*B部門入選作発表*

兼題「戦争」・「平和」*全38投句(入選32句)

【特選】

一席
●特攻機オブジェの如く敗戦忌=スライトリ・マッド


◎木、君、里、入○月、二△資=17点
(入:素直に我々の世代の感ずるところを表してくれます。)

二席
●秋澄みて平和なる子の寝息かな=木笛


◎澄、五、前△砂、君、二、入=13点
(五:そつがない句ですが、やはり選ぶとなるとこの句か?平和しか知らない親と子ばかりになってきますね!)

三席
●夕陽背に グラウンドゼロの 赤とんぼ=久郎兎


◎月、砂○五、入△澄=11点
(五:ニューヨークに赤とんぼがいるのか?いるでしょうね!グラウンドゼロを題材にしたのは大成功!拍手!)

  【入選】

●海刻む父の戒名終戦日=五六二三斎
◎二○月、砂、ス△木=10点
(ス:海軍に所縁のある方だったのでしょうか?)

●遺伝子に玉音の声蓮の花=五六二三斎
◎資○澄△月、里、二、前=9点
(資:戦争を知らない子どもたちか。)

●還暦や消えしあの日の蝉時雨=スライトリ・マッド
◎久○二、資△前=8点
(久:60年を還暦としたところと、高まる戦火の後の平和を表しているのがいいです。)

●戦争に荒れはつ砂漠星流る=君不去
○里、入、資△澄、木=8点

●終戦の焦土に逢ひし父母はるか=月下村
○木、前、久△メ=7点
(久:あの思い 伝えよ平和 歳越えて。ゼロからの出発の苦労が伺い知れる句です。 メ:はるか昔になっしまいました。)

●想う夏 重ねる風化 詠む平和=久郎兎
◎メ○里△喋=6点
(メ:昔話にしてほしくないですね。)

●戦争の大罪問ふや花木槿=君不去
○二、久△ス、資=6点
(久:ストレートで、こんな句が出来るんだと感心しました。お題重視で、選びました。 ス:むくげの花は朝開いて夕方にはしぼむのだそうですね。 資:むくげの花に託したのが良いと思いました。)

●世界平和 入道雲に誓う友=前鰤
○木、メ△澄=5点
(メ:いつの世も同じ雲です。)

●眼閉ず穹窿の骨空刺すや=入鈴
◎ス○喋=5点
(ス:インパクトある!)

●60年恨み虚しや父の夏=五里
○メ△君、久、入=5点
(メ:時代とともに消えていく記憶はなかなか残せない。 久:母の弟『僕の叔父さん』は18歳で戦死しました。満州からビルマへ移されたのですが、行くも地獄、残るも地獄の状態だったかも知れません。恨む事さえ年月には勝てないことを実感させる句です。 入:ドロドロの窮みですが、父のことを思います。)

●古の武者が誘うすすきの穂=前鰤
○澄△喋、ス=4点
(ス:視点が面白いなあと。)

●昔日は 午睡で開く トルストイ=久郎兎
○二、前=4点

●日輪の戦争重し芙蓉咲く=木笛
◎喋△君=4点

●敗戦を天災のごと語る人=入鈴
○君△月、久=4点
(久:「ごと」が博多弁で「ごとぉ」と言っている様で、よかです。)

●念仏の遠くに響く蝉時雨=五里
○ス△二=3点
(ス:光景がラジオのよう!)

●八月よ二度日輪に灼かれけむ=月下村
○君△ス=3点
(ス:うーん原爆ですね。)

●稲穂たれ平和歌うやすずめ舞う=木笛
○喋=2点

●還暦す平和祈念の星祭り=君不去
△砂、木=2点
(砂:還暦や、と切れ字入れてくれれば・・・)

●銀翼や青き空なる終戦日=スライトリ・マッド
△五、資=2点
(五:銀翼とは、B29のことか?それとも、旅客機のことか?青き空なるという表現がよい! 資:なぜか青い空なんですよね。)

●終戦忌張子のトーマス発車待つ=入鈴
○二=2点

●灯籠にノーモア戦争長崎忌=資料官
△二=2点

●八月や鐘と平和の記念像=資料官
△メ、五=2点
(メ:長崎は行ったので広島に是非。 五:特に新しい発見があるのではないが、心に残る句です。)

●龍胆やタイムスリップ平和町=五六二三斎
△月、喋=2点
(月:個人的に、平和3丁目に住んでいた頃の懐かしい思い出に点盛り。)

●争えど天変地異に勝つは無し=喋九厘
△メ=1点
(メ:今回のハリケーンは凄い。)

●手に掴む球児の土に涼新た=月下村
△前=1点

●広島を天使の名前で涙する=メゴチ
△入=1点
(入:セラピムのことかなあ?ちょっと判り難いし、涙するも言い古びてるが肯けるものがあります。)

●広島の暑い夏に平和見ゆ=メゴチ
△里=1点

●靖国や戦争責任隠れをり=資料官
△久=1点
(久:靖国はもはや季語になったのかと思いますね。見張りチェックの意味もあり1票入れて入選へ。)

●わが心平和になりての世界平和=澄響
△里=1点

■雑感
まずはじめにびっくりおののいたのは、皆が真正面から「戦争」と「平和」を詠んだ事だった。
こんなはずじゃなかった!、というのが本音のところだ。
私のような気の小さい、いい加減な男にとってみれば、戦争や平和なんてややっこしいお題には「みんなも色んな角度から少しヒネった句を考えるだろう。」と当り前のように思い込んでいた。
流石は、優秀なる我が同級生諸氏である。はじめてB部門の投句数がA部門を抜きました!!
そうだったのか・・・、というのが今の私の正直な感情です。「これは中途半端な事ではいけないぞ!」という気持ちが瞬間、不意に私の心を過った。
二年目に入って、別に誰に迷惑かけるわけでもなし、それでぶっ壊れたんならぶっ壊れたでいいんじゃないのかとも思えてきた。
次回のお題は「個人」と「国家」にします。またまた顰蹙ものの兼題ですが、こうなったら徹底的にシリアスに俳句を愉しんでみるのもいいんじゃないでしょうか。


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