*B部門入選作発表*

兼題「燕」「朧」*全45投句(入選35句)

【特選】

一席
●朧月猫のしっぽの思案中=入鈴


◎葱、香、君○喋、水、雪△夏、メ、ス=18点
(葱:何故か「ティファニーで朝食を」という映画を思い起こしました。 君:楽しい句ですね。 水:朧だと化け猫になれるか、、とか? 雪:何を考えてるんでしょうね!?猫ってほんと絵になります。 夏:猫が何か考えている時の尻尾・・・可愛い。 メ:何か流れがいいので。 ス:そんな感じです。)

二席
●寂れゆく生業の道燕飛ぶ=五六二三斎


◎雪○前、入、百、君、ス、入△香=16点
(雪:心にズシン!とくる句ですね。燕がすごくいい! 百:下町か裏通りか。 ス:ツバメって年老いた人々や活気をなくした通りに元気をくれる感じがして。 入:外側から見ただけではわからない、地道な営みもあることを感じます。)

三席
●おづおづと吊り橋半ば燕来る=夏海


◎水○入、男、香、資△ス=12点
(水:燕って町に住むものかと思っていたら山に群れていたりするんですよね。 男:こちらは足がすくんでいるのに。 入:ただただ、スリル満点。 資:高所恐怖症の私足すくむシーン。 ス:ツバメの自由自在さ、人間の不器用さの対比が面白く。)


【入選】

●雨装ひ(あまよそい)せず飛び出してつばくらめ=入鈴
◎資○葱、五、香、久=11点
(葱:「つばくらめ」の語感が不意の雨とうまく響いているように感じました。 五:雨と燕は相性がいいですね。)

●ナミダ君ふと呟きておぼろ月=五六二三斎
◎ス○葱、砂△君、メ、久=10点
(ス:ちょっぴりかなしくロマンチックで。 葱:九ちゃんの唄ですね? メ:坂本九の「涙くんさよなら」を思い出しました。)

●マラケシュに水売る男つばくらめ=葱男
◎夏○雪、ス、砂△入=10点
(夏:自分の目の前の燕ばかり気にしていたので、この句は鮮烈。なるほど、マラケシュにも燕は飛んでいるはず・・・視界が開けた感じ。 雪:映画のワンシーンのよう な・・・。 入:王子と燕の物語がありましたよね。エジプトにはとうとう還らなかった燕。 ス:あやしげでからっとした明るさがあっていい。)

●帰り待つ赤い塗箸朧の夜=雪絵
◎五○男△水、久、砂=8点
(五:赤い塗箸だから、お祝い事?それとも、新婚の家庭?レトロな雰囲気です。 男:遅い帰りの娘を待っているのかな。 水:春の夜は娘っこも浮かれて帰りが遅くて心配。)

●残像は流るる朱線つばくらめ=スライトリ・マッド
○夏、メ△五、水、香、資=8点
(夏:燕の残像を詠んで新鮮。この残像には、人の生きざまの残像という意味もあるのか、とも。 メ:飛んでる姿をじっくり観察したことがない・・・。 五:これは、いい観察!赤いつばめの色を残像として捉える。これは、なかなか面白い。ただ、天位にできなかったのは、もう一工夫と思ったからです。「残像の流るる朱線つばくらめ」? 水:朱の意味がイマイチわからないけど。補色でもないし。でもなるほどと思う。 資:作者決め打ち。九州新幹線800系の朱色のラインをこじつけて詠んだか。)

●ふり向けば妖怪がいる草朧=水音
◎喋○夏△君、雪、砂=8点
(夏:「妖怪」が面白い。『朧』の季語でおぼろな内容だと句がボンヤリするけれど1つ焦点を結ばせると 俄然活き活きと。葱:草朧が似合う妖怪ってなんだろう?)

●新たなる軒端あれかし初燕=夏海
◎前、入=6点
(前:我が家の玄関には二つの巣があります。いくら玄関とはいえ、壊すなんてできません。巣立つ姿が毎年楽しみです。 入:来年は輪島他被災地に、燕の巣が作りなおされますよう。)

●静かなる能古の島影月朧=男剣士
○メ、資△葱、前=6点
(メ:島と月、絵になりますね。 資:11月は能古島集合ですね。檀一雄をしのぶ「花逢忌」もあと一月です。 葱:今年の同窓会は能古島みたいで、たのしみ!)

●土の香に充たされ夜の気の朧=夏海
◎百△前、五、男=6点
(百:春はやはり土の香がぴったり。 五:これもおどろおどろしさを感じます。夜の空気の湿気にのこと?朧にぴったし! 男:土の香っていいですよね。)

●おぼろ月竹輪の穴の夜を食む=スライトリ・マッド
○喋、五△香=5点
(五:おぼろ月は、おどろおどろしい雰囲気があります。取り合わせがよろしい。 男:竹輪の穴が何ともいえません。)

●かぐや姫道に迷へる朧月=水音
○前△喋、夏、雪=5点
(夏:ファンタジー!! 葱:かぐや姫も後ろ髪を引かれたのでしょうか?)

●暖気斬る 直線燕 雛の元=久郎兎
◎メ△男=4点
(メ:すっきりした句で好きです。 男:飛燕の直進が素晴らしい。)

●改札の 別れ見下ろす 親燕=久郎兎
○君△砂=3点

●帰り道 朧なるもの 恋と月=久郎兎
◎男=3点
(男:恋が朧っていう表現が気に入った。 葱:服部良一のメロディの乗せて口ずさむような句。)

●推敲の帰り道なり朧月=香久夜
◎砂=3点
(葱:歩きながらの五・七・五、分かるなあ〜。)

●旅果てて故郷見ゆるや朧月=喋九厘
○久△百=3点
(百:ほっとした感じ。)

●たつき終え浮かれ出でけり朧夜や=君不去
△百、メ、ス=3点
(百:これも一息ついて。 メ:たつきって卓球のこと? ス:たつき=方便? 葱:「たつき」とは生活をささえる手段=よるべ。)

●ニアミスの紙飛行機や燕来る=水音
(葱:燕の曲乗りはすっごい!)
△前、喋、雪=3点

●朧夜にミュールのかかとうつつかな=入鈴
○百=2点
(百:サンダルより色っぽい。 葱:靴音にミュールがかかって聞こえてきたのか?なんだか、サスペンスもののイメージですね!)

●今朝からはパスモをタッチ初つばめ=資料官
○水=2点
(水:最新の技術と泥を運んで巣を作る世界が同居してるのが面白い。 葱:「パスモ」が分かりませんでした。)

●月朧つめのいちまひ死を亘る=葱男
△喋、夏=2点
(夏:将棋のことでしょうか?面白い。)

●初燕せわしき日々の軒の下=君不去
△男、水=2点
(男:今年はまだツバメを見ないんです。 水:日常の中のふと立ち止まる一瞬ですね。)

●好色の徒と果つるのみ鐘朧=葱男
△五=1点
(五:朧と好色の取り合わせも合いますね。鐘朧もいいですね。)

●千の風列島走りて燕ゆく=喋九厘
△葱=1点
(葱:新井満ってシンガーソングライターやったんや!)

●南風崎(はえのさき)戦終ひて朧月=喋九厘
△君=1点
(葱:戦後は風化してしまうのか?)

●白球の音に誘われ燕来る=五六二三斎
△入=1点
(入:こういうカラスの真似する燕がいたら、楽しいだろうなあ。)

●初燕一トにぎはいす(ひとにぎわいす)停留所=スライトリ・マッド
△百=1点
(百:みんな季節に敏感。 メ:「一トにぎはいす」理解できないです。)

●花の香も朧気ながら忘る歳=前鰤
△資=1点

●ぼんやりと東京タワーや夕おぼろ=資料官
△葱=1点
(葱:地デジに東京タワーの役目を終えるんですよね、なんだか次々と時代に幕が下ろされますね、フランキー。 男:テレビで感動してましたんで。)

●身にまとふものみなおぼろ月おぼろ=君不去
△入=1点
(入:歌うようにリフレインがきいていて、だけどなんのこっちゃ?です。)

●目をとぢて腰を下ろせば春朧=ひら百合
△資=1点

●朦朧と目覚めぬ午睡蟻の道=ひら百合
△久=1点
(葱:「午睡」も「蟻の道」も夏だけど、これも温暖化でいたしかたないのか?)


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