*B部門入選作発表*

兼題「新」・「年」*全27投句(入選24句)

【特選】
一席
16●新芽見んとつまさき立ちす春隣=君不去


  ◎久、入、二◯月、平、喋、ス、里=19点
(久:覗き込めば春、といったところか。最後に「春隣」としたところはいいですね。「春と成り」ともイケルしね。 入:字余りがつま先立ちのヨロヨロ感を出していて、春となりで着地成功。 月:春を待つ、ワクワクとした気持ち、身体もほころぶ。 平:「はるどなり」っていう言葉、初めて見たけど、感じた。また一つ世界が広がりました。 ス:は〜るよ、来い!は〜やく、来い!って感じ。 里:梅の花を期待しての行動でしょうか。穏やかでユーモラスな情景です。)

二席
26●ほどほどの 雪めでる幸 この年に=平百合


◎月、君◯資△五、前、久、喋=12点
(月:ほどほどの酒で雪見といきたいもんですね。 君:こんな気持ちを五七五に詠みこめるのに感心しました。 五:わび、さびを理解する年頃になってきたことを、自分で実感している。それを幸としたところに、人柄が浮かばる。 前:としとったなあ・・という感じ。 久:この句のようであってほしいですね。災害がなく、雪見気分でしょうか。)

二席
27●闇十年  有情の芯に 榾(ほた)燃ゆる=月下村


◎五、ス◯澄、君△平、資=12点
(五:榾とは、「焚き火にする樹木の切れ端、ほたぐい。」と辞書にありました。燃ゆる火の勢いは、切れ端でも、炭火でも同じこと。ほんとの情けは、小さなものでも、真の 愛情や友情にあるのでは?ここまで、書いてくると、作者は自ずとわかります。  ス:うじょう、高邁な言葉やなあ。なんか上手いって感じ。 君:どんな思いがあったのか? 平:意味深な歌。)


【入選】
06●寒梅や薄陽に去年(こぞ)の香する=入鈴
◎喋、資△平、前、君=9点
(平:まだ年が明けたばかりで去年をひきずっているのか。 君:この冬はほんとに梅の開花が早かった!)

11●少年よ 楪(ゆづりは)捨てふ荒れ野往け=月下村
◎白○五、入△澄、二=9点
(五:少年よ大志を抱け!クラーク博士の京都版かな?間違ってたら、すみません。 入:新年に相応しい、元気が出ます。)

25●冬星座 遥か昔か 新星も=喋九厘
◎澄◯里△月、五、前、君=9点
(月:光速を超えるものは思念のみ。 五:私は、●冬星座 遥か昔の 新星か もよいかと思いましたが、そうすると、すべてが新星になってしまうんで、これでよいのかもしれませんね。 里:個人的に好きな世界なので、宇宙物にも期待します。)

18●猪口に清む梅の照らせる新水や=入鈴
○五、ス、資△二=7点
(五:太宰府天満宮の曲水の宴を思い出しました。 ス:しぶい。)

02●新しき湖何処雪深し=五六二三斎
◎平△入、ス=5点
(平:どこの湖なんだろう。 入:立て札か何かないとちょっと危ない気がしますが、そのぎくしゃく感がいいと思います。 ス:春を待つ気持ちも伝わって。)

19●西新の路地奥行きて水仙花=君不去
◯久△月、入、喋=5点
(君:福岡の懐かしい商店街に思い馳せ。 久:地名の西新で選んだわけじゃないけど、僕も西新に水仙が似合うと思うのは何故なのか?リヤカー部隊で売ってたのか、祖原・高取にあったのか、今では分かりようも無い。 月:水仙のあとに「花」をつけて「すいせんか」と発音することで、きっぱりとした、爽やかな映像が生まれた。 入:えこひいき。藤崎生まれ、紅葉神社、西新の太鼓焼き白あん。)

07●クァントゥワンと神名備(かんなび)の底 年迎ふ=月下村
△入、ス、二、資=4点
(月:クァントゥワンは元旦のオノマトペのつもり、神名備(神奈備、神南備とも)=かんなびは山を意味する古い日本語。 入:万葉の発音なの?なんか古めかしさにミーハーします。 ス:わからん。でも選んでしまったってどういうこと?)

10●自縛解く 新たな年の 始まるがごと=平百合
◯君△月、資=4点
(月:日進月歩、少しずつ自由な心になれるといいな。)

22●年の花シンビジュウムの喜色満ち=スライトリ・マッド
○前、入=4点
(前:全く知らない花「ランみたいな花らしい」ですが、喜色ってどんな色? 入:シンビジュームに、いかにもっていう冷たさを感じていましたが、この花の大らかさに開眼。)

24●弾初の祈りよ届け新世界=五六二三斎
◯月、平=4点
(月:中越に、南アジアに、中東に。 平:「弾き初め」で、新世界ドヴォルザークか?それとも?)

12●新春に 年輪重ね 雪だるま=喋九厘
◎前=3点
(前:これって季語重なりと言うんですか?でも、ユーモアがある。)

01●アウシュビッツ六十年のときが経ち=スライトリ・マッド
△平、久=2点
(平:どなたが、こんなこと考えたのか興味があって・・スマかイリリン以外の人なら面白い。 久:風化という二文字がいつも頭をかすめる。ああ、60年。我々も53年になるのかあ。)

08●苦が如く 滲む年輪 忍ぶ冬=久郎兎
◯喋=2点

09●去年今年心の旅路続きゆく=五六二三斎
△澄、喋=2点

13●新雪の小千谷の友よ幸くあれ=君不去
◯澄=2点

15●新線や 切符片手に恵比寿顔=資料官
◯久=2点
(久:新線の記念切符は地下鉄七隈線のか。大阪だったら「恵美須」となるところだか。)

21●年波の 垂れた蓑虫 枝の百舌鳥=久郎兎
○前=2点
(前:年波の蓑虫って、矛盾?季語は何?)

04●新たなる 誓い元旦 飛梅も=喋九厘
△久=1点
(久:何を誓うのだろう。最後に飛び梅を出したところに、イキオイを感じるが。)

05●菅公に 新年の朝 志を誓い=前鰤
△君=1点

20●年新た神社に鈴の鳴り響く=スライトリ・マッド
△澄=1点

23●ニューフェイスんがあ烏の雑じりをり=入鈴
△ス=1点
(ス:「んがあ」がおもしろい。カラスの世界?)

■雑感
ごろにゃん:全体的な感想!春の句が多かった!まだ、1月の句だよ!
●春が来る美容師になり保母になり は好きだったが、春近し、春を待つ、春隣などを使っていたら、素晴らしい句になっていたと残念でした。
山茶花が出て来たのには、驚いた!確かに、まだ咲いているかもしれないが、花は盛りの時にしか、俳句では詠めないのだとあきらめています。私も、前に、百日紅の句を10月に作りたいと思ったが、季語がある限り、それはできないのだと悟りました。

月:個々の力量は確実にレベルアップしているのではないか。白川、小山両先生の賜物であります。
俳句が切実なる文学でありうることに、僕らは初めて気がついたのではないだろうか?
徘境、その地平に立ちて文神に壮絶なる戦いを挑む者があり、はたまた飛花落葉の観念に男の最後の生きざまを求める者があることを、粛々と知りました。
(丘ふみ游俳倶楽部編集長 月下村。)

B部門入選作

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