*A部門入選作発表*


当季雑詠=全87投句(入選61句)

【特選】

一席
●恋文のフォントを選ぶ春隣=水音


◎子、久◯葱、虹、五、し、茶△ラ、裕、ぶ=19点
(久:どれにしようかなの世界ですね。 葱:いまどきの恋文はワードで打つのでしょうかね? あんまり字に自信がない人はそうかもしれません。 で、やはりフォントには気をつかう、気持ちよく分かりますね、かわいい! 虹:今やラブレターは手では書かない。 五:春らしいフォントはどんな感じ?丸い感じのフォントかな? し:フォントにもこだわりたくなりますよね。ウキウキした気持ちが伝わります。 茶:ラブレターは手書きでという思考はもう古臭いのかも。時代性をとらえた着眼がよいと思いました。 ラ:昔は「便箋の色」でしたが、今は「フォント」なのですね・・・。 裕:今どきの恋メール?ですね。 ぶ:美しく若い女性の作品だといい!)


二席
●とりどりの色のマカロン春を待つ=紅椿


◎虹、五○や、裕△清、秀、資、村、し、茶、水、ぼ=18点
(虹:パステル色が春待つの季語に馴染む。 五:おしゃれな仕上がりである。春と色とりどりのマカロンで楽しい気分になる。 裕:とりどりの色のマカロンが春の予感です。 清:マカロンは食べるだけでなく色を見て楽しむもの、その気分が良く出ている。 や:春は虹色。 秀:マカロンって、色を選ぶ時から、わくわくします。 資:春になればバレンタインもホワイトデーも。春を待つ気持ちをうまく表現。 村:色は余計のようだがいかにも季語にふさわしい。 し:マカロンの色はパステルで春を待つ気持ちに合いますね。 茶:見ているだけでうきうきした気分にさせてくれるパステルカラーの景が浮かび上がってきました。 ぼ:素直で、明るくて、いいね。)


三席
●理髪屋のシャボンの匂ひ春隣=雪絵


◎や、香、裕○秀、水△十、紅、村、茶=17点
(や:床屋には金魚鉢が似合っていた。 香:暖かそうで、季語がピッタリです。 秀:ちょっと渋く、理髪屋を選ばれて、成功。 裕:昭和です! 水:石鹸の爽やかな香りがもう間もなくの春を感じさせる。 十:一瞬の気づきの句。季語が効いている。 紅:石鹸ではなく、シャボンとした事で成功したと思います。 村:古典的な題材だが季語とあう。 茶: 「シャンプーの香や」より庶民的な中七でいただきました。)


【入選】

●春待つや窓辺に寄せる母の椅子=秀子
◎資、紅、水、メ○ま、村=16点
(資:もしかしてもう椅子だけが残っているのか。春を待つのは作者かも。 紅:愛情あふれる佳句ですね。なき母を思い出しました。 水:なんとなく春を感じるようになる頃です。お母様も御喜びでしょう。 ま:なんとも優しいお気持ちで、お母様お幸せですね。 村:不自由な母への自然な思いやりを淡々と。)

●待春の鳥獣戯画に入りゆけり=清一
◎秀、し○十△葱、砂、香=11点
(秀:なんか楽しそうですね。待春の気分に似合っています。 し:ほのぼのとした鳥獣戯画いいですね〜。 十:画の中に入っていって蛙や雀たちと遊ぶ。まさに春風駘蕩の趣き。 葱:いい感じですねえー、なんだか普通の庶民の馬鹿騒ぎのあれやこれやって、平和ですよね^_^ 香:やっと展覧会に行けたのですね。)

●居酒屋へ我を呼び込む雪だるま=裕
○紅、喋△葱、五、し、修、ぼ=9点
(紅:楽しいお句、景が浮かびます。 葱:店のご主人が作ったのかしらねえ〜? 入って確かめたくなるなあ〜^_^ 五:雪だるまが看板娘?<笑> し:雪だるまに呼び込まれては断れません。 修:寒いとほっとしたいなあ。 ぼ::飲んべえの理屈付けが、いとおかし。)

●大志てふ道楽は捨て日向ぼこ=やんま
○茶、外、淳、ぶ△久=9点
(茶:「大志」を道楽とする老境やいかに。 ぶ:早くそういふ境地になりたしw)

●雪の夜や胎児に聞かすわらべ歌=ぼくる
◎修○や、資、雪=9点
(修:季語のせいか生命の尊厳を感じます。どの人もこうして慈しみの中から生まれてきたのだと改めて感じさせてもらいました。 や:心の歌をしかと届けり。 雪:生まれて来る子を待ちわびる幸せ感が漂ってますね。)

●墨一色の十字架の画や風凍つる=しゃが
◎十、ラ○雪=8点
(十:デザインとしての十字架がブームだとか。「黒一色」でなく「墨一色」だから前衛の水墨画か。迫力と静謐と。 ラ:文学的な匂いのする句ですね。 雪:モノクロがより一層のぞくぞく感を与えます。どんな画でしょうか。)

●三寒のトンネル抜けて来る四温=五六二三斎
○資、ラ、メ△虹=7点
(資:トンネルが良い。今年は長いトンネル。 ラ:実に巧みなレトリックだと思います。 虹:三寒と四温が同階層にない面白さ。)

●ポケットに口紅春はまだ浅く=秀子
◎砂、雪△ぶ=7点
(雪:ポケットに何故か入っていた口紅。それを句にする女性ならでは感性!こんな風に詠みたいものです。 ぶ:女の武器かな〜。)

●雪の来てかなしみの夜を明るくす=葱男
○ラ、香、紅△淳=7点
(ラ:「明るくす」で、ほっと一安心しました。 香:少しずつ悲しみが癒えるといいですね。 紅:これは私には詠めない句ですので、憧れます。)

●淡雪や思い出せない今朝の夢=修一
◎淳○し△秀=6点 (淳:外は淡雪、布団に座って今朝の夢を必死で思い出しているんですね。 し:季語が効いていると思いました。 秀:雪も夢も儚くて。)

●看護婦の名札はピンク日脚伸ぶ=やんま
△十、資、紅、裕、水、ぼ=6点
(十:ホンワカした「春近し」の趣き。 資:退院間近か,名札を除き見る余裕が感じられて少し明るい。 紅:快方に向かっている様子が伝わってきます。 裕:よく見ていますね。 ぼ:ここは、「婦」でなきゃ。言葉狩りに負けるな。)

●着膨れて降りる手摺の蟹歩き=十志夫
○淳、修△ぶ、メ=6点
(修:なんともユーモラス。 ぶ:自分自身か、家族へのまなざしか、クールで愛情深い。)

●再会の熱燗添ふる昼の膳=十志夫
○村△や、ラ、雪、ま=6点
(村:自宅に招いて懐かしい時間が延々と。 や:淡交の交わりされど熱燗。 ラ:お互いに、酒好きなのですね♪ 雪:旧知の仲の二人酒?いいですね〜。 ま:久しぶりの再会を楽しみにしていた気持ちがよく伝わってきます。)

●しもやけの軍手が握る竹箒=まさこ
◎ぶ△子、喋、淳=6点
(ぶ:一字一句無駄がなく、生きてゐる。)

●空を突く小さき拳冬木の芽=雪絵
○秀、喋、メ=6点
(秀:子供の元気には励まされます。)

●カーテンのすそ凍りつきたる朝=まさこ
◎村○五=5点
(村:すそまで言ったところが厳寒を端的に描写。 五:冷たい空気は足下にある。カーテンのすそによく目が行き届いた。)

●寒月や足袋を履かざる芸者衆=ぼくる
○砂、修△淳=5点
(修:思わず正坐して、一杯。)

●左義長の焔の奥の息遣ひ=十志夫
◎清○砂=5点
(清:焔の中で焼かれている吉書から使われていたときの息遣いがするという秀句。)

●絵筆落つ白鳥の首折れやすく=葱男
○十△五、ぶ=4点
(十:難解句。上5とそのあとの関係性が、=<イコール、説明>でなく、≦<不等号、感覚>でつながっている。 五:白鳥の首というと、パスツールを思い浮かべた。そこから、ダヴィンチを思い浮かべた。 ぶ:デリケートな画家を思い浮かべた。音楽も。)

●塹壕で綴られし詩や冬の月=しゃが
◎ぼ△砂=4点
(ぼ:ある極限状態を冬の月で象徴。彫りの深い句。)

●大寒や山の小僧がメール打つ=やんま
○久、ぼ=4点
(ぼ:山寺の小僧だろうか。ギャップが面白い。)

●大根干す足のまばらに海の青=五六二三斎
○清、雪=4点
(清:大根の足に海の青さが見えると言う発想が面白い。 雪:やはり足ですよね、大根は(笑)。色のコントラストが鮮やか。)

●七草を諳んじてゐる園の昼=紅椿
◎ま△茶=4点
(ま:この頃はいろいろお勉強するようですが、七草とは!とても可愛いく、いきいきしています。 茶:自宅庭でお育ってになっているとしたら素敵です。そうでなくとも頭の園にはしかりと。)

●風花や新語を探す広辞苑=水音
  △十、清、香=3点
(十:今日的な話題を詠んでいて、季語がうまく嵌っている。 清:詠者は風花が着地点を探すように新語を探す。 香:どんどん新しい言葉が入ってるそうですね。)

●風邪に伏し看病するは犬と猫=子白
◎喋=3点

●寒弾の瞽女の項に光さす=虹魚
○裕△秀=3点
(裕:漢語が多いのが気になりますが、素敵です。 秀:ちょっと作りすぎの気もしているのですが、「項に光」まで 言われたのが、よかった。)

●殺人に使える氷柱物色す=水音
◎葱=3点
(葱:一見、あな恐ろしや! と思ったけどよく考えてみると、「この氷柱の鋭さなら人だって殺せそうじゃない?」なんて、結構雪景色の町歩きを楽しんでいる作者の姿が見えてきます。 なんだか剽軽で楽しい句に思えます。)

●〆も良しスタートも善し小豆粥=久郎兎
◎茶=3点
(茶:とにかく小気味よいリズム好しです。)

●収集の記念切手や室の花=雪絵
○水△清=3点
(水:私も記念切手をたくさん持っていますが、室の花のように華やかで、見飽きま せん。 清:冬に出る春の花の記念切手のようだ。)

●生徒チーム先生チーム雪合戦=ラスカル
○ぼ△や=3点
(ぼ:活き活きした情景が目に浮かびます。 や:郷愁多々あり。)

●戦争の予感二月の日本海=ぼくる
△葱、紅、水=3点
(葱:こちらはちょっと背すじがゾゾっとしました! ホンマに頼みますよ、ジョンウン君もトランプはんも?? 紅:インパクトがあります。)

●底冷の長き廊下を教師急く=十五
△や、虹、ぶ=3点
(や:生あらば滅ぶ理、されど哀し。 虹:亡き父もそんな風にせかせかと。 ぶ:実体験ならではの作品に違いない。)

●猫の背にとまったままの冬の蠅=裕
○香△久=3点

●春隣妻の背中のこゑを聴く=ぶせふ
○虹△ま=3点
(虹:おしゃべりが止まらない。 ま:奥さまの声なき声を聴こうとする姿勢がよいですね。)

●腑に落ちぬ言葉のみ込む冬木の芽=まさこ
○清△メ=3点
(清:寒風の中の木の芽、すべてをのみ込み耐えている。)

●雪降(お)りて平安京のあらはるる=葱男
○ぶ△喋=3点
(ぶ:俳句が魔法を使えることを教えてくれる作。)

●温泉の窓越し見ゆる雪吹雪=淳一
○子=2点

●欠け瓦山茶花の散る戒壇院=香久夜
△葱、裕=2点
(葱:K音のリズムがいいですね、戒壇院が上手い! 裕:ちょっと鄙びているけど、趣のあるお寺さんという感じです。)

●寒月に窓開け放ち相模灘=茶輪子
○ま=2点
(ま:寒いのに窓を開けて見ていたいほど美しい月だったのでしょうね。波音と潮の匂いも感じられます。)

●寒晴や西郷(せご)どんの目にスカイツリー=資料官
△葱、雪=2点
(葱:上野公園の西郷さんの銅像のところからもスカイツリーがみえ?のでしょうか? 雪:今年は西郷どんの年ですね。その目にはどのように映ってるでしょうか。)

●すれ違い出来ぬ橋あり鴨の群=ぶせふ
○久=2点

●鷹の舞ふ比叡を下る修行僧=清一
△子、香=2点

●寝正月八卦占ふウェブサイト=しゃが
○子=2点

●春隣きれいな嘘を書き連ね=秀子
△葱、ま=2点
(葱:まず「きれいな嘘」が上手い! 上手く飛んだなあー^_^ ま:春隣が効いていると思います。なんだかわかるような。)

●ぴしぴしと寒さ絡まる通夜がへり=十五
△砂、メ=2点

●耳なしのゴッホに届く虎落笛=清一
◯葱=2点
(葱:上手い?? ゴッホには虎落笛がピッタリ?? よくぞ見つけた!という感じ。)

●もの言わぬ口一文字雪だるま=メゴチ
○資=2点
(資:たしかに雪だるまは寡黙。東京の雪はなかなか解けない。)

●雪だるまの胴囲を測る子ども達=ラスカル
△十、久=2点
(十:「どっちが大きい〜か」。かわいい。 久:胴囲幾尋もいいかなと思うけど、かたくなるかもね。)

●凍て雪を鳴らす長靴心地良し=白馬
△修=1点
(修:こういう風に楽しめたらいいな。)

●絵屏風の虎憚りて静かなり=虹魚
△し=1点
(し:虎憚りて、とはどんな虎なのか興味持ちました。)

●寒椿一夜明くれば白の中=メゴチ
△ラ=1点
(ラ:「雪の中」だと季重なりなので、「白の中」としたのですね。巧いです!)

●三が日終わりし頃に悔いばかり=淳一
△し=1点
(し:だいたい食べ過ぎで後悔します。)

●隅田川てくてくてくと春隣=資料官
△五=1点
(五:隅田川に出没する花守みたい?)

●背負投げ彼女にされて小正月=茶輪子
△喋=1点

●高砂を謡ひ一献四方の春=五六二三斎
△虹=1点
( 虹:何だか、めでてぇな!)

●妻の弾くショパンの響き冬薔薇=裕
△村=1点
(村:共々ショパンに明るいことに憧れます。)

●バス停の遥かに遠き雪の道=ラスカル
△子=1点

●雪吊りの松の向かふにスカイツリー=資料官
△修=1点
(修:新旧相似形、歴史も見えるようです。)


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