*B部門入選作発表*


兼題「金魚」・「夕焼け」*全47投句(入選37句)

【特選】

一席
●大夕焼いつしか喧嘩おさまりぬ=水音


◎ス○葱、入、君△白、五、里、メ、資、百、陰、香=17点
(ス:雄大さの中で人はちっぽけ。 葱:そういうもんですなあ〜、自然がでかいと、人間同志の争いごとのちいさかあ〜。 白:きっと作者は子供の喧嘩をうたっていると思うんですが、私は大人の喧嘩を想像してしまいました。世話物俳句ってジャンルがあればそれに該当するか…。 五:子供の頃の話?大人になっての話?喧嘩のわけが知りたい。 メ:自然の力にはかないません。 百:夕焼けとけんかがなんだかぴったり。)


一席
●ポケットに秘密を一つ大夕焼=水音


◎君○白、五、二、喋、資△里、夏、入、ス=17点
(白:童謡的な色合いがいい感じでしたが、出目金に比べるとすこし軽かったので○になりました。 五:これは恋句でしょうか?いいですね! 夏:おや、どんな秘密?と興味が沸くので。 ス:どんな秘密かなあ?)


三席
●駄菓子屋にブリキの金魚浜の風=夏海


◎二、メ○ス、香△葱、男、水、喋=14点
(ス:懐かしか〜! 葱:家族で遠出、楽しい夏休み! メ:ブリキの金魚の発想がいい。 男:子どもにいつしか忘れられ、少し錆が来てるのでしょうか。)


【入選】

●ゆやけ雲あれからずうつと文科系=葱男
◎五、入○資△夏、水、百、ス、前=13点
(五:東京の大学に行った人か?いろいろ青春時代を思い起こさせる。 夏:私も「ずうつと文科系」ですから。 資:どこかで見た記憶,句会三連荘に敬意。東宝満 西背振,赤い夕日が校舎を染めて。文系50年。 水: 物理で欠点とって夕焼けが涙に滲んだ? 百:ふつう誰の句かわかると選ばないのですが、「あれからずうつと」というのがひっかかって。 ス:36年前の話だね。 前:私はずうつと理科系です。)

●水引の金魚かなわぬ隠しごと=水音
◎里○五、夏、入△二、君、陰=12点
(水:水引細工は金沢の伝統工芸の一つです。 五:これも恋句?相変わらず、丘女俳人は冴えてるな! 夏:面白い!水引の金魚はお腹スケスケ。 陰:結納の水引? 若い女性の悲しさに思えます。 葱:よく知りませんが、水引に亀や鶴みたいに金魚の形に結んだものがあるのでしょうか?)

●夕焼色ピアフの空が墜ちてきて=スライトリ・マッド
◎陰、前○二、夏△葱=11点
(陰:感性に惹かれました。 前:そんなムードを感じます。 夏:ピアフがいいなぁ。 葱:暗い日曜日はダミアやったっけ? あなたの燃える手で・・・か。)

●夕焼けや仏おはする雲の座か=君不去
◎喋○里、水、ス△前=10点
(君:何か引き込まれそうに感じて。 水:いかにもそういう感じです。 ス:そういう風にも見える!きっと天国。)

●掬はれぬ右脳左脳の金魚かな=葱男
◎夏、資○前=8点
(夏:「右脳左脳」が面白い。 前:意味が知りたい。)

●夕焼そら前世紀の坡璃充たしゆく=入鈴
◎葱、百△夏、君=8点
(葱:この「前世紀の坡璃」ってワイングラスのことかな?なんだか、とっても贅沢な時間ですなあ〜! 百:この背景、たぶん知ってると思う。「坡璃」と前世紀の組み合わせ。 夏:明治の洋館の窓に映った夕焼けですか? 君:”前世紀の坡璃”って何んだろう?)

●鉢中や出目金一尾の世界あり=君不去
◎白、水=6点
(白:「ポケットに秘密を一つ大夕焼け」の句とどっちを推すかちょっと迷ったんですが、出目金の世界が勝ちを占めました。どっかりした感じのいい句ですね。)

●建水に映る夕焼や義母偲ぶ=入鈴
◎香○百=5点
(百:義母にひかれて。)

●金魚鳴く水面のむこう進化論=スライトリ・マッド
○百△里、資=4点
(百:「鳴く」亀は知ってましたけど。 葱:金魚は鯉や鮒が進化した魚という事でしょうか?)

●夕焼けに田も林もおらびよる=香久夜
○喋△入、水=4点
(水:おらぶって言葉を始めて知りました 感じが出てる。)

●餌くれと言ふ金魚と目を合はす=資料官
○前△男=3点
(前:なんだかおかしい。 男:っで、忘れててごめんねの世界か。 葱:金魚だけならまだしも、大きな子供と目が合ったりして・・・。)

●鬼気迫る夕焼け燃えて闇に消え=ひら百合
○陰△君=3点

●金魚釣祭りのあとの虚しさよ=メゴチ
◎男=3点
(男:突然町が何となく静かになるんです、気が抜けたように)

●純ちゃんと物干台のゆやけかな=葱男
○水△喋=3点
(水:古典的青春の思い出。)

●輪のまなか金魚の赤や跳ねてをり=入鈴
○メ△資=3点
(メ:輪のはじっこでないとうまくいかないんだよね。)

●我忘れ鉢も無いのに金魚釣り=男剣士
△葱、百、香=3点
(葱:童心に還ってっていうけれど、今も心は子供のまんまだったりなんかして。 百:そうなんですよね、誰でも覚えがある。)

●朝吸うて背びれ尾びれの金魚かな=スライトリ・マッド
○里=2点

●カンバスに夕焼け描く赤黄橙=木陰
○香=2点
(陰:最近、油絵を習いはじめました。)

●記念碑の上から近し夕焼雲=五六二三斎
○葱=2点
(葱:記念碑を見上げると、その向こうに美しい夕景が・・・。)

●金魚売り酔客相手に愛想振り=男剣士
○陰=2点

●金魚鉢水の中から何見える=メゴチ
○男=2点
(男:金魚にならなきゃ分からないところが・・・。)

●破られて金魚の夢に豆絞り=ひら百合
△二、香=2点

●破れ紙輪っかに金魚の腹白く=香久夜
○男=2点
(男:そこでもう一つ買ってしまうんですよね。)

●沐浴に如雨露となる金魚かな=五里
○君=2点
(葱:「如雨露」は「じょうろ」と読む? 君:そういえばビニールプールに金魚のジョーロ、夏の定番でしたね。)

●夕星や金魚めきたる紅い帯=夏海
△二、陰=2点
(陰:金星のこと? なんとなく詩的。)

●夕焼けて漁り火小焼け水平線=喋九厘
○メ=2点
(メ:語感が気にいりました。)

●夢追うや羽広げきて金魚飛ぶ=君不去
△ス、前=2点
(ス:同じようなこと考えてました。)

●くやしくて夕焼雲に明日誓う=メゴチ
△五=1点
(五:昔を思い起こす句はいいですね。)


●電灯の光に揺れる群れ金魚=前鰤 △メ=1点
(メ:見ているだけで楽しい。)

●夕焼け溶けぽつりとぽつり星が咲き=喋九厘
△五=1点
(五:ぽつりぽつりとではなく、ぽつりとぽつりという言い方が新鮮!)

●夕焼けに見とれていつしか通り過ぎ=男剣士
△メ=1点
(メ:いかにもな情景。)

●夕焼けや今日の湖(いずみ)に影を置き=五里
△喋=1点

●夕焼けや終着長崎雨上がり=資料官
△入=1点

41●夕焼けや野原で遊んだ幼き日=木陰
△男=1点
(男:今はなかなか見ませんねぇ。腕白でもいい・・・。)


■雑感
もともと高得点の常連さんですが、今回は特にA,B部門とも、水音さんの活躍に目を見張るものがありました。 勧誘も句も両方です。(^0^)/
水音さん、おめでとうございます。
一席になった
●大夕焼いつしか喧嘩おさまりぬ
の句は選者17人のうち、12人が選びました。「ポケット」と「水引」は二六宰先生も採っていらっしゃいます。 何も言う事なし! 水音さん、おめでとうございます。パチパチパチパチ。 (文責 中島。)
 

B部門入選作

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