*B部門入選作発表*


兼題「春の月」・「藤」*全47投句(入選35句)

【特選】

一席
●普通とふこと解かれたし朧月=入鈴


◎五、砂、百、ス△夏、水=14点
(五:朧月を見ながら、何か人間の内面を感じる句で、どっきりさせられました。 百:自己流に解釈。日常から解放されたいってこと? 夏:大人の物思いですよね。 水:哲学的ですね。 ス:ふむふむ、さうさう!)


二席
●荒波をまあるく砕く朧月=水音


◎メ○香、澄△月、君、砂、喋、百、ス=13点
(メ:まるくじゃなく、まあるくがいい。 香:海の句、絵画のように情景が浮かびます。 月:激しい波に春満月の影差して。 百:その対照の妙。 ス:まあるくね!)


三席
●空統(すべ)る野心のありや黒龍藤=夏海


◎入、香、水△資、喋=11点
(月:春日大社神苑の八重黒龍藤が有名。 香:大陸ではあなたの心も大きくなったのでは? 入:黒龍藤というのが、どのような様の藤なのかわからないのですが、藤の蔓の這い方や花房にみなぎる生命力にぴったりの句。 水:これもまたスケールが大きい。 ス:黒龍藤って名前は勇ましいけど、八重のきれいな藤なんですね!初めて見ました。)


【入選】

●付き添ふて病院にをり山は藤=水音
◎男○入、百△月、五、ス=10点
(男:春は来たと言うのに、長い付き添いはいつまで続くのか。父の入院を思い出します。 入:看取り{看病}の句なのに、野生の藤で結ぶところがかっこいい。 百:その淡々としたせつなさ。 月:病室の窓から山藤が見えたのでしょうか? 生命の清明の尊厳。 五:病院の窓から山藤が!きっと、郊外の6階くらいから眺めているのか?二章一句になっている。 ス:こういうのも弱い!)

●わが銀河まがたま形とや朧月=夏海
○里、月、君、喋△澄、二=10点
(月:いいですねえ、是非とも子供達に詠んで聞かせたいような句ですね。 里:宇宙もんは好みです。 君:17文字でこんなに大きな世界を掴めるなんて!!)

●藤波や坂のぼりくる杖の音=水音
◎月、喋△前、君、砂=9点
(月:坂道を登る老人の杖の音、藤波のあやかしは人生能舞台である。翁も姥も花は花。)

●角打ちや横丁で遭ふ春の月=月下村
◎君○、ス、五△夏=8点
(ス:少しいい気分で千鳥足の作者が目に浮かびます。 五:横丁というと、法善寺横丁が思い起こされます。浪花の風情ですか? 夏:流石の実力!「横丁」の庶民性がいい。)

●せせらぎを聞きて咲き初む山の藤=スライトリ・マッド
○前、香、メ、水=8点
(香:山藤は早くさきますか?清らかです。 メ:さわやかですねえ。)

●生き急ぐ頬なでる風月朧=木笛
○百△里、資、香、澄、水=7点
(百:やっぱり非日常に誘われる感じ。 香:ホリエモンの根性だけは見えた。 月:生き急いで、のち、ラッキーなら穏やかな老後です。最初から生きる事に保険かけてたら、良い老後はないぜよ! 水:もしかして堀江さんですか?)

●亀たちも見上げし天神様の藤=資料官
○男、澄△入、百、ス=7点
(男:一斉に同じ姿をとる亀の可愛さ。何を見て何を考えているのか。今は埋め立てられた愛宕山の下の亀池、亀はどこに行ったのか。 澄:かわゆいですね〜。 入:亀も好きです。まことに吉祥かぎりない様子。見上げる、り? 百:亀は春にぴったり。 ス:ほのぼの!)

●ひかり待つ想ひのたけを藤の花=スライトリ・マッド
◎澄○資、前=7点

●花の夜 真如の月の灯りかな=前鰤
◎里○君△メ=6点
(里:この景色を詠みたいと思っていました。)

●高層の散りばむうつつ春月夜=木笛
◎夏○資=5点
(夏:高層ビルの窓ごとに其々の現実、超然として春の月。視点が鳥瞰的。)

●歳々の想いゆられて藤の房=香久夜
◎前△里、澄=5点
(前:藤の房に自分の歴史を重ねるのですね。)

●つきおぼろあなたのきもちはかりかね=スライトリ・マッド
○メ△資、夏、香=5点
(メ:恋してますね、貴方。 夏:詩心、Good! 香:学生時代を思い出すなぁ。)

●山遥か藤紫と匂い立つ=喋九厘
◎資○水=5点

●高層の銀サッシ濡れ朧月=入鈴
○男△君、水=4点
(男:冷たさを感じる都会の建築物にも、朧月を映して優しくなりました。)

●春月の秘密キングコング出ました=入鈴
○月、砂=4点
(月;出ましたか? 嬉しいなあ〜キングコング、出た?)

●誰に会はん朧月夜の君ならで=君不去
○里△前、入=4点
(入:ふっと笑ってしまいました。いかんかいな、

●月朧李白の父の青まなこ=月下村
○ス、二=4点
(月:李白のお父さんは、ペルシャ辺りの外人貿易商[胡人]だと言われています。 ス:よくわかんないけど、なんとなく。)

●博多行きのぞみ最終月おぼろ=資料官
○砂△入、男=4点
(入:エインジェルも地上の乗り物に乗り遅れることある? 最終で着いて筑紫口でタクシーを待っていたら、隣の列に中村雅俊がいた。四半世紀。 男:故郷に向かう列車を見送る月。行っても帰る時が来るのを知っているのか。)

●広き道ふさがれしまま春の月=五六二三斎
◎木△喋=4点

●熊蜂がゆったり巡る藤の滝=五里
○二△月=3点
(月:いい香りがするもんね!多分、こっちには向かってこないやろ。)

●藤の花愛でる間もなく球を打つ=メゴチ
○夏△香=3点
(夏:”目の前の事が大事”という1瞬を切り取って、面白い。 香:スポーツびとに乾杯!)

●武蔵寺の藤にほほえむ在りし人=前鰤
○喋△男=3点
(男:亡き親を偲ばせてくれるのか。古い写真の笑顔は元気だったのでしょう。)

●武蔵寺や携帯カメラ藤娘=喋九厘
○夏△里=3点
(夏:「携帯カメラ」が今時の娘で、目に浮かぶ。)


●異国の夜こころもようは藤を待つ=ひら百合
○入=2点
(入:共時性、リリーof the イリノイですかね?)

●テッセンの見あぐる月のおぼろなり=香久夜
○木=2点

●ほろ酔いの駅前おぼろ月夜かな=資料官
○木=2点

●老親の足元揺れて藤の波=君不去
△前、メ=2点

●老いて見る月はいつも朧月=メゴチ
△百=1点
(百:ユーモアに一票。)

●風優し千代田ポマード春の月=月下村
△二=1点

●花照らす妖しき造化春の月=五里
△メ=1点
(メ:確かに春の月にはそんな雰囲気がありますね。)

●藤の花コーラスの声高々と=五六二三斎
△二=1点

●振袖も藤房も揺れ撮影会=夏海
△砂=1点


■雑感
水音さん、夏海さん、香久夜さんの、第2世代の活躍が目立っている。
この世代に属する男性軍としては五里さん、男剣士さんにますます頑張って頂きたい。
第1世代は終わることのない自分探しの旅に出発して、永遠に己が風骨を探究することとなるだろう。

「人斬り二六斎のバッサリ句評」も来月ぐらいからは期待できそうです!
今回は予告編として、私がひとり、バッサリ斬られることになりましたが・・・。

関東の皆さん、なるだけ「代々木駅前」の「おくどはん」に一杯呑みに行って下さい。
夏の夜は絶品のテリーヌと旨いビールでダンディーなシェフと俳句談義です。 なるだけお客が少ない時にね (^O−)!
(文責 中島。)  

B部門入選作

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