*B部門入選作発表*

B部門/『季:豆飯』『漢:道』=全45句 入選35句


【特選】

一席
●缶けりの缶へこませて豆の飯=雪絵


◎水、夏、メ○資△砂、五、入、君=15点
(水:豆飯に何を取り合わせたらいいのか悩みましたが、これは決まっている。遊び疲れた子と幸せな家庭の雰囲気。 夏:元気に遊ぶ子供のパワーと豆飯がピッタリ。 資:グリンピースの缶を思い出した。懐かしい遊びと懐かしい味。 五:「ん」音を3連発で豆ご飯にした方が効果的でなかったか?ユーモラスな句ですね。学校帰りに夕飯に豆ご飯が出たことを思い出します。 葱:元気のいい句ですね。)


一席
●道祖神泣き笑ひたる緑雨かな=秋波


◎香、喋○水、夏△五、白、資、雪、メ=15点
(香:色んな顔に見えるんですね。 水:緑雨は厳しい雨じゃないですもんね。 夏:微笑みの道祖神様、雨のしずくでちょっぴり泣き顔にも見える。 五:道祖神には泣き笑いが似合いますね。人生と同じです。 白:道祖神は境界(結界)の鬼神だとか…。今は故郷の神様。人々の生活を見つめる。)


一席
●「にいちやん」と呼びゐし頃の豆ごはん=雪絵


◎百○白、香、喋、入、メ△砂、秋=15点
(百:私も「おにいちゃん」がいます。 白:豆ご飯の「懐かしさ」をいちばん効果的に表象している句だと感じました。 香:豆ごはんにはいつも懐かしさと小さな嬉しさが香ります。 秋:なんかノスタルジー。)


【入選】

●豆飯や母に乙女の潜みいる=水音
◎資、入○葱、砂、雪△メ=13点
(葱:「丘女」にも「乙女」が潜んでいますよね。)

●島またぐ国道一つ走梅雨=夏海
○白、雪、百、君、ス△葱、水=12点
(白:旅の光景ではなく、何か大事な用事で車を走らせている…そんな不安感を覚えさせる句ですね。 百:暗い空に続く一本道の映像。 葱:景色が現われます。 水:「一つ」にちょっと引っかかりました。 ス:国道58号線だと、鹿児島から那覇まで続いています。鹿児島市内は朝日通りと呼ばれてます。梅雨が海越えて道路を走っている感じがしていいです。)

●峰入りの法螺を伴ひ若葉道=喋九厘
◎雪○五、夏△資、秋、入=10点
(五:英彦山の山道に法螺を伴う修験者が現れた。宝満山かも。峰入りとあるので高い山の英彦山かも。法螺と若葉はいい距離にありますね。 夏:厳しい修行も若葉のパワーを貰えれば心強いでしょう。 秋:森林浴も本格的。)

●不如帰「杣入りの道」という標(しるべ)=夏海
◎白○秋△葱=6点
(白:標というシーニュで表現されていない森を語り、その静けさを不如帰が語っています。  葱:「杣入りの道」に対して「不如帰」の言霊がじわじわきます。)

●豆飯をふわつと詰める曲げわつぱ=スライトリ・マッド
○葱△水、五、百、君=6点
(葱:「WA」音の心地よさ。 五:「わつ」の韻を踏むしかけに選。「ま」音「め」音の韻も良い。 百:おいしそう。)

●青葉道ちくんとちゅうしゃの歌軽く=香久夜
○砂、君△夏=5点
(葱:「ちくんとちゅうしゃ」って歌が「みんなの歌」かなにかで流行ってるのかな?)

●正座して七人家族豆ご飯=五六二三斎
○喋△水、雪、百=5点
(水:昭和初期の映画を見ているような風景。 百:大勢で食事することがまれになりました。 葱:昭和のホームドラマですね。)

●ふるさとの蚕豆あへるぱすたかな=入鈴
◎君△白、ス=5点
(君:”ふるさとの”に納得! 白:何気ない食事の支度の中に、季節感があふれ、そして縮尺できない距離感が込められているような気がします。 ス:ソラマメだけ漢字で、カナ書きにしたところがニクイ。 )

●豆飯や人も雀もこの町に=入鈴
○水△香、夏、雪=5点
(水:限界集落で雀が生きられなくなって姿を消すという新聞記事を読みましたが、豆飯の香る町ではそんなことはないですもんね。)

●薬師堂抜けて石楠花香る道=雪絵
◎澄○秋=5点
(白:もう少し推敲の余地があったような気がします。 )

●いつぽんの道の確かさ聖五月=葱男
○資、メ=4点
(資:迷いの五月の逆を行く力強さ。)

●大道に炎を噴きしカンカン帽=葱男
◎ス△香=4点
(ス:大道芸の風景ですね。生き生きした感じがよく出ている。)

●「道程」を学びし丘や若葉風=君不去
○入△葱、砂=4点
(葱:どうしても「丘」の字に弱い。)

●夏立ちぬジェルソミーナの歌流れ=君不去
◎砂△百=4点
(百:掟破りだけど面白いので。 資:映画「道」は知らなかった。)

●青嵐樹間の道を攫いたる=水音
○五△香=3点
(五:青嵐が大きな並木の一本道を抜けて行く。旧かなにしてくれたら天位でした。 葱:「攫いたる」がいい表現。)

●踊草人恋しくてけもの道=五六二三斎
○香△澄=3点

●暮れゆきて豆飯の香す母近し=君不去
◎五=3点
(五:母近しの意味は?母を偲んでいるのでしょう。)

●緋の薔薇に休むや道を遠くして=砂太
△夏、秋、メ=3点
(秋:歩いていて薔薇の咲く庭を見かけるとつい立ち止まってしまいますよね。 葱:助詞の使い方ですが、「を」が情緒的な演出効果を上げているようです。)

●豆飯や母の流儀の塩加減=資料官
◎秋=3点
(秋:今回豆飯の句がこんなに多かったのは豆飯がやはり母の味だからという事なのでしょう。その中でストレートに納得できる句でした。)

●道造の建築模型夏兆す=スライトリ・マッド
◎葱=3点
(葱:これだけたくさん漢字をつかっているのに、なぜだか爽やかな印象です。)

●粥の中豌豆の色凛りんと=砂太
○澄=2点
(白:下の句が踊ってしまっているようで、惜しい気がします。 )

●雲の峰きつと三陸鉄道も=資料官
△喋、入=2点

●写めーるや黙(もだ)する友の薔薇の道=入鈴
○百=2点
(百:「黙(もだ)する」というのが印象的。)

●道道の美馬牛神楽線新樹=スライトリ・マッド
△資、喋=2点
(資:北海道の真っ直ぐの道を走る初夏。 喋:丘を巡りアップダウン、富良野線美馬牛駅にも通じるこの道は、私も走りました。北海道道の広くゆったりで立派な事!)

●豆ご飯グリンピースの淡みどり=メゴチ
○澄=2点

●豆飯に旗立て祝ふ誕生会=葱男
○ス=2点
(ス:あったかい賑やかな光景が目に浮かびました。)

●森の道ストドラパンパ夏の月=五六二三斎
△白、ス=2点
(白:ストドラパンパが弾けてます。上の句にもう一工夫あれば切れがはっきりしたように感じます。  ス:昔歌った唱歌だったとは・・。まったく覚えていませんでした。 葱:「ストドラパンパ」、すみません、どんな歌だか分りませんのでなんとも鑑賞できずに。)

●先人の八十八夜の道ありて=メゴチ
△澄=1点

●遠き日の道草下校春夕焼け=ひら百合
△喋=1点
(葱:「三丁目の夕日」的情景です。)

●初物は届けるために豆ご飯=水音 
△君=1点

●豆飯や毒を試すは銀の匙=夏海
△ス=1点
(ス:豆飯と毒の取り合わせにびっくりしましたが、突出した毒気に一票。)

●道創り未来に託す立夏かな=メゴチ
△澄=1点


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