*B部門入選作発表*
兼題「初夢」・「去年今年」*全40投句(入選29句)
【特選】
一席
●うぶごえはそのみどりごのゆめはじめ=月下村
◎喋、砂、香、水、二○五、ス、君、前=23点
(香:お手本のような句。「ゆめはじめ」という言い方もするんですね。姪に子が産まれ、共感しきりです。 五:みどりごとは生まれたばかりの子のこと!ひらがなにしたことでやさしい感じ! ス:ひらがな書きが優しい感じでいい! 君:ひらがな書きが魅力的!)
二席
●初夢や般若のごとき白き空=五六二三斎
◎ス○月、久、澄、君△資、百、前、二=15点
(ス:能面の般若でなく、般若心経の般若なのかなと。深い! 月:小面から始って、若女、増、孫次郎、近江女は良いとして、深井、曲見、泥眼、痩女と続いて、そしてそして般若、もっとすごいのがいたなあ〜、怖〜〜い橋姫。「寒月やあらぬ曲見のうすわらひ:詠みひと知らず」。 百:恐怖感。)
三席
●欄干の恋の落書き去年今年=入鈴
◎五、君○砂、水△久、二=12点
(五:おそらく朱塗りの欄干!京の五条の大橋?すごくポエジーがあります。)
【入選】
●去年萌し今年芽吹きて淑気立つ=君不去
○里、資、澄、香△砂=9点
(香:ロマンチック。男性が詠まれたのかしら?)
●歳時記を開いたままに去年今年=水音
○メ、百△里、五、喋、君、砂=9点
(メ:光陰矢の如し。 百:勉強家。 五:丘ふみ連衆の鑑はどなたか?楽しみ! 月:泪ぐましきその努力、報われますように。)
●去年今年時計の針のなめらかに=スライトリ・マッド
◎百○資△五、入=7点
(百:このcontinuity。 五:なめらかに、なめらかに時は過ぎゆく!)
●宝舟ねがひのひとつのせてみる=スライトリ・マッド
○木、入△喋、メ、水=7点
(メ:ひとつだけでも・・・ 月:もうひとつ、僕のものせてみよう!)
●知命なる凡夫凡婦の去年今年=木笛
◎資△月、里、君、水=7点
(月:そんな、奥ゆかしいこと。)
●初夢や忘れて笑い福来たる=木笛
◎メ△喋、澄、百、前=7点
(メ:何見たっけ? 百:「覚えなし」と共通。)
●去年今年ぬかどこまぜる厨ごと=スライトリ・マッド
○百、香△月、砂=6点
(百:日常性。 香:厨ごと、丁寧にやってるんですね、今は手抜きばかりです。 月:よっしゃ〜!一発いったるで!これが正月料理やでえ〜!)
●雪しみて つぼみふくらめ 去年今年=香久夜
◎入○里△澄=6点
(月:感性が可愛らしいと思いましたが、△使い切ってしまった。ごめんちゃい。)
●運命の線をながめて去年今年=五六二三斎
○砂△ス、メ、二=5点
(ス:どれが運命線だっけ?自分の人生は自分で切り拓きたい。それも運命? メ:変えられるなら変えてみたい。 月:あと、わずかや、とほほ・・)
●初夢や富士乗りはくたかなすの撮る=資料官
◎木○ス=5点
(資:「富士」 寝台特急 東京−大分、「はくたか」 特急 越後湯沢−金沢ほか、「なすの」 東北新幹線 東京−那須高原ほか。 ス:楽しい夢だね!うまく結び付けたもんだと感心!)
●見たのかもしれぬ初夢覚えなし=資料官
◎前△百、入=5点
(前:俳句としてというよりも、このボケが好きです。 百:私も全然。)
●去年今年旅立ちの時迫り来る=五六二三斎
◎澄△久=4点
●去年今年夫婦二人になりにけり=資料官
○水△メ、二=4点
●儚きは 同床の夢 降る氷雨=久郎兎
○前△里、香=4点
(香:言葉きついけど、気持ち伝わる。)
●初夢やガンダーラ仏に成り済まし=入鈴
○喋△五、前=4点
(五:ネットにガンダーラ仏のことこうあり!これが、人類の宝である「釈迦苦行像」である。まさに、仏陀が断食の苦行をしているシーンであるが、特徴は、東洋人である仏陀の顔が、ギリシャ的な所である。信じる者は救われる!この句の作者に幸多かれと!)
●初夢や古池の端に佇めり=水音
○月、喋=4点
(月:なんか、俳句してるよね!これって、水音さん?)
●国境もひとまわりして去年今年=月下村
○五△二=3点
(五:旅するおじさんの句か?プロの句か?出張おじさんの句か?結果が楽しみ!)
●何ごとの変わりあるかな去年今年=ひら百合
△ス、君、水=3点
(ス:同感です!)
●初夢にオニールの橋渡りたや=五里
△月、香、二=3点
(月:楡の木陰の欲望でしょうか?)
●初夢を南天の実で飾りつけ=メゴチ
○資△ス=3点
(ス:縁起のいい木だと母が昔よく言ってました。)
●鏡割り開いてみせる初夢を=メゴチ
○入=2点
●宝くじ踊る初夢朝光(あかり)=木笛
○メ=2点
(メ:当たって踊りたい)
●屠蘇の杯減りて静かに去年今年=五里
△木、資=2点
●去年今年 柏手うちて 家族なり=香久夜
△入=1点
●のぞみ去年今年の暮れに会う老父=ひら百合
△香=1点
●初夢の 代わりに車窓は 三日の富士=香久夜
△澄=1点
(月:ポエジーあるんだけどなあ、「初夢は車窓に過ぐる三日富士」。)
■雑感
兼題を季語に限定した第一回、皆さん、感想はいかがでしたか?
季語に囚われて、発想や句に詠み込む世界が狭くなってしまっては台無しです。
季語の本意を知ろうと、歳時記や辞書を開けば、逆にイメージはどんどんと自由に広がっていくはずです。
季語に助けてもらって佳句が生まれた、という話しをよく聞きます。
僕等初心者にとっては、新しい未知の季語と出逢うことは、むしろ新鮮で胸踊る体験ではないでしょうか?
そうなった時、天から俳句の神様が降りて来て、あなたのイメージする表現を一層美しい句姿に変身させてくれることでしょう。
次回は「梅」と「佐保姫」。まずその季語の中に隠れているたくさんの言霊から、自分が好きなひとひらの詩魂を探してみましょう。
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