*B部門入選作発表*

兼題「二」・「三」*全21投句(入選18句)

【特選】
一席●走る汗 二人三脚 いわし雲=久郎兎 
◎五、入、澄、平、前◯一△、喋、資=19点
(五:秋の運動会のシーンがよく表現されている。 文句なし、特選! 平:運動会だよね 入:汗と鰯雲がぴったり、上手すぎ。)

二席●秋風も ほんの二・三歩 そこの角=木笛 
◎月、久、湯△五、一、入、平、資=14点
(月:作者の心根の可愛らしさ、素直さが偲ばれる一句。 五:秋を待ちわびる心情がよく伝わってくる。 久:この句を見た瞬間、一番に選びました。少しの代わりに二三が自然でいいですね。 入:そういう気持ち皆がもったでしょう、今年の残暑。)

三席●君が舞う二人静(ふたりしずか)か盆の月=五六二三斎
◯月、喋、資、澄、ス△一、久=12点
(月:幽玄の世界が目に浮かぶよう、ちょとキレイすぎるけどいいや。 久:「二人静」が植物で「一人静」もあるなんてビックリ、でも踊りの名前のようでもあります。)

三席●立ち漕ぎの少女三人夏の朝=五六二三斎
◎喋◯久、前△月、一、入、木、ス=12点
(入:このうちの一人になりたいものだ。 久:勝手に自転車3人乗りを思ったけど、いいのかな?サンケツということかなあ・・・)

【入選】
●父逝きて三年初の百日紅(さるすべり)=五六二三斎
◎資、ス◯入△平、木、前=11点
(平:百日紅に反応してしまう 資:この時期咲く花,百日紅,向日葵,朝顔,夾竹桃ぐらいか。今年は特に,百日紅が長く紅く感じた。あわただしく3年が過ぎやうやく紅い花が目に残ったのだろうか。 入:三年と百日と、時がたつということを、こんな風に美しく表せるんだなあ。)
●甲子園 息止め見守る ツースリー=前鰤
◎一◯五、平、ス=9点
(五:甲子園は立派な季語!きっと、九回の裏、ツーアウト満塁、一打逆転の名場面か! 平:英語か)
●虫の音に 二・三句詠みて 生きており=木笛
◯月、湯、資△五、澄=8点
(月:この作者、肺病でも病んでいないといいのですが・・。 五:句とともに生きる心情が出ている。芭蕉の再来か?)
●鮮やかな酸漿の色二つ三つ求む=スライトリ・マッド
◯一、喋、久=6点
(久:「かがち」ってホオヅキのことなんですね。求めたのはホオヅキですよね。)
●花カンナ三連水車を見守りつつ(栗原隆司:九州花の旅69P参照)=資料官
◎木△月、入、前=6点
(資:赤信号のような赤いカンナの花が朝倉の三連水車の脇に立っている。なかなか良い組み合わせ。 月:絵になります、お〜っと、写真になってるってか。 平:「見守りつ」で止めたらいけないの?選ばなかったけど、・・・。 入:三連水車があんまり堂々としているので、真っ赤なカンナが楚々として見える。)
●二日酔い 三日月太めの 宵さやか=久郎兎
◯平△喋、資、ス、前=6点
(平:太めの三日月がどういうわけか引っかかる。 資:二百十日の夜は欠け始めた丸い月が酩酊した目にはよがんで見えた。逆もあるんだねぇ。この次丸くなるのは中秋の夜。まだ残暑が厳しいこのごろ。)
●秋立ちぬ 涼風ざわわミニトリップ=喋九厘
◯入、木△澄=5点
(入:涼風が吹いただけでも、どこか他所へ運ばれたような気がします。)
●三回忌 あなたと過ごす月の庭=月下村
△久、湯、喋、ス=4点
(久:両親二人とも亡くされたのでしょうか。静かな静かな自宅の庭を思い浮かべました。)
●三度目のこのときめきは本物か=澄響
◯五△月、湯=4点
(月:勇気ある告白やなあ〜、ん?告白したのかなあ? 五:52歳はelegant & beautifulに生きよ!恋せよ!丘女?or 丘男? 久:熟年夫婦の愛の証しなのか、うらやましくもあ〜る。)
●きゅうりモミ 好み二杯酢 三杯酢=久郎兎
◯湯△平=3点
●文を待つ 満月涼し月見草=喋九厘
◯澄△久=3点
(久:静かな秋を過ごすにはいい環境だなあ。数字の二三を使ってないけど選んじゃいま した。)
●一生の 不二三秋に 身を立つる=月下村
△澄=1点
●金の花 二度目も咲いた撫子に(女子マラソン金メダルのことですよ!)=澄響
△湯=1点
●二三が六 覚えていたはず 誕生日=平百合
△五=1点
(五:同じ誕生日の者がこれとらんやったらダメだよね!織姫さん!)

■雑感
※A部門はすべてに○か◎をつけたいくらいだった。Bは面白かったけれど、(私はBには投げ入れしていないごめんなさい)◎以外は少し平板だったかしら。(入鈴)
※アテネに次いで、女性陣の活躍が目立った第二号游俳倶楽部でした。喜ばしいことである。私淑する藤原新也はその著『メメント・モリ』の中で、「自然を真似た女は畏い。そしてやさしい。」と書いているが、その意味は「女性は男に比べると『自然』と容易に一体化できる存在である」ということであろうか? 男は『自然』と対峙してそれを客観的に捉えようとする傾向があるのだろう。
とにかく、個性の違いは勿論のこと、性別でも作風に誤差があるように思えたのが今回とてもおもしろかった。
兼題の「二」/「三」の解釈も人それぞれで楽しかった。「二・三歩、二人三脚、ツースリー、」等、「二」と「三」を組み合わせて両方を一句に盛り込む手法が多かったのが前回と大きく違うところだろう。なかには「文=23」「ミニ=32」という天外な発想で句作する怪人も現れた。みなさん、まだまだ頭が柔らかいなあ、と感心させられた次第であります。
実感〜〜んっ!句の醍醐味はこの一語に尽きる。小手先でひねりだそうとしても自分の見栄っぱりが顕現するだけで、とても人の心に届くような作はのぞめない。と、自戒の念を強くした今回の編集作業でした。(丘ふみ游俳倶楽部編集長 月下村。)

B部門入選作=創刊号