*B部門入選作発表*
B部門/『季:落葉』『漢:流』=全41句(入選35句)
【特選】
一席
●柿の葉の柿の色して落ちにけり=君不去
◎喋○葱、砂、久、百、雪、ス△夏、水=17点
(葱:シンプル。 久:実にばかり目がいくので葉の色が何いろだったか思い出せないけど、柿の執念か。 百:なるほど。 雪:まだ早めの落葉でしょうか?)
二席
●散り終へし銀杏や空のがらんどう=砂太
◎葱、百、白○香、君、前△二=16点
(葱:「銀杏」から「空」へと視点が移るのが俳句。「がらんどう」は作者の伝家の宝刀か。 百:空が広くなります 。 白:変拍子のリズム感を感じます。それが下の句の「がらんどう」を際立たせているようです。「がらんどう」という言葉は日本語の傑作です。空虚、無、などの漢字をはるかに突き抜けている表現で、私もいつか使ってみたいと思っていた言葉です。それを枝だけになった銀杏の向こうに広がる空へ当て込んだ作者の鋭さに感服です。)
三席
●朴落葉して音生るる寂光土=砂太
◎君○葱、雪、秋△五、資=11点
(君:静寂が感じられて。 葱:「朴落葉」は句集のタイトルにもなりそうです、重味と俳句味。 五:京都の雰囲気ですね。)
【入選】
●番犬のスイッチ切れる落葉かな=水音
◎久、ス○白△喋、メ=10点
(久:落葉が入って来てそれに囚われて黙ってしまうのかな?。他の意味もありそうですね。 白:ユーモラスな犬の表情が浮かんできます。A部門にあった豆腐屋が来ると歌う犬と同じ犬のような気もしますが…。 )
●一流といふ氣の流れ神の旅=葱男
◎澄、香、ス=9点
(澄:風水の究極ですね。)
●シャンソンの庫裏に流れて小六月=スライトリ・マッド
◎秋○資、君△五、香=9点
(秋:シャンソンというのがおしゃれ。人気のない境内もそれで人の生
活があるとわかる。 資:お寺のチャリティコンサート。曲の暖かさまでが伝わってきます。 五:まだ、初冬の楽しさがある句。シャンソン句が2句あった。秋から冬はシャンソンが合うみたい。 葱:☆京都でもよくあります、そんな感じのコンサート。下五の季語は他にありそう。)
●落葉道寡黙な人と過ごしたり=君不去
○水、資、白△香=7点
(資:ただただ歩くだけのご主人様でしょうか。静けさが伝わってくる。 白:丘フミで類句があったような気がします〈思い出しませんが…〉。でも、この情景は好きです。作者自身も寡黙に過ごしているような気がします。でも、その寡黙な中に伝わる心情が感じられます。 )
●柿落葉星をめぐりて風帰る=夏海
◎メ○喋、前=7点
●児ら入るる落葉の葉書丸ポスト=スライトリ・マッド
○砂、五△夏、水、雪=7点
(五:無邪気な子供の遊び。どんな葉書を出したのだろうか?クリスマスプレゼントのおねだり? 葱:☆配達の途中で木っ端微塵に壊れませんように。)
●山茶花や流人の島にて胡坐かく=白髪鴨
○秋△葱、澄、久、夏、君=7点
(秋:「胡坐」でどっしり根を下ろした雰囲気。 葱:「島にて」は「島に」でいいと思います。 久:居着いて主になった山茶花でしょうか。)
●流木の砂に刺さりし冬はじめ=雪絵
○メ△五、喋、君、白、前=7点
(五:流木と言えば、夏の和歌山豪雨が思い出される。砂というからには、流木が海岸に流れ着いたということか?時の流れを感じる句。 白:これも何気ない写生句のようですが、「埋もれし」などでなく「刺さりし」という表現が、心の緊張感を生み出しているように感じました。)
●孔子廟戸を八の字に落葉掃く=砂太
◎水○夏△二=6点
(夏:情景が明快です。)
●この国のゆくへ落葉のゆくへかな=資料官
◎五△砂、雪、秋=6点
(五:2011年だからこの句が天位に相応しく思う。日本よどこへ行く。 秋:侘しいけどやっぱりそうなのかな。冬来たりなば春遠からじと思
いたい。 葱:☆なんとかなるか野田首相、なんとかしてね橋下さん。)
●茶の花やふわりふわりと受け流す=夏海
◎雪△澄、秋、ス=6点
(雪:茶の花はふわり感を確かに、漂わせていますね。 澄:人生の極意のような、、、。 葱:☆そんな綺麗なおねえさん、好きです。)
●瓶と木と鴎とわたし漂流す=水音
◎夏△葱、メ、白=6点
(夏:漂流する「わたし」に共感。 葱:ありそうだけど、やっぱり面と向かって「わたし」って言われると弱い。 白:私の見た歳時記では、鴎一字では無季、冬鴎とするのが正しいように記載されていました。まあ、それはそれとしてこれは俳句なのでしょうか。下句の「漂流す」というひとことで選びましたが、「瓶と木と」まではいいとして「鴎とわたし」と続くのが今ひとつひねり足りないような気もします。)
●胸にある落葉プールの嵩のほど=夏海
○喋△砂、百、二、前=6点
(百:そんなに深いんですか 。 葱:☆この句も好きだけどなあ〜 惜しい〜!)
●反戦のシャンソン流る落葉中=雪絵
◎砂△葱、百=5点
(葱:「シャンソンの庫裏に流れて小六月」と比べてみるのも面白い。私は反戦派です。 百:やはり秋はシャンソンですよね 。)
●格子窓黄昏色の落葉降る=秋波
○香、メ=4点
●渋柿に白煙流れ肥薩線=喋九厘
○水△雪、ス=4点
●はらりくるり微睡む午後の落葉かな=秋波
◎前△資=4点
●落ち葉焚き風と戯る孫と犬=喋九厘
○澄△秋=3点
(澄:ほのぼのですね。)
●小夜時雨今なら分かる流行歌=五六二三斎
◎資=3点
(資:昭和30年代前半の歌謡曲を。)
●高尾山挨拶ごとの柿落葉=メゴチ
△久、喋、百=3点
(久:都心近くで挨拶を交せる場所らしい。 百:手を振るように。 葱:☆いいですね〜、律儀で。)
●ものがたり紡ぐ女流や忘れ花=葱男
○夏△香=3点
(夏:「女流」という言葉の巧みさ。)
●渦巻ける流れに遠き落ち葉かな=君不去
△砂、メ=2点
●オリオンに流れ星見ゆ老い眼鏡=久郎兎
△君、前=2点
●冬耕を終へてあきちやんぽん菓子屋=スライトリ・マッド
○百=2点
(百:ポン菓子屋って,まだいるんでしょうか 。 葱:「あきちやん/ぽん菓子屋」ですか!「終へてあき/ちやんぽん菓子屋」ってなんだろかって思ってました!)
●冬麗や流線型のシルエット=資料官
△水、ス=2点
●流れゆく時の移ろい落葉かな=メゴチ
○澄=2点
●人もまた落葉も走る乗換駅=資料官
○久=2点
(久:コートの群れが小走りに駆け込む朝の駅でしょうか。)
●雛形に吹き寄せられし落葉かな=葱男
○五=2点
(五:観察力が鋭い。雛形から、冬よ来るのか?早く通り過ぎてくれ。と暗に匂わせているように思える。)
●赤黄とは名付けがたしや落ち葉色=香久夜
△久=1点
(久:落葉色ってのが、どんな色なのか、茶色でないことを望みたい。)
●誘ふや母の大地の落葉焚き=久郎兎
△資=1点
●橡落葉丸まりシーソー失せている=水音
△白=1点
(白:ちょっと作りすぎな感じがしますが、アンバランスな冬の初めの不安感が伝わってきます。)
●行く秋や流れを分かつ尾根に立つ=秋波
△澄=1点
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