*A部門入選作発表*


当季雑詠=全88投句(入選59句)

【特選】

一席
●霜晴や重機都心の空を掘る=入鈴


◎紅、香、水、ス○朱△ま、雪、虹、喋、秋=19点
(紅:下五が秀逸です。オリンピックに向けての工事でしょうか。 朱:いかにも都会の高層ビルを建築中の景色が見えます。空を掘るが良い。 水:キーンと凍りついたような「空を掘る」のですね。 ま:空を掘る、という言い回しが新鮮でいただきました。 雪:都心は空までも掘られてしまう。面白い表現です。 秋:空に伸びるアームを空を掘ると見立てたところが妙。)


二席
●寒月へ若冲の象歩みゆく=ラスカル


◎葱、し○清、ま、香、水、ぼ、ス=18点
(葱:感覚の句ですね。 し:映像が素晴らしく感動しました! 清:若冲の象の鼻が寒月を見上げる。 ま:白い象ですね、いかにもふわ〜と歩み寄りそうな感じに共感します。 水:飾り気のない絵なので、「寒月へ」に納得。 ぼ:イマジネーション豊か。)


二席
●黄落やゆっくり溶ける角砂糖=裕


◎雪、砂○や、紅、資、久、五△清、ぼ=18点
(雪:形あるものがなくなっていく様、秋から冬へも然り。 や: 晩節はゆっくりと暮らしたい。 紅:類句があるかもしれませんが、季語との付き具合がちょうど良くて、好きなお句です。 清:紅茶を飲みながら黄落の景色を楽しむ。 ぼ:類句ありそうだが、取合せ絶妙。)  


【入選】

●晩節は死よりも難し冬銀河=ぼくる
◎や、資○ラ、五、紅△清、喋=14点
(資:そうですね。冬銀河が良い。 や: いやご同輩全くその通り。 ラ:説得力のある句。「冬銀河」が美しく決まっています。 紅:とても共感できます。 清:特に病身での晩節は厳しいものがある。)

●猪おどし山を越えゆく日暮かな=砂太
◎喋○朱、虹、裕△十、し=11点
(朱::庭の一角の猪おどしから山を包む夕焼けに移行するスケールの広がりを感じる一句。 裕:庭にあるししおどしが壮大な景になっている。 十:時間経過の表現が巧みです。一般的な表記は「鹿威し」では? し:とても美しい句ですね!)

●過去が色得たる心地や落葉道=砂太
◎秋、修○メ△葱、久=10点
(秋:どんな過去?わかりにくいけど気になる句でした。 修:ありありと浮かんで来ることがある。葱:思い出がよみがえってきます。)

●冬眠の森に蠢く巨木の根=しゃが
○葱、ラ、喋△智、ぼ、秋、修=10点
(葱:土の下では大木の命が脈打っている。 ラ:「蠢く」に、迫力が感じられます。 智:西洋の童話の絵本の挿絵のよう。蠢く巨木の根が不気味。 ぼ:幻想的ムードあり。 修:巨木のもつ神秘!)

●凩の夜の黙読のサリンジャー=朱河
◎清○智、し△十、遊=9点
(清:晩年は一切作品を発表しなかったサリンジャーの沈黙。 智:成る程老境のサリンジャーは、凩の夜の黙読が相応しい気がする。 し:サリンジャーまた読んでみたくなります。 十:団塊の世代のバイブルですね。「凩の夜の黙読の」が説明調なので、「凩の夜や」で切ったらどうでしょうか。 遊:ライ麦畑で捕まえてやグラースサンガがリアルによみがえった。)

●人形を抱かずにをれぬほどの雪=葱男
◎十、五、遊=9点
(十:最後の「雪」に収斂させたことで句が締まって景が鮮明に。 遊:こんな風なメルヘンチックでリアルな俳句を詠みたい。)

●冬日向鴎外全集ルビ多し=やんま
◎ま、久△十、朱、雪=9点
(ま:古い全集なのでしょう、その感じが良く現れていて、また、季語と合っていて日向での古い本の匂いもしてくるようです。 十:一つの発見を上手に一句に仕上げている。 朱:鴎外全集のルビは本当に多そうな気がします。冬の昼間に久しぶりに開いてみたのかな、と言う景色が浮かびます。)

●ひらがなの力士ののぼり冬日向=雪絵
◎茶○久△朱、ラ、ス=8点
(茶:図体の割に優しい力士を思い浮かべました。 朱:実際に居るのかわかりませんがイメージが柔らかくて良いなと思いました。 ラ:「ひらがな」と「冬日向」が呼応しています。)

●冬入日影絵のやうな街をバス=まさこ
○智、水△ラ、砂、メ、資=8点
(智:版画の様な冬の夕暮れの街、電線の交差する下り坂が見える。 水:墨絵のような風景が浮かぶ。ラ:「影絵のやうな街」というフレーズが魅力的です。 資:藤城清治の影絵の世界を思った。)

●安つぽいホテルの聖書雪もよひ=朱河
○十、清、茶△水、修=8点
(十:視点がユニーク。 清:日本の安ホテルにも置かれている聖書、外は雪もよおし。 茶:かえって、ありがたみが薄れる感じが季語にしっくりきました。 修:熱燗がほしいです。)

●オリオンの揺るがぬベルト冬暁=葱男
◎智○遊△子、ぼ=7点
(智:オリオンは起点、明け方の空にも輝いて。 遊:力強い星の光。 ぼ:オリオンの存在感をきっちり。)

●冬帽子鏡の顔の父に似る=やんま
○雪、し△メ、資、裕=7点
(雪:ふとした時にそう思うことがよくあります。それだけ歳を重ねてきたのかも。 し:だんだん親に似てくるものなのかな。 資:遺品の整理をしてふとかぶってみた時に見たもの。 裕:なんかいいです。)

●饅頭に寺の刻印小鳥来る=裕
○砂△十、や、雪、紅、ス=7点
(十:伝統的な俳句らしい一句。いい意味で手練れの作品。 や:何か嬉しい。 紅:別注のお饅頭でしょうか。お寺ご用達なんでしょうね、食べてみたいです。)

●梵鐘を一つ撞きけり冬日和=秋波
○子、茶、裕=6点
(茶:きりっと緊張感のある冬にぴりっとなりました。 裕:都会になくなった景。)

●神の留守消えることなき書淫の灯=朱河
◎裕○ま=5点
(裕:書淫という言葉を知らなかった。 ま:読書に耽って入る様子がよく現れています。冷たい空気の中灯り続ける灯が印象的。)

●感謝状旧るや冬日の奥座敷=紅椿
○や、修△茶=5点
(や:老いれば青春眩しいばかり。 修:その横には遺影も。 茶: 昔、仏壇や床の間があるような座敷に必ず飾られていたように思います。)

●凩にゆれて最後の一葉かな=遊歩
◎メ○虹=5点

●卓袱台は誰もが主役一茶の忌=十志夫
◎ぼ△や、遊=5点
(ぼ:よき時代でした。一茶とも合う。 や:庶民派一茶ここにあり。 遊:本当にちょっと前まで当たり前の風景でした。)

●チンドン屋公転自転冬うらら=やんま
◎虹△茶、ス=5点
(虹:情景描写が上手い! 茶:ワンチームで芸を披露するチンドン屋の特徴でしょうか。)

●焼芋や二つに折りし妻の声=砂太
○喋、修△虹=5点
(修:喜びの瞬間。)

●落葉焚避難所となる公民館=秋波
○香△水、久=4点

●バスキアの髑髏歯ぎしり冬の雷=しゃが
◎朱△智=4点
(朱:確かにバスキアの髑髏は歯ぎしりしてると思います。季語も面白い。笑 智:夭逝のバスキアの無念の歯ぎしりか‥季語も良い。)

●冬暖か中指の爪よく伸びて=まさこ
○十、雪=4点
(十:理屈では説明のつかない不条理な面白さ。 雪:根拠はないのですが、何故かそんな気がすることも。)

●瑠璃光院裸足で愛でる散紅葉=智雪
◎子△メ=4点

●カレーライス三日続きや老の冬=ぼくる
△ま、子、久=3点
(ま:三日ですね〜と、微笑ましいような。冷凍してはいかがでしょう。)

●小春日やゴジラのほゆる歌舞伎町=資料官
△ま、葱、秋=3点
(ま:昼間の歌舞伎町のホンワカした町の光景がありありと浮かんできます。 葱:ほのぼのするのはなんでやろ?)

●底冷やAIが句をあまた詠み=ラスカル
○ス△香=3点

●鷹ヶ峯飛びたき空に鳥渡る=香久夜
○葱△子=3点
(葱:名詞が効いていますね。)

●低音のGで鳴く鬼十一月=スライトリ・マッド
◎ラ=3点
(ラ:絶対音感をお持ちなのですね。羨ましい!)

●日めくりの暦の薄さ散紅葉=スライトリ・マッド
○メ△虹=3点

●文庫本の栞のごとく木の葉髪=ラスカル
△清、遊、修=3点
(清:木の葉髪に対する例えがユニーク。 遊:共感仕切り。 修:図書館で借りた本にありそう。)

●街に出て詮なき冬の老夫婦=砂太
○秋△葱=3点
(秋:街は若者達で賑わっており…。ちょっと気が引けてしまった老夫婦の風情がよく見える。 葱:「詮なき」に悲哀がある。)

●的射貫く黒き袴や冬紅葉=雪絵
○遊△香=3点
(遊:ぜひとも女性の射者であってほしい。)

●大綿のふはふは飛べる虚空かな=清一
△砂、五=2点

●北窓を塞ぎし部屋の遺影かな=清一
△喋、水=2点

●ぎゆつと握り返さる手袋の手を=まさこ
○秋=2点
(秋:シチュエーションが色々考えられるけど、表現としてドラマチックと思いました。)

●じじ友の集ふ野天湯冬紅葉=ぼくる
△茶、ラ=2点
(茶:「じじ友」がいいですね。庶民の風雅。 ラ:「じじ友」が面白いです。お孫さんの話で花が咲くことでしょう♪)

●スリッパの奥にごきぶり冬の朝=修一
○ぼ=2点
(ぼ:慌てぶり眼に浮かぶ、いとおかし。)

●大根の育ち過ぎたる夫の畑=水音
△五、紅=2点
(紅:楽しいお句ですね。畑の様子が目に浮かびます。)

●父に出すハンドドリップ小六月=茶輪子
○資=2点 (資:コーヒー好きの父の遺影に毎日。小六月が効いている。)

●農園の井戸掘る櫓小六月=スライトリ・マッド
△十、五=2点
(十:都会ならば、さしづめ「起重機」のような景でしょうね。)

●洟ひつて守備位置に散る背番号=十志夫
○砂=2点

●三笠山冴える金剛力士像=智雪
○子=2点

●ゆうくりと湖畔へ続く落葉踏む=メゴチ
△や、紅=2点
(や:その先の反射光が眩しい。 紅:「色」と「音」が感じられて、素敵だと思いました。)

●熱燗や俳句談義の熱くなる=裕
△資=1点
(資:飲み過ぎるなよ!)

●神がかる絶景耶馬の冬紅葉=五六二三斎
△裕=1点
(裕:耶馬の絶景を見てみたい。) ●カルバドス香る紅茶や冬薔薇=しゃが
△智=1点
(智:フルーティなブランデー紅茶と冬薔薇の取り合わせがピッタリ。)

●くるくると滞空記録銀杏散る=メゴチ
△清=1点
(清:名残を惜しむかの様に銀杏が散る。)

●寝不足を言ひ訳にしてああ炬燵=虹魚
△砂=1点

●晴れやかに即位パレード神の留守=資料官
△裕=1点
(裕:神が集まっていたのでは?)

●冬ざれやまな板の傷指の傷=茶輪子
△香=1点

●冬三日月これはこれはと立尽し=入鈴
△朱=1点
(朱:冬の空は冷たく冴えて鋭く細い三日月はくっきりと見えますね。私も時々立ち止まって見上げます。)

●ふるさとにわが幻影が歩きたり=始祖鳥
△葱=1点
(葱:下五の文法はただしいのでしょうか? 「ふるさとにわが幻影の歩きをり」。言いたいことはよく分かります。)

●「ペイペイ使えます」石蕗の理髪店=紅椿
△葱=1点
(葱:現代性があり、諧謔が効いていますね。)

●紅葉狩り入れ歯忘れてピザかじる=子白
△し=1点
(し:あまりに良く出来た景だから実際にあったに違いない。笑)

●紅葉降る空にほぐれてゆく心=修一
△し=1点
(し:のんびり紅葉を眺めて心がほぐれて、いいですね〜。)


A部門入選作〈back number〉

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