*B部門入選作発表*

兼題「虫」・「紅葉」*全41投句(入選33句)

【特選】

一席
●青臭きまま生きて来し螽斯=葱男


◎白、砂、二○里、喋、夏、水、男、香△君、澄、資=24点
(白:思わず鼻の奥に臭いを感じるような青臭さ…恥多い自分を思わず重ねてしまいまし た。 里:これも人生ですね。 夏:「青臭い」まま・・・むしろ羨ましい! 水:きりぎりすってそういう感じがする。 男:蟻とキリギリスになるのでしょうか。 資:そして冬の朝死ぬのです。 ス:なんだか自分のこと言われてるみたいだギーッチョン!)

二席
●携帯に埋められぬ距離虫の夜=夏海


◎君、水、香○砂、入、百、前△五=18点
(水:寂しさと虫の声のシンクロがいいですね。 香:新しい情緒がうまれますね。 入:いっそ虫の音を聞かせてやったら。 百:寂しさひとしお。 前:物理的な距離よりも心の距離かもしれませんね。 五:携帯はできたが、虫の泣く夜はますます募る寂しさか?丘女の句か?)

三席
●バス降りし数歩の闇や虫時雨=入鈴


◎葱、五○砂△白、水、メ、木、二、百=14点
(葱:「数歩の闇」が上手い!真っ暗闇のバス停で一瞬、聴覚が先に働いたのでしょう。 五:なかなか味のある句ですね。都会では、ほんのちょっぴりの草むらに虫がいるということ? メ:「虫時雨」の中ではコレが一番気に入りました。 百:数歩の闇というのがリアリティーを感じる。)


【入選】

●錦絵のもみじ透かして空の青=木陰
◎夏、メ○里、澄△喋、二=12点
(夏:透かして見えている秋の青空が鮮やか。 メ:きれいです。 里:この構図は撮り続けています。)

●絵手紙に桜もみぢの眼鏡橋=夏海
○男、木、香、二△ス、資=10点
(男:何となく光景が目に浮かびます。風流ですね。 ス:こんな絵手紙もらったらうれしいでしょね。)

●泣きたくも泣けぬ夜のあり虫時雨=水音
◎資○白△君、五、男、木、前=10点
(白:虫時雨ってうるさいくらいの状況のような気がするので、ちょっと違うかなとも思いました。ふたつみっつくらいの虫の音がする情景の方がもっとぴったりなんですが、実際はそうではなかったんでしょうね。 男:人もいろいろ虫もいろいろ。 入:緊張の端に虫の音が伝わってくるようです。)

●半衿の紅葉舞ふなり加治屋町=スライトリ・マッド
◎里○葱△喋、夏、砂、香、二=10点
(葱:鹿児島の中心街ですね、和服姿の女性がちらほら、京都なら先斗町みたいな処かな? 夏:和服の小物って季節感先取りですね。)

●星好きも汽車好きもいて虫の声=資料官
○水、五△君、夏、砂、入、香、前=10点
(水:二つの並べ方が良い。 五:ほんとは、星見、夜汽車見がいつの間にか虫好きに!皆さん、虫嫌いにならないでね! 夏:仲間が集った晩のことでしょうか?! 前:個人的共感で選句2。喋九厘さんですか?資料官さんですか? 葱:言いたい事は分かります。)

●紅葉原天誘いて海へ果つ=水音
◎澄、前△木、二=8点
(前:雄大な景色が浮かびます。)

●蟲すだく社の柱虫の札=スライトリ・マッド
◎百○君、夏=7点
(百:すだく(集く)という言葉を教えてもらいました。 夏:虫の札」とは、蟲封じの札ですか?視点が面白い。 葱:「虫の札」とは? 天武天皇と関係あり?)

●虫の音をそおっと閉ざし肌掛けす=香久夜
○喋、メ、資△白=7点
(メ:「そおっと閉ざし」がいいです。 入:秋の寒さが繊細に表現されて。)

●紅葉山新夕張に標(しるべ)朽ち=喋九厘
◎入△夏、水、資=6点
(喋:夕張線紅葉山駅が石勝線新夕張に改称して幾歳月。駅前には旧駅名標が朽ち果てる…次駅の楓駅も廃止されて久しい。大夕張炭田の名残りは今…。 夏:知らない土地なのに、情景が目に浮かぶようで。 入:紅葉、夕張、標、朽、豊かな演出。 資:山の中の広い構内。ありきたりな新○○とか○○○中央なんぞ味気ない駅名が乱立しているが,そのひとつ。作者決め打ち、写真展ご祝儀だ。)

●池の面(おも)蜻蛉尾たたき命満つ=ひら百合
○君、入△里=5点
(入:秋は生命力のときでもあるのですね。 葱:糸蜻蛉弓なりといふ愛しかた=中原道夫)

●叱られて家飛び出して蟲の闇 =五六二三斎
◎ス△里、香=5点
(ス:高3のとき、似た体験あり。こわくなってすぐ帰りましたが・・。 葱:子供の頃、そんな事がありました。 入:今となっては懐かしいそんな張りつめた夜が。)

●てっぺんの黄葉(もみぢ)押し出し滑り台=夏海
△喋、ス、砂、入、二=5点 (ス:サクサクの葉っぱの音が聞こえてきます。楽しそうですね。 入:落葉の量が気持ちいい。)

●虫の声ひときわ響く空家かな=五六二三斎
○ス、メ△男=5点
(ス:九月尽、空家、死にいく虫たちの今生の鳴き声、秋のもの哀しさが感じられます。 男:人のいないところが虫の天下。 メ:我が物顔できます。 葱:鄙びた景色ですね、万葉の風情とでも申しましょうか。)

●丘の上の黄葉挟みし古ノート=水音
△葱、五、メ、入=4点
(葱:「丘」と書けば筑高を連想してしまいます。 五:丘ふみ句会では採らなければ! メ:交換日記を思い出しました。 入:黄葉のほかにも出てきそう。)

●おすそわけ氏神様から鈴の虫=葱男
○ス△澄、二=4点
(ス:ご利益ありそう!幸せな気分をくれそうな鈴虫の声ですね。)

●轡虫終点の柵不平あり=入鈴
○葱、白=4点
(葱:さあどうする?回れ右するか、降りはじめるか、きっと迷うぞ! 白:何だ、これは、もう終わりか! うーん、おもしろいですねえ。)

●終列車降り立つところ虫時雨=資料官
○五、二=4点
(五:終列車の侘びしさをさらに追い討ちをかける虫時雨かな? 葱:きっと田舎か郊外の寂れた駅なんやね。 入:終列車がいい。)

●窓閉むる蟋蟀の声惜しみつつ=香久夜
○男、百=4点
(男:もっと聴きたいのにそうもいかず。 百:涼しすぎの秋。)

●虫の音や駅の厠に忍び寄り=資料官
◎喋△葱=4点 (葱:「終列車〜」とほぼ同じような情景。)

●虫の音やそっとしゃがみて覗き込み=男剣士
◎木△里=4点
(里:一般受けしないでしょうが、私も同じ行動をする者として、その気持ちに共感します。)

●想ひ出を縄なうごとき虫の音や=君不去
△葱、白、メ=3点
(葱:庭の秋の虫の音は夏場の蝉と違って、風流でんなあ〜。 メ:「縄なうごとき」? 入:虫の声をそんなふうに聞いてみたい)

●鈴虫をくれし人棲む奥の家=スライトリ・マッド
◎男=3点
(男:普段の付き合いは薄い仲だったのでしょうか。)

●幸せは山の彼方に薄紅葉=五六二三斎
○資=2点

●チロリンとたで喰ふむしも好き好きと=喋九厘
○前=2点
(前:個人的共感で選句1。喋九厘さんですか?資料官さんですか?)

●冷えた朝色づく紅葉(もみじ)緑に映え=ひら百合
○澄=2点

●渓谷に紅葉はらはら光浴び=木陰
△澄=1点

●鈴虫と鼻唄ながし更家ウォーク=香久夜
△水=1点
(香:デューク更家さんのダイエットウォーキング、全国区? 水:この虫の音は颯爽としてますね。 ス:ウォーキングダイエット、効果ありましたか〜? 入:鈴虫との掛け合いでリズムに乗ってるのが愉快。)

●半月や虫さえずりて夜も長く=喋九厘
△前=1点

●虫のあさ三半器官目覚めけり=葱男
△ス=1点
(ス:耳が起きるのね!自分が虫になったような気分も感じられて面白いです。) 

●夜冷えてはや涼虫の気配あり=メゴチ
△百=1点(百:鈴虫、 涼虫もありなんですね。)

B部門入選作

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