*B部門入選作発表*

兼題「恋」・「海」*全33投句(入選26句)

【特選】

一席
●海を背に語らひ尽きず古団扇=君不去


◎月、木、久、入○資△前、メ=16点
 (月:どうしても楽そうな部屋着姿のおばさん二人の図が脳裏に浮かんでしまう。 久:老人会の海水浴を思い出すなあ。海なんかには入らないで、海の家で世間話。 入:古うちわは捨てたらいかん。 資:20年後の同窓会のシーンでしょうか。団扇が良い。 メ:なんか懐かしい匂い。)

二席
●海峡の色湿りゐて目に優し=入鈴


◎里○君、久、ス△月、五、澄=12点
(久:ひょっとしたら、海峡シリーズ第2弾。青以外の何色なのか分からないが、いいですね。海峡には、いつもドラマががある。 ス:こういう海も風情があって良さそう。月:津軽海峡夏景色?ちゃうちゃう。 五:海峡の色という言い回しが好き!ただ、無季か?)

三席
●くちなしの老いて真白の恋心=木笛


◎五、資○澄△里、喋、久=11点
(五:くちなしの花はきれいですが、あっという間にしなびてしまいます。そのような純白の恋の行く方はいかに? 資:老いても芳香を放つなまめかしさ。老いらくの恋は危ない危ない。 久:朽ちてなお 薫る梔子 恋一途=返句失礼。)

  【入選】

●母唱う我は海の子遠き夏=五六二三斎
◎ス○月、木△里、メ、入=10点
(ス:お母様につながる歌なんですね。海の母性も連想させ、いい感じがします。 月:御母堂も、戦後も遠くなりにけり。入:♪わーれはうーみの子♪、名歌だなあと思い出します。)

●三十一(みそひと)を 暑中見舞いに 添えし恋=久郎兎
○木、里、喋、前=8点
(前:思いっきりキザ。)

●浮き烏賊の 見るや天空 凪ぎし海=久郎兎
◎前○入△月、二=7点
(久:烏賊はイカの漢字ですが、何故こんな字を書くのか、ずっと不思議でした。イカがカラスを海に引きずり込んで食べるからです。カラスの賊なのです。最近CMで魚が鳥を食べるシーンがあるけど、実際に一回見てみたいものです。 前:のんびりしている雰囲気、星空を連想しました。季語は、浮き烏賊? 入:烏賊の眼が空を見るのは、動かなくなってしまった時? 月:浮き烏賊って作者本人のこと?)

●戀消ゆる切子の中のジ・エンド=月下村
◎君○入△ス、二=7点
(君:ジ・エンドで5音。・がきいてるんですね、お見事! 入:薩摩切子か、江戸切子か、骨董○。 ス:悲しい恋に切子ガラスはなぜか似合ふ。)

●月見草夢の海へと二人旅=スライトリ・マッド
◎喋、澄△五=7点
(五:兼題の「恋」と「海」を想像する句!二人旅という表現が悲恋の二人をいざなうように思えました。)

●林間のはかなき恋に蝉時雨=喋九厘
○五、前、久△月=7点
(五:軽井沢の恋を想像しました。恋と蝉時雨はよく合います。 久:林間学校で芽生えた淡い恋心と蝉のはかない生涯が相俟っていい感じです。 月:君は林間派、それとも臨海派?)

●待てば待つほどに恋しき月見草=五六二三斎
○資、二△里、君=6点
(資:黄色の待宵草,やるせない気持ちが良く出ている。)

●恋すればこの身やつすや浮人形=五六二三斎
△木、里、君、ス、資=5点
(ス:私も一度くらいは身をやつすほどの恋をしてみたいわん!もう無理かあ・・)

●コンビ二のベンチに恋や夏の宵=木笛
○君、メ△前=5点
(メ:今やたむろするのはコンビニか?)

●夏あざみ恋の小路は果てしなく=スライトリ・マッド
○澄△木、喋、資=5点
(資:夏が過ぎ風あざみ。おいらは少年探偵団。)

●海と空永遠の恋誓ってる=澄響
◎メ△入=4点
(メ:シンプルでいい。 入:きゃーかっこいー、少し照れない?)

●氷レモン含みて熱し幼な恋=君不去
○月△喋、メ=4点
(月:冷房の効いてる茶店じゃだめよ!)

●初恋の二人の宵にアンタレス=前鰤
○五△入、二=4点
(五:昔の思い出がアンタレスを通して伝わってきました。 入:どんと恋。)

●浜昼顔 手繰る花蔓 恋の糸=久郎兎
○里△澄、二=4点

●梅雨明や海岸テトラ音乾く=入鈴
○ス△久=3点
(ス:音が乾いてという表現が面白いなあと思いました。 久:コンクリートの熱い肌を足場にして、浜に出る。福岡にもたくさんあったと思う。 月:本格的な夏到来!)

●波しぶき子らを見守る海日傘=木笛
○喋△二=3点

●はからずも焔に入るや夏の恋=君不去
△木、前、久=3点
(久:虫でしょうね。電灯の周囲に虫のドラマが。でも気をつけてください。カ ベチョロが。)

●夏至過ぎて恋文メールに夢うつつ=喋九厘
○メ=2点
(メ:この句も現代風。)

●モロヘイヤ極々微細に恋語り=入鈴
△君、ス=2点
(ス:みじん切りのモロヘイヤは粘っこい!)

●青い海 台風一過 ワカシ釣り=メゴチ
△澄=1点

●海に見しザビエルの道夏遥か=スライトリ・マッド
△五=1点
(五:ザビエルの苦難の伝導の道が伝わってきました。 月:坂と教会と海がみっつ揃うと繪になるなあ。)

●香水の海に没する聖樹(ハリウッド)=月下村
△資=1点


■雑感
今回で12回、私事で恐縮ですが、これで来年の福岡個展のテーマ「游俳」の題材となる12句が出揃いました。皆さん、ありがとうございます。
こうして並べてみると、どれも創作意欲を刺激してくれる、素敵な句ばかりです。
今から1年をかけて、個々の作品とじっくり取り組んでいきたいと憶っています。夢が実現しますように、皆さんも応援宜しくおねがいしますね!

●忘られぬ道きっぱりと夾竹桃 =白髪鴨
●嵐明け 約束の青 露草よ=入鈴
●葉と花と その露さへも小萩かな=入鈴
●赤き実を ひとつ残して 行く秋や=君不去
● 枯れ葉踏む セピアの音に佇めり=月下村
● かほりたつ話はずみし柚子湯かな=スライトリ・マッド
●雨止みて水仙の息聞こえたり=五六二三斎
●一千の善き春終ひ恩師逝く=月下村
●子ら行きて一人あたたむ春炬燵=君不去
●これやこの風に乗れかし巣立ち鳥=君不去
●老犬に蚊取り線香そっと置き=木笛
●庭涼し条幅の書の余白かな=月下村


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