*A部門入選作発表*
当季雑詠=全投句(入選句)
【特選】
一席
●座布団に足る乳飲み子の大昼寝=十志夫
◎紅、砂、水、清、茶〇ぶ、ス△し、葱、資、ま、入、修、香=26点
(紅:かわいい寝姿が目に浮かびますね。「大昼寝」の斡旋がお見事です。 し:ちっちゃい赤ちゃんの大昼寝が可愛いですね。 水:座布団で大昼寝というのがユーモラスです。 清:誰しもこのような時期があった。たらふく乳を飲み座布団でぐっすり昼寝している姿は生きている象徴のようだ。 茶:「足る」けど「大」!将来は大物ですね。 ぶ:特選にしたいほどの生命感・存在感。 葱:「座布団に足る」がいいですね。 ま:小さいんですよね、生まれて間もない赤ちゃんの姿がはっきり浮かびます。 香:生まれたては、座布団で充分でした。大昼寝―家族<じいじ?>の愛情を感じます。)
二席
●転院を告げられてゐる西日かな=紅椿
◎十、ラ、白〇し、秀△や、喋、雪、水=17点
(十:病状がより深刻になったのであろう。日射しが痛い。 ラ:「西日」という季語が、ぴたりと決まりました。 白: 辛い思い。西日が痛い。 し:西日がとても印象的です。 秀:退院ではなく転院ですからね。 や:退院ではない。今夜も眠れないだろう。 雪:不安な気持ちを西日が助長しているような。 水:やるせなさが西日から伝わる。)
三席
●蟻の列仏足石を越えゆけり=清一
◎し、雪、秋○葱△秀、裕=13点
(し:蟻の列が仏足石の絵柄の線とも繋がって面白いです。 雪:蟻にとっては大きすぎる石。対比がおもしろい。 秋:大小の対比が妙。 葱:仏足石が渋い! 秀:上手い!上手過ぎ! 裕:ヒアリじゃない、日本の蟻はいいな。)
【入選】
●夕焼や壁にボールの跡あまた=ラスカル
○雪、ぼ、メ、淳△や、葱、水、秋=12点
(雪:一人遊びの野球少年。昔はそんな光景をよく見てましたね。 ぼ:谷内六郎の世界、好みです。 や: あの少年は何処でどうして。 葱:子供の頃を思い出します。)
●空蝉の割れし背中に射す夕陽=白馬
○し、メ、淳、五△十、喋、秋=11点
(し:夕陽に琥珀色に透ける空蝉の美しい映像を想像しました。 十:トリビュアルな視点。 五:リアルな描写である。)
●白南風や上り詰めたる蔓の先=紅椿
◎喋、メ○ぼ、裕、ま△ス=11点
(ぼ:自然の生命の躍動感あり。 裕:上り詰めたのは、虫かな? ま:あさがお、鉄線。。なんでしょう、涼やかにのびやかに葉の揺れる景が気持ち良いです。)
●生温き芝の匂いや夜の蝉=秋波
○ラ、紅、修△秀、葱、裕=9点
(ラ:どこもかしこも熱帯夜ですね。 紅:最近は夜になっても温度が下がりませんね。実感として伝わります。 秀:生温き芝の匂いはよくわかりますし、季語も出ず入らずで、よくついている。 葱:五感に訴えてくる句。 裕:熱帯夜の感じですね。)
●かなかなや寝返り打つ子ふと笑む子=ぼくる
○砂、茶、秋、香=8点
(茶:先日蜩の声を耳にしました。もう、そんな時季なのですね。少しずつ過ごしやすくなるイメージがよく伝わってきました。 秋:林間学校の昼寝の時間でしょうか。微笑ましい。 香:夢見てる子が何とも可愛らしい。)
●赤ん坊の髪のぽよぽよ葛桜=ラスカル
◎や○清△葱、白=7点
(や:ぽよぽよに一票! 清:赤ん坊の髪の毛と葛桜なるお菓子との対比が面白い。 葱:「葛桜」って葛饅頭のことなんですね。 白:可愛らしさがよく出ています。)
●黄はちまき赤はちまきや子供山笠=雪絵
○十△葱、ラ、紅、茶、五=7点
(十:単なる言葉遊びでなく、しっかり情景を伝えている。 葱:早口言葉じみてるリズムもカワイイ。 ラ:なんだか早口言葉みたいで、面白いです。
紅:子供の歓声や笑顔まで見えてきます。 茶:赤巻紙黄巻紙青巻紙…早口言葉のようにスピーディな踊りが(^^) 五:今回の山笠は777回目だったという。伝統を子供に託す。)
●悪友も老友となり宿浴衣=ぼくる
○白△秀、紅、メ、淳=6点
(一泊の同期会。70過ぎれば皆同じ。 秀:幸せですね。私だったら、「も」でなく「の」にするかなあ。 紅:子供の頃からの友人は良いものです。一緒に旅行をされたのですね。)
●烏瓜咲いて夜空といふヴェール=秀子
◎裕○水△ぶ=6点
(裕:幻想的です。 水:とても幻想的。 ぶ:美しい絵画を楽しむ感覚。)
●昼寝覚こんなところに消しゴムが=ラスカル
◎ま○ぶ△茶=6点
(ま: 目覚めたときのホワットした感じがよく現れています。 ぶ:うまい!自由!面白い!特選にしたかったw 茶:あるある!悪い夢は消してしまいましょう(^^))
●山笠走り博多の街の膨れけり=砂太
○紅、水△ぼ、ま=6点
(紅:臨場感あふれています。 水:まさしく膨れけりです。 ぼ:臨場感あり、一度行って見たいなあ。 ま:膨れけりがとても良いと思います。)
●大西日ゴジラのやうな雲睨む=ぶせふ
◎ス○雪=5点
(雪:大きな光景ですね!)
●草刈り機の音の波打つ大西日=まさこ
○や△メ、入、修=5点
(や:暑そう!)
●夏至の日の机は広し過去遠し=砂太
◎ぼ○喋=5点
(ぼ:一番長い日の感慨。胸中去来するものは何、破れし夢か?)
●紫煙巻くバーで聞く詩や熱帯夜=しゃが
○ス△十、子、ぶ=5点
(十:70年代の新宿界隈には、こうした店がたくさんあった。懐かしい。 ぶ:ランボーだったら最高!大人のムードに憧れる。)
●伝はり来もののけ烏瓜の花=葱男
○秋△雪、砂、五=5点
(秋:花は夜開くとか。何となく妖艶な感覚の句です。 雪:もののけを形にしたら、烏瓜の花のような気がしました。 五:烏瓜の花句は句またがりになる。ユニークな描写。)
●ドリブルの少年に蝉ひとしきり=入鈴
○秀△や、茶、淳=5点
(秀:ひとしきり応援するように、蝉が鳴きました。 や:夢の最中に蝉も聞こえず。 茶:「時雨」にせず「しきり」とした点が上手いと思いました。)
●蜻蛉とぶ雲より高き空のあり=ぶせふ
○葱△資、雪、香=5点
(葱:気持ち良い! 香:空の広がりをうまく表現しています。)
●風鈴の連打我が家に尾瀬便り=久郎兎
○裕、入△砂=5点
(裕:風鈴の連打=尾瀬便りというのがいいです。)
●青柿のままに葬る里豪雨=雪絵
◎香△し=4点
(香:切なさ、いたたまれなさが、よく詠まれていると思う。 し:青柿で豪雨の様子を表しているのが上手いと思いました。)
●井戸の水汲み尽くしけり焼夷弾=修一
○入、香=4点
(香:すごい情景だったのでしょう。)
●海酸漿鳴らしていつまでも日暮=秀子
○ま△ラ、清=4点
(ま:海ほうずきの経験はないのですが、いつまでも日暮れにとても魅かれいただきました。 ラ:「いつまでも日暮」が切ないです。 清:縁日の夜店で売られている海ほおずきが懐かしい。)
●蚊遣火や風も無いのにドアの開く=水音
◎資△子=4点
●甚平やぼりぼりと掻く脛の傷=やんま
○喋、五=4点
(五:ユーモアの漂う句。)
●涼しさや名刺ほのかにかほる人=茶輪子
○子△し、葱=4点
(し:とても美しい人を想像させます。私も名刺に香りを付けます! 葱:こういう方をご紹介願いたい。)
●蝉しぐれ忘れえぬ人忘れ果て=ぶせふ
◎秀△白=4点
(秀:これこそ、人間の真理だと思いました。 白:何もかも忘れてしまって、心も落ち着いた。)
●遠ざかる恋の思ひ出蝉の声=五六二三斎
○白、修=4点
(白:木の梢から何処かに飛んでいく蝉。我が恋も。)
●夏の海故郷の海凪の海=メゴチ
◎葱△子=4点
(葱:お盆に田舎に帰省したのでしょうか? 海の三連チャンが心地よい。)
●二十万トンの流木梅雨明ける=五六二三斎
○ラ△白、修=4点
(ラ:「二十万トン」という具体的な数字がリアルです。 白: 二十万トンが衝撃的。)
●半月をヒョリと横切る蛍かな=入鈴
◎ぶ△秋=4点
(ぶ:オノマトペの独創性。こんな風に詠めるのは葱男さん?)
●みんみんみんみんみんみんや大欅=資料官
○や、ぶ=4点
(や: 蝉の命のクライマックス。 ぶ:字面からも伺える思いきりの良さ。感服しました。)
●斉魚(えつ)喰はな筑後大川雨あがる=砂太
◎入=3点
●大旱山には崩すほどの雨=香久夜
◎五=3点
(五:大旱のあとにたいへんな大雨がやって来た。)
●大夕焼よぎるは悔ゆることばかり=十志夫
◎淳=3点
(淳:大夕焼の前では悔いることばかりです。)
●百日紅口づけしたく存じます=白馬
△喋、葱、ぶ=3点
(葱:そう言われても相手はこまるでしょうが、ジョークにしてしまうつもりかな?
ぶ:面白い。自由奔放。)
●ちさき秋木陰の地蔵供物棚=久郎兎
◎子=3点
●釣銭の切れた自販機梅雨湿り=清一
△十、資、水=3点
(十:自販機の句は多いが、釣銭と季語との取り合わせがいい。)
●夏空へジョッキ高々猛女達=ぼくる
◎修=3点
●初蝉や通ひ慣れきし西病棟=雪絵
○資△十=3点
(十:何回目かの初蝉か、そしてこれから何回聞くのだろうか。)
●青空と向き合うておりハンモック=しゃが
△砂、淳=2点
●三伏や息詰め眺む砂時計=やんま
○資=2点
●少年の午後の気怠き薔薇の門=清一
○十=2点
(十:「薔薇の門」によって、何かBLの世界のような気分に。)
●真柏の幹のうねりや冷し酒=しゃが
△ラ、ス=2点
(ラ:下五の展開に意外性があります。)
●夏惜しむシャガールの青きタピスリー=まさこ
○清=2点
(清:生涯愛と聖を題材とし青を基調にとしたシャガール、その青きタペストリーが輝く。)
●西日さす手押車の生身魂=修一
○茶=2点
(茶:「生身魂」は太陽のような生命でもある。「さす」と「手押し」も重なりました。)
●初ライヴ燃ゑ青林檎熟れはじむ=葱男
○砂=2点
●浴衣着てランプの宿に酒語り=茶輪子
○子=2点
●あれこれを忘れるやうに髪洗ふ=秋波
△ぼ=1点
(ぼ:この季語の持つムードに男は弱い、ついつい。)
●空蝉や歩く姿は手にスマホ=子白
△入=1点
●革新はやがて守旧派星流る=十志夫
△ぼ=1点
(ぼ:自らも含めてそう思う、反省。)
●キンキンのアイスの棒のあたりの字=スライトリ・マッド
△紅=1点
(紅:いくつになっても「あたり」はうれしいものですね。)
●雲の峰高中杵島根子烏帽子=資料官
△五=1点
(五:阿蘇五岳を入れた面白い句。涼しい仕上がり。)
●蝉しぐれ子らの歓声かき消され=淳一
△清=1点
(清:子らの歓声も一斉に鳴く蝉声に溶け込む。)
●誰でせうオクラの葉つぱ揺らすのは=スライトリ・マッド
△メ=1点
●夏生まれ優しき顔の母が逝く=メゴチ
△香=1点
(香:私も夏生まれ、見習います。 資:1年前はそうでした。心からお悔やみを申し上げます。)
●夏果ての海を見に来し友の黙=まさこ
△清=1点
(清:友は夏果ての海に思いを馳せる、愛しい人との別れがあったのだろうか。)
●這い潜る小さき鳥居や夏木立=スライトリ・マッド
△ま=1点
(ま:こんなに小さい鳥居があるのですね、驚きました!)
●母逝きし病院前や炎天下=五六二三斎
△修=1点
●ほろ苦く憂きこと絞るゴーヤかな=秋波
△裕=1点
(裕:ゴーヤはこんな効果もあるんでしょうか?)
●眩しさやミニスカ美人の脚の色=子白
△修=1点
●病葉や斜めってるといはれても=水音
△ス=1点
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