*B部門入選作発表*


兼題『季:大根』『漢:守』=全69投句(入選54句)

【特選】

一席
●大根は生物穴は無生物=水音


◎白、五、十、ワ、遼○砂△葱、メ=19点
(白:生き物は無生物に育てられる。自然の原理。 五:人を食ったような出来栄えだ。俳味あり。 十:少し「理」が過ぎるようにも思いましたが、これくらいブッ飛んでしまえば、その力技に参った!するしかありません。 遼:大根をまじまじ見るという特殊な行為が浮き彫りになって感じられます。 葱:この「当たり前」が面白い。)


二席
●落丁のページの行方神の留守=ラスカル


◎資、香○水、メ△五、十、久、雪=14点
(資:まさに神の留守,しまりの無さがにじみ出ていて面白い。 水:神のみぞ知る。 五:買った本に落丁が!神は私の運を見放された!そうか、神の留守だしと諦めの気持ち!でも、本屋で取り替えてやる。 十:面白い観点。本当に何処に行っちゃったのでしょうねぇ<笑> 久:深く思うことがあったのでしょう。歳をとるとありますね。)


三席
●彗星に探査機鍋の煮大根=雪絵


◎ま○十、紅、砂△水、ワ=11点
(ま:壮大な宇宙と煮大根との取り合わせがお上手ですね。 十:遠い宇宙と眼の前の日常。まったく関連のない異次元のモノの取り合わせ。これも俳句的面白さ。 水:取り合わせが面白い。)


【入選】

●異界めくゲームセンター神の留守=ラスカル
◎ぼ○水、雪△十、紅、久=10点
(ぼ:確かにそういう感じあり、現代を鋭く突いている。 水:一年中異界のようですが、この時期は特にそうなのかな。 雪:確かに異界です!ついていけませぬ。 十:ゲーセンは確かに異界めいていますね。「異界」と「神の留守」はやや付き過ぎかも。)

●ガリバーの背の高さなる木守柿=ラスカル
◎雪○葱、香、ス=9点
(雪:ガリバーで決まり!おもしろい喩えです。 葱:「ガリバー」ですかあ〜^^; うまいこと出てきますね〜。)

●守るべき武士の一分や冬椿=ぼくる
◎紅○英、遼△白、メ=9点
(紅:一読、雪のちらつく中、着流し姿の健さんが斬りこみに行く映像が浮かびました。<もちろんBGMも>。季語が近いと言う方もおられるかもしれませんが、私は大好きです。 英:立派! 白:凛として男らしく。映画の一コマ。)

●黙守る形のごとく冬林檎=スライトリ・マッド
○葱、ワ△砂、喋、香、遼=8点
(葱:上手い!)

●大根引く地球の重さ感じつつ=砂太
◎英、メ○雪=8点
(英:いいですねぇ。 雪:地球も持ち上げているんですね!)

●大根を抜けば真昼の闇生るる=十志夫
◎ラ○白、ワ=7点
(ラ:大根を抜いた跡の闇ですね。なるほど〜! 白:真昼の闇と見たところが良いですね。)

●隠してた青大根を見せつけよ=スビキワアッ
◎葱、ス=6点
(葱:これは面白い! 女性応援歌ですね、「青大根」が不器用でシャイな性格をうまく言い表しています。それを見せつけよ! とは、ありのままの自分をさらけだしてみせるひとつの決意表明でもありますが、もうひとつ、魅力的な若い肉体の意味も5%ぐらい含まれているのではないでしょうか、若々しい句。)

●国道のガードレールや懸大根=水音
◎久○ラ△遼=6点
(久:見てくれお構い無しがユーモラスです。家に持って帰るまでの一時的ことだと思いますが。 ラ:そんなところに懸大根があるとは!)

●大根の髭ちろちろと干されをり=白馬
○喋、香△雪、遼=6点
(雪:髭に目を付けたのがおもしろい!しかもちろちろが何ともおかしくて。)

●大根干す脚立の上の修行僧=修一
△葱、五、砂、水、ま、雪=6点
(葱:「修行僧」が特別な人間じゃなく、普通の人に思えます。 五:お寺でも冬の漬物にする大根干しが盛ん。 水:近所のお寺の様子が目に浮かびます。 ま:精進料理に欠かせませんね。修行のひとつなのですね。)

●煮大根ふうふう夜の救急車=まさこ
◎砂○紅△資=6点
(資:煮大根を食べる幸福感と夜の救急車との対比が面白い。)

●無愛想が番台守る冬に入る=秋波
○ぼ、ス△葱、ワ=6点
(ぼ:懐かしや、銭湯時代。 葱:座五にもっとふさわしい季語がありそうですが、、、。確かに番台はあまり愛想の良くないほうがいいのかも。)

●いつ見ても交番は留守冬日和=水音
○五△砂、ま、ス=5点
(五:田舎の長閑な交番に冬日和は合う。 ま:そうですね、いつも巡回中。)

●すずしろや約束事を守るひと=葱男
○英、ま△ワ=5点
(英:音の響きも中身も綺麗です。 ま:きっと、一見おっとりとした柔らかい感じの方なのでしょう。すずしろが良いですね。)

●大根の首出してゐる日和かな=雪絵
○喋△紅、ラ、ま=5点
(ラ:「小春日」を、17音で表現したような感じがします。 ま:そのものずばり、良い雰囲気です。)

●鍋底を探り当てたる染み大根=香久夜
○十、メ△久=5点
(十:「出し汁にどつぷり浸かる大根かな」と迷いましたが、「浸かる」よりさらに深く「沈んだ」49番句のほうを頂きました。 久:比重でやはり底なのでしょうね。当てると言うからには最後の一つなのでしょう。)

●留守電のランプ点滅冬の暮=資料官
◎修△十、ぼ=5点
(修:わたしもこんな句を詠みたかった!! 十:日常景の一瞬の切り取りが見事。個人的には季語はもっと合うものがありさうな気がします。 ぼ:期待と不安とこもごも。 )

●ああ幸せ!暖炉揺り椅子子守唄=ぼくる
○信△葱、英=4点
(葱:「!」に一票! 英:実感がありますねぇ。)

●お守りはみゆきの曲と玉子酒=葱男
○修△五、久=4点
(修:空間も肉体も実感。62の句のつづきみたい。 五:みゆきの曲と玉子酒で古い人間と分かる 久:同世代の歌手みゆきさんでしょうか。玉子酒も元気が出ます。ファイト。)

●師の名前愛称で呼ぶ神の留守=雪絵
◎水△葱=4点
(水:神様が見ていなければ許される。 葱:「ラスカルさん」と呼んでるのもある意味、そうですね。)

●島大根漬くる重石も母譲り=スライトリ・マッド
○ま、ぼ=4点
(ま:漬け方ももちろんですね。大切にしたいですね。ぼ:島大根がいいですね。 )

●守破離なる極意あるらし軒氷柱=十志夫
○白、資=4点
(白:「守破離」を調べました。下五との呼応が素晴らしい。 資:俳句もそうなのかな。季語が効いている。)

●純白の天守閣見ゆ冬紅葉=資料官
○久△子、英=4点
(久:白過ぎではと思える大改修後の姫路城のことでしょうか。白を背後の紅葉、映えますね。 英:清々しくて爽やかで景色が眼に浮かびます。)

●大根干すもろ手のしわやまぶしけれ=メゴチ
◎信△香=4点

●出し汁にどつぷり浸かる大根かな=紅椿
○五、修=4点
(五:美味しいそうな大根の煮付けになっている。 修:大根が風呂に?可笑しくもありうまそうでもある。)     

●お守りに祈りを込めし初穂かな=英心
◎子=3点

●大根てふ地の乳房を洗いけり=弧七
△白、喋、修=3点
(白:その白肌に思わず苦笑い。 修:「い」は「ひ」?「乳房」は音読みで豪胆なかんじ。)

●大根の隠し包丁あごの出汁=紅椿
○資△信=3点
(資:料理の極意に迫るような秀句。


●大根をもらひてかへす鰤大根=資料官
△水、修、久=3点
(水:いいな 鰤大根欲しい。 修:川柳のような落語のような、ウマイ! 久:これをお節介と取るかどうか、最初読んだ時はいいなと思ったんだけど、時の流れでしょうか、うざったくもあります。)

●煮て甘き卸して辛き大根かな=十志夫
△白、資、香=3点
(資:リズム感が良い。 白:調味料無しでも、甘くも辛くもなる。その不思議。)

●うらがはの僅かに欠けし大根かな=弧七
△ラ、信=2点
(ラ:観察眼の鋭さが感じられます。)

●裏門を出づる守衛の皮衣=紅椿
○ラ=2点
(ラ:意外と、ゴージャスな皮衣を着ていたりして。)

12●辛子きくふろふき大根高倉健=まさこ
△ラ、ス=2点
(ラ:健さんへの、追悼の思いが伝わってきます。)

●枯れ株や鎮守の宮の大銀杏=白馬
○子=2点

●口直し下ろし大根鍋の湯気=久郎兎
○信=2点

●定まらぬ大根の味へぼ俳句=秋波
△英、ぼ=2点
(英:今回とっても難しかった、あなたも? ぼ:まったく、まったく、同病相憐れみますか。)

19●寒き夜ふと守りたし我が妻を=淳一
△修、メ=2点
(修:女性の句ならもっとおもしろいけど?けっこうなことで。)

●大根の炊ける匂ひを疎む世情=スビキワアッ
○久=2点
(久:炊いた大根の匂い、若い人は嫌かも。私も若いときは嫌だったから。大根下ろしの匂いとはまた違うので熱を加えると変化する食材ですね。)

●ねんねこにすやすや寝入る子守唄=英心
○子=2点

●火を守る幾千年の乳房かな=葱男
○遼=2点
(葱:誰もとってくれなかったら沈黙しようと思っていたのですが、遼君がとってくれました! 上五、「炉火守る」とせず、あえて無季で詠むことに意味を感じたのだが、、、届かなかったみたいです。縄文から数千年つづく女性たちの「洞窟の火と囲炉裏」について。)

●歌う人守るべきもの何もなし=子白
△信=1点
(子:信頭火さんの歌を聴いて。)


●JAの大根白し齧りたる=修一
△喋=1点

●シャキシャキと大根飯の湯気が立ち=英心
△子=1点

●大根の青葉をたたへ仕事場へ=修一
△資=1点

●大根は味染みてるか覗き込み=淳一
△ぼ=1点
(ぼ:実感あり。)

●道具箱のペンチそれぞれ神の留守=まさこ
△ス=1点

●真っ白に煮上げし大根薄化粧=白馬
△子=1点

●納屋口の古き石臼干大根=砂太
△五=1点
(五:石臼と干大根の組み合わせが良い。干大根は、「ほしだいこ」と読みたい。)


B部門入選作〈back number〉

創刊号 2号 3号 4号 5号 6号 7号 8号 9号 10号 11号 12号 13号 14号 15号 16号 17号 18号 19号 20号 21号 22号 23号 24号 25号 26号 27号 28号 29号 30号 31号 32号 33号 34号 35号 36号 37号 38号 39号 40号 41号 42号 43号 44号 45号 46号 47号 48号 49号 50号 51号 52号 53号 54号 55号 56号 57号 58号 59号 60号 61号 62号 63号 64号 65号 66号 67号 68号 69号 70号 71号 72号 73号 74号 75号 76号 77号 78号 79号 80号 81号 82号 83号 84号 85号 86号 87号 88号 89号 90号 91号 92号 93号 94号 95号 96号 97号 98号 99号 100号 101号 102号 103号 104号 105号 106号 107号 108号 109号 110号 111号 112号 113号 114号 115号 116号 117号 118号 119号 120号 121号 122号 123号