*B部門入選作発表*

兼題「師匠」・「弟子」*全39投句(入選34句)

【特選】

一席
●燗酒の師よりも三分熱き弟子=月下村


◎水、木○里、入、香、君△前、メ、ス、資、喋=19点
(水:燗の温度で師の老いを知る? 入:少しだけ若い弟子の、師と酌み交わす場面なんて、うらやましいです。 メ:弟子はいつも熱くないといかん! ス:温度で師匠に勝ったかな? 資:酒は温めの燗がいい。)

二席
●師の指や冬の象牙のピアニッシモ=入鈴


◎前、砂○月、資△五、香、二=13点
(月:天使のように大胆に、悪魔のように繊細に。 五:ピアノの先生の繊細で長い指、象牙のように白い手なんでしょうか?)

三席
●磨かれて師匠の茶碗年の暮れ=ひら百合


◎資○月、砂、喋△五=10点
(月:いくら眺めていても飽きが来ないから、機械じゃなくて人が作ったものは不思議です。 五:師匠の心がけが伝わってきますね!)


【入選】

●父逝きて思いは子らに春支度=水音
◎入○メ、ス△月、里=9点
(入:長い介護だとしたら、お子たちに手薄なこともあったでしょう。思いっきり春へ。 メ:寂しい支度になりました。 ス:こうやってリレィされていくのでしょうね。かなしみの向こうにある明るさを感じました。 月:子にして親無きを「孤」と云ひ、親にして子無きを「独」と云ふ。)

●冬山の標となりし背の教へ=スライトリ・マッド
○里、五、入△水、香、澄=9点
(五:師の教へでなく、背の教へというのが気に入りました。 入:背が効いて。背振山を思ったりします。 水:吹雪の中前を行く人のリュックしか見えず・・そういう光景を想像しました。)

●師も弟子も寄せ鍋の中溶けていく=君不去
◎喋○前、砂△百=8点

●新弟子の幼き顔や冬の川=五六二三斎
◎ス○君△月、入、砂=8点
(ス:がんばれ!君は未来の横綱だ!って励ましたい気分。 月:ひが〜しぃ〜、冬の〜か〜わ〜。 入:緊張感の冬の川?それとも友禅流しの修業なの?)

●空に映ゆ木末(こぬれ)の真面目師走かな=入鈴
◎百○ス△喋=6点
(百:枝先がきちんと規則正しくのびている事を「真面目」といったのが面白い。 ス:古語なんですね、こぬれ、覚えました!ふまじめなこぬれもあり?)

●弟子拾ふ炉火や媼の万葉音=入鈴
◎里○百△二=6点
(百:なんとなく。)

●先生にひと目会ひたし漱石忌=資料官
◎五○澄=5点
(五:私も漱石忌を考えていたのでついつい反応!よく出来ている。●火の国に祝辞残して漱石忌=漱石30歳の時に五高の教授で熊本にいました。創立30周年の記念式典で教員を代表して祝辞を述べています。その写しの書が額に入って家にあります。 月:先生に欠点ありて人らしさ。)

●先生の名もなき今年の賀状書き=資料官
◎メ○百=5点
(メ:ほんとに寂しいです。 百:こんな事も起こる。)

●子丑寅インフルエンザ酉戌亥=喋九厘
◎月△香、二=5点
(月:う〜〜ん、なんだか知らないけどこんな遊び方が面白い!)

●母を師に黒豆炊くや雪はじめ=木笛
○資△入、メ、二=5点
(入:黒と白で、季節の色感ぴったり。 月:ストーブじゃないとエアコンでは炊けまへん! メ:いつもでき具合が気になります。)

●寄せ鍋の湯気の向こうや師の笑顔=五六二三斎
◎澄○メ=5点
(メ:懐かしき笑顔です。)

●子に夢をいまや懐かしイブの夜=メゴチ
◎香△里=4点
(月:じゅんぐり、じゅんぐり。)

●せめてもの無沙汰の弟子の詫び年賀=ひら百合
○前△メ、君=4点
(メ:無沙汰の詫びはいつも年賀です。)

●年忘れ恩師の肩をがつと抱く=月下村
◎君△資=4点

●披講せよ千年の鶴二六斎=月下村
○水△里、喋=4点
(月:一度、皆にも声を聞かせたい! 水:鼓舞してるんですか?)

●師の歌や合点ばかりの年暮るる=木笛
○五△前=3点
(五:歌を詠まれるといえば、あの方の句!)

●師を偲び来る年想う弟子の夢=メゴチ
◎久=3点

●箔押しの 習い邪魔すな 白い息=久郎兎
○香△君=3点
(月:四角いままに措くのは神業としか思えない。)

●おきゅうとや元気願ひし師の冬日=スライトリ・マッド
○喋=2点
(月:海草類は体に良い。先生、末永くお元気で!)

●親の愛思い起こせばクリスマス=メゴチ
○澄=2点

●顔隠す竈猫に似て弟子のあり=君不去
△入、澄=2点
(入:だから、竈猫に弱いって。 月:情けない、出来の悪い弟子でも可愛げがありまんにゃわぁ。)

●このひとを我が師と決めた初詣=前鰤
△君、百=2点
(百:今回も誰を我が師と見なすか考えました。)

●師匠から投句の知らせや根深汁=資料官
△砂、ス=2点
(砂:投句の知らせやのやを削除する!という条件付きです。 ス:葱汁に嬉しい知らせと身体も心もあったまりそう!)

●先公何ぞ血気盛りや襟立つる=君不去
○水=2点
(水:そういう若き日の自分をいとおしむ?)

●炉開とおもふ師匠と緋のふくさ=ひら百合
△砂、資=2点

●熱燗を師と酌み交はす選句の夜=五六二三斎
△ス=1点
(ス:副部長さんかな?違っていたら失礼。いつもご苦労様です!)

●ありがたき 師の影長し 年の暮れ=久郎兎
△月=1点
(月:もう付き合いは何十年となるだろうか・・。)

●句が出来ぬ言い訳しつつ年は暮れ=水音
△百=1点
(百:同感。)

●凍りつく匠のワナに冬嵐=喋九厘
△前=1点

●大師にも夢とうつつの交差点=喋九厘
△五=1点
(五:季語がないと思います。●大師忌や夢とうつつの交差点=なら益々いいんですが? 月:空海の風信帖や雲の夢。)

●フィギュアの師の目鋭しリンク外=木笛
△澄=1点


■雑感
今月でテーマ出題の「二語熟語=反対語」の兼題は終了します。
二六おじさんの提案があって、みんなにも色んな意見を戴いたんだけど、自己反省するところが多かった。
どうも僕は(無論、このページは僕のホームページ上の事だから、自分の好きなようにやればいいんだけど)
若い頃から自分自身の哲学的、観念的思考嗜好が強く、黒難、白難の高校生時代から、実存主義以後の現代哲学や バグワン・ラジニーシに傾倒していったもんで、自分の周りに起こっている様々な人間的現象を概念化したいという願望があり、結果、自分が興味あるテーマを人に押し付けて、人の頭の中を覗くのが好きな「アキハバラ」系と化していたのかもしれません。
先に謝っておくけど、ごめんちゃい、こんな奴が友達だったら、やっぱ、ちょっとウザイよなって。
次回からは本道に戻って季語を徹底的に追究する事にします。
「何故、季語なのか?」「何故、定型なのか?」も追究したいと思ってます。
●あらたまの季語とは何ぞ歌垣の=葱男
結論、そういう事ですので皆さん、仕切り直しであらためてよろしくお願いします。  

B部門入選作

創刊号 第二号 第三号 第四号 第五号 第六号・新年号 第七号 第八号 第九号 第十号 第十一号 第十二号 第十三号 第十四号 第十五号 第十六号