*B部門入選作発表*

兼題「滝」「青」*全46投句(入選35句)

【特選】

一席
●畦道に沿わず斜めの青田風=入鈴


◎水○男、前、雪、喋、君、二、砂△葱、久、木、五、資=22点
(水:青田風は勝手気ままですもんね。 男:沿わず斜めの視点が良かった。 前:風の向きが俳句になるのですね。恐れ入りました。 君:トトロの猫バスだ! 葱:発想がユニークというか、視点が面白い。 五:着眼点が面白い。)

二席
●青時雨開きし母の和裁本=夏海


◎雪、ス○葱、香、二、入△水=15点
(ス:そういう本に出てくる言葉、最初見たとき外国語に見えませんでしたか? 雪:使いこなされた本が目に見えるようです。 葱:和裁本を開いて、「この夏はひとつ浴衣でも縫ってみるか」、なんて少し余裕が持てる年齢になったのかもしれませんね。 水:雨の匂いに古びた本の匂いが重なってくる感じ。)

二席
●滝風やノースリーブに羊歯の息=入鈴


◎木、君、二○百、資△久、香=15点
(君:湿り気のある滝風を”羊歯の息”で感じます。 百:涼しげ。)


【入選】

●紫陽花に青き地球の渇きかな=入鈴
◎喋、砂○前、夏△君=11点
(夏:地球の状態がどんどん変化している危機感も。)

●青葉風蔓はわが身をつかみをる=水音
◎百、香○木△男、夏=10点
(百:自分に絡まる蔓はなにかを暗示してる? 男:蔓の揺れる様が。 夏:なるほど、そう見えますね。)

●人の世の音掻き消して瀑布かな=雪絵
◎男、入○百△メ、香=10点
(男:その音が返って静けさを際立たせます。 百:「人の世の音」がいい。 メ:近くの人の声も聞こえないほどの瀑布で気分爽快と行きたい。)

●数滴の青柚子に満つ夕餉時=木陰
◎資○水△前、雪、君、入=9点
(資:嗅覚でとらえた夕餉時の風景が良い。 水:青い柚子が霧のように部屋全体に満ちる感じが爽やかです。 入:夏の季語のあをゆのことですか? 葱:最近、ビストロスマップのキムタクはしょっちゅう柚子胡椒を使いますね、関係ないけど。 柑橘は、うちではもっばら酸橘です。徳島の田舎で大量に仕入れます。柚子胡椒も徳島特産です。)

●滝つぼの輪廻の毬や軸ゆるる=水音
◎葱、五○久△入=9点
(葱:滝壷の底に永遠に回転し続ける毬のイメージが斬新でした。 五:掛け軸の中の滝ですか? 入:壺、輪廻、毬、軸など何かのメタ言語ですか?不思議。)

●青梅や手をとり義母を歩かしむ=葱男
○雪、水、香△百、砂=8点
(雪:義母を思いやる心が伝わります。 水:青梅の頃は気候も良くて。昔梅仕事をたくさんしたお姑さんなのでしょうか。 百:青梅が歩かしめてるのか?)

●洞門に悠たる流れ一青葉(ひとあおば)=男剣士
○メ、君△喋、百、五、資=8点
(メ:幽谷の情景が浮かびます。 君:耶馬溪? 百:岩の間に生えたさわやかな緑。 五:青の洞門でつき過ぎかもしれませんね。 資:青の同門の句がいくつかありましたが悠たる流れに引かれて。昔々耶馬渓鉄道が走っていました。)

●引き算の齢なりしや青時雨=雪絵
◎夏○五△葱、ス、二=8点
(夏:「引き算の齢」に共感。 五:共感させられるものがありました。 葱:数式句に加えましょう。「青時雨」三句の中では、一番沁み入りました。 ス:なんだかしみじみ。)

●青き日の青き思ひや雲の峰=雪絵
○ス、資△メ、喋、君=7点
(ス:だいぶ前の米映画「フライド・グリーン・トマト」をふと・・。 資:勝手に入道雲の下を走る寝台列車を考えた。 メ:遠き思い出?)

●タンゴ聴く青水無月のぬるき日々=君不去
○葱、夏△木、百、資=7点
(葱:A部門のバンドネオンと同じ作者でしょうか?同じレトロな匂いがするけど。 青水無月が四句もあったのにはびっくりしました。一度は使ってみたい季語ですね。 夏:六月の高温多湿の気だるさとタンゴの取り合わせが良い。 百:右に同じ。 資:6月のぬるい日々ってなんだろうかと思いつつも。)

●木立抜け陰さまよえば滝光る=木陰
◎メ○男=5点
(メ:ほっとする光景です。 男:やっと見つけた滝の涼しさ。)

●平安の心になりし滝ひとつ=男剣士
◎前△ス、入=5点
(ス:シンプル。 入:飾らない良い句だと思いました。 葱:どの滝を詠んだものか気になりました。)

●幾度の雨大輪を青に染む=香久夜
○木△葱、前=4点
(葱:ひと雨降るごとに色濃く変化する紫陽花を詠んだものだと思いました。)

●一ノ滝二ノ滝からは龍の喘=葱男
○喋、五=4点
(五:渓谷は遡ると渕あり、滝あり、川原ありで変化が激しい。)

●梅雨の月青き種子ぽんとはじける=スライトリ・マッド
△木、水、二=3点
(水:何の種でしょうか?)

●人知れず男瀧と女瀧落ちにけり=五六二三斎
△男、ス、二=3点
(男:静かなカンケイが壊されないように。 ス:山とかも男と女に喩えたりしますが滝もいいですね。 入:そういう瀧に遭遇したいです。)

●麦笛や畦の蛙と詩(うた)ひ合ふ=喋九厘
○久△前=3点
(葱:遺憾ながら先月の兼題です。)

05●青草に分け入り消えし昼の夢=木陰
△久、砂=2点

●青梅や夢託す夜はクリスタル=香久夜
○砂=2点

●青梅雨やビーズの蛸はみどりいろ=水音
△雪、砂=2点
(葱:ケイタイストラップでしょうか?)

●赤毛氈松の青(みどり)に茶の緑=前鰤
○メ=2点
(メ:色の取り合わせがいいね。)

●新麦のびいる飲みたや甘木路(みち)=喋九厘
○入=2点
(資:甘木線沿いのビール工場にこだわる人がいますね。福ビル屋上のビヤガーデンも良いだろうが。 葱:遺憾ながら先月の兼題です。)

39●ナイアガラ滝父と子に刻まるる=五六二三斎
○ス=2点
(ス:ナイアガラの自然の驚異に!)

●青き葦王子にあてる形容詞=葱男
△夏=1点
(夏:「〇〇王子」を上手に句にした今時の一句ですね!)

●青山河五十五年の夢枕=五六二三斎
△雪=1点
(雪:いい夢でしたか?これからも・・。)

●青芝に転がるボールの白さかな=メゴチ
△香=1点

●青水無月ネクタイ外し通う道=資料官
△喋=1点

●オラトリオ垂水の滝の洞窟に=スライトリ・マッド
△五=1点
(五:垂水滝(たるみずだき)と詠む方がリズムがよかったかも?)

●暗闇を幾千経たか白糸の滝=香久夜
△夏=1点
(夏:水の経て来た長い長い時!!)

●滝の下 ソーメン流しの 若き声=久郎兎
△男=1点
(男:分かる分かるその光景。 入:誰でも味わった経験を甦らせてくれました。)

●筑後路にワイン眠りて青葉風=男剣士
△水=1点
(水:筑後路にワイナリーがあるんでしょうか?葡萄の葉もすばらしい青だし。)

●露天風呂目線に見える青葉かな=資料官
△メ=1点
(メ:まとまりのいい句ということで1票を。)


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