*B部門入選作発表*


兼題『季語:祭』『漢字:光』=全89投句(入選59句)

【特選】

一席
●すいすいと雲の上ゆく水馬=ラスカル


◎遊、五、雪、ま、裕、し○清、紅、智△喋、ぼ=26点
(遊:素直すぎて怖いくらいです。 五:アメンボが雲の上をゆく?そうか!水に映る雲の上をゆくのだ。アメンボの爽快なる動き。天にも昇る風景だ。 雪:水に映った雲の上ですね!観察力に脱帽です。 裕:雲の上ゆくがいいですね。 智:素直で気持ちが良い。 ま:素敵な景を、なんと巧く表現されてるのでしょう。 し:水面に映る雲の上をゆく水馬、情景がよく分かるし、雲の兼題で上手いと思いました。 清一:水に映っている雲の上を這う光景。 紅:大きな景の水馬の句になっています。 ぼ:いい景ですねえ。水馬が力強くなる。)


二席
●島の子はみんな仲良し枇杷熟るる=ぼくる


◎や、朱、智○十、清、雪、資△白、五、ラ、香=21点
(や:自分探しの旅路の島か。 清一:瀬戸内海に浮かぶ小島の平和な様子が浮かぶ。 智:一枝に鈴なりの枇杷の様子が目に浮かぶよう‥島の子が良いです。 朱:枇杷の実はぎゅっと集まって木に成りますよね、そのイメージが島の子の仲良しに繋がりますね。 十:如何にもの句。難しくしないで淡々と詠んでいる。季語もあっている。 雪:昔は田舎のあちこちに枇杷の木がありました。そして外を遊ぶ子供たちも。 白:竹馬の友。 五:島で取れるのはみかんだろうが、枇杷もありそうだ。夏は枇杷、冬はみかん。 ラ:『二十四の瞳』を思い出しました。)


三席
●お福分け回覧板の上の枇杷=智雪


○葱、五、雪、朱、ぼ△砂、久、紅、ま、秋、茶=16点
(葱:昭和の風景、失われた日本人の心。 五:上手い。枇杷の一句になった。おそらく、家に生る枇杷のお裾分けなのだろう。 雪:集合住宅では回覧板はいつしか廃止。懐かしささえ感じる光景です。 朱:和やかな一景で面白い。ただ回覧板の上の…でも良いが、回覧板に乗せた枇杷に私ならするかなと。 ぼ:今もあるかなこんな景。やはり昭和でしょうねえ。 紅:良好なご近所関係が見えてきます。 ま:嬉しいですねこういうふれあいのある毎日。 秋:ビバ!ご近所づきあい。 茶:お福分け。知っているでけでは中々使えません。日常的にそういう間柄にある。素敵ですね。)


【入選】

●青々と海黙々と雲沖縄忌=ぼくる
◎砂、ス○秀、資△十、葱=12点
(ス:沖縄が本土の盾となり護ってくれたことも忘れたらいかんと隣県の鹿児島では言われてる。沖縄に行ける日が来たら佐喜眞美術館の「沖縄戦の図」を見てみたい。 秀:とても好きな句。景がはっきり見えますし、思いが深い。ただね、ぶつぶつ感が否めない。ちょっと手を加えるだけで、滑らかになるのにな。 資:6月、沖縄関連の句がいくつかありましたが、この句が出色。 十:海と空の対比のリフレインが巧み。 葱:破調が余計に沖縄の哀しみを増幅するようです。)

●枇杷の皮つるんと剥ける介護かな=葱男
◎十、茶○ま、喋△遊、五=12点
(十:介護へつなげたところが巧い。 茶:大変な介護のうちにささやかな喜びを見出す。その心得みたいな、教えのような。 ま:大変な日々の中のひと時の癒しでしょうか。つるんと剥けて良かった。。 遊:介護の手だったら特選にしたいくらいでした…。 五:介護で、枇杷を剥いて食べさせている様。何ともユーモラスだ。現在は、介護現場はこんな悠長なものではないことだろう。早くこんな風景になってほしいものだ。)

●生ビールぐびと雲?つるるんと=十志夫
◎香○秀、茶△ラ、紅、資=10点
(香:生ビールと雲呑!やられました! 秀:オノマトペの「ぐび」と「つるるん」がおいしそう。ちょうど、テレビでマツコと有吉が雲?の大絶賛をしてました。 茶:「ぐびと」「つるるんと」思わず喉が鳴ります。 ラ:「つるるんと」というオノマトペがユニーク。 紅:おいしそう。対比が巧みだと思います。 資:よくぞお題の雲でワンタンを。生ビールが活きている。)

●雲水の声のくぐもる沙羅の花=紅椿
○遊、白、修△清、雪、智=9点
(遊:人間味あふれる作品ですね、エロい! 白:むむむむ−−−。 修:花の力! 清一:沙羅の花が読経を聞き及んでいる風景が浮かぶ。 智:雲水と沙羅ちょっと似合い過ぎか‥)

●涼しさよ欄間に雲の透かし彫り=秀子
  ○ラ、朱△十、紅、水、し、智=9点
(ラ:実感が伝わってきます。 朱:欄間の雲、面白い所に目をつけたなあと思いました。 十: 最近は、そんな造作の家も少なくなりましたね。 紅:欄間は大好きです。ほんと、涼しそうですね。 水:古い日本家屋の欄間、まさしく涼しですね。 し:立派な座敷にす〜っと通る風も感じます。 智:和室の設の工夫) 

●曲がりくねる大滑り台雲の峰=雪絵
○久、水△ス、秀、白、朱、裕=9点
(水:楽しそうに滑ってくる子ども。地面すれすれから見上げる写真のようなショット。 ス:ジェットコースターは苦手、でも滑り台なら気持ちよく行けそう。 秀:大滑り台と雲の峰が響き合っている。 白:そんな長い滑り台があると楽しい。 朱:曲がりくねると言う地面に近い部分の動きと見上げれは大きな雲の峰、夏の子供の繰り返し飽きない遊びが見えてきます。)

●枇杷熟るるかつて医院のありし処=秋波
◎久○香△秀、や、雪=8点
(秀:この風景、昭和生まれには胸に響きます。 や:遅速あれども時代は巡る。)

●肩の荷をすべて下して枇杷熟るる=水音
◎清○十、し△五=8点
(清一:娘の結婚式の後ほっとした親の様子が窺える佳句。 十:子供を嫁がせ終ったのか、終活ノートを書き終えたのか。お疲れさまでした。 し:実景、メタファー、両方にとれて上手いですね! 五:枇杷が熟れ出して、枇杷の木もほっとしている姿か?収穫が終われば、もっと楽になることだろう。)

●枇杷の実の枝もろともに差し出さる=雪絵
○水、智△砂、清、し=7点
(水:たまたま通りかかって、さぁ持っていきなさいと枝ごと折ってくださったのですね。ありがたい。 智:枝もろともにが遠慮ない関係性を感じさせる。 清一:“枝もろともに”の措辞が面白い。 し:この情景私も経験してよく分かります。豪快でした。)

●龍神の鱗燃え立つ夕焼雲=葱男
○子、ス、白=6点
(ス:青森で見たねぶた祭りの山車を思い出した。 白:凄い色の夕焼雲。)

●梅雨雲や防災ヘリの音重し=水音
○秋、ぼ△や、朱=6点
(秋:正にこの度の伊豆の土砂災害には心が痛みます。被災地の方々には心からお見舞い申し上げます。実際ヘリの音には不安や不穏な気分が掻き立てられますが、防災ヘリは音だけでなく職務も重い。 ぼ:ほんとに、ほんとに。 や:地球各地に何か蠢く。 朱:空の重さ、曇天の怪しげな雰囲気が伝わります。)

●女学院朝の礼拝枇杷熟るる=清一
◎子△葱、茶=5点
(葱:女学生が正しくキリストの教えを学ばれますように。 茶:清楚でそれでいて少し甘美。枇杷との取り合せがいいです。)

●ちぎれ雲たゆたふ吾と水海月=まさこ
◎秋△メ、資=5点
(秋:水に浮かんでいると一瞬自分も海月になったような不思議な心地になることがある。見上げる空に浮かぶちぎれ雲ともよくマッチしていると思います。 資:揺れ動く雲とクラゲと自分を並べた。)

●似て非なるものや人肌枇杷の肌=朱河
○香△始、白、茶=5点
(白:色っぽい感じですね。 茶:句またがり、中七の言い回しでいただきました。)

●ひね臭き書庫の窓より夏の雲=秋波
○ラ、し△修=5点
(ラ:古いものと新しいものとの対比が鮮やか。 し:ひね臭き書庫がより夏の雲を爽やかに感じさせます。 修:土蔵の中を思い出した。)

●枇杷たわわ七年前のあの種の=水音
◎紅△ス、ま=5点
(紅:思いがけない着地で、感動しました。 ス:うちの庭に埋めた枇杷の種は葉っぱだけで枇杷の葉エキスに。 ま:私にも覚えがあり、よくわかります。感慨深いですよね!)

●枇杷を?ぐ昭和の主なき更地=五六二三斎
○久、裕△砂=5点
(裕:最近けっこうあるあるの光景ですね。)

●炎昼や飛行機雲の空を割る=裕
○メ△や、喋=4点
(や:ことしは猛暑となりそうだ。)

●香り立つ出雲の蕎麦の挽きぐるみ=智雪
◎ぼ△ま=4点
(ぼ:兼題「雲」に出雲で応えたのがおみごと。蕎麦も美味そう。 ま:いかにも美味しそうで食べたくなりました。)

●雲厚く梔子の花より明かし=香久夜
◎始△久=4点

●コロナ禍や手に枇杷の実の生温く=秀子 
  ○秋△久、香=4点
(秋:目に見えぬものと掌にあるたしかな感触と。)

●捩花や雲突き抜ける龍の様=遊歩
○修△ラ、メ=4点
(修:虫眼鏡の世界のよう。 ラ:作者独特の感覚が魅力的。)

●枇杷むくや肘まで甘き汁の道=入鈴
◎ラ△修=4点
(ラ:「肘まで」がとてもリアル。 修:読み手の肘まで濡れる感じ。)

●故郷の木橋渡るや枇杷熟るる=やんま
◎資△水=4点
(資:普通に木橋が架かっていた昭和な風景。久し振りの帰省なのでしょう。 水:子どものころ食べた枇杷なんでしょうね。)

●峯雲へ先頭を切る暴れ馬=ぼくる
◎葱△裕=4点
(葱:野生の馬が走り回っているゴビの大草原を思い浮かべました。)

●四人して登りしあの日枇杷たわわ=紅椿
○始、喋=4点

●ワラビンチャーヌチドゥタカラ枇杷熟るる=スライトリ・マッド
△葱、し、喋、修=4点
(葱:「ワラビンチャー」ってなんでしょうね? 子供たちのことかな? BIGINの歌にもありましたが、「命が宝」です。 し:この言葉知りませんでした。沖縄戦の悲しい言葉。 修:子供たちの命は宝という意味か。琉球語が響いてきます。)

●紫陽花に迫る銀鼠色の雲=ラスカル
○子△十=3点
(十:雨だと紫陽花につき過ぎなので、梅雨空を色で表現したところが巧い。)

●会心の決勝一打雲の峰=智雪
○裕△ぼ=3点
(裕:すかーっという感じです。 ぼ:類句はありそうですが、気持のよい句で好みです。)

●京の町四方八方雲の峰=清一
◎水=3点
(水:盆地の町と対比して雄大さがきわだちます。)

●雲の峰ハンガリーより来る舞曲=五六二三斎
◎秀=3点
(秀:意味がとりにくい句ですが、ブラームスのハンガリー舞曲が、ハンガリーのほうから来るんですね。すばらしい。)

●梅雨雲や丘の上まで一戸建=裕
○五△水=3点
(五:丘の上まで一戸建が続く。筑紫丘高校出にはこの風景はジンと来る。校歌に丘の上が出てくるので。丘の上で「おかのえ」と読む。 水:近所のこのような土地を見るたび安全かなと気になっていましたが、選句をしていたら熱海のニュースが飛び込んできました。 )

●夏雲や秘密の基地の設計図=秀子
△遊、清、秋=3点
(遊:今時こんな子供がいたら表彰したい! 清一:夏雲に覆われた子どもらの秘密基地。 (秋:セッケイズとかサクセンとか、その言葉を聞くだけで子供はワクワクするんですよね。計画を立てている時が一番楽しいかも。)

●廃屋の手入れなき枇杷光る星=久郎兎
◎修=3点
(修:光る星が廃屋をやさしくみているよう。)

●廃屋の手入れなき枇杷光る星=久郎兎
◎修=3点
(修:光る星が廃屋をやさしくみているよう。)

●初恋の酸つぱき枇杷の余情かな=清一
◎白=3点
(白:林檎でなく、枇杷ですね。)

●枇杷の実に秘密の重さありにけり=十志夫
◎メ=3点

●火ン島ノ笠雲ハ雨ダあめんぼ=スライトリ・マッド
○砂△遊=3点
(遊:なんか取らずにいられない面白さ。)

●虫歯より腰の痛みや枇杷すする=茶輪子
◎喋=3点

●夕焼け雲今日一日を染め上げん=香久夜
○や△子=3点
(や:今日も精一杯生ききった。)

●寄せ植ゑのビタミンカラー雲の峰=紅椿
△雪、智、秋=3点
(智:ビタミンカラーが元気で良い。 秋:寄せ植えの爽やかな色合いが夏空によく映えて。)

●綿雲の真似をしてゐる水母かな=ラスカル
○紅△裕=3点
(紅:楽しいお句、確かにそんな気がしてきました。)

●大空へ積乱雲もダイビング=喋九厘
○メ=2点

●雲にのる植田の風を吸いこんで=修一
△子、清=2点
(清一:植田の風が雲に乗って雨を降らせる風景。)

●夏雲や雷おこしと浅草寺=喋九厘
○始=2点

●物語り始まる予感枇杷小粒=砂太
△ま、メ=2点
(ま:立派な枇杷ではないところがそうかもしれませんね。)

●茅の輪くぐり雲だんだらに燃えにけり=朱河
△遊、香=2点
(遊:だんだらって表現が効果的ですね)

●通るたび吠える子犬よ枇杷熟るる=まさこ
○や=2点
(や:そんな家がご近所にあり。)

●夕焼雲バランスボールに背をあづけ=まさこ
△十、秀=2点
(十:内のバランスボールと外の夕焼雲にやや無理があるが、「背をあづけ」で戴いた。 秀:ゆったりまったりしながら、しーんと淋しい。)

●砂利の道枇杷の実あまた落ちてをり=修一
△子=1点

●白き雲灰色の雲蝉時雨=やんま
△始=1点

●夏雲や刺青彫り込むビーナス像=しゃが
△ス=1点
(ス:刺青の文化はどうも自分には馴染めないが…。)

●枇杷たわわ早起き鳥に先越さる=メゴチ
△始=1点

●枇杷をむぐ妻の横顔浮かぶ陰=始祖鳥
△資=1点
(資:何か壮絶なドラマがありそう)

●フィレンツェの画廊の庭や枇杷熟る=しゃが
△ぼ=1点
(ぼ:外国の枇杷とは珍しい。なんだか豊かな気分になる。)

●故郷の山と懇ろ雲の峰=五六二三斎
△十=1点
(十:「山」と「雲」、まさに故郷の景ですね。)


B部門入選作〈back number〉

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