*B部門入選作発表*


兼題「梅」・「佐保姫」*全42投句(入選31句)

【特選】

一席
●梅の香をまとひし絵馬の笑ひけり=水音


◎資、前、二○メ、砂、五△香、君=17点
(資:今年の梅は遅いけど笑う絵馬に福来る。 メ:祈願成就ということで・・・。 五:これも湯島天神かな? 香:合格が叶った絵馬?)

二席
●梅に会ふ手提げを探るルージュかな=入鈴


◎香○月、ス、百、二△メ、君=13点
(香:またまた洒落た句、日頃の生活が滲み出るんだね、羨ましい。 月:女性陣はすべからく嗜みを解する<をみな>であってほしい、という男の勝手な願望です。 ス:梅と張り合う気持ちわかる、わかる! 百:なるほど、花にも敬意を表して。 メ:梅に会ふ、がおしゃれです。)

三席
●ゆび切りのげんまん結はふ梅月夜=月下村


◎入、二○前△澄、香、喋=11点
(入:梅に誓うほうが、厳しい感じがする。 香:可愛いね、下五音にこう繋がるのか。)




【入選】

●枝ぶりのためされている梅木立=ひら百合
◎砂、二○入△木、五=10点
(入:梅って咲く前から、樹に存在感あり。 五:梅の老木に対するやさしさが伝わってきました。 月:腕前をためされる画や梅木立。)

●梅林のにぎはひ遠く昼寝猫=君不去
◎百○入△澄、砂、資、水、前=10点
(百:AもBも猫になっちゃいましたが・・。 入:そこが、猫のいいとこなんです。 資:猫になりたや・・・。 水:猫は風情を解しないもんね。 月:猫には好きなようにさせておきましょ!)

●ほろ苦きチョコに梅の句添えにけり=香久夜
◎君○澄、砂、水△喋=10点
(君:チョコと梅の句の取り合わせが面白くって!さて、想いは伝わったのでしょうか? 水:熟年の淡い恋心、かな? 月:ビターな恋の告白やね。上司に苦い思いさせたいのならわざわざ句は添えないもんね!)

●佐保姫は恥じらいてまだ紅もせず=水音
◎メ○香、前△資、喋=9点
(メ:すごく気持ちのいい句です。 香:18と票を分ける?両方好き。 月:同景のうちのひとつ=文句ないんだけど・・・ごめんちゃい。)

●遣らずの雨か独居庵鉢の梅=月下村
◎木、ス○里△久=9点
(ス:鉢の梅が気に入りました!)

●迷ひ来し小路の軒や梅ありて=入鈴
◎月○メ、久△資=8点
(月:気侭なひとり旅なのか、道に迷ってはいるのだけれど、予期せぬ梅との出合いを十全に愉しんでいる。このまま、も少し迷っていよう〜っと。 メ:情景が浮かびます。)

●佐保姫や不退寺の庭みえかくれ=香久夜
○五、里、資△前=7点
(香:不退寺=奈良・佐保路に佇む小さな古寺、業平椿などの花が。 五:不退寺とはどこのお寺? 資:この寺は「椿寺」とも呼ばれているのですね。「業平椿」が有名らしい。佐保姫のお膝元に敬意を表して。)

●白梅やまわり道して神だのみ=資料官
◎五○百△入、二=7点
(五:湯島天神?の白梅を見たいがために、神だのみか?まわり道という言い方がうまい。 百:梅見のほうが本命だからね。 入:経験あります。)

●愛(かな)しびの紅梅の紅庭覚ます=木笛
○資、水△香、百=6点
(水:浮き立つような春の躍動感への予感がある。 香:気持ちも明るくなりますね。 百:なんかこういう発想はあったような気もするけど・・。)

●紅勝つか負けるな白や庭の梅=五六二三斎
○喋△月、澄、メ=5点
(月:本来、女性の味方ですが、これだけは僕も白に一票。香りも形も紅梅より白梅のほうが好き。 メ:こんな庭が欲しい。)

●佐保姫や淡き陽の海山に満ち=五六二三斎
◎水○ス=5点
(水:ほんの僅かでも木々が芽を出し始めると色も違ってくる、私もこんな表現がしてみたい。 ス:端正な感じでいいな!)

●白梅やみはらしれみみどしらはみ=月下村
◎喋△ス、二=5点
(月:ミファラシレミ ミドシラファミと和音階。 ス:こんな言葉遊びする人はチミしかおらんやろ?)

●襟をたてつぼみをすごす風待草=香久夜
○二△入、久=4点
(月:18、19、20、22の句と同景。どれか一句をと思い、普通ならこの「風待草」なんだろうけど、ごめんちゃい。)

●温もりが 霞の裾を 踏みにけり=メゴチ
○二△月、百=4点
(月:さほひめの足の裏の温もり。 百:なんかわかりませんが、なんとなく。)

●まつ毛上げ我に笑まふや梅の君=君不去
○喋△砂、ス=4点
(ス:マスカラ美人ですね! 月:今度、まつげの君を紹介して下さい。)

●梅つぼむ花実見入り参らせん=木笛
○君△里=3点

●紅梅や モスリン橋に別れ告げ=前鰤
○君△ス=3点
(君:モスリン橋は実在の橋ですか? ス:モスリン橋って? 月:風営法改正以前は淀川区との橋「モスリン橋」を渡った所にやり手バーサンがたむろ してましたが、今は? 歴史的には、古く平安時代から遊郭が在ったらしい。 対岸の関西ペイント工場側に史跡「遊女塚」何て物もあります。羽野暢監督作品『モスリン橋の、袂に潜む』公開。)

●さだめなる春告草の落下点=スライトリ・マッド
△五、里、久=3点 (五:梅は散り、櫻もいずれ散る。そして、我々もいずれみたいな句かな?)

●たおやかに佐保姫舞うや寝てはならぬ=君不去
○月△水=3点
(月:今を詠んでいる。「トゥーランドット」、イタリアもええけど、アジアもええよ! 水:未明からのテレビ観戦ですか お疲れ様。)

●単線の単行列車や探梅行=資料官
○木△水=3点
(水:単が二つ重なって、行く先は相当な山奥なんですね。 月:タン、タン、タン。やりたい事はわかる。わかる!)

●此の花の向かふの辻に群るる人=水音
△砂、君=2点

●佐保姫のねむげのかをになごり雪=資料官
○香=2点
(香:こんな句作りたかった。)

●佐保姫や静香織りなすイナバウアー=入鈴
△メ、二=2点
(メ:時事ネタということで。)

●日溜まりの佐保路にて聞く尼の経=五里
△入、百=2点
(百:尼の経というのを聞いてみたい。)

●紅白梅終わりよき日の晴れた空=五六二三斎
△澄=1点
(五:荒川静香選手金メダルの朝)

●東風吹かば飛梅咲きぬ春ちろろ=喋九厘
△里=1点

●佐保姫も 着る服選びに 困ってる=メゴチ
△月=1点
(月:同景5句の中であなたの句を選びました。お洒落、頑張っている人が好き、男ちゃうやろね?)

●佐保姫や面影追いてページ繰る=ひら百合
△前=1点


■雑感
二六斎先生、「丘ふみ」史上最高、AB部門の合計◎5句○5句△9句の選です。
確実に佳句が増えているという事でしょう。
特に今回、木笛さん、水音さん、香久夜さんの活躍があって、女性上位の感がますます助長されてきました。
たしかに、日々の生活から感動を拾い上げるのは女性陣のほうがお得意で、男はやや頭でっかち(自分が一番だが)の句になりやすい傾向があるかもしれません。
けれども問題はやはり、感性か理性かではなく、あくまでも詩情なのです。男性軍のポエジーに期待します。

今月のお題「梅」から不定形の俳句をみっつ。

●つまさき立ちて白に問ふ春と答ふ=坂石佳音
「梅」という文字を使わずに「梅」を詠む。七・五・五の破調は、ここぞ、という時に使うと最大限の威力を発揮する。

●梅一輪の銀河系です=山尾三省
七・七で見事に俳句している。三省さんはこの短詩に「俳句」を意識していたのだろうか?今となっては永遠に謎である。

●病めば梅ぼしのあかさ=種田山頭火
三・五・三の破調は山頭火の真骨頂。「梅干し」は夏の季語。

 

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