*B部門入選作発表*

兼題「夜」「秋の味覚」*全45投句(入選30句)

【特選】

一席
●月の夜へ昇るシースルー・エレベーター=夏海


◎喋、ス、君、木、百○葱、水△二=20点
(ス:現代版かぐや姫? 君:何やら幻想的。 百:新しい景色、透き通った夜空。 葱:都会の月もまんざら捨てたもんじゃない、という一例。 水:どこまでもどこまでも月夜に昇って行きたい。)

二席
●長き夜くぼみのこしたソファかな=ひら百合


◎水、五、メ○葱△喋、男=13点
(水:晩秋の少し古びたソファにもの悲しさを、そこに座った人に暖かさを感じます。 五:ずっとソファに座っていた夜長をうまく表現している。まさか、メタボでくぼみが大きくなってないことを祈るのみ。 メ:熱き話の余韻かな。 葱:措辞がいい。 男:話が弾んだんですねぇ。)

三席
●戒めを少し忘れてぬるめ酒=資料官


○前、香△葱、夏、ス、五、男、雪=10点
(前:全く忘れてしまってます。 香:なんとも殊勝なことです。 葱:共鳴するしかありません! 夏:雰囲気は良く判ります。季語は『温め酒』かな? ス:ほどほどにね! 五:同じ境遇なのでよくわかります。 男:戒めは時に忘れるもの。 雪:休肝日返上?!自分にも、そしてお酒もぬるめの燗で。)

三席
●栗をむく器用な夫と向き合いて=木陰


◎夏、香△葱、五、男、砂=10点
(夏: 夫の器用さ「自分の不器用さ」かな? 微笑ましい! 香:夫婦の空気をあらためて味わうことがふえましたね。 葱:優しい夫は妻の食べる分の栗も剥いてくれたのでしょうか? 五:栗は食べ始めたら止まらない。いい題材でした。 男:いい旦那ですね。)


【入選】

●あらばしり役者は老舗の次男坊=葱男
◎雪○夏、水△資、二=9点
(雪:どんなドラマがあったのでしょうか?新酒の味も・・・。 夏:地元の名士劇? 熟成していない「あらばしり」と「次男坊」の取り合わせが面白い。 水:新酒片手に名士劇とか?取り合わせが楽しい。)

●主なき塀越えの柿庭飾る=久郎兎
◎前、男△五、メ、二=9点
(五:私の家の柿もまさにこの状態です。甘柿です。 男:こういうのに弱いです。 メ:取って食べるのがもったいない。)

●刺青の脚は伸びやか吊るし柿=水音
◎葱、砂○喋△ス=9点
(葱:今どきの娘さんやね。「吊るし柿」とはアイロニーが効いてるう〜! ス:足までタトゥー入れんでもよかとに!って私だけ?)

●新米や入籍知らす文字の撥ね=スライトリ・マッド
○夏、五、香△雪、砂、木=9点
(夏:”切なさ””さみしさ”へ傾きがちな秋の句の中で、明るく元気な句に惹かれました。 五:新米と入籍した妻?の新米が重なり、文字の撥ねが喜びを表していてよい。 香:「文字の撥ね」で作者の喜びも表され、とてもいい句だと思いました。 雪:近頃、文字を書くことがめっきり減りました。)

●落花生割れば見知りの髭の顔=夏海
○前、五、雪、二△木=9点
(前:髭有りがおじいさん、無しがおばあさんだそうです。 五:何とも楽しい想像か!チロリン村のことを思い出しました。確か、野菜社会、果物社会がありましたね。主人公はピーナッツだったと記憶。 雪:しかも無精髭!落花生の殻はそんな連想をさせます。)

●幼き日語り部の木々十三夜=五六二三斎
○男、君、木△百=7点
(男:静かな長い夜を感じました。 百:わかります。)

●人恋へば酸つぱさ残る林檎かな=雪絵
◎二○砂△君=6点

●疑ひの晴れし病室焼き秋刀魚=五六二三斎
○ス△前、水、香=5点
(ス:よかったですね!秋刀魚のワタの苦味も効いてる感じ。 水:よかったですね。どんなご馳走より美味しかったのでしょうね。 香:さぞ美味しかったでしょうね。)

●銀杏の翡翠の色を肴にす=木陰
△夏、前、資、香、君=5点
(夏:しみじみとした句。銀杏の翡翠色が大好きで、私も句にしたかったけれど出来ず  [笑]。 前:紙袋に入れ、電子レンジで30秒。ボンッと音がしたら出来上がり。)

●蜜柑山夜露に震え微熱あり=喋九厘
○メ、二△君=5点
(メ:「微熱あり」が気に入りました。)

●店先や柿一盛りに眼を落とす=男剣士
○百△葱、前、百=5点
(百:眼を落とす気分を勝手にいろいろ想像。 葱:「だからどうした句」なのですが、気持ちがよく伝わってきました。「ほう!出て来ましたかあ」と柿の一盛りに季節の移りを実感します。)

●帯の背の夜寒やJazzの会果てて=夏海
○資、君=4点

●靴音に耳そばだてて待つ夜長=雪絵
○メ△香、木=4点
(メ:静かな夜だから余計に響く。 香:昔を思い出すような…。)

●栗おこわ客人連れし配達夫=スライトリ・マッド
○喋、雪=4点
(雪:よく分かりませんが、何やら物語が始まりそうな感じがして。)

●薯蕷汁ゆらりゆらぎぬ椀の内=君不去
◎資△百=4点
(百:暖かい汁ものが欲しくなる季節)

●露しぐれ手術の前夜帯を締む=スライトリ・マッド ○資、砂=4点

●かぼちゃなど転がっている子ども部屋=水音
○ス△喋=3点
(ス:ハローウィーンカボチャ or 観賞用のミニカボチャ?)

●携帯のそぞろなる夜秋の駅=五六二三斎
○百△メ=3点
(百:「そぞろ」の意味を調べてしまいましたが、なんか寂しげな感じ? メ:秋にはそぞろなる着信音が似合う。)

●野良猫の墓に集える夜寒かな=水音
△夏、雪、資=3点
(夏:「夜寒」の空気感がある。 雪:ヒトなら墓だけでも寒くなりそうですが、野良猫の生きる術ですね!)

●外つ国のキノコの色香秋闌くる=葱男
○木=2点

●梨狩りの子の顔ほどの梨をもぐ=雪絵
△水、ス=2点
(水:切れがあったら良かったのかも。 ス:ちとホラーっぽい感じもしません?)

●指先に滲む血ひとすじ林檎むく=君不去
○男=2点
(男:水仕事の母の手が。)

●木枯らしの 仕事の窓に 夜の客=久郎兎
△水=1点
(水:先日可愛いかべちょろを見たけど。)

●何と言お食後のアケビ白き味=香久夜
△喋=1点
(男:その気持ち何だか分かる。)

●母好む熟柿がゆれて鳥の影=木陰
△砂=1点

●若き日のアルバム開く長き夜=資料官
△メ=1点
(メ:ああいつもの同窓会の季節になるんだなあ。)


【無選】

●秋更けて夜の目も寝ずに夜汽車ゆく
(資:夜汽車にぐっときたが中七の意味がわからなくて・・・)

●夜話に薪ストーブと夜明け星
(百:夜明けまで語り明かしたくなる季節。)


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