*B部門入選作発表*

兼題「鶯」「ぶらんこ」*全47投句(入選39句)

【特選】

一席
●ふらここや天上によき風ありぬ=五六二三斎


◎夏、ス○葱、百、前△男、二=14点
(夏:共感!風に乗ってふわふわ天上まで行きたくなる・・・。 ス:良寛和尚を思い出しました。 葱:いいです!ふらここから天へと目を転じて「よき風ありぬ」は素晴らしい!! 俳句とはまさしくこれですね。 百:似た句はあるかもしれないけど。 男:爽快・豪快。)

一席
●ふらここや母に押されて小さき旅=水音


◎男、資、入○五△百、君、前=14点
(男:初めてのブランコへの期待と不安が出てますね。 資:これが初めての旅立ちかもしれない。良い句だと思いました。 入:こういう母性に憬れます。五:ふらここ句の中でしんみりしていて採択。 百:離れて、未知の世界に・・・。)

三席
●ふらここの鉄の匂ひを漕ぎ始む=スライトリ・マッド


◎水、砂○葱、雪△資、久=12点
(水:子どもの頃は気にならなかったけど、鉄の冷たさと匂いを先ず感じることに気がついた。 葱:「鉄の匂い」は二句とも戴きました。こちらは可愛いほう。 雪:確かに錆びた鉄の匂いが、ぷーんとします。 資:鉄のにおい,鉄のきしむ音,これがなつかしい。)


【入選】

●鶯や開くことのなき子のピアノ=雪絵
◎二○資、香△葱、夏、砂=10点
(資:狭いマンションに大きなピアノ。でも処分できない。 葱:特別、親が芸術家でもなかったら大抵はそんなところなんでしょうね。ちょっと悔しいけど、それならいっそのこと、自分でピアノ弾いてみたら楽しいんじゃないかなあ。 夏:今聞こえるもの、聞こえないものの組み合わせが成功。)

●煙草吸う猿の不可解半仙戯=葱男
◎雪○夏、喋△水、二、ス=10点
(雪:猿の戯れ、でしょうか?見てみたい! 夏:意外性があって面白い取り合わせ。 水:句も不可解だけど何故か選んでしまった。 ス:人間に近いからかしら?)

●かってな子ぶらんこぶんぶん夕暮れて=入鈴
◎百、香○君△喋=9点
(百:作者が勝手な子に怒ってるような?)

●鶯の飛び去り行きて小枝起(た)つ=男剣士
◎前○久△資、メ、喋=8点

●ふらここに小さき初恋おいてくる=雪絵
○男、メ△砂、二、喋、前=8点
(男:なんとなく思い出されます。 メ:ぶらんこに乗らなくなったのはいつ頃だったかなあ。)

●秋月の少女と鶯門を出る=砂太
○君△葱、水、五、香、入=7点
(葱:「少女と鶯」なのか「鶯門」なのか定かではありませんが、調べたらいいのでしょうが、まあ、どちらだとしても好きな句には変わりありません。願わくば「鶯門」を少女と潜りたいですが・・・それだと無季になるか。 水:ちょっと意味がわからなかったけど、何か深い意味があるでしょうか。 五:字余りが気にはなるが、秋月の風景がよく出ている。)

●うぐいすの声に誘われ山小路=男剣士
◎澄、久△メ=7点
(久:鶯が誘っていると思うほど春が待ち遠しい今日この頃。夏はたまらんけどね。)

●ブランコに腰掛けて待つレールバス=資料官
◎喋△澄、水、夏、五=7点
(水:長閑な感じだけど、レールバスが走ってるのは都会?田舎?レールバスってバス?電車? 夏:ブランコは「待つ」のが似合う。「レールバス」なのがまた良い。 五:二回、カタカナが出て来る欠点はあるが、レールバスの傍にあるひなびた公園なのでしょうか?)

●ぶらんこの鉄のにほひに酔う愚妻=メゴチ
◎葱○五△入=6点
(葱:こちらの「鉄の匂い」を天位に戴きました。「ぶらんこ」と「愚妻」の対比には上質の俳諧味があると思います。ペーソスやユーモアもまた人生の調味料! 五:面白い句ですね。その挑戦に○。 入:楽しい。)

●うぐひすやロケット島を震はせて=スライトリ・マッド
◎五△雪、香=5点
(五:鶯句の中で、取り合わせが面白かった。 雪:種子島?確かにロケット発射の瞬間の音は凄いらしいです。)

●裏山の蔦のぶらんこ秘密基地=喋九厘
○久△夏、砂、君=5点
(夏:子供の頃弟がこんなの作っていたなぁ、と懐かしく。 葱:これがむっちゃ、楽しかったな〜。あー、もう遠い遠い昔の事だなあ。)

●ふらここは夢に夕日をまといけり=入鈴
◎メ△資、澄=5点
(メ:ぶらんこは夕日が似合うよなあ。)

●若者の乱の秋月鶯語美し=砂太
○ス、入△五=5点
(ス:秋月っていいとこですよね。 入:秋月の乱を鶯語と持ってきた不思議をいつか吟行で解いてみたいですよね。 五:秋月の乱に惹かれて頂きました。)

●鶯の餅うらうらと楽茶碗=ひら百合
○澄、砂=4点

●鶯やまほらの旅の涯てのファド=葱男
○雪△ス、入=4点
(雪:旅の結末の、何ともいえない哀しさと空しさ。 ス:「暗いはしけ」っていう暗い歌ありましたね。 入:鶯とファド?だけれど句想が壮大。檀一雄の親戚?)

●寒戻り鶯の声整わず=久郎兎
○百△香、前=4点
(百:そういう事もあるンダ。)

●木の裏を見れば鶯また裏へ=水音
○香、ス=4点
(ス:メビウスの輪みたい! 葱:そうなんですよね、美しいものは鶯でも女性でも。)

●鞦韆の風待てど稚児待てど来ず=葱男
○資、夏=4点
(資:二月の鞦韆,動かない寂しさをうまくとらえている。 夏:誰も居ないブランコの風景、切なくて詩情あり。)

●ふらここやとおくのそらにゆきしこら=五六二三斎
○二、喋=4点

●ぶらんこ見下ろして桜樹(さくら)老ひにけり=夏海
○二△葱、君=4点
(葱:普通なら「ぶらんこを見下ろし桜樹(さくら)老ひにけり」なんでしょうが、「見ろして」と時間の肌ざわりに重点を置いた作者の情感が破調のマイナスを凌げるかどうか! ですね。)

●連休は晴れのち曇り初音聞く=五六二三斎
○水△雪、ス=4点
(水:平凡な連休でも、初音がスポットライトをあてたような記憶になっている。 雪:何となくぶらりと郊外へ。そこで思わぬ鶯の声を聞く。少し得した気分に! ス:休日の少しほっとする感じが出ていて。)

●主なきふらここ揺れる二月かな=男剣士
○砂△メ=3点
(メ:「主なき」がいいですね。)

●鶯や波紋ゆたかに広げゆく=水音
◎君=3点

●ウグイスの声も聞こえぬティーショット=前鰤
○入=2点
(入:カラスはどうなんだろう? メ:気持ち的には選びたいが、結果はバンカー?)

●鶯のこだま上野寛永寺=資料官
○男=2点
(男:静かな佇まいに合いますね。)

●鶯や岩壁登る人幾たり=夏海
○水=2点 (水:何故か佐賀の春の山のこうした風景が目に浮かびました。)

●鶯やぷらりぷらりと稲佐山=喋九厘 △男、百=2点
(男:声を聞きながらの散策も格別。 百:「ぷらり」がいい。)

●梅香乗せ老婦ブランコ語り繰る=久郎兎
○前=2点

●春告ぐる鳥声も無く凍てし朝=君不去
○澄=2点

●ブランコに子等の声なし雪の午後=前鰤
○メ=2点
(メ:静けさがなお寒さを感じます。)

●鴬の声になごんでバスの旅=メゴチ
△百=1点
(百:春の旅らしくていいです。)

●鶯や神名備の水湧く庭に=砂太
△久=1点
(葱:品格のある佳句だと思います。)

●崖の上風待つ綿毛初音聞く=スライトリ・マッド
△澄=1点

●ふらここのかげの〜びたりちぢんだり=君不去
△雪=1点
(雪:漕げば漕ぐほどその差が大きくて・・・。)

●ブランコ蹴り着地一等温き砂=久郎兎
△二=1点

●ぶらんこにひとり順番待つ子かな=雪絵
△男=1点
(男:ほんわかの感。 葱:ちょっとシナリオ通りみたいな感はあるけど、絵になる情景ですね。)


【無選】

●鴬の着メロ音で人目ひく
(葱:鶯の着信音は季節感があっていいなあ〜、夏になったら「蝉の声」もいいかもしれない。)

●ふらここを回して酔いし砂場かな
(葱:この句から幼い頃の記憶が呼び戻されました。)


B部門入選作

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