*A部門入選作発表*
当季雑詠=全86投句(入選63句)
【特選】
一席
●好きといふ手話を教はり酔芙蓉=ラスカル
◎資○五、香、雪、朱、清△や、十、入、修、智、メ=19点
(資:S音の響きが良い。夕方にぽっと赤くなる姿が重なる。 香:酔芙蓉が優しさを醸し出しています。 や:ハートマークを胸に重ねる。 清:右手の親指と人差し指を開いてあごの下に置き指を閉じながら下ろすと「好き」になる。 朱:甘くなり過ぎずに優しい一句だなと言う印象。 十:likeとloveの手話表現は違うのでしょうね(笑) 修:これなら手話も楽しい。 智:酔芙蓉が上五中八の読み手の心を受け止めている。)
二席
●尻大き梨大山の水吸って=秋波
◎茶、五○入、智、雪、葱△子=15点
(茶:「尻」としたところが、豊穣につながる功だと。「大」「大」と重ねた点も素朴でよいと思いました。 葱:とってもおいしそう!! 智:尻大き梨が絶妙。)
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三席
●OKGoogle雲を払って!月今宵=水音
◎紅、智、ま△茶、ス、香、し=13点
(紅:斬新! 臨場感があります。今年の十五夜は最高でした。 ま:まさに今の景ですね、気持ちよいです。本当に払ってくれる日が来ますように。 智:実感。 茶:現代的な風俗と季節感のマッチング。いくらAIでもこればかりは、という揶揄も。 香:やってみたいね。斬新です! し:面白い。こういう句もできるんですね。)
三席
●天高しゆつくり剥がす窓の×=紅椿
◎ラ、久○十、秋△遊、水、葱=13点
(ラ:×を剥がしたら、○になりそう(笑) 十:台風の直撃がなくてよかった? 水:被害が無くて良かった。 秋:台風対策で窓に貼ったガムテープでしょうか。跡が残らないように注意しながら剥がしている。台風一過の安堵と共に面倒くささのいら立ちもちょっぴり。生活場面をうまく切り取っていると思います。 葱:ほっと安堵の気持ちがうまく表現されていると思います。)
【入選】
●肩の子のさらに手伸ばし秋の空=秋波
◎ぼ○修、メ△や、入、朱、水、葱=12点
(ぼ:さわやかな空気、景が伝わり、何とも気持のよい句。 修:高い秋の空が見えるよう。 や:きっと空に触れたと思う。 水:大きな大きな空が見えて気持ちが良いです。 朱:さらに伸ばす手、とどちらが良いのかなと考えました。 葱:カワイイ!)
●モビールのやうな家系図ちちろ鳴く=ラスカル
◎雪、朱○資、ま△十、紅=12点
(雪:なるほど!面白い着目です。 朱:面白い可愛い発想。ちちろ鳴くの季語が秀逸。 資:モビールと少子化でシンプルになった家系図の組み合わせが良い。 ま:まさにモビールですね。どこまで長く続くのでしょうか。 十:モビールの比喩が巧みです。 紅:比喩が面白いです。)
●新酒注ぐ柔道耳の漢かな=裕
○十、ラ、秀、遊、葱=10点
(十:「柔道耳」という措辞が新鮮でした。 秀:「柔道耳」が意見の分かれるところだと思いますが、私はこの造語っぽい言葉の勢いを買いたいと思いました。 ラ:「柔道耳」を詠んだ句は初見です! 葱:面白い情景!)
●絵硝子の聖母ふくよか銀杏散る=ラスカル
○紅、朱、清△秀、修、し=9点
(紅: 手練れの方の句でしょうね。景がありありと見えます。 朱:秋の教会のステンドグラスですね、いい取合せだと思いました。 清:ステンドグラスの聖母はふくよかに描かれているが銀杏散るこの世はパンデミック。 秀:絵硝子だからこそのふくよかな聖母なのだと思いました。 修:銀杏黄葉の色が温かく豊か。 し:絵硝子の聖母が優しそうでいいですね。)
●この際の坊主頭や昼の虫=裕
◎十○紅△ぼ、し、雪=8点
(十:「この際の」が何を差すのか、いろいろ想像できる面白さ。 紅:上五がいいですね。 ぼ:ははは、葱男さんだ!昼の虫にいい味あり。 し:コロナ禍で丸刈りにする男性をちょくちょく見る気がして気になっていたのですが。。。)
●カッターの滑りなめらか豊の秋=紅椿
◎水、清○茶=8点
(水:季感が豊かだと思います。 清:豊作の喜びもありカッターでの手作業もスムーズに行く表現が上手。 茶:静的なものの中に動的な景が。息が合わないと「なめらか」とはいきません。)
●蘆の穂をゆらすポンポン船の水脈=十志夫
○ま△ラ、資、ス、五、修=7点
(ま:ゆったりとした秋の景が浮かんできます。ポンポン船が良い味を出していますね。 ラ:ポンポン船、とても懐かしいです。 資:昭和な情景が浮かぶ。 修:ポンポンという音と波が連動。)
●牛連れて少年帰り来る山霧=秀子
◎子、喋△ラ=7点
(ラ:「アルプスの少女」に登場するペーターのような感じ。)
●「ざんねんな生き物」事典泡立草=雪絵
○や△茶、智、香、遊、ま=7点
(や:ワタクシも載っています。 茶:日の目を見ない者への眼差しを感じます。 智:泡立草の生命力が疎ましい。 香:なるほど、花粉が飛んで来そうです。 ま:生き物はどれもみな完ぺきではないことを改めて思いました。)
●ほつぺたにあんこの乾く星月夜=まさこ
○茶、香、裕△資=7点
(茶:乾くほど一心に集中して仰ぎ見るきらめき。良夜ですね。 香:可愛い! 資:月見する子供の姿、微笑ましい。 裕:ほっぺたにあんこを付けたまま寝てしまった幼子ですね。)
●稲の花お宮参りの大家族=資料官
○喋△十、雪、秋、裕=6点
(十:景が見えます。家族にとって一大イベント。 秋:微笑ましい景です。季語もよく合ってると思います。)
●健やかに少女はのつぽ竹を伐る=秀子
◎葱○修△久=6点
(葱:気持ち良い句、のっぽの少女はやがて美しい女優さんのように肌が白くて、肌理が細やかな大人の女性に変身します。 修:陸上選手の田中希美さんを想像。)
●腹八分を知らぬ雀や稲刈る日=秋波
◎入、裕=6点
(裕:稲刈り後のもみをつついている雀が浮かびます。)
●待宵や卵はほのと光りだす=水音
◎遊○ぼ△秀=6点
(ぼ:有精卵ですね、生命の誕生を感じる。 秀:ちょっと惹かれる景です。卵は生?ゆで卵?)
●一兵卒になりきる決意小望月=裕
◎香△ぼ、葱=5点
(香:退職された時の心境でしょうか。 ぼ:人生の転換期にある人なのだろう。潔さと月の清らかさが響き合っている。 葱:こういう役割の人って大事!)
●尾つぽから崩れゆきたる鱗雲=十志夫
○秀△久、五、葱=5点
(秀:鱗雲が集まったのが魚のようにみえたのでしょうか。 葱:分かる。)
●京の町萩の花咲く分離帯=子白
○久△ラ、裕、清=5点
(ラ:下五の展開に意外性があります。 清:このような分離帯があるのは京都でも北の方だけ、そこに萩が咲いていた実景。)
●追憶の欠片を纏ふ秋の蝶=清一
◎メ○裕=5点
(裕:まもなく寿命がつきるだろう蝶に何か思いを重ねているのですね。)
●取り忘れのテレフォンカード雁渡し=葱男
◎秀○ラ=5点
(秀:忘れられたものはそれだけでも淋しいのに、今どきあまり使われないテレフォンカード。淋しさも倍増。 ラ:昔はよく見かけましたが、今は珍しい。)
●黄泉からの誘い断り秋のどか=喋九厘
◎ス○大=5点
●秋水やナルキッソスの如く鳥=しゃが
◎秋△ス=4点
(秋:水辺の枝にとまる小鳥でしょうか。中七でいただきました。)
●秋の土ドッジボールの子ら眩し=入鈴
◎修△や=4点
(修:涼しくなって運動も気持ちいい。土も生き返ったよう。 や:あの頃に帰りたい、帰れない。)
●鶏頭を束ね手品師鳩を出す=久郎兎
◎や△朱=4点
(や:そうです、ドラエモンがやってますから。 朱:真っ赤な鶏頭から白い鳩が出てくる手品…見てみたいです。)
●さみしさの胸に落ちゆく秋の水=まさこ
◎し△清=4点
(し:秋はちょっと寂しい気持ちになりますね。秋の水がとても合っていると思います。 清:秋は何となくもの悲しい今年はコロナ禍で余計に感じる。)
●長き夜を回し読みせし恩田陸=智雪
△茶、裕=4点
(茶:読み応えのある長編。恩田陸さんは同年代なので親近感も。)
●ぷりぷりと鯉の洗ひや秋の水=ぼくる
○ス、遊=4点
●干し竿に雫の列や秋の光=まさこ
◎大△香=4点
(香:光が見えるようです。)
●窓に聴く雨音甘し秋燈=やんま
○喋△秀、清=4点
(秀:季語がぴったりなのか、私は秋ではないような気もしているんですが。 清:思索へと誘い静けさを感じさせる秋ともし、雨音も甘く感じる。)
●秋の風プロコフィエフの寺ピアノ=スライトリ・マッド
○し△五=3点
(し:寺ピアノって何だろうと思ったらお寺でピアノを弾くイベントがあるんですね。不思議な雰囲気ですね。一度聴いてみたいです。)
●贈られし遺作エッセイ水澄めり=雪絵
△十、資、喋=3点
(十:遺族の心情がよく出ている。季語が効いている。 資:下五の季語に納得感あり。)
●鍬いじり雨もまたよし竹の春=大
○久△入=3点
●グレコ死す流星の炎(ヒ)を見届けり=朱河
○ぼ△秋=3点
(ぼ:正に巨星落つという感ありです。 秋:長年にわたり正に大スターでした。)
●コオロギやしばらくあの貌見ていない=修一
○水△ま=3点
(水:個性的な方なのですね。 ま:ほっとするようなユーモアのあるお句でひきこまれました。)
●自粛下の家族のかたち秋しぐれ=十志夫
○秋△清=3点
(秋:ステイホームも家族ごと、家族の中でもメンバーごとにあり方が異なる。そこに何と無し孤独や寂しさを感じるのか、それはそれと受け入れるのか、そこも人それぞれ。季語が違えばまた違った味わいになったのかなと考えさせられた句でした。 清:家に閉じ込められて寂しさが漂う。)
●ジュリエット・グレコがゆくよ天の川=ぼくる
○し△雪=3点
(し:ジュリエット・グレコをよく知らなくて調べたらジャンコクトーのオルフェにもでていたのですね!!)
●すがれおひトンバイ塀を超え消ゆる=大
△し、裕、喋=3点
(し:トンバイ塀とても風情のある塀ですね。すがれおひという季語知りませんでした。)
●すがれ虫米とぐ水のひんやりと=紅椿
○五△十=3点
(十:いよいよ秋深し、の感じが出ている。)
●漂泊の詩人幾人(いくたり)秋の雲=やんま
○ス△子=3点
●ゆふぐれのふとした不安秋の虹=朱河
○メ△十=3点
(十:あるある・・・そう誰しもが感じること。)
●青空やまあるく反れる曼珠沙華=修一
○智=2点
(智:暗いイメージの曼珠沙華を明るく詠んだ。)
●赤い秋稜線越えて燃える道=喋九厘
○大=2点
●岩村藩土佐屋の蔵の藍の花=遊歩
△紅、智=2点
(紅:岩村藩、土佐屋を検索して、すっかりはまりました。 智:質実剛健な武家の蔵と藍の花が良く似合う。)
●引率の先生の声秋うらら=雪絵
○や=2点
(や:澄み渡る空澄み渡る声。)
●キリシタン武士像月影に窶る=しゃが
○水=2点
(水:華やかな月と対比して迫害の歴史がみえるような。)
●コスモスや影は光のことであり=遊歩
△大、喋=2点
●さよならの今宵はジャズに秋暑し=茶輪子
△子、朱=2点
(朱:甘いなとは思ったのですが…頂きました。)
●新任と連れ立つ昼餉マスカット=茶輪子
○入=2点
●鈴着けて登る山道涼新た=やんま
○子=2点
●月明かり静夜の雨の降り止みて=葱男
○子=2点
●灯(ひとも)して夜寒のブラックチョコレート=朱河
○資=2点
(資:秋の夜長のブラックチョコがぴったり。)
●夫唱婦随軌道の見えぬ秋茜=香久夜
△久、メ=2点
●堅実は刀自の矜持実紫=智雪
△ま=1点
(ま:実紫が効いています。堅実に生きてこられたのですね。)
●遠富士の初雪都庁展望室=資料官
△紅=1点
(紅:タイムリーです。)
●トスカーナの波うねる丘馬肥ゆる=しゃが
△ぼ=1点
(ぼ:いいな、旅心を誘われる。)
●長き夜の窓に虫の音黄泉の人=久郎兎
△メ=1点
●廃線の無月の森に根を下ろす=葱男
△秋=1点
(秋:放置されたレールが年月を経て森の一部のようになっている。「無月」が鬱蒼感を強め自然と人工物の境目をより曖昧にしている。北海道あたりかな?景が浮かびます。)
●万能感いつより失せて星流る=智雪
△水=1点
(水:やるせなさ。)
●俎板をゆうにはみ出す太刀魚よ=スライトリ・マッド
△大=1点
●楽園を追れるふたり銀河濃し=清一
△大=1点
A部門入選作〈back number〉
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