*B部門入選作発表*

兼題「鶴」「炭」*全39投句(入選35句)

【特選】

一席
●炭斗の内貼り文字の薄暮かな=夏海


◎水、雪、二○ス△資、百=13点
(水:達筆な筆字がほのかな明かりの中で息づいているようです。 雪:炭斗、薄暮、絶妙な取り合わせと溢れる情緒! ス:よくわからなかったのですが、言葉の響きにつられて。 資:すみとりなんてなんのこっ茶。 百:そういうところに眼を向けた状況がしっとりしていいです。)

一席
●練炭の穴の形のままに消ゆ=夏海


◎葱、百、入○君△喋、二=13点
(葱:燃え尽きて真っ白になっても形はそのまま残っている、触るのが怖いような、そんな感傷的な気分がよく伝わります。 百:これが特徴ですよね。 入:現代アートっぽくて素敵。 二:ここは「冷ゆ」でしょう。)

三席
●練炭の匂ひ駅員きっぷ切る=資料官


◎砂○久、木、雪△水、夏=11点
(雪:今もどこかにあって欲しい駅舎です。 夏:こういう駅 ありましたよね。 水:「股火鉢」なる言葉を思い出しました。 葱:「練炭」は懐古譚にぴったりの句材ですね。)

三席
●練炭や真白き母の割烹着=雪絵


◎夏○五、資、入△ス、砂=11点
(夏:記憶の底で共有している原風景ですね。 五:練炭には母の割烹着が似合う。 入:ピッタリ来すぎるけれど、いいもんはいい。 ス:私たちが小さい頃見た光景ですね。 葱:原油高騰の影響で、最近「練炭」が見直されているらしい・・。)


【入選】

●菊炭のうち合う音や燠(おき)仄か=入鈴
◎メ○水、五△喋、百、前=10点
(メ:「うち合う音や」がいいです。 水:しみじみとした暖かさを感じます。 百:「うち合う音」ってのも独創的なような。 五:日本の伝統というか、古都を感じました。 葱:菊炭がくぬぎの黒炭の事をいい、茶事によく使う事を知りました。)

●重なりてかざす手いくつ炭火鉢=君不去 
◎香○メ、前△五、夏=9点
(香:「兄いもと〜」の句も同じような光景が浮かびます。どちらも好きですが、ちょっとまとまりがいいような。 メ:火鉢なんて、ついぞ見かけませんね。 五:昔を思い出します。 夏:中七が疑問形なので 読者の想像の余地があって面白い。)

●丹頂の歩むや我のあんだんて=入鈴
◎君○木、雪△ス、百=9点
(雪:遅くてもいい、一歩一歩着実に。 ス:丹頂鶴は優雅なんですよね!? 百:「歩くように」でしたっけ。)

●思い切り寄り目の枝雀万羽鶴=スライトリ・マッド
○葱、夏、香、二=8点
(葱:枝雀さんの落語、破天荒で大好きでした。「万羽鶴」は出水の焼酎の銘柄なんですね。 夏:面白い取り合わせです!)

●手炙りのぬくもり赤き炭火かな=メゴチ
◎資、男○前=8点
(資:てあぶりってなん茶?でも良い句のような気がしたので・・・・。 男:炭のチロチロは暖かい。)

●身中の虫目覚めたり鶴の舞ふ=水音
◎五、ス△葱=7点
(五:身中の虫はこう詠むのか?と驚きました。 ス:おもしろい! 葱:「鶴」にはそういう壮絶なる絶叫のイメージがあります。 身を滅ばさないように・・笑。)

●炭つぎてランドセル待つ祖母の手や=木陰
◎久○香△男、入=7点
(久:炭を継ぐというのが新鮮な感じを与えます。 香:やさしい句です、昔の思い出ですか?男:この風景見なくなりました。 入:共感を呼ぶんやだけど、炭をつぐ祖母の傍らランドセル?)

●点炭をうちてののちの香気かな=君不去
○夏、入△雪、香、二=7点
(夏:炭手前」を一緒に体験している気持ちになりました。 入:茶の湯をここまで、味わえるとは。)

●薫水の郷(さと)それぞれに鶴の酒=葱男
◎前○君△夏=6点
(夏:着眼点が素晴らしい!(拍手) ただ、季語として働かせるには弱い?どうでしょうか?)

●熾し火の傍らにおるちゃんとおる=入鈴
○葱△久、水、雪=5点
(葱:「ちゃんと」が効いてますね、「ゐる」が「おる」なのも素朴でいい。 水:いてくれて良かった、って何が?誰が? 雪:火から離れずくっついている、愛らしい子供の姿が浮かびます。)

●石炭の匂ひ昭和の空の下=資料官
○喋、男△五=5点
(男:やはり昭和でしょう・・・古い年代か? 五:石炭と昭和の取り合わせはいいですね。ただ、類句はありそうですが・・。)

●鶴泊林檎を揺らす五能線=喋九厘
○二△葱、入、君=5点
(葱:北の宿が「鶴泊」とは地名自体にポエジーがありますね。 入:旅行会社のコピーみたいやけど、白と赤と日本海の群青が浮かぶ。)

●跳炭や四畳半間に祖母ひとり=五六二三斎
○ス△葱、資、香=5点
(ス:おばあちゃんがチョコンと火鉢の前に座ってる姿が浮かびました。 葱:うら悲しさが際立ちます。 資:パチパチと飛び跳ねる炭火にばあちゃんが1人何している?)

●鼻がまず備長炭に捕まりぬ=葱男
○百△久、資、砂=5点
(百:「鼻が捕まった」がユニークだなあと。)

●折鶴の羽をたたみて冬に入る=雪絵
○砂△ス、資=4点
(ス:静かな感じですね。出水の鶴は近くで見ると結構うるさいんですよ。 葱:抒情があり美しい句ですが、やや技巧的な感じもするかな。)

●七輪の炭火懐かし三丁目=メゴチ
◎喋△=4点
(葱:「三丁目の夕陽」観たのかな?)

●祝杯に囲炉裏菊炭赤き華=久郎兎
○メ△水、君=4点
(メ:しっぽり祝うには囲炉裏が似合う。 水:赤い色が嬉しい気持ちを盛り上げる感じ。葱:「丘ふみ」同窓会への挨拶句ですね。)

●鶴となる羽広げ飛ぶその時に=君不去
◎木△男=4点
(男:勢いを感じました。) 

●舞うことは生きることなり万羽鶴=水音
○男△木、入=4点
(男:一度行ってみたいです鹿児島に。 入:「生きること」を別の表現で詠うことに、難儀しているとも思うのですが、直截なのがかえって新鮮でした。)

●紅葉散る竈門の森の炭手前=喋九厘
○水、砂=4点
(水:大宰府から竈門神社へ行く途中に表千家の茶室がありましたよね。そこの茶事ですか?)

●兄いもと小さき手かざす炭火かな=雪絵
△久、メ、前=3点
(メ:昔を思い出しました。 葱:可愛い句ですね、昔のことを思い出してるのかな?)

●カタコトと肥薩おれんじはぐれ鶴=喋九厘
△五、雪、香=3点
(五:鉄道プロかセミプロのいずれの句かな? 雪:こんな情景を旅してみたいです。)

●刈り込みの鶴は嘴上ぐ小春空=夏海
○百△二=3点
(百:情景が眼に浮かびます。)

●炭の香やこころころころ昇華せり=水音
△木、メ=2点
(メ:ゴロが良かったので。 葱:「ころころ」がどうなんだろう?)

●石炭を焼ぶ父の背やセピア色=スライトリ・マッド
○久=2点

●タイル貼る石炭風呂や家族あり=五六二三斎
△木、君=2点

●ダージリン摘むよ走るよ石炭車=スライトリ・マッド
○喋=2点

●冬枯れの田に霜下りて鶴の声=久郎兎
△男、メ=2点
(メ:田んぼの鶴ってなんか絵になるよね。)

●一陣に願うや春の鶴の家=久郎兎
△前=1点

●石炭は昭和の証汽車走る=資料官
△喋=1点


【無選】

●背伸びして見渡す田んぼ鶴千羽
(葱:自分が背伸びして鶴を見ているのか、鶴が背伸びして田んぼを見ているのか? 少し分りにくかったです。)


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