*A部門入選作発表*


当季雑詠=全86投句(入選66句)

【特選】

一席
●菫挿す牛乳瓶のやうな恋=入鈴


◎十、裕、葱○遊、虹、清、雪、ま、五△茶、ぼ=23点
(裕:昭和レトロのような恋ですね。 十:上5、中7はありそうですが、「恋」とした着地の意外性が見事。 葱:表現が愛おしい! 遊:抱きしめたくなるような乙女心か。 虹:訳の分からない面白さがいい。 清:一つの恋を象徴する佳句。 茶:淡く切実な「恋」。昭和エレジーですね。 ま:牛乳瓶がリアルです。そんなときもありましたっけ。 茶:淡く切実な「恋」。昭和エレジーですね。 ぼ:ユニークな恋句。作者の解説聞きたい。)


二席
●牡蠣天やふくらはぎとも乳房とも=茶輪子


◎朱○十、喋、秋、裕、五=13点
(朱:食べ物の句は美味しそうに詠むのが基本と聞いてますがこれはエロティックで且つ旨そうで頂きます。 十:牡蠣の口あたりの喩えが愉快。 秋:牡蠣のぷりっと柔らかい感触!思わずかぶりつきたくなりますね。 裕:面白い!)


三席
●寒鯉へ鐘の波動の微かなり=しゃが


○遊、ラ、紅、ぼ△ま、入、秋、葱=12点
(遊:本格的で、流麗かつ繊細、清水さんかな? ラ:微かな波動を感じ取る繊細な感性。 紅:絵も浮かびますし、落ち着いた佳句だと思います。 ぼ:幽玄句とでも言うべきか、まさに静謐。 ま:鯉まで伝わる波動に、静けさ、繊細な感性を感じます。 入:寒さの波動も伝わってきます。 秋:風もない静かな冬日の日差しまで見えて来そうです。 葱:鯉の、わずかに翻る様子が感じられます。)  


三席
●しくじりの微かに匂ふ冬コート=虹魚


◎始○久、十、茶、秋△メ=12点
(十:さしずめ拉麺の汁か、焼き鳥のタレあたりでしょうね(笑) 茶:香水ですね。「しくじり」という措辞が憎めない人柄を表しているようです。 秋:何があったのか気になる。)  


【入選】

●丸顔の油彩の仏冬ぬくし=雪絵
◎秋○香△資、茶、清、砂、五=10点
(秋:油彩のやや硬質な表面。だが絵の中の仏は優しい。季語とよく合っていると思います。 茶:実際よりも柔和に描かれているのでしょう。描き手と作者の共鳴の句ですね。 清:大概の仏は丸顔だがそれが油絵であるところが良い。)

●空色の空になったよ春隣=智雪
◎雪、ス○葱△朱=9点
(雪:確かにそんな気がしますね! 葱:言葉の使い方、なるほどなあ〜、朱:平易な言葉だけれど春らしい暖かい一言。)

●箸置きのうさぎ跳ねだす春隣=まさこ
○ラ、雪、ス、水△十=9点
(ラ:「跳ねだす」と言い切ったところがいい! 水:可愛らしい。春への期待が高まる。 十:メルヘンですね。)

●冬苺吸ひて夢より母戻る=香久夜
◎茶、智、ぼ=9点
(茶:「齧る」や「頬張る」ではなく「吸ふ」としたところに妙があると思います。介護の場面でしょうか。 智:認知症か、病の床か、好物の苺に一瞬正気に戻る母。 ぼ:哀切きわまりない。愛あり。)

●熱燗やだから毎日面白い=やんま
◎ま○喋△遊、砂、水=8点
(ま:毎日をそう感じながら、ほろ酔いに、あ〜良いですね!「だから」が効いています。遊:共感仕切り、選ばずにいられない! 水:充実した生活ですね。)

●風花や賀茂の大橋ゆく舞妓=ぼくる
◎資△ラ、十、修、裕、香=8点
(資:冬の京都の風情。風花と舞子の対比が秀逸。 ラ:綺麗〜♪ ちょっと綺麗過ぎるかも? 十:新春の京都の景の切り取りが見事。 裕:今年はこんな風景も少ないかも。 修:風花がぴったり、絵になります。)

●予後うらら左車線へ移りけり=十志夫 
◎久、砂○智=8点
(智:中七下五気持ちが良く表れている。)

●朝まだき寒の厨の水の音=まさこ
◎メ○資△喋、紅=7点
(資:寒の厨が良く、音感でピシッと締まった。 紅:ぴ〜んとした空気感。)

●淡海の蒔絵となりし百合鴎=清一
○ま△喋、水、し、裕、葱=7点
(ま:蒔絵と表現され、とても美しい景です。 水:水墨画のような世界。 し:なんと美しい景でしょう。 裕:絵になる光景ですね。 葱:「淡海」が素敵ですね、琵琶湖でしょうか?)

●寒月やボレロのリズム媚薬めく=しゃが
◎ラ、清△メ=7点
(ラ:作者独特の感覚に惹かれます。 清:スペインの舞曲ボレロに酔い痴れる幻想的な佳句。)

●独り居の大声援のこたつかな=紅椿
◎修○入△雪、砂=7点
(修:ちなみに私は豪栄道がんばれ〜 入:寒暖、悲喜こもごもの広がりのあるお句。)

●百色の絹糸の艶春隣=水音 
◎遊○修△裕、五=7点
(遊:特選にして頂きたいと句が言っているように思ったw 裕:鮮やかな色合いになっているようです。 修:なんと優美なことよ。)

●言訳は一切聞かぬと雪女=ラスカル
○し△清、水、入、ぼ=6点
(し:雪女らしい言葉です。会ったことはないですが。。。 清:中八が気にならないほどのブラックユーモア。 水:雪女には出会いたくない。 入:お元気な雪女でいらっしゃる。 ぼ:怖そうで、何だか可愛い。)

●裏切つて冬三日月に刺されたり=虹魚
○清、し△喋、智=6点
(清:何か危なげな様子を冬三日月に託している。 し:痛そうです。裏切りはダメですね。 智:ナイフのように光る三日月。)

●きざはしやきさらぎの陽の匂ひ立ち=入鈴
◎香○智△ま=6点
(智:似た音のリフレインと平仮名の柔らかさ。 ま:早春の日の光の変化を敏感に感じとられた感性が気持ちよい。)

●風呂敷をマフラーにする帰り道=ラスカル
◎紅○ス△入=6点
(紅:十七文字だけで色々なドラマを想像できる秀句だと思います。(往路、風呂敷の中身、訪問先、帰りの天気など・・ 入:神田川沿いって冬は風の通り道になって寒い。初句と結句に風呂って温まります。)

●いま90%ほど凍つる蝶=ラスカル
○水、葱△し=5点
(水:理系の方ですね。 葱:あはは、面白い! し:わ〜ほどんど凍っていますね。)

●FBを撤退したる雪女=葱男
◎喋○始=5点

●如雨露より立ち昇りたる花舗の春=十志夫
○砂、朱△紅=5点
(朱:花屋の花ではなくジョウロからの水に春を感じる焦点を当てた所が面白いと思いました。 紅:目の付け所がいいと思います。)

●ただの人長寿誉められ日向ぼこ=やんま
○始△ス、朱、修=5点
(朱:無欲なただの人だから日向ぼこの季語が生きたと思います。 修:なんかとぼけた感じで楽しい!)

●夜の色柔らかくなる春隣=智雪
◎し○メ=5点
(し:夜の色が柔らかくなるという感性が素晴しいと思います。)

●露天風呂に編み笠のあり小米雪=水音
◎入△遊、ラ=5点
(入:現代の芭蕉さん、蕪村?雰囲気に打たれました。 遊:丁寧な写生と実感がこもった句。 ラ:「編み笠」がリアル。)

●教へ子は今母役演ず冬緋色=スライトリ・マッド
◎水△久=4点
(水:色の乏しい冬にやんわりと目立ってる景ですね。)

●鴨川の堰轟きて春近し=智雪
○裕△香、葱=4点
(裕:どんな感じか見てみたいです。 京都人としては実感です。)

●寺町にたこ焼き喰らふ冬日かな=清一
○修△ラ、入=4点
(修:元気だなあ! ラ:ご相伴にあずかりたい♪ 入:これ女性の作者やったら面白かろうが、熱々を頬張り冬日にぴったり。これ女性の作者やったら面白かろうが、熱々を頬張り冬日にぴったり。)

●見上ぐれば跳ぬる音符よ初声よ=スライトリ・マッド
○虹△メ、入=4点
(虹:何だか楽しそう。 入:絶対音感かしら?初声ならではの経験。)

●ロブ上げしテニスコートの日脚伸ぶ=メゴチ
○久、砂=4点

●アルバムを褥に吾の初枕=葱男
◎虹=3点
(虹:何を思いついたのかな。)

●寒星やどれにしやうか死後の旅=ぼくる
◎五=3点

●酒呑まな冬夕焼けの一刻を=砂太
○修△入=3点
(修:何だかんだと理由をつけて酒飲みは。 入:冬夕焼や雪夕焼ってぐびぐびいけますよね。共感!)

●好きやのに離れてしもて鎌鼬=スライトリ・マッド
○茶△清=3点
(茶:人工や人知の及ばぬ「こころ」模様。取り合せが面白いです。 清:鎌鼬は信越地方に多い現象それを関西弁で語っているユーモア。)

●二十三時五十五分の雪女郎=朱河
○紅△遊=3点
(紅:具体的な時間をもってきたところが想像をかきたてて、面白いです。 遊:幻想とリアルの絶妙)

●葱齧るしかと受け取るメッセージ=葱男
△入、秋、ぼ=3点
(入:悔恨、悲しみ、憤怒、愛しさとか受け取るのかなあ。 ぼ:葱男さんと山本太郎の関係かな。 秋:これは葱男さんのことでしょう。)

●春を待つ思ひチンダラカヌシャマヨ=五六二三斎
△資、十、ス=3点
(資:上手く、安里屋ユンタの歌詞を挿入できた。 十:久しぶりに懐かしいフレーズに接し、改めてネットで検索してしまいました(笑))

●火葬場の誰が植えたか寒椿=喋九厘
△久、始=2点

●粥占に一喜一憂箸一膳=久郎兎
○資=2点
(資:初めて粥占という言葉を知りました。中七下五の一の文字が良い形になっている)

●砕かるる勢ひ白き初氷=入鈴
△虹、し=2点
(し:迫力が伝わります。)

●三番叟屠蘇は静かに注ぐべし=秋波
○朱=2点

●ぜんざいに餅二つずつ友集ふ=香久夜
△智、入=2点
(智:お喋りしながら餅二つ。 入:睦まじさが二つずつという具体数に表れてぴったり。)

●バイオプシー何ごとも無し山笑ふ=修一
△資、ス=2点
(資:それは良かった。その気持ちを山笑うがうまく表している)

●爆音の中沖縄の受験生=五六二三斎
△紅、秋=2点
(紅:大変さが伝わってきます。 秋:沖縄の現実。頑張れ!)

●初場所や制限時間を測る人=秋波
○香=2点

●初富士や空射るジェット迷ひなし=しゃが
△虹、香=2点

●葉牡丹や久に客なき島の宿=ぼくる
△ま、入=2点
(ま:景が見えます、お正月前に植えた葉牡丹が良いですね。 入:葉ボタンのおおらかさにぴったり。)

●丸呑みの大寒卵福よ来ひ=メゴチ
○入=2点
(入:丸呑み、大寒卵、福と言葉のハレルヤが、生命への祝福に満ち満ちて。)

●見上ぐれば色を秘めたる冬木の芽=香久夜
△メ、秋=2点
(秋:春を待って少し膨らみかけた芽。中七の表現がいい。)



●柚子味噌をたっぷり塗って煮大根=裕
○ぼ=2点
(ぼ:おお、うまさう!)

●小豆なき粥なりされどおらが春=砂太
△久=1点

●嵐山マスクを外す中国語=清一
△智=1点
(智:コロナウィルスでめっきり中国語を聞かなくなくなった。マスクをする中国人も珍しい。)

●鏡開き待てぬ青や黄黴の華=久郎兎
△茶=1点
(茶:暖房や温暖化のせいでしょうか。ラップにくるんでもダメなときがありますね。当日ではない折を詠んだのはなかなかないと思いました。)

●寒月や大気を吸ひて青き顏=メゴチ
△清=1点
(清:寒い夜の雰囲気が青い顔に出ている。)

●毛皮着て言ひ難きこと言ひたまふ=朱河
△雪=1点

●工事場の金切り音や寒波来る=雪絵
△十=1点
(十:旋盤で切る音でしょうか。金切り音=寒波は、ややパターン化した取合せですが合っている。)

●去年今年連節バスのくねり来る=雪絵
△朱=1点

●小春日にデジャブばかりが連続す=子白
△入=1点
(入:納得、本当に面白い現象です。)

●七三の乱れ気になる冬帽子=裕
△五=1点

●銭湯の長き煙突冬の暮=資料官
△虹=1点

●河豚食べてテンションいや増す女子の卓=秋波
△始=1点

●富士塚を登れば春の近づき来=十志夫
△葱=1点

●冬の坂上り尽くして虚空かな=始祖鳥
△入=1点
(入:シュールな景が顕って。ルネ・Magritteとか好きです。)

●砲弾の如く飛びくる年の豆=修一
△雪=1点

●煩悩の数は百八ちやんちやんこ=朱河 △始=1点


A部門入選作〈back number〉

創刊号 2号 3号 4号 5号 6号 7号 8号 9号 10号 11号 12号 13号 14号 15号 16号 17号 18号 19号 20号 21号 22号 23号 24号 25号 26号 27号 28号 29号 30号 31号 32号 33号 34号 35号 36号 37号 38号 39号 40号 41号 42号 43号 44号 45号 46号 47号 48号 49号 50号 51号 52号 53号 54号 55号 56号 57号 58号 59号 60号 61号 62号 63号 64号 65号 66号 67号 68号 69号 70号 71号 72号 73号 74号 75号 76号 77号 78号 79号 80号 81号 82号 83号 84号 85号 86号 87号 88号 89号 90号 91号 92号 93号 94号 95号 96号 97号 98号 99号 100号 101号 102号 103号 104号 105号 106号 107号 108号 109号 110号 111号 112号 113号 114号 115号 116号 117号 118号 119号 120号 121号 122号 123号 124号 125号 126号 127号 128号 129号 130号 131号 132号 133号 134号 135号 136号 137号 138号 139号 140号 141号 142号 143号 144号 145号 146号 147号 148号 149号 150号 151号 152号 153号 154号 155号 156号 157号 158号 159号 160号 161号 162号 163号 164号 165号 166号 167号 168号 169号 170号 171号 172号 173号 174号 175号 176号 177号 178号 179号 180号 181号 182号 183号