*A部門入選作発表*
当季雑詠=全99投句(入選69句)
【特選】
一席
●絵日記の二ページ使ひ西瓜割=紅椿
◎資、茶、朱、雪、ぼ、裕、秋○ラ、し、ま、ス、香、水、喋△遊、メ、始=38点
(資:2ペ−ジも使う大胆さが良い。 ぼ:何とも微笑ましく、楽しい。絵が浮かんで来る。 朱:おおらかで明るくて景がすぐに浮かんでこういう句好きですね。 茶:ダイナミックな夏の思い出、見開き分! 雪:西瓜割の勢いを一ページでは描き切れなかったんでしょうね。 ま:大きな西瓜が描かれている景が浮かびます、楽しかった夏の思い出なのでしょうね。 秋波:子どものわくわく体験が伝わります。微笑ましい。 し:大きなスイカを割った興奮が伝わるようです。 水:さぞ楽しかったんでしょうね。 裕:一生懸命書いて1ページで収まらなかったのですよね。 ラ:一ページでは足りなかったのでしょう。 香:楽しかったんだろうね、2ページ使う子はなかなかいない! 遊:子供の喜び、それを見守る暖かさ。)
二席
●クレヨンの海となりけり秋夕焼=十志夫
◎虹、清、砂、メ○資、葱△智、雪、ぼ、水=20点
(虹:クレヨンならではグラデーション。いい感じ。 清:現実がメルヘンの世界へと広がる秋夕焼。 資:クレヨンの海が良い。 智:印象日の出の海が浮かぶ。夕焼けだけど‥。 雪:オレンジ一色になったのでしょうか。 ぼ:色彩豊かで、詩情あり。 水:盛大な夕焼だったのでしょう。 葱:俳句上手な比喩。)
三席
●秋日傘思ひ出の日々折り畳む=清一
○智、子、久、紅、メ、喋△し、五=14点
(智:中七下五の表現、夏が終わりますね。 紅;感傷的になりました。 し:夏の思い出とともに畳むという発想が素晴しい。)
【入選】
●五線紙の隅にイニシャル秋桜=ラスカル
○子、茶、朱、雪、葱、修△十=13点
(十;作曲家のイニシャルなのでしょうね。オシャレな句。 朱:洒落た一句、季語が効いてる。 雪:気になる人のイニシャルだったのかも。 葱:おしゃれ! 茶:モーツァルトの生家か、またはどなたかオリジナルの五線紙でしょうか。控えめで存在感のある秋桜にしっくりきます。)
●始まりはナッツをつまむほどの秋=秋波
◎紅○遊、村、朱、雪△十、砂=13点
(紅; 「ナッツをつまむほど」って、中々出てきません。素敵です! 遊:滑稽と詩の見事な調和。 村:さあ何の始まりか、楽しい句。 朱:何が始まった秋なのか…魅かれる句。 雪:面白い喩えです。十;中7の比喩が巧み。)
●隣人のやうに猿来る甘藷かな=紅椿
◎智○村、白△虹、入、し、朱、裕=12点
(智:隣人のやうにが面白い。絵が浮かびました。 村:猿の気持になっているが実は怖いのでは? 虹:この猿は愛らしい。が…(笑) 白:優しさが感じられますね。 入鈴:十年来のご近所さんみたい?な、猿って会ってみたいです。 し:隣人のやうにがいいですね。猿の様子が想像できて笑いました。 朱:実景なんでしょうか、ユーモアの句。 裕:お猿さんは結構行儀がいいようです。)
●流燈の照らすさざ波揺らす闇=秋波
◎ラ○十、清△裕、修=9点
(ラ:巧〜い! 十;明暗を巧みに捉えている。 清:流燈が闇に吸い込まれる様子が見える。 裕:田舎の灯篭流しですかね。)
●思ひ出のはみだす夏のハンバーガー=まさこ
○虹、秋△十、砂、し、葱=8点
(虹:どんな思い出かな。 十;はみ出すほどの沢山の思い出があったのでしょう。 し:夏の思い出の楽しさが伝わるし、ハンバーガーも美味しそう! 葱:なぜかサザンオールスターズを思いました。))
●月光に洗はれてゐる水晶体=ラスカル
◎入、し△水、修=8点
(入鈴:白内障オペを来月に控え、この心境に憧て。 し:水晶体とはすごいところに目を付けましたね。 水:月光で水晶体の濁りが取れそう。)
●サイレンを雨のかき消す敗戦日=紅椿
○ラ、入△や、久、雪、葱=8点
(や:それから後の挫折重たき。 ラ:「雨」が、まるで「涙」のような感じがしました。
葱:なにか悪い予感。)
●雑踏の中にも祈り大文字=久郎兎
○砂△虹、十、智、紅、ぼ、葱=8点
(虹:動と静のコントラストが良い。 十;京都の夏の風情。 智:あの喧騒の中に一人一人の思いが‥。 紅;耳元に羽音が聞こえてきます。 ぼ:そう、観光化したが、本来は祈りのものだ。 葱:「花火」とは違って、静かな大衆。)
●豆腐屋ののれん藍色涼新た=雪絵
◎水△清、村、ラ、子、ぼ=8点
(水:新鮮に涼を感じる時、藍色も新鮮に鮮やかに見える。お豆腐の美味しい季節。 村:豆腐との色合いの鮮やかさと季節感。 清:初秋の風が豆腐屋の暖簾を揺らす。 ラ:ややパターンを感じますが、手練れの句。 ぼ:大事にしたい、こういうお店。)
●「風の電話」けふも人ゐる素秋かな=朱河
◎ま○し△資、喋=7点
(ま:岩手県に置かれた電話ボックスですね。もういない人と話をしに来る人は今日もゐる。秋ともなればなおさらですね。 資:「風の電話」に素秋が効いている。 し:「風の電話」この句で知りました。ありがとう。)
●秋灯や無口が売りの陶器店=茶輪子
◎や、村△子=7点
(や:値引きさすのが難しそうで。 村:いい物が揃った信頼できる店の様子が見え型もよい。)
●白壁にへのへのもへじ秋暑し=裕
◎久○五△清、入=7点
(清:白壁のもへじが汗を掻いている様な風景。 入鈴:中途半端な秋の暑さを十分に感じます。)
●猫じゃらし淋しき顔と遊びけり=やんま
○清、智、ぼ△雪=7点
(清:猫じゃらしの擬人化が面白い。 智:淋しき顔がいい。 ぼ:自嘲的なるも、俳味あり。)
●道端で語る生き死に花木槿=十志夫
○清、香、秋△村=7点
(清:余生をゆったり暮らす詠者、「さらさら」のオノマトペが良い。 香:日常のことなんですね。 村:深刻な事柄が日常的に。)
●ボサノヴァを部屋に満たして秋涼し=朱河
○十△村、ラ、茶、香=6点
(十;ボサノヴァの曲調は秋と合う。 村:軽快な生活感。 ラ:ボサノヴァに合う季節は、やはり秋ですね。 茶:満たすという能動性がおしゃれですね。 香:涼しさを感じられました。)
●骨ばった父の手握る星月夜=裕
○入、白△朱、メ=6点
(朱:もう少し季語を離した方がいいかな、とも思いましたが頂きました。 白:病床のお父上でしょうか。)
●扇置くただひたすらの沈黙に=遊歩
◎香○ま=5点
(香:将棋の試合?扇を置く僅かの音が。 ま:何があったのでしょう。息詰まるような時の流れのなかに身を置いている姿がうかびます。畳み掛けるような中七が佳いですね。)
●がつがつと生けるものより秋の蝶=虹魚
◎始○ぼ=5点
(ぼ:そうだよねえ。共感!)
●蚊をたたく私を笑ふ羽音あり=秋波
○裕△入、紅、し=5点
(裕:あるあるですよね。 入::俳味たっぷり。 紅;耳元に羽音が聞こえてきます。 し:これ分かります!上手く逃げられたときの音。)
●盆帰省線香笑ふやうに揺れ=朱河
○五、水△葱=5点
(水:煙の揺れを「笑うやうに」という感じ方がいい。 葱:風もないのに不意に、誰かが何か言いたげに。)
●幼子の瞳にお月帰り道=久郎兎
○裕、始=4点
(裕:抱かれていて眠らず目がぱっちりかな。可愛い!)
●クビになりトボトボ歩く蝉しぐれ=淳一
◎白△始=4点
(白: 非正規労働者の悲哀。)
●小骨抜く毛抜きの先や秋の声=まさこ
○遊、久=4点
(遊:繊細でリアル。)
●今生の悔いの数ほど赤とんぼ=やんま
○始△十、秋=4点
(十;初秋の気分が出ている。)
●釈迦牟尼は美男供物の桃二つ=砂太
△や、朱、白、葱=4点
(や:色即是空空即是色。 朱:美男と桃…それとなく不思議でもあり面白い。 白:美男に桃。 面白い句ですが、既視感あり。)
●父母の背な闇に溶けゆく魂送り=清一
○資△白、ス=4点
(資:闇に溶けゆくが何ともいえない。 白:中七が良いですね。)
●「ねじ式」を読めばいよいよ霧深し=ラスカル
◎ス△入=4点
(入鈴:秋の読書に手にとってみます。)
●八月は柩のかたち被爆地の=水音
◎遊△葱=4点
(遊:本当ですよね。みんなの記憶に長くながく。 葱:「〜のかたち」という修辞はよくありますが、「八月」が柩のかたちとは面白い感覚ですね、「八月」という漢字の縦横の簡単な造形も「棺桶」に見えなくもない。)
●逝く夏や父は免許を返納す=資料官
◎十△秋=4点
(十;現代的なテーマ。季語とも合っている。)
●ああ言へばこう云ふ夫婦秋の酒=ぼくる
△虹、砂、喋=3点
(虹:どこも同じですね。)
●新秋の雲の形の変りけり=裕
◎喋=3点
●露時雨洗面台の白さかな=入鈴
◎修=3点
(修:雨も上って生き返ったような感じです。)
●当節はノンアルコール芋煮会=十五
◎五=3点
●取り合ふも植物図鑑八月尽=入鈴
○や△ス=3点
(や:一夜漬けする夏の宿題。)
●蚯蚓鳴く女にもある美学なら=智雪
○ス△資=3点
●名月や人肌恋しひと恋し=白馬
◎子=3点
●目を合わせそらせ身に入む異国バー=しゃが
◎葱=3点
(葱:一瞬の間合いで逆に出会うこともある、それが人生の楽しさ。)
●行合の空を映して河流る=白馬
○紅△遊=3点
(遊:素敵な季語を教えてもらいました。 紅; 「行合」が好きです。季節感がよくでていると思います。)
●赤蜻蛉ひとの気持ちを損なはず=虹魚
△や、智=2点
(や:今日も独り蜻蛉と遊ぶ。 智:赤蜻蛉をさらりと詠んだ。)
●朝顔についほほえみて蚊に刺され=始祖鳥
△久、修=2点
●悲しくて残る蛍を見に行けり=白馬
○砂=2点
●左千夫忌やツルゲーネフの恨み節=始祖鳥
○や=2点
(や: 文士さながら今日も呟く。)
●小学校の英語ルームや小鳥くる=雪絵
△ま、水=2点
(ま: 新しく英語が取り入れられ小学生のにぎやかな様子が季語とよく合っています。 水:とても賑やか。)
●つくつくぼうし宿題を急かさるる=雪絵
△入、香=2点
(入鈴:みんな覚えがあるでしょう。 香:「つくつく〜」最初に持ってきて、そのうるささが強調されてる。)
●露けしや海を見渡す六地蔵=まさこ
△子、秋=2点
●塗椀に炊きたてご飯つくつくし=茶輪子
○修=2点
●凌霄花おばあちゃんから来たはがき=資料官
○茶=2点
(茶:「祖母」ではなく敢えての「おばあちゃん」が良いと思います。)
●墓洗ふクリスチャンの妻天に在れど=ぼくる
△久、白=2点
(白:同じお墓には---。)
●物欲は無しさらさらと秋の声=やんま
△清、葱=2点
(清:余生をゆったり暮らす詠者、「さらさら」のオノマトペが良い。 葱:「老い」はまさに「白秋」、なんでも抜け落ちてゆきます、情熱、気力、体力、欲望も。)
●骨太の骨格をして熱帯夜=遊歩
○メ=2点
●破られし図書館の本木の実雨=水音
△茶、ま=2点
(ま:開いて破れているのを見つけると、何とも言えない気持ちになります。その気持ちが木の芽雨。 茶:木の実が「本」破られたことへの悲しみが「雨」という設定にいただきました。)
●指先を舐めてヨットの風を聴く=砂太
△遊、ス=2点
(遊:憧れて届かなかった私のもう一つの人生。)
●彼の人と離れて長し秋の夜=子白
△紅=1点
(紅;秋の夜ならではですね。)
●月光のメッキは剥れやすきかな=水音
△葱=1点
(葱:あまりにも美しく表現されてきた「月光」に対する皮肉かもしれない。)
●終戦日入籍したよとライン来る=スライトリ・マッド
△葱=1点
(葱:時代の移ろいを感じます。)
●新涼やここに私といふ体=遊歩
△五=1点
●爽涼やランドルト環佳き眼科=智雪
△茶=1点
(茶:検査結果やいかに。ああ佳き何ですね。)
●tiktakと夫婦の時計素風過ぐ=葱男
△始=1点
●投票日風に巻いたるアゲハ蝶=始祖鳥
△裕=1点
(裕:アゲハ蝶が何を暗示するのか…)
●長き夜のアングラバーの詩人達=しゃが
△ラ=1点
(ラ:「屍派」の方達だったりして。)
●ハーレーの精霊馬乗るお爺ちやん=スライトリ・マッド
△資=1点
(資:ハーレーが奇抜,元気なおじいちゃんだ。)
●火を我に煙を父母に如意ケ岳=葱男
△五=1点
●夕暮れや鳴き急ぎたる秋の蝉=五六二三斎
△メ=1点
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