*A部門入選作発表*
当季雑詠=全68投句(入選48句)
【特選】
一席
●幾万年噴き継ぐ島や鰤雑煮=スライトリ・マッド
◎砂、水○葱、久、喋△香、紅=14点
(水:寒々とした句が多かったなかで、この句は燃えてますね。 葱:一万年前の人類も鰤を漁って食べることができたのだろうか? 久:火山活動が続く日本列島のお正月。鰤や餅を陸地に見立てていると思われます。延々と続く火山活動を、噴き継ぐ、ちょっと耳馴れませんが、いいです。)
一席
●鳶職の声の高みに師走くる=雪絵
◎ぼ、信○白△葱、五、淳、香、紅、子=14点
(ぼ:空気を感じます。上手いなあ。 白:高い所から高い声が。 葱:透徹した冬の晴天がまざまざとイメージされます。 五:有難う。あなたたちが居なければ高度成長はなかった。 淳:師走の緊張感が伝わってきます。)
三席
●十二月八日やシュレッダーの音=ラスカル
○五、雪、紅、ま、修△葱、ぼ=12点
(五:開戦日は、消したい。でも、この日あっての日本でもあるのだ。 雪:忘れてはいけない日の一つなのでしょうが・・。 ま:確かに、シュレッダーの音は言いえておられますね。 葱:12月8日は真珠湾攻撃が実行された日、ジョン・レノンの暗殺された日、そして釈迦が悟りを開いた「成道会」でもあります。 ぼ:考えさせられます。)
三席
●煤逃や一人の席は窓に向き=紅椿
◎十○砂、水△ぼ、ラ、久、雪、資=12点
(十:確かにカウンター席は窓側に向いていますね。目の付け所がよく、季語も絶妙。 水:コーヒーを飲みながらぼんやりと行き交う人を見ているのですね。 ぼ:ははは、分かる、分かる。 ラ:その窓から、海が見えるような気がします。 久:パソコン、辞書が今使えないので煤逃が分からないですが、窓に向かうお一人様席がいいです。 資:喫茶の一人席で時間つぶしの作句,窓の外が良く見えて色々な発想が浮かぶ。)
【入選】
●荒星やユダはかなしき役担ふ=ぼくる
○葱、五、白、水、弧△英=11点
(葱:裏切り者のユダに対してもこの優しいまなざしは、まるで親鸞のようではありませんか! 五:ユダは何故キリストを裏切ったのか?かなしき物語があるのだろう。 白:ユダという役も居なければ。 水:厳しい冬の雰囲気に身が固く締まるよう。 弧:彼に救いが無かったとすれば、いかに過酷な運命でしょうか。)
●数へ日や人と人との摩擦熱=水音
◎メ○香△五、十、雪、資、紅=10点
(五:歳末は人恋しくなる。 十:「摩擦熱」とは大胆な表現。 雪:確かに!それでむんむんしているのですね。 資:摩擦熱と評したところが面白い。)
●冴ゆる風まとひて星を売りに来る=ラスカル
○ぼ、ス、メ△久、白、喋、弧=10点
(ぼ:どう展開するか、このメルヘン。 久:売るものがない現実を表しているのか、ただただロマンチックなのか、と考えます。 白:メルヘンチックですね。来るのは人か?)
●短日や赤き造花の薄埃=ラスカル
◎久、弧○メ△砂、十=10点
(久:陽の射す角度が低いから見えるのでしょうね。 十:ポインセチアでしょうか。下町の喫茶店でよく見かける景。)
●亡き友の白髪のごとみぞれけり=葱男
◎ラ、紅○淳△子=9点
(ラ:「亡き友」に対しての感慨が伝わってきます。しみじみと。 紅:心に沁みました。持つべきものは友ですね。 淳:亡き友と思い出しているときのみぞれですね。)
●湯豆腐は咽喉のかたちで落ちにけり=十志夫
◎白○英、ス△五、メ=9点
(五:鋭い観察!鋭い感性!)
●ウーファーのびりびり響く冬木立=スライトリ・マッド
◎雪、ま△久、メ=8点
(雪:ウーファーと冬木立の取り合わせが意外でした。 ま:屋外コンサート、冬木立がよく効いていますね。 久:クリスマス野外演奏会でしょうか。カラフルな電飾が思い浮かびます。)
● 寒風を受けて此の世の道をゆく=鳳彩
◎英、喋△五=7点
(五:此の世の道は続く。生きている限り。)
●狛犬の吽の眠りや寒北斗=葱男
○ラ、雪、紅△砂=7点
(ラ:「寒北斗」という季語が、句をしっかりと支えています。 雪:神社の凍てつく寒さと静謐、びんびん伝わってきます。)
●歳時記の朱き傍線日脚伸ぶ=十志夫
○砂、ま△葱、水=6点
(ま:少しづつ春が近づいている、希望が感じられほっこりします。 葱:取り合わせに俳趣があります。)
●時雨忌や深川飯の醤油の香=資料官
△葱、ぼ、十、水、ま、修=6点
(葱:「婀娜(あだ)の深川、勇みの神田」という言葉があるようですが、江戸の趣味や文化には「粋」の美学がありますね。 ぼ:隙の無い完成された句。 十:「醤油の香」と季語との取り合わせが巧み。 ま:ほんの少しつき過ぎかと思うほど季語と合っていいますね。)
●聖夜劇羊の役を我慢の子=ぼくる
◎葱△淳、英、ス=6点
(葱:脇役ですが、頑張ってますねえ〜!(笑) 私はカソリック系の幼稚園児のころ、「東方の三博士」のひとりを演じて、誇らしかったことを覚えています。 淳:ほのぼのとした俳句ですね。)
●古き宮狛犬の背に竹ぼうき(無季)=子白
○ラ、久、信=6点
(ラ:しんとした、冬の空気が感じられます。 久:季語が判らないけど、初詣に来る人が少ない神社では?ユーモアがありますね。)
●冬帝へ一本杉の律義かな=ぼくる
○十、資△ま=5点
(十:下五が効いています。 資:律儀と評した着眼点が良い。 ま:律義という表現が新鮮です。)
●バーナーの火花奔放雪もよひ=紅椿
◎五○十=5点
(五:山登りされているのか?それとも、ビル建築の現場風景? 十: 「火花奔放」の措辞に新鮮味を感じます。)
●青葱の世渡り上手な小口切り=スビキワァ
○香△信、資=4点
●生かされて鄙ぶ暮しや冬景色=鳳彩
○弧△白、喋=4点
(弧:不便を忘れることと、生かされていることを忘れることは通じているのかもしれません。 白:上五が−−−−−。)
●凍りつく煎餅のよう濡れタオル=信頭火
◎淳△修=4点
(淳:表現がユニークで良いですね。)
●朔旦の気概溢るる柚子湯かな=五六二三斎
◎資△弧=4点
(資:新月の冬至のめでたさがにじみ出ている。)
●仕方なき日もあり我に寒鴉来る=弧七
◎香△ま=4点
(ま:寒鴉をどうとるかとても迷いました。)
●はんぺんの発熱してるクリスマス=水音
◎ス△メ=4点
●スニーカーは揃ひの赤やクリスマス=雪絵
○修△ラ=3点
(ラ:恋人同士でしょうか。めでたい! 葱:可愛い!)
●小さき川集めて冬の水鏡=五六二三斎
○子△ス=3点
●石蕗の花教会前でバス降りる=スライトリ・マッド
○ぼ△弧=3点
(ぼ:ほんわかして、好きですねえ、こういう句。)
●大和路の麓たなびく冬霞=鳳彩
◎子=3点
●寒茜鴉が鳴くから烏山=資料官
○喋=2点
●北風に向かひて歩む決心す=メゴチ
△香、ス=2点
●木枯らしを春風に変えし訪ね人=子白
○英=2点
●静けさや眠る小犬の寝息かな(無季)=子白
○淳=2点
(淳:静けさが伝わります。)
●食用の金箔ふつて年用意=水音
△ラ、修=2点
(ラ:ゴージャスなおせち料理ですね!)
●地球儀のそびらの寒き明日かな=十志夫
○資=2点
(資:地球の反対側に先が見えない暗い世界がある暗示。)
●西成を歩けば暮れし冬日かな=弧七
◎修=2点
●雪ふぶき足踏み手揉みガードマン=淳一
○信=2点
●わずらつて眠れる朝の嬰児かな=弧七
○子=2点
●宝満山のべそかくやうに雪化粧=雪絵
△五、水=2点
(五:七七五だが、宝満山は宝満とせずにきっちり詠んだ方が分かりやすい。この句に△上げて、西日本宝くじはいただき! 水:「べそかくやうに」でいただきました。)
●大雪や黄経255度=白馬
△喋=1点
(葱:「黄道座標」という天体座標軸があることを知りました。255度はちょうど「大雪」の節季にあたるようです。)
●賀状書き喪中葉書横に置き=久郎兎
△淳=1点
(淳:まさにそうですよね。)
●重箱にお節を詰めて除夜の鐘=英心
△子=1点
●新券を求む店主や年の暮れ=久郎兎
△白=1点
(白:そんな人も居るんだ。孫のお年玉用♪)
●テレビっ子CM合間の日向ぼこ=メゴチ
△信=1点
●日矢過ぎて里山惨と眠りをり=砂太
△葱=1点
(葱:「惨」が効いています。)
●窓越しの男所帯の聖樹かな=紅椿
△砂=1点
●雪吊や松の向かふにスカイツリー=資料官
△信=1点
●標識にハンカチの如雪残る=修一
△雪=1点
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