*B部門入選作発表*

兼題「水」「出」*全48投句(入選38句)

【特選】

一席
●水張りて律をあらはす棚田かな=葱男


◎香、久、君、入、資○夏、喋、五△百、前=23点
(香:言われてみれば、水が入ってこその美しさですね。 久:水の理をよく表していると思う。 君:句全体に漂う緊張感に惹かれました。 入:いつか歩きたい。 夏:棚田、大好き!日本の原風景。 五:確かに棚田は楽器みたいに感じますね。 百:「律をあらわす」に感心。)

二席
●インカより目醒めし少女地虫出づ=雪絵


◎夏、百、五、砂、ス○葱、水、君△二=22点
(夏:これぞ”復活”!季語もピッタリ。 百:インカと地虫が奇妙に呼応してる。 五:今回の兼題句の中で出色の句と感じました。 ス:ミイラに地虫出づが効いてますね。 葱:何千体にもおよぶミイラがリマの郊外で発掘されたそうですね。「ミイラの少女」は限り無くこちらのイメージを膨らませてくれます。 水:ぱぁっと目の前が広がるような強烈な明るさを感じました。)

三席
●田祭りの神んさ繰り出す手ぶりかな=夏海


◎二○香、百、前△久、君=11点
(香:ことばの流れがスムーズで、これぞ俳句! 百:浮かれた春の神。)


【入選】

●マンボウのゆらりと春の水族館=夏海
◎澄、雪○入△葱=9点
(雪:マンボウには春がピッタリ!まさに癒しの光景ですね。 入:たぶんそうだとイメージします。 葱:好きだなあ〜、 この、のほほんとした感じ。)

●水ン神春日きららのワンカップ=スライトリ・マッド
◎前、喋○二△入=9点
(前:神様にはワンカップが似合いますね。 入:とってもローカル。)

●蜥蜴出づ戦闘モードの昼下がり=君不去
◎水○雪△メ、入、ス=8点
(水:24時間戦えますかというCMを思い出した。蜥蜴型戦闘スーツは最強アイテム。 雪:色鮮やかなトカゲ、昔はよく目にしてましたねぇ。 メ:こういう感性がほしい。 入:白昼びきっとおるもんね。振り返りざまのあの目つき! ス:そんな感じですよね。 葱:ははは! 面白〜い!)

●軒先の花菜ざぶつと水の中=五六二三斎
○雪、ス△葱、二、喋=7点
(雪:摘んだままの菜の花が無造作にバケツの中に? 葱:「ざぶつと」がいい気持ち! ス:ざぶっとが躍動感を生み出してて。)

●花影の風に膨らむ水溜まり=久郎兎
○葱、二、メ△百=7点
(葱:水溜まりを見て「膨らむ」と捉えた感性が素晴らしいです。 百:花、風、水、さわやかで、意味があって、月並みでない。)

●春の水どろりと亀の動かしぬ=雪絵
○君△澄、香、水、百、ス=7点
(香:亀も動き出しましたね。「どろり」がおもしろい。 水:春の水なのに?だから?「どろり」が面白い。 百:亀って、春の季語?だとすると季がさなり? 葱:いかにも春らしいなあ。でも類句がありそう。ひら百合さん、「亀」は季語ではないと思いますよ。 ス:光景が浮かんできます。)

●水草生ふ小さき流れの曲がり角=君不去
○澄、喋△雪、五、資=7点
(五:ややつきすぎのように感じましたがよしとしました。)

●水溜り空を映してそら温し=入鈴
◎葱、メ=6点
(葱:確かな観察が俳句を成立させる力であることがよく分かります。上級者編ですね。 メ:「そら温し」がいいです。)

●風光る通潤橋の水アーチ=夏海
○男△二、水、砂=5点
(男:きれいですね。反対側から見ると興薄い橋ですが。 水:水の粒、光の粒が見えるよう。)

●紙漉の水の来し方滝桜=二六斎
○五△葱、メ、砂=5点
(五:滝桜句はよいですね。両句とも同じ詠み手か? 葱:樹齢千年の滝桜、紙漉とともに時代の終演を迎えるのか。 夏:「紙漉の水」に注目するとは、面白い視点。)

●これもよし出かたあちこちクロッカス=ひら百合
○入△澄、久、君=5点
(入:紫は玉川町に黄は陸奥に。 久:アメリカのプレーリーでのことかな?小学校でチューリップの次くらいに咲いていた。 葱:途中から続くK音の繰り返しが心地良い。)

●沼地にも光り落ちくる春の水=ひら百合
◎男○メ=5点
(男:沼地と光の対比が。 メ:沼地もきれいに見えてくる。)

●生まれ死ぬ三月の水手に掬ふ=スライトリ・マッド
○資△夏、香=4点
(夏:お彼岸を通して人の生・死を身近に思う三月かも。 香:世のならいとはなかなか悟れないです。 葱:中七、座五はすごくいいと思いました! ただ上五がちょっときついかな・・・と。)

●青天のフェリー桟橋水温む=雪絵
○夏、砂=4点
(夏:春にはそぞろ旅心が・・・。)

●吹き替へのこゑに焦がれし水圏戯=葱男
○水△夏、ス=4点
(水:淡いほのかな恋心はすぐ消える。 夏:水圏戯=しゃぼんだま なんですね!「水」のお題に”技有り”の句。 ス:よくわかりませんでしたが・・なんとなく。)

●水温む二十八本歯にフッ素=スライトリ・マッド
△夏、雪、水、五=4点
(夏:思いがけない取り合わせながら、季語はピッタリ。 雪:おもしろい!歯は大切にいたしましょう。 水:よく分からないけど何か引っかかってしまって。 五:水温むにぴったしの歯医者風景ですね。)

●風伝う水に誘われ芽吹く樹々=久郎兎
○澄△メ=3点

●風の駅出町柳は里の春=久郎兎
○前△資=3点
(資:叡山・鞍馬への入り口,今は京阪電車で行けるんだ。)

●水烟をさみどりに染め柳萌ゆ=水音
△香、久、資=3点
(香:小学校前の柳もきれいに芽吹いてるだろうな。水烟というからには、激しい流れ?滝の側ですか?)

●せせらぎに答へて山の笑ひけり=砂太
○久△前=3点
(久:応えてではなく答えてにしたところがグッときます。)

●春風や鍋磨き虫ふいに出づ=水音
○香△雪=3点
(香:いろんな虫が出て来るんですね。 雪:春はそんな気になりますよね。 葱:そのまんまなんだけど、俳趣があります。)

●水の音の色つき初むる麗かな=水音
○百△喋=3点
(百:音が色づく・・いつかチャレンジしたいパターン。)

●御水取祝言前の二人らし=五六二三斎
○ス=2点
(ス:ピュアな感じがいいですね。)

●神田川渡る地下鉄水ぬるむ=資料官
△男、五=2点
(男:神田川のそばから通勤してたもんで。 五:この風景はまさしく春です。)

●切抜帳ちちは残せり春のみず=二六斎
○資=2点

●出発(たびだち)を拒む親あり春嵐=香久夜
○男=2点
(男:嬉しさと寂しさが。)

●茶屋街の桜芽吹きて水迅し=資料官
○砂=2点

●磨ぎ水に跳び出す虫の背黒かな=入鈴
○久=2点
(夏:虫が出てくる場面が「磨ぎ水」とは面白い。)

●水温み蛙の卵透きとおる=メゴチ
△澄、砂=2点

●巣穴から出ようか出まいか思案中=メゴチ
△男=1点
(男:っでどうなった? 葱:「巣穴」じゃなくて「寝床」とちゃう?)

●チューリップピンクを集め水切りす=香久夜
△君=1点

●春の水チロリ震えて庭の花=メゴチ
△前=1点

●蛇が出た線路歩ひて蛇が出た=喋九厘
△男=1点
(男:とにかく面白かった、出たのが「月」じゃないところが。 葱:ある意味、山頭火。ひょっとして見る人が見たらとっても秀句なのかも?)

●水色のじてんしゃ嘶え(いばえ)花あしび=入鈴
△喋=1点

●水温む子亀の甲羅乾きけり=香久夜
△入=1点
(入:冬眠させた?)


【無選句】

●春の闇家出少年汽車の窓
(葱:モティーフは最高に好きなのですが、やはり「家出」に関してははどうしても寺山修司がすごいもんで・・・。)

●目出たきは出水の鶴と彼の丘女(お亀)
(葱:ちょっと無理があるんちゃう 笑。 百:最後まで残したのですが、うちわネタすぎるかな?)


B部門入選作

創刊号 第二号 第三号 第四号 第五号 第六号・新年号 第七号 第八号 第九号 第十号 第十一号 第十二号 第十三号 第十四号 第十五号 第十六号 第十七号 第十八号 第十九号 第二十号 第二十一号 第二十二号 第二十三号 第二十四号 第二十五号 第二十六号 第二十七号 第二十八号 第二十九号 第三十号 第三十一号 第三十二号 第三十三号 第三十四号 第三十五号 第三十六号 第三十七号 第三十八号 第三十九号 第四十号 第四十一号 第四十二号 第四十三号