*B部門入選作発表*

兼題「誕生」・「消滅」*全34投句(入選30句)

【特選】

一席
●生まれては消えゆく湯気に紅葉酒=前鰤


◎月、久○メ△木、二、砂=11点
(月:う〜〜ん、よかよかぁ〜! 久:湯気に生命を感じる作者の繊細さと露天風呂で愛でて一杯という豪快さの取り合わせがおもしろい。 メ:温泉で待ったりしたいなあ。)

二席
●神の杜あ・うんのまにま螢草=月下村


◎五○喋、二、ス=9点
(「あ・うんのまにま」という中七が斬新! ス:蛍草って露草なんですね!)

二席
●新蕎麦や連れ添ひ祝ふ誕生日=資料官


○木、入、久、砂△君=9点
(入:ほのぼの。 久:そば、食べたいですね。老夫婦のイメージが浮かびます。)


【入選】

●生れいでし雲はた何処秋高し=君不去
◎木○里△月、前、二=8点
(月:「はた」が効いてる!)

●終わる日や月生まれ出づさくら島=スライトリ・マッド
○前、資、君△喋=7点
(資:桜島は鹿児島市の東,十三夜あたりの月を海越しに眺めるのも良いですね。)

●裂け岩に 落ちし種籾 因と縁=久郎兎
◎二○入、喋=7点
(入:裂け岩、千々石{母方ご先祖}とか使ってみたいです。)

●秋日さす小さき湊や誕生寺=君不去
◎入△前、二、メ=6点
(君:ちょっと観光案内! 安房天津小湊に誕生寺あり、日蓮の生誕地とか。 入:小しで、チサしと読んでいいですよね? 景が目前に出てきます。 メ:田舎の湊町の情景が浮かびます。)

●風もがな消え行く虫の音震わせん=君不去
◎資○前△入=6点

●さそり座のをとこやれやれ誕生日=資料官
◎砂○木△五=6点
(五:♪そうよ!私はさそり座の男!さそりの毒は女だけなの♪おめでとはん!無季にもむきになりまへん!)

●消滅の廃線跡に月見草=喋九厘
○メ、砂△里、資=6点
(メ:月見草が似合う風情です。 資:作者決めうちであえて失礼ながら、もし違ったら御免なさい、今回唯一の鉄道の、これは採って歴史に残さねば。しかしながら月見草は夏の季語だろう。廃線=消滅でしょうな。レールなき廃線跡や破れ芭蕉なんていかが。)

●産まれ来し朝告げる鳥秋気澄む=スライトリ・マッド
○五、砂△久=5点
(五:秋気澄むの季語に朝の鳥はよく合う! 久:秋気は涼気だと思いますが、にわとりのことなのでしょうか。)

●索索と霧より生(あ)るる送電塔=入鈴
○月、ス△君=5点
(月:索索なんていう表現、僕には思い付きまっしぇん! ス:こんな言葉あるのかな?でも言葉の響きが面白く感じられました。)

●消滅の燃ゆる思ひや秋茜=木笛
◎君○入=5点
(入:静かに消えたいが、ファイト!)

●故郷の庭に千草の散りゆかむ=月下村
△木、五、里、久、ス=5点
(五:故郷を思う気持ちが伝わってきます! 久:整った句だと思います。庭の千草、いいですね。 ス:秋草と故郷が合っているし、侘しげでいい感じ。)

●湯煙の端にて消える時雨月=五里
△月、喋、前、久、ス=5点
(月:気持ち的には「消滅〜」の2句も同じ△です。 久:山の端ではなく、湯煙として時雨につないだところは、やわらかさを感じさせます。 ス:時雨月は冬の季語になっているけど、きれいなんで!)

●秋の雲絵空ともすや生きと死を=木笛
◎前△資=4点

●しみじみと秋刀魚のけむりや誕生日=資料官
◎喋△入=4点
(入:いじらしい。)

●生受けて今を昔と秋の暮=木笛
○資△月、喋=4点
(資:私さそり座生まれですから,なんとなくピンときた。 月:誰しもが皆共感できるんじゃないでしょうか?)

●蓮の実や弾みて消ゑし光世音=入鈴
◎ス△五=4点
(ス:蓮の実が弾ける音、一度聞いてみたいもんです。 五:何か京都の神社仏閣がイメージされる!)

●稲穂波 野辺の火遠見 辞世の句=久郎兎
◎メ=3点
(メ:しんみりと・・・)

●捌かれて秋刀魚の凛と不可思議光=月下村
○久△君=3点
(久:多分、頭の部分が七色に光ったのではないか。凛と言いながら不可思議としているところがおもしろい。)

●ススキにも小さな秋の誕生日=喋九厘
○月△メ=3点
(月:全国児童俳句大会なら優勝するんでない? メ:最近はすすき野をみてませんねえ。)

●高き空に心馳せるやビッグバン=前鰤
○里△二=3点

●更地ありマンションありて秋の空=五六二三斎
○君=2点
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●火の恋し濡れた樹皮より生(あ)れよかし=入鈴
○五=2点
(五:少しおどろおどろしい感じもしますが、いいんじゃナイスか!

●緑消し赤を生み出す秋夕日=五里
△資、メ=2点
(メ:秋の夕日はなんだか侘しい。)

●秋の川恋誕生の予感かな=五六二三斎
△ス=1点
(ス:素直な感じがしていい!)

●この思ひ消して滅ばぬ秋の空=五六二三斎
△里=1点

●壊すビル横に建つビル鵯鳴きぬ=スライトリ・マッド
△砂=1点

●天高く秋刀魚の煙消えてゆく=メゴチ
△二=1点

■雑感
●高き空に心馳せるやビッグバン
どんなふうに計算するのかしらないけれど、宇宙は一定の計算則にしたがって膨張しているので、それをさかのぼれば宇宙誕生を時間に置き換える事ができる、というのがまあ、ビッグバン、という事かもしれない。ただ、宇宙は膨張と縮小をくり返すのだ、という考え方の人もいるようで、そうなるとビックバンは必ずしも始まりではないのかもしれない。
そもそも「宇」「宙」というそれぞれの言葉は空間の無辺と時間の無限を意味するのだという事なので、空間にも時間にも限りがあるのかどうかは、人知の及ぶところではないのだろう。「私」が誕生すれば世界は在り、「私」が消滅すれば世界は無い、という考え方はあまりにも主観的すぎるが、と同時にあまりにも悲観的すぎる。世界と分離しているのではなく、世界と繋がっていると感得される経験を重ねたいと願う。

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