*B部門入選作発表*

B部門/『季:寒紅』『漢:筆』=全43句 入選35句


【特選】

一席
●ぼたん雪街はひととき円くなる=夏海


◎葱、メ、水○二、雪、資△秋、百、小=18点
(葱:「ぼたん」のひらがな表記と「円」が成功していると思います。 雪:とても素敵な感性ですね。 水:「丸くなる」とは面白い表現ですね。 百:「街が円くなる」というのがユニーク。)


二席
●おさな児に初めての靴蕗の薹=夏海


◎砂、雪、五、前○水△二、香、資=17点
(雪:春の始めの初々しさが、おさな児と重なって伝わってきます。 五:O音の繰り返しが効果的。蕗の薹の伸びとおさな児の成長が呼応している。 水:「蕗の薹」は希望や未来などの象徴ですね。 葱:佳句にして既視感あり。「幼子=初体験」の構図でしょうか?)


三席
●ふきのたう空の青さを確かむる=雪絵


◎澄、資、ス○砂=11点
(澄:空の青さくっきりです! 資:枯れ草色に淡い緑がポツリ、くわえて空の青の組み合わせが良い。 ス:詩を感じました。)


三席
●蕗のたう出会いがしらの恋ひろふ=水音


◎喋○二、五、前△メ、白=11点
(五:惜しい。「出会い」→「出会ひ」がよくないでしょうか?旧かな統一。 白:そう、そんな時代もあったよね。 葱:若い、瑞々しい男女が向かい合っている様子が浮かびます。)


【入選】

●有明の月したたるや蕗の薹=白髪鴨
◎夏○香、メ△澄、百、前=10点
(百:「したたる」にやられました。)

●蕗の薹未だほろ苦き若さかな=前鰤
◎秋○澄、喋、資△百=10点
(秋:春は青。春の味は苦いのです。 資:食感の苦さと若気の至りの妙に響きます。 百:若いということはほろ苦い。)

●特大の肉まん熱し春の街=メゴチ
○澄、香、前、ス△小=9点
(澄:おいしそう(^.^) 香:春節祭?中華街の雰囲気、美味しそう。 ス:ユーモラスで楽しくなります。横浜中華街かな?)

●コラージュは未だ構想蕗の薹=夏海
○水、白、ス△五、前=8点
(水:頭の中の無形の物と、有形の物を取り合わせて面白い。 白:何かが始まる。その一瞬の手前、という緊張感。 ス:アートされる方でしょうね? 五:推敲の余地あり。「構想を練りしコラージュ〜」ではいかが? 葱:絵面としては面白そうだけど、いまいちイメージがまとまりませんでした。)

●修司なきゴールデン街たびら雪=葱男
○百、入、白△夏=7点
(百:寺山修司は偉大です。 白:時代を読む適確さ。そこにある諦念か…。)

●踏み踏みて帰る街なき絵踏かな=葱男
◎二○入△喋=6点

●待つ事には慣れているはずふきのとう=君不去
○雪、夏△砂、喋=6点
(雪:作者は何を待つ?)

●蝦夷富士の裾野の端に蕗の薹=資料官
○秋△砂、澄、入=5点
(秋:絵葉書のような景色。)

●街灯の途切れるあたり春遅し=葱男
○百、メ△五=5点
(百:確かに。 五:「春遅し」が季語としてふさわしいかやや疑問なるも、田舎へと至る道にはまだ春の訪れが遅いということ?)

●庭に来し弟ならむ蕗の薹=砂太
◎入△雪、ス=5点
(雪:この句を読んで、花に性別があるなら蕗の薹はまさしく男性ですね。  合掌。 ス:弟さんとの関係がいいものだったのでしょう。季語のほろ苦さが意味するものは?と考えさせてくれる句です。)

●庭に出て物思ひをり蕗の薹=砂太
◎百○小=5点
(百:春愁いでしょうか。)

●流氷の打ち寄す街や一人酒=資料官
△雪、秋、香、水、入=5点
(雪:雰囲気、ぴったり!もしかして北海道の旅の御仁? 秋:冬と春の間の雰囲気が伝わります。 香:流氷の街にひとり旅は、淋しい!! 「打ち寄す街や」→「打ち寄せる街」ではいけないでしょうか。 水:情景がはっきり見えすぎるかも。)

●街路樹の生まれ来る葉に雨水かな=香久夜
○五、夏=4点
(五:使ったことのない季語の雨水。いいですね。 葱:「街路樹に生まれ来る葉に」とたたみかけたらどうでしょう。クローズアップの手法になるのでは。)

●庭先の母はぽつんと蕗の薹=五六二三斎
◎小△ス=4点
(ス:老いることの寂しさと季語とがマッチしてますね。)

●春浅し街に会話の吹き溜まる=水音
○砂△秋、白=4点
(秋:立ち話にはまだ寒いのでは…。 白:人の声はこごまり、枯葉のように吹き寄せられる。浅き春の様相を適確に読んでいる。)

●蕗の薹スィートメモリを語ろうよ=白髪鴨
○喋△葱、澄=4点
(葱:「スィートメモリ」と「蕗の薹」の取り合わせですね、松田聖子がちょっと噛んでる?)

●蕗の薹ほろほろ苦し友逝きぬ=白髪鴨
◎香△砂=4点
(香:蕗の薹の新しい芽に寄せる気持ちに救われます。 葱:二物をもう少し離したい。)

●街角の御稲荷さんや猫の恋=スライトリ・マッド
○秋△雪、夏=4点
(秋:静かなはずのお稲荷さんと賑やかな猫との対比が面白い。 葱:「いなり寿司」が頭に浮かびました。「仕出し屋のおいなりさんや猫の恋」。)

●モニターは父の呼吸や蕗の薹=雪絵
○葱△メ、入=4点
(葱:「蕗の薹」という季語の本意からの離れ方が面白い。)

●合唱で彩る風やふきのたう=スライトリ・マッド
○葱△夏=3点
(葱:「彩る」がいい。「で」は口語的な感じがしました。)

●多感なる少年時代蕗の薹=五六二三斎
△水、メ、資=3点
(水:この「蕗の薹」には苦味を強く感じますね。)

●ふきのとうつっかぶれまだ山の蓑=入鈴
◎白=3点
(白:「つっかぶれ」という小気味のいい語の余韻が広がる。)

●鬱々としゃがみこみしが蕗の薹=水音
○小=2点

●街灯を揺らす荒東風小京都=香久夜
△五、資=2点
(五:小京都とはどこのこと?福岡では、秋月。山陰では、松江を言うみたいですね。荒南風は聞きますが、荒東風もいいですね。)

●終の街るんるんるんと春の風=喋九厘
△香、白=2点
(香:「終の街」、自分でそう決心したということ?心が決まれば、気分も軽くなるんでしょうね。 白:「終の--」の感覚は理解できない。人生は彷徨。しかしこの暢気さはうらやましい。)

●弟よ今日三月の街騒に=砂太
△喋=1点

●街灯のぼんぼり雪の戯れや=前鰤
△葱=1点
(葱:「ぼんぼり」が「雪洞」であることの実感ですね。)

●山陰の街はすつぽり春の雪=五六二三斎
△葱=1点
(葱:不安と安心の両方があるような、なんとなく神の視座のような。)

●省エネの街灯青し春時雨=君不去
△小=1点

●バレンタインひとりぼつちの街灯り=雪絵
△ス=1点
(ス:バレンタイン商戦で溢れている華やかな都会の中の孤独が伝わってきます。)

●蕗の薹纏えるものを解かしけり=香久夜
△前=1点
(葱:雪間が見えますが、「思わせぶり」な一面も。)

●街中に出づる温泉枝垂梅=スライトリ・マッド
△水=1点
(水:山代温泉〈ローカルですみません〉かと思ってしまいました。)


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