*B部門入選作発表*

兼題「天」・「災」*全28投句(入選25句)

【特選】
一席
●もみじもみじ天まで伸ばせ幼き手=君不去

 
◎月、木、一、久、喋◯前、入=19点
(月:愛らしい親子の情愛、思わず、このまま、幼子のままでいてくれたらと思うかも。 一:子供の手(もみじ)と、紅葉のもみじ、そして伸び伸びした躍動感がいいですね。 入:秋空に枝先のもみじ葉が、チョロチョロしてるのってかわいい。)

二席
●靄る壁 くどの災除け 京町家=久郎兎

 
◎五、君、資◯入△ス=12点
(五:京の伝統のことは、よくわかりませんが、災除けにそれなりの伝統が施されているのでしょうね。ぜひ、その施しを教えてください。 入:オーこれぞ京の町屋の真骨頂。 ス:生活感があってええわあ。)

三席
●秋冷の 今日は如何にと 災禍の友=木笛


◯久、平、君△澄、入、ス、資=10点
(平:誰も同じ想い。入:他に言葉がないです。 ス:西川君のこと思ってしまうね。)


【入選】
●千日紅 天の授けしマゼンタよ=入鈴
◯平、喋、ス△久、君=8点
(平:カタカナが意外と効果的で鮮烈。 ス:センニチコウ(?)の6文字が少し気になったんですが、それを差し引いても魅力的。)

●天の留守 来る災い 冬に入る=五六二三斎
◎入◯前△木、澄=7点
(入:こう考えることができれば、少し楽かもしれない。)

●囲炉裏ばた 災いなるか 君去らず=月下村
◎前、平=6点
(月:「きみさらず」=千葉/富津は小泉酒造の銘酒、酒米は「ふさおとめ」  平:こういう正直なのきらいじゃない。)

●天高く 雲の流れに 手を休め=木笛
◯喋△久、平、澄、君=6点
(平:これも同感。)

●いのちのホ まどろむ天子 日向ぼこ=月下村
◎ス◯久=5点
(ス:ホがおもしろい)

●二人して天とはなりぬ空高し=君不去
◯月、五△喋=5点
(君:文字で遊んで・・ 月:うまいね、でもそのうまさが嫌味にならないのが人徳です。 五:自動車の転落で亡くなられたお母さんとお嬢さんのことを思い出しました。)

●冬めきて 祈るは 無病息災と=五六二三斎
◯木△喋、入、資=5点
(入:他はなんにもいらないって気持ち。)

●掛け合いの 終い天神 清め道=久郎兎
◯五△平、入=4点
(五:「終い天神」は12月の季語!それなら、いい句です! 平:季節感あふれる日本の街。 入:掛け合いの後訪れる一瞬の静謐まで感じられます。)

●息災か はるかなる友 届けおもい=平百合
◯君△前、ス=4点
(ス:その思いに尽きる気がします。)

●天寒く 地に災いて いかにゆく=平百合
◯資△久、前=4点

●天駆ける 夢の向こうに春が来る=喋九厘
△月、前、澄=3点
(月:吉永小百合に唄わせたいね。)

●天城越え 踊子見しや 散る紅葉=五六二三斎
◯平△君=3点
(平:伊豆の踊り子か。)

●災害の地に王林の香運ばん=入鈴
◯月△資=3点
(月:林檎の爽やかな香りは腹だけじゃなく、乾いた心も満たすだろう。)

●天の邪気 なせる災い ともに越えん=平百合
◎澄=3点

●ゆく災禍 紅尽き舞うも 山河の理=久郎兎
◯資△喋=3点

●夫(つま)によりて災いはらひ小春日や=君不去
◯木=2点
(君:部長の奥様を思って)

●冬麗に 舞ふや 飛天の同窓会(どうそうえ)=月下村
◯ス=2点
(月:飛天とは「中西和久」であり、丘女である。 ス:ドウソウエと読ませる裏技に感心)

●禍を試すか如くに与えし天は=スライトリ・マッド
◯澄=2点

●災いと小春日和も 幾星霜=喋九厘
△木=1点

●木枯らしを 災難避ける遍路道=喋九厘
△五=1点
(五:お遍路さんの道がどんなになっているのか?教えてほしいです。)

●秋気なく 天より賜う ことつげか=木笛
△月=1点
(月:天の声を聞く耳が失われたら、人間は滅びるがよかろう。)

●ピエイエス天を響かすうるはしき=スライトリ・マッド
△月=1点
(月:ごめん、ピエイエスが分らないのに選んでしまいました。)

■雑感
今月のお題は「天」/「災」。
「天」の「災い」から学ぶこと、天の声に耳をかたむけること。決して「天声」を「人語」で解釈し直さないこと。
謙虚になれと自戒するに、人間は自然の中では熊や狸ほどの小さな存在であることを喜びとし、間違っても尊大な動物だと勘違いせぬこと。
悲観的にものを見ると、それもこれも今からではもう遅いのかもしれません。あとのことは至高の天使(セラフィム)にまかせて、我々はこの、人生の美しきを多いに味わおうではありませんか。ね、みんな!
(丘ふみ游俳倶楽部編集長 月下村。)

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