*A部門入選作発表*


当季雑詠=全89投句(入選69句)

【特選】

一席
●小さき手があのねと開き天道虫=秋波


◎砂、始、白、ま、メ、裕○清、資、喋△十、葱、や、水、智=27点
(ま:何も言っていないのに、とてもかわいくすべてを物語っています。 裕:光景が目に浮かびます。資:自慢げに見せてくれる姿が可愛いですね。天道虫が良い 十:大人たちに見せている仕草が可愛い。 白:何とも可愛い。 清一:可愛い盛りの子と天道虫すっきりした句だ。 葱:かわいい。 や:秘密の宝自慢したくて。 水:なんてかわいらしい。 智:可愛らしい。)


二席
●座布団に小さき大の字つりしのぶ=十志夫


◎紅、資、ぼ○ラ、雪、朱△智=16点
(紅:景の浮かぶ正統派俳句ですね。季語が好きです。 ぼ:思わず頬がゆるむ句です。中七の措辞おみごと! 資:小き大の字が良いですね。釣忍を持ってきたところがお見事。 ラ:幼子のあどけない寝顔が目に浮かびます。 雪:座布団に足る大きさ。すやすや眠っている様子が伺えます。 朱:子供と縁側、そこにみずみずしい緑があるのですね。 智:あっという間に座布団からはみ出すんですよね。)


三席
●缶詰のぱかんと開いて梅雨籠り=紅椿


◎雪、朱、秋○ス△十、葱、砂、喋=15点
(雪:今年は梅雨籠りとコロナ籠りになりました。ぱかん、が面白い。 朱:梅雨籠りに一人缶詰を食べる切なさと自虐の面白さ。 秋:「ぱかん」がリアル。 ス:中七がいい。 十:コロナで宅食が増えますね。「ぱかんと」の響きがいい。 葱:今の缶詰は缶切りが要らないものがほとんど。)


【入選】

●薔薇垣を褒めて十年遠会釈=十志夫
○砂、遊、久、朱、茶△葱、秀、白、資=14点
(遊:いい感じですね〜。 朱:暮らしの中の微妙な距離感と優しさですね。 葱:長いご近所付き合い。 秀:生き方の達人。 白:お隣の借景ですね。 茶:薔薇以上にその丹精を讃える。近づきせずに、十年も。素敵なやりとりですね。資:心が通う長いお付き合い。毎年の楽しみですね!)

●餌与ふ親呑まんばかりの燕の子=秋波
◎香○ス、白、や△葱、久=11点
(香:呑まんばかり の表現がすばらしい。 ス:リアルな光景が浮かぶ。 白:餌だけでなく、親までも。 や:生存競争ここに始まる。 葱:小さいのによくあんなに大きな口を開けられますね!)

●修道女の麦酒飲干す昼餉かな=しゃが
◎ス、清、喋△始、白=11点
(ス:Wゴールドバーグでもいかにもシスターって人でも有りでしょ。 清一:こんな修道女もいるかも知れぬ。ブラックユーモアの句としての佳句。 白:架空の情景ですよね。)

●はらぺこあおむしきれいな夏の蝶となる=スライトリ・マッド
◎秀、ラ○ま、秋△雪=11点
(秀:この五月作者のエリックカールさんが、亡くなられました。子供も大人も大好きな絵本でした。 ラ:エリック・カールさんへの追悼句ですね。ご冥福をお祈り申し上げます。 秋:本当に愛情に満ちた素敵な絵本でした。 ま:この絵本は大好きです。色合いが美しくフォルムが綺麗で。本を飛び出し飛んでいる景が見えます。)

●城壁は空へと反りて夏の雲=秀子
○葱、智、香△メ、し、喋、ぼ=10点
(葱:見上げると覆いかぶさるように聳えている城壁。 智:空へと反りてが良い。 し:立派な城壁を見上げる先に夏の雲がある夏らしい情景ですね。 ぼ:松山城、秋山真之を連想しました。)

●メール来る植田の光添付して=雪絵
◎水、茶○砂、遊=10点
(水:メールがまぶしい。 茶:写真ではなく「光」とした点が妙ですね。 遊:添付されちゃったw)

●靴のまま魚となりゆく子等の夏=砂太
○紅、茶△葱、遊、久、ま、裕=9点
(紅:ロマンがあって、素敵です。 茶:海辺、川辺の風景ですね。濡れたり、汚れたりは構わずの純真さ。眩しいです。 葱:川でキャンプでしょうか? 子供たちの夏を守ってあげたいです。 遊:もうじき夏休み。 ま:今は靴を履いて泳ぐのですよね。中七の表現が生き生きとして良いですね。)

●少女つて爪も睫毛もソーダ水=智雪
◎や○遊△メ、裕=7点
(や:そんな感覚がしてきた。 遊:そうなんだぁ〜)

●眼鏡屋の高き天井夏つばめ=まさこ
◎久△葱、資、朱、香=7点
(葱:よく見かけるようになりました、店の軒先にツバメの巣。 資:昔ながらの眼鏡屋さん。もう巣立ちした幼鳥は町の上空を飛び回っているでしょう。 朱:眼鏡屋と具体的にしたのが良かった。)

●逆上がり練習する子瓜の花=秋波
◎修○清△茶=6点
(修:季語の斡旋が素晴らしい! 清一:瓜の形と逆上がりの姿勢が似ているような微妙な組み合わせ。 茶:瓜の曲がり加減との取り合せ。瓜とは違い、見事一回転できたでしょうか。)

●腑に落ちぬひと日をつつく冷奴=朱河
△や、五、雪、ま、し、秋、ぼ=6点
(や:頑固親爺は豆腐大好き。 五:冷奴をつつきながら、面白くない出来事のあった一日を振り返る。冷奴の感触みたいにソフトになりたいものだ。いい年をして青いなあ。 ま:そんな日がありますね、冷奴がよいですね! し:冷奴がとても効いていると思います。 秋:どんなことがあったんでしょうか。つつかれる豆腐に罪はないけど…。 ぼ:根が真面目すぎるのです。まあ、飲みねえ、飲みねえ。)

●夕凪やがくんと止まる観覧車=秀子
◎智△紅、メ、朱=6点
(智:夕凪とがくんとが良く合っている。 紅:季語が効いていると思います。 朱:高い所でがくんと止まってそこからは夕暮れの海が見えるんだろうな。)

●棉の花まるくおさめてしまふ人=葱男
◎十○智△ぼ=6点
(十:季語の斡旋が巧み。「収め上手な人」って確かにいますね。 智:収めるのが良いんだか悪いんだか‥ ぼ:そういう人に私もなりたい。)

●黒南風やクレーコートのボール跡=メゴチ
○秀、修△十=5点
(秀:クレーコートのレンガ色がくっきり。 修:対比がおもしろい。 十:最近は再現ビデオで公平です。)

●薫風や笙の奏でる小宇宙=しゃが
○裕△始、清、秋=5点
(裕:薫風と笙の取り合わせがさわやか。 清一:笙の音色は良いですね。そんな小宇宙に行って見たい。 秋:神社の祭礼での景でしょうか。清涼感が伝わります。)

●薫風や色とりどりの飲み薬=裕
○喋△遊、白、し=5点
(し:色とりどりの薬!見方を変えれば薬もきれい。薬を飲む日々もポジティブな気持ちの句でいいですね。 遊:そういわれると薬も毒ではないやうな…。 白:いやいや!薬が一杯。)

●城門を潜る学舎青嵐=智雪
○葱△ス、五、ラ=5点
(葱:金沢大学を思い浮かべました。 ス:福岡の舞鶴中は昔城内にあった。今もそんな学校どこかにあるでしょうね。 五:残念ながら城跡の学び舎に通ったことがない。青嵐が来てもびくともしない石垣。懐かしい学び舎を訪ねた風景か? ラ:「青嵐」がぴたりと決まっています。)

●妻の後について潜りし茅の輪かな=修一
○始、秀△清=5点
(秀:俳諧味。けど、こんな男の人って、結構したたかなような。 清一:何事にも積極的な妻と従順な夫の組み合わせ。)

●夏帽の沈むソファーの喫茶店=裕
◎五○メ=5点
(五:ソファーの快適な喫茶店における避暑。夏帽が沈んでしまっている。この情景で、定年の老境だと分かる。)

●凌霄のほたりほたりと落ちて闇=清一
◎し○ぼ=5点
(し:ほたりほたりが凌霄花の散るイメージをうまく捉えていると思います。 ぼ:オノマトペも闇の止めも決まってます。)

●麦秋やげんこつ飴の硬きこと=ラスカル
△清、雪、朱、し、茶=5点
(清一:麦畑がびっしり詰まっている感と硬いげんこつ飴が呼応。 朱:何となく取合せの妙かな、と。 し:げんこつ飴が出てきたのが上手い!麦秋と合っています。 茶:取り合せはよくわかりませんでしたが、硬くあるべきものがきっちり硬い。きっちりと麦も熟しているということかなと。)

●麦わら帽のつばぱたぱたと潮満ち来=まさこ
○十、葱△ス=5点
(十:海辺での景鮮明。 葱:夏帽子の少女の姿が浮かびました。 ス:中七の風の音が聞こえる。)

●蟻の死を蟻飄々と踏みしだく=朱河
○ラ、し=4点
(ラ:確かな写生眼。 し:なんともシュールな状景ですが、これが自然の営みですね。)

●遠雷や黒潮のぞむ竜馬像=ぼくる
△葱、や、智、香=4点
(葱:決まった! や:時代揺るがす気迫を持ちて。 智:竜馬好きとしたらそりゃあもう頂きます。 香:遠雷 で、竜馬像がより大きく見えます。)

●薔薇園の名札に妻の名のありぬ=やんま
△葱、秀、ラ、紅=4点
(葱:妻への愛情を感じます。 秀:彼は素直に奥様が好きなんだと思いました。 ラ:ごちそうさまです〜♪(笑) 紅:それは嬉しいですね。何色でしょう?)

●まくなぎや終わることなき変異株=葱男
○五、水=4点
(五:「まくなぎ」という季語と変異株とが見事にマッチしている。まくなぎは糠蚊のことである。コロナはいつまで人間に纏わりつくのだろうか?そろそろおさらばのコロナ?(笑) 水:振り払っても、振り払っても鬱陶しい。この感染症もいつ終わるのか。) 

●黙想の仏像崩る五月闇=しゃが
○白、裕=4点
(白:闇に溶け込んでしまう心。 裕:ちょっと怖いような…)

●峡谷のトロッコ列車青葉風=智雪
○ぼ△資=3点
(ぼ:絶景かな、絶景かな。 資:保津峡か黒部か?また乗ってみたい)

●コースターは雫のかたちさくらんぼ=雪絵
△砂、ラ、水=3点
(ラ:そんな形のコースターがあるとは、びっくり! 水:みずみずしい感じ。)

●鈴懸のかすかに匂ふ夏の朝=修一
◎子=3点
●梅雨晴や痒みと変はる注射痕=紅椿
○十△久=3点
(十:ワクチンでの経験を巧く一句に。)

●時の日や指で読む針午後三時=スライトリ・マッド
○水△ま=3点
(水:視覚障碍者が使う時計ですね。ほっと一息つく時間でしょうか。 ま:目がねが無くても時間が分かるって素敵ですね。)

●走り根の重なり合うて時鳥=紅椿
◎遊=3点
(遊:私は突き抜けるような時鳥の声が大好きです)

●半夏生白旗立てて引きこもる=資料官
○雪△清=3点
(雪:ここもコロナ籠りですね。半夏生を白旗に見立てるとは! 清一:半夏生の葉の白い部分が白旗に見えたユーモア。)

●病窓の朝焼少女のまつ毛濃し=まさこ
○紅△子=3点
(紅:季語にちょっと不安を感じてしまうのですが・・。早く退院できますように。)

●やはらかく水かさねゆきかき氷=水音
◎葱=3点
(葱:かき氷の俳句として、歳時記に載せたいですね! 素晴らしい表現。)

●山登る蛙の子らよ梅雨の道=喋九厘
○子△修=3点
(修:蟹は聞いたことがあるけど、初耳です。)

●磯の香の煎餅を割る音涼し=ラスカル
○や=2点
(や:香も音も伝わってくる。 や:香も音も伝わってくる。)

●一層を願ふ足先茅の輪かな=茶輪子
○香=2点

●落とし物保管倉庫に西日射す=秀子
△五、水=2点
(五:リアルな句。佳い題材だ。作者は警察の人?それとも、落とし物をして現場に行ったのか?いろんな落とし物がある。 水:落とし物たちの見捨てられた感がする西日。)

●蜘蛛の囲や雨粒捕らえ震えをり=メゴチ
○メ=2点
(資:虫は引っかからず雨粒が、まさに梅雨時の情景)

●講堂は接種会場ねぶの花=資料官
○修=2点
(修:講堂もびっくりしている。)

●真か偽か裏が表の半夏生=清一
○メ=2点

●鍬形のつがひギリギリうろの闇=修一
○五=2点
(五:クワガタの句。つがいを飼うマニアか?ギリギリにクワガタののこぎりの感触がある。クワガタは夜行性なので、夜に蠢いているのか?リアルで少し恐ろしい気分もする。)

●散り急ぐ薔薇の花びら草長く=始祖鳥
○久=2点

●梅雨晴間犬のひっぱる散歩かな=裕
○子=2点

●梅雨晴間シャッター街にピアノ洩れ=入鈴
○秋=2点
(秋:寂れた商店街でどこからかピアノの音。店の奥にレッスン室をもつ楽器店もあったりしますが。人通りの少ない通りも人の息遣いは聞こえる。)

●バルテュスの少女脈打つ夏館=朱河
○し=2点
(し:しーんと静まり返った重厚な夏館を想像します。妖しい雰囲気ですね。)

●はんざきや侵略したる中国種=清一
○始=2点

●万緑や万骨眠るインパール=ぼくる
△葱、香=2点
(葱:私には今回のワクチン接種計画がインパールの再現のように感じますが、、これが本当に救国となるのか?)

●百年を経て十三のさくらんぼ=五六二三斎
○ま=2点
(ま:どうして今、13粒なのか、いろいろ考えが広がりました。)

●みなみ吹く緋の水引の耳飾り=水音
△ス、裕=2点
(ス:ミの音の響きそしてオシャレで良いことありそう。)

●涼しさや赤富士に龍上るとき=葱男
△喋=1点

●鳥獣戯画風体操の図や風薫る=スライトリ・マッド
△葱=1点
(葱:あはは、なんとなく分かる。) 

●梅雨晴間やつとワクチン接種の日=資料官
△紅=1点
(紅:「やつと」に作者の思いを感じます。)

●女人居し影連れて来る夕焼坂=砂太
△始=1点

●バス降りて山並み遙か麦の秋=やんま
△修=1点
(修:一面の黄金色。)

●バルサミコ酢足してイタ飯梅雨晴間=雪絵
△修=1点
(修:ご相伴願いたい。)

●日盛や回転寿司の皿を積み=ラスカル
△秋=1点
(秋:暑い盛りに旺盛な食欲は素晴らしい。)

●蛇の衣乙女こころを見抜かれて=遊歩
△十=1点
(十:どんな乙女こころなのか聴いてみたい。)

●宝満の蛙食べるなやまかがし=喋九厘
△子=1点

●守らるる四人の親にカーネーション=香久夜
△葱=1点
(葱:私たちの親の世代が贅沢のせず貯めてきた財産を今日本は、国際金融資本やメガファーム、ビックテックに吸い上げられています。)

●短夜やエンドロールはざらついて=水音
△秀=1点
(秀:エンドロールは、最後まで見る派。名前ばかりが、次々と無味乾燥ではありますが。その裏側にはたくさんの人の深い思いが。)

●麦焼酎はさみ賛否の真つ二つ=十志夫
△砂=1点

●麦焼きて煙る大地や夏も来ぬ=喋九厘
△子=1点

●夜濯ぎや彼の言葉は彼のもの=遊歩
△茶=1点
(茶:洗濯機の擬人化か、夜濯ぎするひとのつぶやきか。ちょっと切ない感じがいいです。)


A部門入選作〈back number〉

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