。 雪:人気のない冬の水族館。生を感じるのは魚の鼓動だけ。神秘的な感じです。 水:冬ならではの感覚ですね。冷たさの奥に生命がある。 秋:ガラス越しの魚達の無音の世界。水族館にいると妙に落着くのが不思議。 修:鋭敏。動物園ボイラーモルモット・・・)
三席
●春を待つはちきれさうなおいなりさん=まさこ
◎る、十、水○葱、雪△ス=14点
(十:何ともユニークな視点。まんまるに膨れた美味しそうな油揚げ。 葱:ついつい具体性にやられます。 水:春を待つ気持ちがぱんぱんに詰まっていて思わず笑顔になってしまう句。 雪:いかにも春はすぐそこ!という感じですね!)
【入選】
●冬さうび少女倒るるまで踊る=るな
◎葱、白○ぼ、五=10点
(葱:面白い! それこそが若いということだ! 白:バレーでしょうか?日本舞踊でしょうか?少女の一途な姿が。 ぼ:どんな悲劇? 耽美的で不思議な物語。 五:今回の秀逸句の一つ。冬の薔薇と少女の情熱が重なり合っている。)
●海峡の雪を蹴散らし北斗星=喋九厘
◎ぼ、英、鳳△子=10点
(ぼ:おお、なんて男性的な! 資:海峡区間はトンネルで雪を蹴散らす風景ではないと思うが,気持ちは良くわかる。)
●空缶のひとつ残れり焚火跡=十志夫
◎淳○ラ△白、ま、修、紅=9点
(淳:こんな風景、過去にありましたね。 白:黒く焦げた空き缶が寂しげに。 ラ:「空缶」に語らせている点が秀逸。 修:うまい、焼け焦げた缶一つが見せるもの。 葱:燃ないのよねえー。)
●瓦礫背に成人の子の冩眞かな=鳳彩
○喋、十、修△る、ま、香=9点
(十:阪神淡路大震災の時に成人式を迎えた子供も、今は40歳。寫眞を見つめる親としての感慨が伝わる。 修:瓦礫とは、人が生きるとは? ま:忘れてはいけないですね。)
●あつぱれと一行日記寒椿=まさこ
○久、香△る、砂、資、メ=8点
(久:切れのある感じ、いいですね。資:あっぱれのひと言と寒椿の潔さが合っている。)
●林立のブーツや祈願待合所=雪絵
○五、ラ、紅△十、入=8点
(五:ちょっと笑える句。 ラ:若い女性ばかりが、祈願しているのかもしれません。 紅:これも◎にしたかったです。 十:新年の寺社はどこもご祈祷を待つ人たちで一杯。「林立のブーツ」がリアル。)
●分け入りて見れば孤高の寒桜=秋波
◎子○メ△淳、雅、弧=8点
●初東風や学習机届けらる=葱男
◎ラ○ぼ△紅、香=7点
(ラ:「初東風」に、祝意がこもっています。 ぼ:前途洋々。がんばれ〜! 紅:ピカピカの一年生への贈り物なのでしょうね。)
●雪間草食みて羊のほとけ顔=葱男
△ぼ、砂、久、雪、英、秋、ス=7点
( ぼ:確かにほとけ顔だ、ほのぼのします。 久:ほっこりですね。 雪:羊はまさに仏顔!なんだかほっこりする句です。 秋:羊の顔ってよくよく見ると無愛想なのかおっとりしてるのかよくわからないけど。食事中は別。)
●風花の真中の塵や人の恋=葱男
◎久、香=6点
(久:雪ではなく塵=空気なのが妙。 香:ロマンチックだけじゃないところが良かったです。)
●雲間より差せる冬日や罪と罰=るな
◎メ○鳳△ぼ=6点
( ぼ:ストイックにしてナイーヴ。)
●美(ちゅ)ら海を白鷺過(よ)ぎる淑気かな=ぼくる
○る、白、英=6点
(白:美しい言葉が三つ。)
●裸木や鉛筆の芯尖らせて=十志夫
○資△五、ま、水、修=6点
(資:生命感を感じる鋭い句。尖った鉛筆に色々なことが想像できて面白い。まさに受験シーズンだ!! 五:受験生を思い出す。 水:冷たい空気感。 修:裸木と鉛筆なんかおもしろい。)
●凍てる日の木々の音聴く漢かな=スライトリ・マッド
◎ま○メ=5点
(ま:木々の声なき声を聴いておられるのでしょうねなんとも素敵。)
●既婚かと尋ねられたる寒さかな=ラスカル
◎砂○十=5点
(十:寒さの意味するものの数だけの解釈が可能。余談だがこの問いは最近の風潮ではセクハラ認定かも<笑>)
●雲をつらぬき太平洋へ初日の矢=ぼくる
◎喋△英、ス=5点
●下仁田の土もろともに葱売らる=雪絵
○葱△ぼ、淳、水=5点
(葱:そこに付加価値が生まれるから面白い。 ぼ:美味さう、今宵は根深汁だ。 水:農家の顔まで見えてきそうで、おいしそう。)
●冬薔薇その色と居る日向かな=砂太
◎資△入、秋=5点
(資:ただの日向ではなく冬薔薇のある心の高揚感がにじみ出ていて良い。中七が全体を引き立てている。 秋:絵画的。何色だろう?と想像してみたくなる。)
●相槌を打つよに水仙活けらるる=香久夜
○淳△五、雅=4点
(淳:イメージが湧きますね。 五:水仙の相槌いいですね。)
●おーいお茶のぺこんとへこみ寒明ける=まさこ
△葱、喋、砂、雪=4点
(葱:容器の中の空気圧がどうなったのか、化学的なことはよく分かりませんが、「寒に入る」より「寒明ける」で気持ち良いですね。 雪:因果関係はないのですが、納得するのは季語の力とその斡旋でしょうか。)
●お座りの犬首傾げをる初祓=スライトリ・マッド
○白△十、ラ=4点
(白:神社での子犬のあどけない仕草が目に浮かびます。 十:犬のお祓いもあるのだろう。昔のビクターのCMのように戸惑う犬の姿が滑稽。 ラ:可愛い〜♪)
●寒厨の包丁つんと並びをり=十志夫
○ス△淳、水=4点
(淳:「つんと」が包丁の鋭さを表現していますね。 水:包丁の先に寒さが結晶している。)
●左義長や竹筒の酒まわし飲み=ぼくる
◎修△資=4点
(修:懐かしい。祭りの昂り。 資:昼から飲む酒もこの日で終わり。正月気分も終わりという風景をうまく現している。)
●寝たままで雪見障子を透かし見る=白馬
○鳳△淳、弧=4点
●冬空の大三角形やピタゴラス=白馬
○子、英=4点
●あが道の歩をはこびゆく枯野哉=鳳彩
◎弧=3点
●寒の公園見下ろせば1.17消え残る=修一
◎秋=3点
(秋:この20年、度々の大災害を思うたび、この国で生きていく以上災害を含め自然と共生していく気概が必要なことを痛感します。)
●寒の空希望の灯りといふ炎=修一
○香△秋=3点
(秋:山焼きの風景でしょうか。)
●ゴミ出しにその家の流儀寒鴉=紅椿
○入△久=3点
(久:ゴミ袋を選ぶ鴉が目に見えるようです。)
●迫り来る雪の勾配上野行き=久郎兎
◎五=3点
(五:今年は大雪。上野に北国の雪崩のような雪が迫る。見事な表現だ。)
●手袋が触れゐる名前慰霊碑の=修一
△葱、メ、弧=3点
(葱:「手袋が触れゐる慰霊碑の名前」ではどうなのか?)
●果てしなく夢追うて舵空の青=雅子
○秋△喋=3点
(葱:無季ですが、美しい追悼句です。)
●冬北斗母より賜ふ一病と=るな
○入△雪=3点
(雪:冬の夜空を見れば、思い出すのは母のこと。ましてや病の身であれば。)
●宝石に見入るをさなご春隣=水音
○ま△雪=3点
(ま:子どもはきらきらするものがとても好き。生き生きとした可愛い様子が浮かんできます。 雪:その子は宝石のように目を輝かせて見ているのでしょうね〜。私が見れば物欲しげ、かな?^^;)
●留守電に残つてゐたる霜の声=ラスカル
○修△水=3点
(修:霜の声聞いたことないけど、残ってそうな気がする。 水:不思議な感覚。思わず息を詰めてしまう聞いてしまう。)
●青春の河岸を走る冬日和=久郎兎
○紅△五=3点
(紅:部活生でしょうか?上五がいいですね。 五:河岸に、青春の思い出が詰まる。河岸を走る人?部長かな?部長なら鴨川だ!)
●寒鴉声なき声で威嚇する=メゴチ
△る、ラ=2点
(ラ:なるほど! 言われてみれば確かに。)
●寒椿駅のポストのなつかしく=資料官
△葱、白=2点
(葱:田舎のほうの駅には時々見かけますよね、きっと、何十年も変わってないんだろうなあ〜。 白:昔あった赤いポスト。あんな手紙を出したっけ。)
●さざんかの散るや脚絆のひも長し=紅椿
○子=2点
●月冴えて風は能管吹くごとく=秋波
△葱、五=2点
(葱:「能管」って雅楽の横笛のことなんですね、こんな風に新しい言葉に出会えるのも俳句の妙味。 五:ベテランの俳句らしい表現だ。)
●初旅や煙突ばかり白き富士=資料官
△子、白=2点
(白:富士・吉原辺りを通過する時。製紙会社の煙突。)
●初便り老いを誇りて生きむとや=砂太
△メ、香=2点
●初雪や雲間に覗く十日月=白馬
○喋=2点
●冬ざれにつきあたりたる岐れ哉=鳳彩
○久=2点
(久:荒涼な中、寂しく辛そう。)
●赤き実のめでたさ増すや御降雪=秋波
△十=1点
(十:実万両か千両か、新年早々の雪の白さの中で、実の赤がより際立って見える。景が鮮やか。)
●陰のなき貌の怕さや寒鴉去る=弧七
△久=1点
(久:鴉本体が陰なのでしょうね。)
●風に立つライオンのごとし寒牡丹=メゴチ
△ラ=1点
(ラ:さだまさしの歌を思い出しました。)
●欅枯れ何望みぬく雨滴かな=入鈴
△弧=1点
●脊振山明るい雪を湛へをり=五六二三斎
△紅=1点
●大寒の日増しの光凍みる風=久郎兎
△子=1点
●冬晴れや佛は降りて波の上=雅子
△弧=1点
●ほんたうは骨が折れます骨正月=水音
△資=1点
(水:骨正月に本当に骨折するとは笑えないっ! 資:ほほほ!面白い。)
●焼芋の香や電線のうなる音=紅椿
△入=1点
●雪焼けをトワイライトに日本海=喋九厘
△英=1点
(資:惜別寝台列車三部作の一つか。気持ちは良くわかるけど,雪焼けって日焼けのことでは?)
A部門入選作〈back number〉
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