*B部門入選作発表*

兼題「春」「白魚」*全45投句(入選34句)

【特選】

一席
●春の山息吹き入れる硝子工=スライトリ・マッド


◎葱、夏、喋○木、水、君、香、雪△二、入、砂=22点
(葱:眠っていた山が春の女神から息を吹き入れられて色とりどりの花を咲かせる。硝子工はゼフュロスの化身、ボッチチェリの神話世界が重なる。 夏:春の山と吹きガラス工との取り合わせが面白い。 水:山にも春の息吹を入れてるようで。 雪:息吹を春山と硝子に、見事ですね!)

二席
●水影の息づくさまを春障子=夏海


◎水、メ、君○前、木、二、ス、資△入、砂=21点
(水:うららかな日,水の揺らめきが映る障子を見てる贅沢。春って水がすごくきらきらします。 メ:障子に映える水面の影がゆらゆら揺れている情景が浮かびます。 君:「息づくさまを」の最後「を」にしたのは何か意図があるのですか? ス:ゆらゆらとして時おり魚がポチャっと! 資:何が写っているのは分からないが,きっと春の暖かな姿があるのでしょう。 葱:庭に設えた池の水面が揺れて、反射した春の光が妖しく障子に映り出される。贅沢なひととき、幽玄の世界ですなあ〜。)

三席
●春の海ポコンと月ののぼりけり=君不去


○前、ア、喋、入、砂△ス、雪=12点
(君:伊豆下田の水平線からのぼる十六夜に。 ス:ちょっと漫画チックな感じもするけど楽しい。 雪:きっと満月ですね、ポコンがぴったり!)


【入選】

●旅しをり開きひねもす春炬燵=夏海
◎五、資○水△メ、百=10点
(五:もうすぐ出かける春の旅のしをりを炬燵で見ている。ただ、今年は暖冬でイメージわかないかも?句はいい! 資:元気なおばさん,木枯らしにも負けず,あちらこちらへのイメージがあるので,こういう姿が信じられないのですが,句としては気に入りました。 水:思い出でしょうか、計画でしょうか、ゆったりと春炬燵っていうのがいいですね。 メ:ついウトウト寝ちゃって旅の夢を見そうです。 葱:以前の君さんの句、「子ら行きて一人あたたむ春炬燵」を思い出しました。春炬燵その後、ですね。 百:春炬燵、いいでしょうねぇ。)

●爪先をパステルカラーに染めて春=雪絵
◎砂○ア、香△水、夏、ス=10点
(水:思わずうきうきします。 夏:女性らしい句。 ス:春らしい感じがして。)

●始まりは黒き森より春の音=五六二三斎
◎木○夏、ス△前、水、喋=10点
(木:本物の森が、近くにあるのは、うらやましい。 夏:春を感じる音は鳥の鳴き声でしょうか? ス:春の兆しがそんなとこからですか?! 水:春の始まりは明るい平地からと思っていたのですが、何の音が聞こえるのでしょう。)

●ハモニカやハハニニホホニ春の旗=スライトリ・マッド
◎入○二、雪△喋、香=9点
(葱:ドドレレミミレ、白地に赤く日の丸染めて♪ 雪:ハモニカの音が聞こえてき そう。)

●白魚の透き通る身の宇宙かな=君不去
○夏、入△ア、百、砂、資=8点
(夏:”宇宙”が良いなあ。 葱:スケルトンに極小宇宙が見える。 百:極大極小の妙。ちょっと安直か。)

●春めきて人の歩みの確かなり=男剣士
◎前○百△木、メ=7点
(百:同感句。 メ:寒くて俯いて歩いていた人がだんだん胸張って歩くようになってきましたね。 葱:一歩一歩足裏から膨らむ春の土。)

●春雨や枝吊る縄の遊びをり=水音
○メ△ア、君、香、資=6点
(メ:雪吊りの縄ですね。遊びをり、が今年の冬を象徴してますね。 葱:雪吊りも例年になく、早くにお役御免だそうですね。 資:今年は雪も少なく雪釣りももてあまし気味のようですね。兼六園だろうか?)

●あまつさへ春一番のショコラティエ=葱男
◎百△ス、資=5点
(百:「あまつさえ」という言葉の深さ。あきれてる・・んだよね。 ス:バレンタインで春一番?!)

●魚包む手さばき速し春の泥=入鈴
○葱、君=4点
(葱:魚屋さんが履いてる長靴に春の泥が跳ね、魚が跳ねる。まさに生き生きとした庶民の春が到来ですね! 君:朝市の光景が浮かんで来ました。)

●春暁やどろり目覚むる天地人=葱男
○五、百=4点
(五:天地人は俳句のこと?それとも、天の人?地の人?スケールでかい! 百:「どろり」というのが言いすぎのようでインパクト。)

●春泥や機上の苞(つと)に紛れこむ=入鈴
◎雪△香=4点 (雪:春泥をここまで詠んでしまう、凄い!です。)

●土いじり種蒔く指に春が来た=メゴチ
◎二△木=4点
(葱:「春来る」じゃあかんのかな?)

●春霞寅さんのごと土手を行く=水音
○砂△五、二=4点
(五:寅さんの歩く荒川沿い!いや、春ですね。 葱:金八先生も歩いてたりして。 資:寅さん死んで10年近く,山田洋次監督が鉄道おたくだったのが良かったです。)

●ぽーしゅっぽっぽ笑顔誂ふ春の使者=喋九厘
○葱△五、夏=4点
(葱:上五は「ぽーしゅっぽ」で止めてもいいかも。 五:汽車ものもいつも採りませんが、これはよい!いつものお二人の句ではないかも? 夏:上五、なんだか楽しくなります。 資:最近房総半島に汽車が走り,鉄チャン鉄子で大変賑わったらしい。まさに春一番列車。)

●跳ね踊り喰われろ加賀のしらうおや=前鰤
◎香△喋=4点
(香:いっそ、人情ばっさりと払ってきもちいいです。 水:なんてこった!)

●足どりもヒップホップの融雪期=ひら百合
◎ス=3点
(ス:ん??ですが、ついつい・・。 葱:なるほどなあ〜、確かにそんな動きになりますねえ、面白い。宇多田ヒカルのオートマティックを思い出しました、ところで兼題いずこ?)

●白魚のごとき指してメール打つ=メゴチ
○五△葱=3点
(五:白魚の句の中で、つき過ぎでなく、色っぽくて頂きました。ただ、いつも女性社員の白き小さな手に目がいってる変なオヤジにならないようにして下さい。 葱:動きが早い!、やっぱりこれは女性の白く透き通った指と見ますよね。メール打つ「白魚の跳ね踊るごと」、とか「跳ね踊るやふ」でも。)

●白魚の舞ひの向かうに舞ふ噺=五六二三斎
○メ△葱=3点
(メ:きゃっきゃっというおしゃべりが聞こえてくるようです。 葱:「噺」だと何か、新奇な面白い話のような。まさか、向こうで芸人が話芸を披露してる訳ちゃうよね。)

●春一番荒れる日本の連帯感=香久夜
△前、五、雪=3点
(香:被害もでているので複雑な気持ちですが。当日は偶然にも、イリノイでも大荒れだというニュースでした。 五:時事句はあまり採りませんが、安倍首相のだらしなさについつい選句! 雪:連帯感がいい響きです。)

●光る雨色づく花芽春来たる=木陰
◎ア=3点

●黍畑じわり浮かぶか斑雪=ひら百合
△木、資=2点
(百:Bの「春」は、まだまだ遠く雪解けがやっとです。葱:確かに暖冬ではありますが、そういう事ではなく・・・兼題が・・・。)

●自転車は向かい風に駆くしろお簗=夏海
△二、入=2点

●しろうおの泪しよつぱしかすかにも=スライトリ・マッド
△葱、水=2点
(葱:最後十二文字、ちょっと暴れてる感じがするかも。僕なら、しろうおのかすかに潮の泪かな。 水:しろうおにも泪があるとは!それがしょっぱいとは!考えもしなかった。)

●電報の声新しき春となる=五六二三斎
△君、百=2点
(百:うれしい春ですね。)

●どくどくと鼓動聞けそな春の樹木=木陰
○喋=2点
(葱:耳を当てたら聞けるんとちゃうやろか?)

●白魚の小さきいのちやひとつずつ=雪絵
△君=1点

●白魚やいちもつ腹にためられず=香久夜
△前=1点
(葱:腹はない。純粋なやつでしょ、白魚は。)

●白魚や川原の逢瀬風さわぐ=木陰
△ア=1点

●しろうおや最期にのどをくすぐりぬ=葱男
△雪=1点
(雪:くすぐる、がいいですね〜。白魚自身は必死でしょうが・・・)

●春上野オルセー展のゴッホの絵=資料官
△夏=1点
(夏:心豊かな春の一日。)

●春未だぽっかぽっかのうつらつら=前鰤
△メ=1点
(メ:何か語感が春らしいので)


【無選】

●網張りてしらおの恋路とほせんぼ
(葱:そっか!白魚も鮭と一緒なのかあ〜。)

●東風吹かば高千穂人(びと)に春告げん
(葱:「東風」と「春」が重なってるのはいいとして、「思い起こすは梅の花」。神話を例にとると、古代日本には高千穂と出雲と大和に文化圏があったそうな。 資:トロッコ列車復活なるか?)

●簗あれど白魚さびし室見川
(葱:白魚の漁獲高は減っているのか?これからはますます、めったと庶民の口には入らない高級魚になりますね! 資:筑肥線のディーゼルカーが簗の上を走っていました。線路が消えて24年。)


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