*B部門入選作発表*

兼題「青」・「葉」*全34投句(入選28句)

【特選】

一席
●葉の海や歩みもできず花南瓜=木笛


◎里○前、君、喋△入、二、五=12点
 (入:黄色の花々と緑の海にまずは寝転ぶ。 五:花南瓜の葉におおわれた畑、歩くのもたいへんだという作者のやさしさが伝わってきます。)

二席
●風問ふて木の葉答へる夏公園=月下村


◎前、久、資△木、君=11点
(前:好きなのですが、このような句は季語を入れるのが難しいですね。 久:大木の上部が枝ごとユラユラ揺れていて、風はあるけど暑い夏の昼下がり。もちろん葉も揺れていて、その動きは一様でなく、それがあたかもこちらに手旗信号を送っているように思えました。構成は単純だけど、いいですね。森の木でなく並木でもなく、独立木の公園としたのもいいです。僕も詠んでみたい句の一つでした。)

三席
●スープ煮る青き愁いのトマトかな=スライトリ・マッド


◎五、君○月△入、久=10点
(五:スープとトマトの外来語のバランスがよい!トマトの青々さの残るスープの味に夏を感じる! 月:ちょっと酸っぱくってコクがなさそう。 入:ウーン、あれこれ考えてる。スープの出来栄えをトマト自ら憂いてるとか? 久:人生の青い部分をトマトにたとえ出来上がるスープを一つの完成した人生たとえたものかな?お味はいかが?)

三席
●薔薇色のバラに青きを問ふてみる=入鈴


◎月○澄、メ△木、二、ス=10点
(月:青い花は自然だけど、青い薔薇ってなんか人工的な、整形美人みたいやなあ。 メ:バラが好きです。 ス:青バラもそのうち普通になるのかも?でもあの青は紫に近かったような・・)


  【入選】

●君に差す青葉の光つたう汗=木笛
◎澄○久、資△里=8点
(久:運動をしている女子高生が木陰で一休みしてタオルで額を拭う情景か。)

●花ツツジ 朽ちて葉面で 風を待つ=久郎兎
◎木、入△里、君=8点
(入:豊かな連想ができました。花の咲き溢れ、蜜蜂とか煩いほどの五月、六月は雨に打たれくちて、そして風の予感をもたせ、心にくし。)

●朝顔や葉脈透かし今日も晴れ=喋九厘
○木、前、メ△澄=7点
(メ:このあいだまで東京は空梅雨でした。)

●葉の陰をさまよう夏の右往左往=木笛
○入、喋、資△月=7点
(入:北関東と東北の五、六月の冷夏を予想させた、緑萌えの遅さでしたが。 資:夏の右往左往,私の人生も右往左往,何か感ずるものがありました。 月:自嘲的なのがカワユイ。)

●若葉冷睦む恋あり窓と窓=五六二三斎
◎二○ス△入、久=7点
(ス:うーん、ロマンチック! 久:冷は冷えかな?春の生の勢いの中にしっとりした落ち着きを感じさせます。 入:窓々に控え目な恋の影あり?)

●五月雨の青き猫抱くブラームス=入鈴
○二、君△月、喋=6点
(月:五月雨=青=猫でブラームスは1曲作るやろね。)

●空食みし青き塊夏蝶舞ふ=君不去
◎ス○木△メ=6点
(ス:シュールだ! メ:昆虫採集の日々を思い出します。 資:黒いアゲハチョウ,ひょっとしてこれこそオオムラサキ?)

●青蛙葉色に入りぬ虫よ来い=君不去
○入、久△木=5点
(入:ラッキーカムカム、カラーはさ緑。装着完了。 久:この句を◎にしようかと考えたが、多分達人の句ではないかと思ったので○にしました。たいへん動きを感じさせる句です。青→葉色、虫→葉、蛙→虫。)

●澄み渡るマーラー響く青き初夏=スライトリ・マッド
○澄、里△五=5点
(ス:交響曲8番のマーラー節を青空の下で聞いてたら不覚にも涙が出そうになったとです。あちゃ!政治的か! 五:マーラーの曲までは私の知識ではわかりませんが、マーラーと初夏は合うのでしょうね?)

●葉隠れで今も青春夏の陣=喋九厘
◯五△澄、久、ス=5点
(五:外でお仕事をなさっている方の句でしょうか?暑い夏もいつまでも青春をやって下さい! 久:若さを感じさせます。還暦過ぎて出てくる青があるかも。 ス:武士道精神?なんか元気そうで楽しい感じがします。)

●緑陰の やさしき小径 影青し=久郎兎
◎喋△前、里=5点

●紫陽花の青紫に雫落ち=前鰤
◎メ△喋=4点
(メ:情景が浮かびます。)

●梅雨の野に幸せ発見四つの葉=前鰤
○月△二、メ=4点
(月:こういう人が好きです。 メ:私にください!)

●青蛙虚像の水にジャンプする=スライトリ・マッド
◯五△前=3点
(五:虚像の水とは何か?おそらく、日照りで、青蛙も水不足で虚像の水を求めているのか?)

●ロベリアの不思議に光る青さかな=前鰤
○ス△月=3点
(ス:ロべリアって何でしょう? 月:ロベリアを知らないのに、それが青く光るとは、何ぞ?螢?夜光虫?)

●風青し馬車路の幻影(かげ)凱旋門=月下村
○里=2点

●蒼窮に白煙昇り法王忌=月下村
△澄、二=2点

●葉桜や静かなりけりお堀端=資料官
△メ、君=2点
(メ:満開の頃は人も満開でした。)

●青葉風、香りもさやかに駆け抜けり=澄響
△前=1点

●青やかしなにやらなにやら蝌蚪群れり=入鈴
△資=1点
(資:蝌蚪「何だオタマジャクシのことではないか!!!!!!!」とは近代の俳人が好んで使うと記されていた。本当に群れている様子が目に浮かぶ。)

●楠若葉青空に舞うジャンボかな=五六二三斎
△ス=1点
(ス:一瞬を切り取った風景ですね、シャッターチャンスを逃さず俳句にしたところがいい。)

●城下にかれい踊るや葉擦れ鳴り=君不去
△資=1点
(資:この季節別府湾日出のあたりで獲れる城下カレイは美味なり。地元の人か旅人の作であろう。)

●青山(せいざん)はここにかしこに業平忌=五六二三斎
△資=1点

●未だ実見ぬ 十五の峠 青ホオズキ=久郎兎
△喋=1点

■雑感
久しぶりにカムバックしてくれた「木笛」さん、長いブランクを感じさせずに見事にA,B部門一席に選ばれました。 おめでとうございます。
彼女の、透明感のある、美しい語感は定評のあるところですが、今回の6句は外見の美しさに、プラス「発見」が加味されていたのだと思います。この「発見」が俳句には一番大切なことで、さらにそれが「独自の発見」であれば、かの「二六斎」先生もようやく首肯かれることでしょう。
その「二六斎」先生からA,B部門ともに天位を授かったのが「五六二三斎」さんでした。それだけ彼の句には「独自」の視点が含まれていたという事だと思います。
語感、日本語の美しさは基本だと思います。 ただ、「言挙げ」や「ただごと」「報告」「説明」にならずに、独自の俳味を詠うというのは、とてもとても難しいというのが実感です。
誰かが共鳴してくれる句を作るのはほんに並大抵のことではありません。

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