*B部門入選作発表*

兼題「水」「実」*全48投句(入選37句)

【特選】

一席
●水落とす千枚棚田空近し=夏海


◎百、雪、香△葱、入、五、メ、資、二=15点
(百:なるほど、水がなくなると距離が近くなるように見えるのか。 雪:棚田って、ほんとに高いところにありますよね。それだけ苦労も多いことでしょう。 香:採り入れ間近ですね。 葱:棚田はどの風景も素晴らしい! 五:棚田の高さがうまく表現されている。)

二席
●庭隅に母の背丈や実山椒=雪絵


◎入○葱、久、二△喋、百、前、夏、君=14点
(入:偶然、みずひきや母手折りおるにわすみにと作りました。 葱:山椒の実を摘む母の背丈がちょうどその木の高さと同じぐらいだったという、ただそれだけで小さな喜びがあるのですね。 百:「なるほど」の句。 夏:景が浮かびます。)

三席
●柿の実をかすめて一輌列車行く=資料官


◎前○入、久、雪△香、二、君=12点
(雪:山あいを健気に走る列車。いつまでも残って欲しいものです。 香:秋のローカル線、窓を開けたくなりますね。 入:一輌というのが情景を浮かび上がらせてくれる。)

三席
●草の実やひとり遊びの好きなひと=葱男


◎水○男、夏、君、資△二=12点
(水:どんな遊びをする「ひと」なのか?おもしろい。 男:ゆったりとした時間が過ぎて・・・。 夏:ちょっと寂しい雰囲気で秋らしい。)

三席
●忘らるるまま藤の実の揺るるまま=夏海


◎砂○入、木、二△ス、メ、資=12点
(入:るるままの繰返しが憎い。 ス:繰り返しが効いてますね。 メ:語感が良かったので。 資:フジなんて5月頃しか注目されないが,よく目に留まったと感心。)


【入選】

●木の実降るすたっかーとを緩くして=入鈴
○葱、百、香、砂△木、メ、資=11点
(葱:「すたかーと」のリズム感に一票! 百:落ちる音をスタッカートで表したのが新鮮で。 香:楽しくなる言葉が並んでいます。 メ:「緩くして」がいいですね。)

●ひらひらと落ちゆくコイン水の秋=水音
◎葱、二△男、前、夏、雪、砂=11点
(葱:どこか謂われのある神の池か小川にコインを投げて何ごとかお祈りをささげたのでしょう。季語がピタリとはまっているように思いました。 男:どんな風景でしょうか、トレビでもなさそう。 夏:「ひらひら落ちる」のがコインで面白い。軽そうだから、1円玉かな?)

●栞ひも二本の句集蓮の実=スライトリ・マッド
◎五、夏△葱、水、砂=9点
(五:立派な句集なんでしょうね?蓮の実(はちすのみ)からして故人の句集ということが伝わってきます。 夏:美味しいところ満載の「蓮の実」が「句集」と良く響き合って。 栞の一本は読みかけの所、一本は気に入った句のページかな?!  葱:最近手に入れた「田中裕明・全句集」にはたしかに栞ひもが2本ついてます。 水:「蓮の実」は「はちすのみ」と読んだらいいのですか?)

●水澄みて私史うすらぐや昭和の子=葱男
○五、前、資△入、香、砂=9点
(五:昭和の子もはや晩年を迎えつつある。寂しく切ない。 資:平成も19年,昭和も遠くなりにけり)

●ささめくや謎沈めても秋の水=入鈴
◎喋○香、君△五=8点
(香:謎?迷い…尽きません。 君:発想が面白くて。 五:秋の水には秘密も隠せないということ?)

●榎の実杜の石段一歩ずつ=五六二三斎
○喋、二、ス△雪=7点
(ス:エノキの実ジャリジャリ踏んで歩くの大好きです。 雪:神社でしょうか!?散策するにはもってこいの所です。 男:何となく風景が浮かびます。)

●ひとまずは珈琲豆碾き九月尽=ひら百合
◎資○君△香=6点
(資:上期を終えたまず珈琲,この間合いが良い。 君:「ひとまずは」に私も実感!! 香:何となくわかります。夏の疲れもやっと落ち着きました。)

●水を呑み手を拭ひけり賢治の忌=葱男
◎ス○五△喋=6点
(ス:賢治にぴったり! 五:賢治の行動を思い起こさせる句に仕上がっています。)

●宇宙塵泊まるや菱の実の尖=夏海
◎木○水=5点
(水:菱の実自体が宇宙から来た物体みたいな形をしてますよね。)

●湧き水を掬ひて風の音九月=雪絵
○夏、砂△二=5点
(夏:風の音に九月を感じる辺り、共感。)

●椎の実に二礼二拍手一礼す=資料官
○喋△水、百=4点
(水:ご利益のある椎の実なんですね。 百:太宰府で椎の実を売ってましたよね。)

●粒乱れ二番作なりぶどうの実=香久夜
○前△君、入=4点
(入:視点が優しい。)

●水澄みて掬う手のなか坊主滝=男剣士
○ス△葱、二=4点
(ス:つきすぎかなって思ったのですが、坊主滝ってのが良くて。どこにあるのでしょう? 葱:背振り山系にある滝のようですね、「滝」は夏の季語だけど、水澄むが勝っているいるのでいいんじゃないでしょうか。 坊主滝、小さそうだし・・・。)

●木の実落つ引いては寄せる波のごと=水音
◎メ=3点
(メ:こういう光景にはなかなかお目にかかれません。)

●ひだりゆび団栗なぞる手風琴=入鈴
○木△久=3点

●ひりりりと三十二相山椒の実=喋九厘
○メ△ス=3点
(メ:よくわからない句ですが気に入りました。 ス:32相も?!)

●秋の水半年ぶりの糖衣錠=五六二三斎
○水=2点
(水:う〜ん おもしろい取り合わせ。 香:秋の水なのに…、あまり無理しないでください。)

●紫蘇の実やマグロの上で花となる=メゴチ
○百=2点
(百:紫蘇の花を思い浮かべてしまいましたが、・・・・。)

●団栗や紅白青の団旗馳す=スライトリ・マッド
○メ=2点
(メ:大運動会を思い出しました。)

●ふる里のどんぐり一つ土産とす=木陰
○雪=2点
(雪:どんぐりも忘れずにお土産の仲間入り。見るたびに故郷を思い出すでしょう。)

●曼珠沙華霊水に人絶えずして=水音
△五、夏=2点 (君:何か痛々しく、白木槿の寂しげな風情とぴったりしました。 五:「霊水に人絶えずして曼珠沙華」ではいかが? 夏:どんな霊水かしら、と想像が広がる。「曼珠沙華」も良い取り合わせ)

●実り待つ湖面に大き磐梯山=君不去
△男、雪=2点
(男:磐梯山は空からしか見たことが無いのですが、分かる感じ。 雪:雄大な景色が目に浮かびます。)

●モノクロの蒸気機関車水の秋=雪絵
△水、ス=2点
(水:水が澄んで、記憶も澄んでくる感じがする。 ス:栗ちゃん!資料官殿!おめでとうございます。 葱:「鉄道少年探偵団」ものが「モノクロ」でもう一句ありましたね。 資:SLはモノクロ世界の象徴だ。)

●山にして 水を恵みて 実る秋=久郎兎
○男=2点
(男:日本の良き時代と自然がだんだんと。)

●秋の水会えぬ想いを流させて=木陰
△喋=1点

●鮒たちも水面涼しき秋の池=ひら百合
△男=1点
(男:生き生きと泳ぎだすのでしょうか。)

●水澄むや午も未もダンスして=スライトリ・マッド
△木=1点

●美袋(みなぎ)なるローカル駅に木の実熟れ=喋九厘
△久=1点
(久:MINAGI観光バスをSAで見た。)

●山仰ぎ 水の神様 ほとばしる=久郎兎
△前=1点

●山歩き桔梗に光る水の色=香久夜
△木=1点

●雨水に色洗われし彼岸花=前鰤
△久=1点

●水澄めどなほ身に強き日差しかな=君不去
△百=1点
(百:残暑厳しい。)


【無選】

●カーディガン剥がす執念ひっつき虫
(男:分かるその煩わしさ。)


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