*B部門入選作発表*

兼題「数・関連」*全48投句(入選36句)


【特選】

一席
●二心ありはせぬかと案山子の目=夏海


◎久、入○砂、資△五=11点
(久:second thoughtですか?案山子って本当は何を考えているのかわかりませんね。 五:案山子になって旦那?に注目?)

二席
●三線の女弦を締めて新酒かな=スライトリ・マッド

○喋、五、雪、二△白、入=10点

(五:なかなか艶っぽい句ですね。 白:最初、「女弦」を「女衒」と読んでしまい、自分で笑っちゃいました。その印象が強かったんでしょうかね、少し象徴性が弱いと感じつつも選んでいました。 葱:ちょいと旦那、いかにもありそうな句ですねえ〜。)

二席
●唐辛子十二の赤の跳ねており=入鈴


◎喋、砂○白、資=10点
(白:日常の中の非日常、感性の先の非感性、思考の逃走線=切線、を見ている句が好きです。赤の跳ね方が見えてくるところがいいですね。)

二席
●永らへて故郷二つや秋彼岸=砂太


◎水、夏○久△喋、小=10点
(夏:しみじみとした句。 久:還暦前の我々の状況をよく表現できていると思います。)

二席
●三日月を愛でて矩形に切り取りぬ=久郎兎


◎五、ス○君△メ、澄=10点
(五:何故?そうしなければならないのか?は判りませんでした。まあ、新しい感覚に表現に◎。 ス:おもしろい! 葱:写真を撮るために風景を切り取る指のことか!)


【入選】

●ブナの実の四つに裂ける充実とは=入鈴
◎白○葱、水△香、ス=9点
(白:自然にはさまざまな定数があり、そこにどういう意味があるのか、いまだ人間は解明していない状況です。ブナの実は必ず四つに裂けるのかどうか知りませんが、そうだとするとブナの充実定数は4。それはまるでπやeのような不思議のひとつ。人間の充実定数はいくつでしょう? 葱:こういう哲学的なトーンの句が好きです。 「充実」とは実が満ちること。充分に満ちたものは弾ける、ということでしょう。 ス:下五のとこがよくわかりませんでしたが・・。)

●蒲の穂や30センチの不動尊=入鈴
◎雪○香△葱、五、資=8点
(葱:取り合わせに無理がありません。バランスがいい。 五:蒲の穂が不動尊に見えたところに観察力ありと評価。)

●秋冷や二枚重ねのホットケーキ=水音
○砂、澄△小、メ、雪、ス=8点
(ス:ホットケーキが食べたくなりました!)

●千の田を刈る助っ人の百の腕=水音
◎香○入△久、雪、君=8点
(久:総出の作業の光景が思い浮かびました。 葱:いかなる意味に於いても農業とは共同作業そのものです。)

●手一本過ぎしうたかた放生会=五六二三斎
◎資、二○小=8点

●鳥渡るここは門司港0哩(ゼロマイル)=雪絵
○水△葱、喋、砂、夏、ス、君=8点
(葱:九州の始点、という意味があるのでしょう。 門司港は藤原新也の 故郷ですね! 彼はなるほど「ゼロマイル」だ。 ス:へえ、門司港を起点としているんですね。)

●秋風やゴビの砂漠の一欠片=五六二三斎
○雪、ス、二△香=7点
(ス:風や砂漠の茫漠とした大きな感じと小さな砂の対比がおもしろい。 葱:黄砂は秋の風にも乗ってやってくるのですか。 でかいもんなあ〜。)

●老二人国を憂ひて菜を間引く=砂太
◎君○香、入=7点

●校庭を二分し長き綱九月=君不去
◎メ○男△白、雪=7点
(男:見るだけで力が入りましたね。 白:この情景はさながら記号としての9月を感じさせます。目線がいいです。でも〈私にも分からないのですが〉なぜか△でした。 葱:オーエス、オーエスってかけ声はどこからきているのだろう? 昔、聞いたような憶えがあるのですが・・・。)

●稲妻の三すぢの爪は鬼のもの=夏海
○久、五△男、二=6点
(久:三すぢを爪との発想はユニーク。 五:怖い句ですが、採用。稲妻は8月の季語かと思いますが、まあ、よしとしました。)

●ごつごつの手に三線の秋日和=雪絵
○君△砂、夏、男、香=6点

●虫の声無限級数の闇に染む=白髪鴨
○メ△喋、君、資、二=6点

●虫の音や駅から続く一本道=資料官
◎澄△水、入、二=6点

●かさなりし天空のπかいわし雲=白髪鴨
○喋、メ△久=5点
(久:πに見えたのは数学で思い残すものがあったから?。 葱:「πか」の「か」は要らないのではないか・・・と。)

●いわし雲ドリブル巧き子のひとり=雪絵
◎男△小=4点
(男:一人黙々と・・・。 葱:私も昔、すごく巧かったです。 しかしある日、全く相手ディフェンスを抜けなくなったことがありました。意識が意識を生むのでしょうね、いつもスポーツは体が勝手に動くやつが勝つのです。)

●眺むれば秋の彼方に阿蘇五岳=男剣士
○夏、小=4点
(夏:秋の彼方に」がよい!)

●墓一つ残す故郷秋彼岸=砂太
◎小△資=4点

●一行の雨月200Q年=葱男
○白△二=3点
(白:感動を共有できないながらもそれを丸ごと包み込むのが俳句のいいところかも。200Q年という(春樹流)文字使いが俳句プロパーにどう映るのか?ですが、けっこうピンとくるものがあって選んでいました。)

●白粉花や小千世界のたそかれは=夏海
◎葱=3点
(葱:「白粉花」は「おしろい」と読めばいいでしょう。この句の場合の「小千世界」は日本(三千世界が地球と考えて)の若者文化の薄っぺらい虚飾を言っていると思いました。「厚化粧?、ちゃうちゃう、年季は黄昏れない」ですね、失礼しました。)

●デジャヴなる二つの月や秋の繭=スライトリ・マッド
○夏△白=3点
(夏:美しい月夜の思い出が重なるのですね。 白:月はいつもマジカルな存在。太陽と違って人間の心をいろいろな形で映し出す鏡のような面があると思います。作者にとってデジャヴとして現れた二つの月がそのときの心境をどう表しているのか、いろいろと想像させる句だと感じました。 葱:読みました! 痺れました! 「緑色の月の血を受くこどもたち」)

●八朔やチリコンカンの五種の豆=スライトリ・マッド
○葱△夏=3点
(葱:この場合、「チリコンカーン」と伸ばさないで正解ですね!祝福の鐘の音が響きます。)

●秋鯖や狙って嬉し一荷釣り=メゴチ
△男、澄=2点

●鰯雲一二の三でナイスオン=メゴチ
△砂、澄=2点
(葱:う〜〜ん、気持ちのいい!)

●九月七日父の命日句報来る=五六二三斎
○ス=2点
(ス:俳句をされる方だったのでしょうか?それとも句にお父様のことを詠まれたのかな?)

●十三里(とみさと)と三里木結ぶ秋鉄路=喋九厘
○男=2点
(喋:十三里駅=北海道石勝線 三里木駅=九州豊肥線。 男:線路はどこまでも…ですね。)

●長き夜や高千穂神楽一人旅=男剣士
○澄=2点

03●秋夜長網目数える吸血鬼=メゴチ
△五=1点
(五:吸血鬼が何故?よく判りませんでした。怖い句ですが、採用。 葱:「哀れ蚊」なんてとんでもない! 結構しつこいよなあ〜。)

●朝霧や朝一番の遊覧船=資料官
△水=1点

●球磨川の流れに置きし秋ひとつ=男剣士
△水=1点

●三枚に卸す秋刀魚の甘さ噛む=香久夜
△久=1点
(久:秋刀魚の新鮮さを感じます。)

●十五夜も五条終電0時5分=喋九厘
△葱=1点
(葱:5ナンバーが三回も出て来て、なんだか得をしたような気分です。 資:年考えてええ加減にしいや。)

●ふるさとは十三回忌草雲雀=葱男
△入=1点


【入選】

●風ゆるやかに星月夜iをさがしに
(葱:なるほどiは「愛」に通じ、「二乗」すれば「虚」にも通じますね。七・五・七の破調はしなやかで良いト思いますが、上七がサングリアのように甘すぎかなあ。好みの甘さはヴィノ・ヴェルデぐらいなんですが・・・。)

●天高く美味い肴にゼロカロリ
(葱:つ・つ・辛いとこやなあ〜。)

●二子玉の川澄みて鮎落ちし網
(葱:ん?太宰のこと?)

●倫敦の9&3/4番ホームの霧
(葱:キングクロス駅から出るホグワーツ行特急のホームですね! ロンドン=霧は定番なのでいっそ、「キングクロス駅」でどうでしょう。 夏:「9&3/4番ホーム」が素敵! 字余りの「ロンドン」は無くていいかな。 世界的ベストセラーだし、大方の人が了解済みかと。)


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