*B部門入選作発表*

兼題「聖」・「夜」*全24投句(入選20句)

【特選】
一席
06● 寒月や光となりて夜汽車ゆく=君不去

  ◎資、ス◯里、喋△五、入、平=13点
(資:カシオペアか北斗星か。だんだん夜汽車もなくなりつつあり。 ス:月と汽車、絵になるなあ。 五:クリスマスに走る夜汽車を思いました。 入:動きの無い寒月、光となる程速い夜汽車の対比に惹かれました。 平:どちらの夜汽車もよかったけど、実感がこもった方。)

二席
05● 風花を 狩りて残れり聖き水=月下村

◎里、喋◯五、入△ス、久=12点  
(里:季節の最後ですか。 五:狩りが季語ですか?ストーリーのある句ですね! 入:風花を探し捉える、なんてロマンテイーク。 ス:風花、実際に見てみたいよ、よくこんなこと考え付くものだと感心。 久:風花は聖き水にはなれないのか。この風景を思い浮かべるのは難しいが、「狩りて残れリ」で選びました。)

二席
10 ●聖夜祈る レノンの声が 覆ふ街=月下村

◎五、君◯ス△前、里、久、二=12点

(月:1980年12月8日、ひとりの偉大なミュージシャンの魂が天に昇った。毎年この頃になると、クリスマスを待つかように、彼の歌声がまた街に還ってくる。 五:ジョン・レノンの逝きし月が12月でしたか?レノンの声が皆に新年の幸せを運びますように! 君:うん そうそう。 ス:Happy X'mas.は、好きな曲です。 久:なんとなく重厚な感じがするのは気のせいか、平和を祈るイメージを呼び起こ す。)

【入選】
12 ●層漬けの 聖護院蕪 白い息=久郎兎
◯資、里、君、ス、平△二=11点
(資:京都だねぇ。 里:季節感が漂うのがこの句ですが、土地柄から当主の句と感じます。 ス:千枚漬の美味しい時期だけど、寒中作るのって大変なんだろうね。 平:聖護院ってのもユニーク、冬の感じもでてる。)

15 ●長き夜を紅茶とクッキー本メガネ=平百合
◎久◯君△月、喋、ス、二=9点
(久:二重丸をどれにするか迷いましたが、単純に普通名詞を並べたこの句にしました。あっさりしています。 君:何というしあわせ! 月:こころがあったまります。 ス:絵本の世界のようだ、でも太りそうだ。

18 ●初氷 聖(ひじり)を偲ぶ 読経かな=五六二三斎
◎月◯前△資、里、平、二=9点
(月:しんしんとロゴスの響きゆきわたる。 前:永平寺の雰囲気。 平:どちらの聖?「聖」を使うための創作?はめられたのかな?)

19 ●吹雪く夜 闇塗り込めど 波がしら=久郎兎
◎入◯前、喋△資=8点
(入:吹雪と波濤の、力比べってこと? 前:寒そうですね。)

13 ●電飾の熱に聖樹の渇きをり=入鈴
◎平◯五、久=7点
(平:なるほど、そういうこともあり得るなあ、着眼点に感心。 五:聖樹も、電気の熱でのどからからでしょうね。 久:木は熱いよぉ、重いよぉ、という事か。「をり」を今まで使ったことがないので参考になります。)

07 ●着ぶくれのバイクのサンタ駆け抜ける=スライトリ・マッド
◯久△月、入、君、二=6点
(久:楽しそうな風景ですね。分厚いというのを着膨れに言い換えたのもいいです。 月:サンタというよりも、ヨンタかゴンタやね。 入:こういう光景の見られる街っていいな。)

23● 雪待ちてひと夜かぎりの夢のまま=君不去
◎前△五、入、喋=6点
(前:雪は降ったの? 五:スキーヤーなのか?雪女を待つ恋人なのか? 入:なんか演歌、堂々としていい。本人の思惑と違ってたらごめんなさい。)

22 ●夜行列車 桜待たずにさくら散る=喋九厘
◯月、入△資=5点
(月:たたずまいがいいなあ、人生、そんなことばっかりあるよなあ。 入:受験の頃の個人的な思い出に○を捧げます。 資:上五の「やこうれっしゃ」が冗長。「あさかぜや」なんてどう?でもこの句には反応。)

01 ●アレ何語?聖なる夜の”SHU・WA・KI・MA・SE・RI”=前鰤
◯月△喋=3点
(月:僕は梅花幼稚園の時、シュワキ・マセリって区切って歌ってたな。)

08 ●集会の楽し聖菓のトッピング=入鈴
△五、君、平=3点
(五:かわいい句!トッピングという言葉の響きもよし! 平:「聖菓」という工夫、「トッピング」という今風語彙。)

20 ●冬の夜の狭間に揺れる 交響詩=五六二三斎
◯資△君=3点
(君:”揺れる”がいいな。)

21● 星ひとつ天に落ちたり待ちし夜に=スライトリ・マッド
△前、資、久=3点
(久:クリスマス関連の平凡な句であるけれど、「地に落ち」ではなく「天に落ち」であるところに惹かれます。 ス:ふたご座流星群を待っていた晩、ナイキマークのように右上がりに流れたのを見た!)

04 ●オリオン夜 くろぐろと林乾きぬ=入鈴
○平=2点
(平:同じ光景を表現したくて、A部門でチャレンジしたよ。)

24● 猟奇ゆく 我と吾なり聖き夜=月下村
△里、二=2点
(里:ご時世を風刺されてるのかな。)

02 ●イブの夜が集まり易し 年忘れ=資料官
△前=1点

09 ●聖子とは昔わけあり 雪の華=喋九厘
△ス=1点
(ス:聖子ちゃんって誰ですかあ?)

11 ●戦場のメリィクリスマス聴きし夜=スライトリ・マッド
△月=1点
(月:クリスマス停戦しろっての!!)

■雑感
●猟奇ゆく 我と吾なり聖き夜
「月下村!なんだこりゃあ〜〜! だめでしょう! 俳句では『我』も『吾』も謳っちゃだめ、だめ!」突然に二六斎の檄が飛ぶ。
「言挙げ」といいまして、言いたい事を全部言ってしまうほど俳境にふさわしくないものはないのである。
「月下村!もっともっと我慢しなさい、我慢を!」どうやら私の句はどれもこれも自己表現が過多でお下品がすぎるみたいである。
もとが田舎もんなんで、いたしかたないところもあるのだが、それにしても修行が足りないのだ。
「すんまっしぇん。それがキャラなもんで・・」と言い訳したらしゃあないやっちゃなってな二六斎のもじもじ顔。
バカな息子ほど可愛いのか、初めての東京「め組」句会でのひとこまは満面に愛情たっぷりの笑みを浮かべての宗匠ではありました。
何が俳句かと問われて、その人の品位と素養以外のなにものでもないというところが、恐ろしく深い俳諧世界なのである。

バカを承知でもう一句
●フォーク唄う 四十七士の雄叫びか
白川先生の慈愛、二六斎の叱咤激励に思わず雄叫んでしまう初春である。 (丘ふみ游俳倶楽部編集長 月下村。)

B部門入選作

創刊号 第二号 第三号 第四号 第五号