*B部門入選作発表*

兼題「麦」「夕立」*全44投句(入選31句)

【特選】

一席
●麦笛や父に聞きたきことのあり=五六二三斎


◎葱、男、水○二、入、ス△久、資、香、夏、雪=20点
(葱:季題が効いています! 男:子供の頃に何を聞き忘れたのか。 水:麦笛のなつかしい感じが生きています。 ス:親子の情愛が感じられました。 香:お父さんへの恋しさがわかります。 夏:遠くにいらっしゃるお父さんでしょうか?もしかして、もう手紙の届かない所? 雪:もう聞けない状況でしょうか。)

二席
●夕立晴れ五百羅漢の笑ひ顔=夏海


◎雪○五、前、資、メ、ス△二、水、入=16点
(雪:こちらまで笑顔になりそう! 五:五百羅漢の笑ひ顔としたところが成功!  資:首都圏では目黒や川越喜多院の五百羅漢が有名です。日が差すと笑っているように見えますね。 メ:五百羅漢だからいろいろな表情がある。笑ひ顔もあるんだ。 ス:どんな笑い顔か見てみたいです。 水:さっぱりした綺麗な顔になって。 葱:いかにも俳句の俳句らしい吟行句ですね。)

三席
●麦刈るやいっきに土の匂い立つ=君不去


◎五、木○二、水、夏△葱、男=14点
(五:土の匂いに感動しました。 水:麦の土くさい、埃っぽい匂いを感じるよう。 夏:視覚、嗅覚 刺激されました。 葱:湿り気をおびた草と土の混じりあった匂いが鼻につんと来ました。 とても臨場感のある句。 男:土の匂いがまた良いんです。)


【入選】

●小説の匂ひかすかに夕立風=五六二三斎
○葱、資、雪△木、前、百、水、ス=11点
(葱:「本」と一般化とせずに「小説」と限定したところがミソ。 資:降り出す前の風はぞくぞくするものがありますが、小説の匂いという表現が面白い。 雪:どんな物語が始まるのでしょうか・・・。 水:どんな小説の匂いなんだろう。夕立が近づくと黴臭さを感じるけど。 ス:よくわかりませんがいい感じで。)

●星の座を呑み干す琉球麦酒かな=葱男
◎前、二○喋、君△雪=11点
(前:オリオンビールにルートべア、カルテックスにさしみや、シークァーサーにソーキそば、八重山時代を思い出します。石垣島からは、南十字星がきれいに見えます。 男:壮大なオリオンを飲み干すんですね。 君:ちょっと早い気もしますが、”麦”といえば麦酒なんですね。 雪:星を見ながら呑む麦酒、最高でしょうね!)

●揺れもどる麦穂の波や子ら走る=君不去
○男、前、水、入△久、百、香=11点
(男:元気が湧きそうですね。 香:大きな風で「揺れもどる」がおもしろいです。こどもたちが隠れてしまうほどでは?)

●Tシャツの中に青春麦の秋=五六二三斎
◎久、砂△二、喋、雪、ス=10点
(雪:Tシャツを着ていつまでも青春していようっと! 男:迷いました。 ス:Tシャツは青春のシンボルだし麦と合う!)

●夕立風猫町抜けて猫小路=葱男
◎夏○百△五、二、喋、水、資=10点
(夏:伸びやかさ、最高! 猫が主人公のアニメが生まれそうです。 百:猫は好きなんです。 五:どこの酔っぱらいおじさんですか? 水:不思議な句でつい採ってしまった。)

●白雨来る晶子の歌のリフレイン=スライトリ・マッド
○五、夏、雪、砂△葱=9点
(五:与謝野晶子のことですか?どの歌か?よくわかりませんがよい句。 夏:与謝野晶子? どの詩歌?と 色々想像が広がります。 雪:何故か惹かれる句です。 葱:作者にはリフレインした歌が晶子のどの歌なのか是非とも聞きたいところ。)

●花嫁の敷居またぐ日麦の禾(のぎ)=水音
○久、喋、香△葱、五、二=9点
(香:ちょっと怖いイメージです、嫁いだ後はどうだったですか? 葱:新しい世界に入る、新妻の心情を麦の禾に喩える感覚は新鮮。 五:昔の結婚式の儀式が思い出される。)

●麦こがしへのへのもへのたれか似る=スライトリ・マッド
◎君○香△五、夏、砂=8点
(五:ユーモラスですが、昔読んだ絵本が思い出されました。 夏:楽しい句!)

●夕立の 銀のカーテン 時止どむ=久郎兎
◎入○木、君△メ=8点
(入:銀のカーテンにしびれました。 君:美しい(・・すぎる?)夕立! メ:いきなりの夕立は時を忘れてしまいそう。)

●大夕立新丸ビルを丸洗ひ=資料官
◎喋○葱、メ=7点
(葱:「丸ビル」の「丸洗ひ」が洒脱! メ:雄大さが出ていて好きです。)

●ガキ大将麦笛吹きて静かなり=雪絵
○男、砂△前、君、ス=6点
(男:そういう時代がありました。 ス:ガキ大将にもかわいいとこあるのね。)

●夕立や一樹のなくて潔し=香久夜
◎百△夏、入、君=6点
(百:情景と雰囲気がでてる。 夏:雨宿りする場所もなく 「ま、いいか」と開き直る?!)

●金彩の波誇らしげ麦の畑=香久夜
◎資△木=4点
(資:誇らしげな麦畑の表現が良い。)

●鳥の声まとひ揺れつつ麦畠=入鈴
○木、百=4点
(百:言葉がいい。)

●麦秋や見知らぬ里へ嫁いだ日=雪絵
◎香△二=4点
(香:私はこの季題で、遅ればせながら「見知らぬ里」の美しい麦畑を発見しました。  葱:昔の白黒の松竹文芸映画のシーンのよう。)

●大薬缶に麦茶のぬるき昼休=夏海
◎ス=3点
(ス:緊張の糸の緩んだのどかな光景もいい感じで。 葱:生活実感あり。 資:良いなあと思ったのですがお題が「麦」で麦茶や麦酒は少々抵抗があり採れませんでした。)

●逃れえず大夕立に呑まれたる=夏海
○香△砂=3点

●故郷は古の色麦の秋=水音
◎メ=3点
(メ:故郷はやっぱりセピア色が似合う。)

●熟れ麦の隠れ家なりし雀色=入鈴
△喋、香=2点

●ときどきは淋しくもあり驟雨かな=雪絵
△男、入=2点
(男:そういう気になるときも確かにあります。 入:時雨と違う淋しさってなんでしょう、面白い。)

●晴れに鳴く 麦刈り畑の 親雲雀=久郎兎
△男、メ=2点
(男:出勤時に雲雀が聞こえるんです。 メ:雲雀は青空が似合いますね。)

●うねうねと北の台地の麦の波=メゴチ
△砂=1点

●大麦とポピー畑でびいるゴクッ=喋九厘
△メ=1点
(喋:大刀洗キリンビール工場のポピー畑は見事です。畑の一角には大麦畑もちゃんとあります。 メ:青空の下で飲むのはいいよね。「びいる」としたのがいい。 資:麦とポピーとビールは欲張りすぎでは・・・・。)

●風渡り三河の麦の育つなり=香久夜
△木=1点

●麦秋の野をつらぬきて汽車走る=資料官
△前=1点

●麦の雨マリア観音ほほゑみし=葱男
△二=1点

●夕立風騎射場角キク薬舗閉づ=スライトリ・マッド
△君=1点
(君:破調?だし、さっぱり訳わからん!けど興味あります。教えて! 葱:じぇんじぇん手に負えませんでした。 資:騎射場交差点懐かしいス。)

●麦の波休暇の空に腕伸ばす=木陰
△百、資=1点


【無選】

●逆づかみ 麦の穂痛し 実り畑
(入:ぴっちり実った麦の穂をこんなふうにも味わえる。)

●夕立雲あの山越えてグルングル
(メ:「グルングル」で止まってしまう、その心は?)

●夕立の雲にプレーを焦らされ
(香:夕立のせいにしないでね。最後、切れがあればいいと思いました。 入:わかるわかる、それもまた楽し。 メ:「焦らされ」で終わっているのは何故?)


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