*B部門入選作発表*

兼題「個人」・「国家」*全33投句(入選30句)

【特選】

一席
●空打つや国家思ひて秋茜=木笛


◎二、資○里、月△前=11点

二席
●移り住む月には国も在らざるに=月下村


○澄、前、入、百△久=9点
(入:言い得て妙とはこんな句のことだべ。 百:そうだよね。 久:でも、月の土地を売ってると聞いたことがあるけど。)

二席
●個人主義自由も痛し秋あざみ=木笛


○資、君、百△月、入、メ=9点
(百:自由には責任もある。 入:秋あざみって強そうだ。)

二席
●地の上の国の上の月人の上の月=君不去


◎久○月、ス△二、喋=9点 
(久:この句の真の意味はわからないけど、必死に何かを訴えかけているようで。お題が難しいので、どうしても哲学的になってしまうのは仕方ないのかも知れません。 ス:うわ!びっくり!よくつながりましたね!)



【入選】

●一億の命照らさん月の秋=スライトリ・マッド
◎澄○メ△木、前=7点
(メ:差別なくね。)

●この国に生まれゆきける露葎(つゆむぐら)=スライトリ・マッド
◎木、メ△久=7点
(メ:運命だもの。 久:たまたま「この国に生まれて」ということかな。)

●四時間の歴史の秋や国家あり=五六二三斎
◎百○前△木、資=7点
(百:何の四時間かわからないけど、勝手に歴史の講義か何かと解釈。)

●この国のかたち望月南洲忌=五六二三斎
◎ス○二△資=6点
(ス:深いことを言っておられるような気がしました。)

●流れ星国の間を隔てなく=メゴチ
○喋、五△澄、入=6点
(五:この句もスケールが大きい!星から見たら、地球の国々の何とちっぽけなこと! 入:本当にそうだっきゃ。)

●歌も旗も誇りも褪せて雨月なり=月下村
○里、ス△君=5点
(ス:自分の世代にとっての日本ってこんな感じかも・・)

●国家とは問ひかけし人よ吾亦紅=君不去
○木、資△ス=5点
(ス:ワレモコウは駄洒落?でも入れちゃいました。)

●国家とはなんぞ沖縄の夏終わり=資料官
◎君△月、ス=5点
(君:忘れてはいけないこと。 ス:字余り気になりますが・・)

●国破れ月のうてなを離れけり=月下村
◎五△喋=4点
(五:国と月の取り合わせはいいですね。)

●個々人の思いも放つや放生会=君不去
○入△里、木=4点
(入:思ひ放つや、じゃいかんとかいな?)

●冬近し 死にゆくときはひとりなり=前鰤
○久、君=4点
(久:これは「個人」ということですね。誰もがわかっていながら、でも半分は信じたくないと思ってることかも。)

●水清く稲穂の垂るる国ならむ=前鰤
◎喋△百=4点
(百:環境と人間存続の調和を端的に。)

●雲海の国見の丘に夢遥か=喋九厘
◎前=3点

●帰らざる数多の児らの国なにぞ=入鈴
△久、メ、君=3点
(久:それにしても「長すぎる」、、ですね。)

●枯れ尾花 哲学なき地の 個人主義=久郎兎
△里、月、入=3点
(久:個人主義を非難しているわけではなく、逆に私自身は個人主義。自分が自身のストーリーの中心に存在していて、過去も未来も大切という考えかた。問題はいかに世の中と関わりを持って行くか。 入:住みたくないもんね。)

●このGeneいつも世界に一つだけ=ひら百合
○澄△君=3点

●月白や国家を憂ふ地球市民=木笛
○メ△澄=3点
(メ:地球はひとつ、月もひとつ。)

●彼岸花人見知りかなピンク色=喋九厘
◎入=3点
(入:こんな優しい個人主義だったらいいのに。)

●国家論コスモス揺れて蝶の夢=ひら百合
○久=2点
(久:堅い上の句のあと、ふわふわとした感じはいいですね。)

●月の舟獏の喰ふ夢やまと国=スライトリ・マッド
○喋=2点

●人の個も 渡る国あり 田の鶴や=久郎兎
△前、メ=2点

●若き日のアンチの叫び秋の夜=五六二三斎
△里、ス、百=2点
(ス:大人になりたくないと思ったあの頃・・。すっかりおじん、おばんの年に! 百:そういうお方もおられるのか?)

●茜雲国家安康の鐘が鳴る=喋九厘
△資=1点

●大風来て 気色失う 超国家=五里
△澄=1点

●台風が国家の威信問いかける=メゴチ
△百=1点
(百:ハリケーンもしかり。)

●見上ぐれば 苦難半島 北の使者=久郎兎
△喋=1点

■雑感
個人→家族→友人→知人→同郷→国家→地球→宇宙と関係は繋がり、拡がっていくのだから、個人を語る事はほんとは国家ではなく宇宙を語ることなのかもしれない。そういう意味では「国家」とは境界のない、中途半端で曖昧模糊とした概念でもある。
アイデンティティーの問題がそうだ。
僕等は「種」に関して言えば、人間から家畜、哺乳類、動物、植物、鉱物、そして最後には非物質にまでその同一化のイマジネーションを拡げる事が可能なのかもしれない。それにはまた、区別、差別、差異化、の問題も自同律として想像できなければならない。同一化と差異化の存念が、まさに生きるという事であるのだろう。
「書」を趣味にする風流はやがて、篆刻へ、そして遂には自然の石を景色に見立てる趣向へと移りゆくという話を聞いた事がある。小説から短歌、ついには俳句へと収斂する文学のようでもある。という事は俳句とはついには「言葉の石庭」のようなものなのかもしれない。あくなき追究はどこまでもポエジーを掘り起こす事ができる。

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