*A部門入選作発表*
当季雑詠=全77投句(入選62句)
【特選】
一席
●花束のごと箒抱く雪だるま=ラスカル
◎秀、杉○淳、子、裕、香△る、葱、修、水=18点
(秀:「花束」と「箒」のギャップに虚を衝かれました。 杉:竹箒かがんぜきだろうか?「花束のごと」の比喩によって、箒がたちまち柔らかく愛しいものに思われ、同時に雪だるまに温もりが通う。 香:面白い発想です。 る:見立てですが、寒いときにそんなふうに思うと、気持ちがほっこりしますよね。 葱:惜しくも◯を逃しましたが、とても好感の持てる一句です。雪だるま、強し? 修:どんな苦しみも花束にしてくれるんだ。 水:飄々とした雪だるまなんでしょうね。)
二席
●思ひ出の壊れかけたる雪だるま=メゴチ
◎白、裕○秀、雪△砂、香=12点
(白:雪だるまの一角が欠けている。思ひ出も。 秀:「雪だるま」には大方の人が思い出を持っていますよね。だから、その雪だるまが溶け出せば、思い出も消えていくようで。 雪:悲しいですが、いつかは壊れる思い出もあるような・・。)
二席
●自陣にて廻すボールや日脚伸ぶ=風牙
◎十、葱、水○入△修=12点
(十:先日のアンダー23の優勝は見事でした。背後でのボールの動きに対して季語が上手く効いています。 葱:ロスタイムも残りあと2分というところで勝っていないと自陣でボールは回せません。勝利への確信と抑えた歓び、日脚伸ぶ、で余裕が生まれました。 水:時間の経過が見えます。 修:チャンスを狙ってじわじわと。 入:とにかくカッコイイ。)
二席
●吸ふ息の少なき母や水仙花=葱男
◎入○十、杉、喋△白、五、メ=12点
(入:梅の花でしたが、水仙ならよかったかなと。 十:看取りの様子でしょう。切ないですね。 杉:もしかすると酸素吸入などされているのか?水仙の美しさが際立つ。「す」音の連続が静謐な世界を創っている。 白:病床の母へのやるせない気持ちと水仙。 五:葱男さんの俳句大学における一日一句互選の句。息と水仙花はぴったしだ。)
二席
●待春やワイングラスの先の富士=裕
◎ラ、淳、砂○資△子=12点
(ラ:「ワイングラス」の洋と「富士」の和の取り合わせが、和洋折衷のようで面白いです。 資:三角形と逆三角形の組み合わせが面白い。)
【入選】
●白梅や妬心がひとり歩きする=美遥
◎久○五、裕、雪△ま、茶=11点
(久:ツンとした白さなんともメロドラマ。 五:白梅を女性に喩えたのか?妬心という言葉がいい! 雪:季語の白梅がいいですね! ま:白梅がぴったりです。あります、あります。 茶:「白」と「妬」の対照と、自分では抑制しようのない心持ちに惹かれました。)
●パスタ屋の白木の椅子や日脚伸ぶ=雪絵
○る、や、ラ、紅△十、杉、茶=11点
(る:美味しいお店なのでしょう。 や: こう言うオアシスもある。 ラ:情景が目に見えてきます。「日脚伸ぶ」という季語も決まっています。 紅: おしゃれな景が浮かびます。 十:パスタ、白木の椅子に春近しを感じます。 杉:柔らかな日差しを受ける白木の椅子にささやかな幸福感がある。 茶:「パスタ」「白木」「日脚」の取り合わせがいいなと思いました。「パスタ」は伸びる前にいただきましょう。)
●神様へたんと飯盛山の雪=五六二三斎
◎香◯葱、杉、修△紅=10点
(香:「たんと」が郷愁を誘います。変調もいいリズムになってます。 葱:見立ての句ですが飯盛山が効きましたねえー。大食いの神様にはもってこい。 杉:輝くようなご飯の白と雪の白が響き合う。「山の雪」にその辺りの佇まいが伺え、「たんと」に神様への近しさが感じられる。修:白虎隊の悲劇!「たんと」がなかなかです。 紅:うまく言えないのですが、優しい雪を感じました。)
●枯草に寝て雨の香を言ふ子供=秀子
◎茶○ま△や、十、杉=8点
(茶:こんな感受性を大事に育ててあげたい!そのためにもこんな子どものつぶやきを拾える大人にならなきゃ!と考えさせられました。 ま:子どもの鋭い感性を察知してうまく表現されていますね。そのお子さんに会ってみたいです。 十:詩的センスのある子ですね。将来俳人として大成しそう<笑>。 杉:感覚の鋭い子供。雨の香と共に枯草の匂いを受け取る。)
●黒炭の赤から白へ果てにけり=十志夫
◎五○香、メ△雪=8点
(五:観察の鋭い句。火の一生を見る句。暗に燃え尽きるものへの哀れを詠んでいる。 香:黒から赤、白と色に着眼したところが面白いです。 雪:火鉢のあった頃のことを思い出しました。)
●島の子と猿を見てゐる二日かな=ぼくる
◎修○ラ、歌△杉=8点
(修:わたしは誕生日に猿を五匹見ました。いいことあるかな。 ラ:今年の干支の「猿」に対しての挨拶句かもしれません。 杉:作者が島に行っているのか?島から遊びにきている子供なのか?多分前者か?ややゆったりとした不思議な気配が漂う。)
●大寒の駅群衆の黙動く=砂太
◎紅○水△や、秀=7点
(紅:大寒の 朝の通勤風景でしょうか?ちょっと背を屈め、黙々と速足で進んでいく様子が見事に切り取られていると思います。 水:「大寒」が効いていると思います。 や:口をつぐむのは寒さのせいか苦悩のせいなのか。 秀:「群衆の黙」がよく伝わってきました。)
●春待つと夕日の色のメロンパン=久子
○秀、ぼ、茶△裕=7点
(秀:物寂しくて、暖かくて、ポエムだなと思いました。 ぼ:絵本のような心やさしい句。 茶:メロン色の夕日ではなく、メロンパンが夕日色なのです!)
●百坪の庭のふくらみ福寿草=資料官
○十、砂、久△葱=7点
(十:「庭のふくらみ」が、まさに春の息吹きを感じさせます。 葱:百坪が適切かどうか、意見が分かれそうなので△止まりです。 久:盛り上がる黄色き地面冬一服。)
●満天の星が育てる凍み豆腐=ぼくる
◎や△資、茶、入、メ=7点
(や:噛締めて知る命の儚なさ。 資:句の形からすれば凍豆腐が良いと思うが,句のスケールの大きさに惹かれました。 茶:「満天の星の育てし凍み豆腐」でしたら自分的には○でした。美しき自然の恵みをおいしくいただきました。 入: 関東にいるとわかりますが、初めて食したのは博多駅弁でした!)
●柔かな土踏んで行く春隣=やんま
○砂、風△歌、紅、雪=7点
(紅:「春隣」の感じがよく出ていると思います。 風:まんまと言えばまんまですがそれが良いんだと思います。素直が一番。 雪:春よ、早く来い!という思いが込められてます。)
●手袋のなか萎れたる地球かな=茶輪子
○五、喋△裕、香=6点
(五:手袋の中は地球のマグマか?上手い!)
●ヒーローも雪だるまには勝てないなあ=メゴチ
◎葱○風△修=6点
(葱:雪だるまの雪だるまたる素晴らしさを見事に言い当てています。雪だるま、スギョイ? 風:内容自体は類想感がありますが句末「なあ」の詠嘆がそれまでの15音のだめ押しとしてしっかりと切れ字の役割を果たしていると思います。 修:そうそう、同感です。)
●冬薔薇にためらひ傷のやうな翳=ラスカル
○白、紅△秀、久=6点
(白:自分の棘で傷つけたような。 紅:中七に思わずため息です。 秀:ためらい傷ですか。納得。 久:薔薇の刺暗き言葉に孤独化す。)
●ぎつしりと絵馬のハングル実万両=雪絵
◎資○水=5点
(資:ぎっしりと万が見事に調和。 水:外国人観光客が多くなり、、ん? 日本に住んでる人かな? とにかく実万両がいいです。)
●樹氷ですねいや霧氷でしょリフト来ぬ=風牙
◎る△紅、水=5点
(る:会話体にされたことで、臨場感が出たと思います。紅:リフトを待っている間の会話でしょうか?地元の鶴見山が思い浮かびました。 水:オジサンたちの会話とみた。面白い俳句ですね。)
●待春のポンがいくつも弾けだす=葱男
◎ま△喋、雪=5点
(ま:ポンを、心の内にあるいろいろと解釈しいただきました。私の中でも弾け始めています。 雪:どんな「ぽん」なのか、考えるときりがありません。)
●父親と差しのトランプ冬休み=香久夜
◎風△葱、入=5点
(風:リアリティの持つ力は強いですね。17音より17音の外の方がはるかに大きい発句スタイル。たった17音でこの父子の年齢差や社会的立場、家族構成、父子の横で家事をしている母親の姿も見えてきます。 葱:採るか採らないか迷いましたが、娘限定、ポーカーかブラックジャック限定でいただきます。父と娘が本気で勝負する情景に深い愛を感じます。 入: 懐かしいし、今もそうなら素敵な親子です。
)
●天井の四隅に気合い寒の朝=久郎兎
○入、メ△資=5点
(入:私自身はへたれやったけん、あこがれます。)
●春立つや人差指の長さほど=十志夫
◎メ△秀、砂=5点
(秀:「人差指の長さほど」とずらした表現がおもしろかった。)
●凍滝に気合ひと声こだまする=メゴチ
○る、淳=4点
(る:何かの寒稽古?そちらを季語にせず、凍滝を焦点にされたことで、光景が浮かんで良いと思います。)
●存命であらば卒寿や冬薔薇=紅椿
◎歌△入=4点
(歌:初恋かしら。 入: 距離のあり過ぎた恩師とかかな?)
●たい焼きの内臓の透く胸騒ぎ=まさこ
△五、ぼ、水、久=4点
(五:むっ!たい焼きは季語なんだ!上手い! ぼ:うーむ、よく分からないけど面白い。 水:「内臓の透く」は面白い見方ですね。美味しそうと思ってしまいましたが胸騒ぎなんですね。 久:貌より花より団子空きっ腹。)
●待春や愛蘭土のやうな雲=るな
◎ぼ△葱=4点
(ぼ:旅心ふつふつと。行きたいなあ、ケルトの里。 葱:愛蘭土の言霊が美しいですが、アイルランド以外の国でも成立する句だと言うところで△です。)
●鳥のこゑ谺してをり冬の水=るな
△子、ま、ぼ、メ=4点
(ま:冷たい水のせせらぎの音と空気感、鳥の声のこだまと、五感全部でこの句を感じます。 ぼ:いまいち場所が見えない。見えれば◎です。)
●日向ぼこひとりでふかす煙草かな=白馬
◎子△ラ=4点
(ラ:このご時世、喫煙者は肩身が狭いようですね。)
●薄れゆく腰の痛みや春近し=五六二三斎
○久△資=3点
(久:寒暖差大にて日差し有り難し。 資:寒いと節々が痛む。春を待つ心がにじみ出ている。)
●待春のつんと上向くギャルの乳=風牙
○ま△五=3点
(ま:季語がぴったり、自信に満ちた年頃よく表現されていますね。 五:ギャルの挑戦か?おそるべし!)
●ちゃんぽんの玉子最後に寒の内=水音
○茶△る=3点
(茶:小さなうずら卵でもしっかり自己主張している。寒い折はとかくささやかな存在を見落としがちですが、そんな内でもきっちりできているのですね。 る:寒いときは、なぜかそんな気持ちになりそうですね。)
●初詣の臨時巫女たち喋くりぬ=喋九厘
○や△ぼ=3点
(や:飛べ跳べ乙女、若さのお裾分けを頂く。 ぼ:現代的風景で、微苦笑を誘う。)
●骨傷み骨をしゃぶりし骨正月=資料官
◎喋=3点
●雪うさぎ有の世界を離れけり=葱男
◎雪=3点
(雪:雪うさぎが融けてなくなった「無」を、「有」で表現。素晴らしいです。)
●息白し紫煙と区別つかぬほど=白馬
△淳、歌=2点
(や:枯草にはいつでも青春の匂いが。)
●寒月に透くかの爪もかの嘴も=久子
○歌=2点
●寒月夜みな息災の常連会=茶輪子
△修、久=2点
(修:いいですね。歯が抜けるように旧友ゆく。 久:一病が多病なりしもこの笑顔。)
●如月や急降下する鳥の影=秀子
△る、風=2点
(る:上五と中七のki、それに下五のkaが重なって、冷たさや迫力を感じられます。 風:旧暦二月の異称であれば仲春、新暦ならば初春分類。いずれにしてもまだ寒さの残る頃の「風光る」という感じでしょうか。)
●呉橋の閉ぢたるままや雪明り=紅椿
○修=2点
(修:なんと優雅で贅沢な世界。)
●さりげなく一筆添へて寒見舞=資料官
△子、喋=2点
●産道を一度通りて冬麗へ=久子
△秀、喋=2点
(秀:「一度」がいるのか、かなり、悩みました。)
●その喧嘩いつでもできる初写真=水音
○資=2点
(資:子供が多くなかなか取れない家族写真か。ほほえましい。)
●無人駅風にカーテンそよぐ春=久郎兎
△淳、子=2点
●山眠る餌場に猿をあそばせて=紅椿
○ぼ=2点
(ぼ:季語が効いてますね。楽しくなる。)
●今日もまた新年会と言い訳す=裕
△ラ=1点
(ラ:新年会は、一年の始まりのめでたい会ですから、断れないですね〜<笑>。)
●新春に口達者なるおめでとう=香久夜
△淳=1点
●「空青い!」雪国の人うれしがり=子白
△や=1点
(や:日本海側の鉛色の冬空に一日輝く青空。)
●空を突くスカイツリーや春近し=裕
△ラ=1点
(ラ:スカイツリーの存在感が、まざまざと伝わってきます。)
●竹爆ぜてどんどは盛るああ日本=砂太
△秀=1点
(秀:ちょっと言い過ぎかもしれませんが、「ああ日本!」ですよね。)
●時折の風がさみしと白き梅=美遥
△ま=1点
(ま: 少し寂しい景ですが、思い当りますので魅かれました。)
●床の間に若松の力みなぎる=久郎兎
△葱=1点
(葱:新年号にふさわしい佳句ですが、類句がありそうなので△。)
●初飛行アテンダントの襟青く=修一
△葱=1点
(葱:やや甘いかもしれませんが、正月の清々しさに一票、青く、は青しかも。)
●ひとつづつ個室持ちたる寒牡丹=ラスカル
△香=1点
(香:雪囲いが丁寧に作ってあるんですね。)
●牡丹雪のごとゆつたりと電車待ち=茶輪子
△十=1点
(十:牡丹雪に時間の経過を託す比喩が巧み。)
●真鴨たちいちにいさんで潜りけり=五六二三斎
△修=1点
(修:世の中面白いこといっぱいあるんだ。)
●三日はや猫遊ばする文の反故=るな
△杉=1点
(杉: 跳んだり跳ねたり、音をたてる反故に興奮する猫。穏やかな三が日だったと想像する。)
●みつちりと育ってをりぬ春の雲=美遥
△裕=1点
●もう朝でなくて山茶花咲き過ぎて=秀子
△砂=1点
●立春の旅路に苦き菜食めり=やんま
△歌=1点
A部門入選作〈back number〉
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