*B部門入選作発表*

兼題「桃」「式」*全46投句(入選33句)


【特選】

一席
●韓紅絹(からもみ)のやうな屈託桃の花=水音


◎メ、白○五、入、雪、資、香、君△久=19点
(メ:屈託の表現がいい。 白:「韓紅絹のような屈託」って何なんでしょうか。屈託があるんですよね。それが桃の花に似ているのか、桃の花そのものなのか? こうした疑問を抱きつつも感官で同意している自分がいます。形として分からないまでも、感覚で分かるもの、まるで「宇宙のはて」です。 五:真意は残念ながら不明。ただ、屈託という言葉に惹かれました。 入:紅絹と書いてもみと読みますが、幻の色?などと。 雪:何とも知れぬ雰囲気。 久:桃の花は意外に複雑、夏を期待するからか。桃見と言う言葉のある???)

二席
●式場の椅子直線に春の朝=君不去


◎五、喋○百、メ△葱、夏、水、砂、久=15点
(五:式場の椅子が直線並んでいて、入学制を待つのか?卒業生を待つのか? 百:宴の直前の身が引きしまる感じが「直線」に。 メ:これから嫁ぐ娘にやさしく光がそそいでいます。 葱:句としては文句なし。惜しむらくは上五・中七の漢字の顔がちょっと固い文字が続いてしまいました。 夏:卒業式でしょうね。整然とした椅子がセレモニーの重要さを上手く伝えていると思います。 久:直線パイプ椅子というところか。)

三席
●花桃やけだるき嬰の伸びひとつ=水音


◎君○入、白、久△五、砂、資、ス、二=14点
(君:あのなんとも言えず可愛い"伸び”がよみがえりました。 白:乳幼児のけだるさって、この場合句趣に即したひとつの表現だと思いますが、埴谷雄高的に解釈すると、この子はすでに存在の不快を感じているのかも…。 五:真意は掴めませんでしたが、俳句らしいので選。 ス:眠そうな赤ん坊と桃の花があっていますね。 久:今ひとつ意味がわからないけど、半音上がりとかの音楽関係か。)


【入選】

●卒業式待たず夜汽車に揺られけり=資料官
◎百、入、久○砂△喋、香=13点
(百:切なく心細い。 入:しみじみとしていて、自己の回想かなあと。 久:筑高の1971.3月1日の卒業証書授与式に出なかった。今でも強い思い出です。)

●坂の街桃かすていらほど霞み=夏海
◎二○葱、砂、喋△ス、白=11点
(葱:長崎の街の形容でしょうか?「かすていら」がいいなあ〜。 入:桃かすていら!!なんておいしそうな響。 ス:長崎の桃カステラ食べたことないです。 白:パステル調の町並み、芦屋山手のイメージがします。スケッチが上手なので選びましたが、個人的には今ひとつ肌の合わない町のよう…。)

●もも色は三年保育春ぼうし=雪絵
◎夏○葱、二△砂、入、前、喋=11点
(夏:可愛らしい園児の様子が見えるようで、微笑ましい。 葱:「ぼうし」をひらがなにしたのは確信犯。「もも色」と「三年保育」の取り合わせは筋肉、弛みますよね。計算マコちゃんなら凄い!!)

●産土や桃爛漫の静けさに=砂太
◎雪○水、メ、久△君=10点
(雪:桃の花が華やかだけに、静けさが際立つんですね。どこかでこんな景色見たような・・。 久:故郷桃満開無関心静寂ですかねぇ。)

●をのこ弾くアンビエントや卒業式=スライトリ・マッド
◎葱、水○前△百、メ=10点
(葱:ブライアン・イーノの音楽でしょうか? 名句として残るかも。 百:こんな卒業式もありなんですね。)

●万愚節化学式より生れし水=雪絵
◎砂○夏、水、二=9点
(夏:「式」のお題で「化学式」が出てきて、楽しい驚きでした。万愚節にぴったり! 入:面白い。万愚説とくると、理屈かなあ。)

●式次第張り残されし日永かな=夏海
○百、資、君△ス、二=8点
(百:宴の後に目をつけたのがユニーク。 ス:そうそう、あるある!式が終わってガランとした会場に残された式次第。)

●邪気祓い農事始むや桃花村=久郎兎
◎資、香△澄、君=8点

●老い見せぬタップ・ダンスや桃の酒=夏海
◎澄○前△葱、メ=7点
(メ:いつまでも若くありたいものだ。 葱:昔ならエノケン、今ならビートたけし。)

●式台のマイク黄砂を拾いける=香久夜
◎ス△夏、水、前=6点
(ス:離任式とか運動場でやってるときの光景かな? 夏:終了式かな。校庭に埃っぽい春風が吹いている空気感が伝わります。)

●卒業生公式どおりにはいかぬ=水音
○夏、ス△雪、白=6点
(夏:「卒業生よ、頑張れ」とのメッセージ。 ス:公式の式ですかあ?!  雪:おもしろい! 白:全然俳句らしくない表現で、まさに「公式どおりにはいかぬ」のでしょう。〈ミス・マッチではなく〉アン・マッチの面白さを感じました。 ) 

●卒業式制服の袖短けり=スライトリ・マッド
◎前○五△久=6点
(前:娘は。卒業までスカートから膝が出なかった。予想外でした。 五:なるほど、大きく成長したんですね。 久:指で袖を引っ張ってた、あの頃は。)

●嘉例川百六歳の桃節句=喋九厘
○香△葱、雪=4点
(喋:満百六歳を迎えた嘉例川駅舎に雛飾り、華やぐ3月の午後。 葱:鉄道ロマン、永久にして。 雪:たまたま鉄道番組で、この駅舎見ました。お雛様も!)

●点画の伸び伸びとせり桃の酒=スライトリ・マッド
○雪△夏、白=4点
(雪:どんな文字が書かれているんでしょうね。 夏:お雛祭りらしく 優しい文字が書かれているのでしょうね。 白:最近は酔うと眠くなることが多くなりました。歳でしょうか。酔うほどに伸び伸びとできた一時代前が懐かしくなります。ところでこのお酒、銘柄が知りたくなりますね。)

●洋館の色よりも濃し桃の花=五六二三斎
○ス△入、雪=4点
(ス:古びた洋館の屋根の色が浮かびました。)

●式目は花の座にありおばあさま=葱男
△喋、資、二=3点

●辿り着く銀婚式や雪の果=五六二三斎
○喋△水=3点
(入:おのろけですし、しろがねと雪で\(^o^)/)

●花冷えや式辞の堅く轟きぬ=香久夜
△百、資、君=3点
(百:ちょっと低いトーンになっちゃうでしょうね。)

●あずさからきらりアルプス桃の花=資料官
○澄=2点

●宇宙のはて桃光年は届きそう=入鈴
○白=2点
(白:ワインバーグの本に、現在の宇宙が無限ならば、誕生したときの宇宙もまた無限であったはずだという記述がありました。一説には現在の宇宙の大きさは1250億光年だとも…。映画MIBでは銀河がビー玉の中に入っていました。桃ほどの宇宙にはどんな秘密があるのでしょうか? そんな楽しみな推測をたくましくしてくれる句でした。 葱:「桃光年」は造語かな? 面白い言葉ですね! 田中裕明は「さみだれうを」という素敵な造語を作りました。)

●ねじ式に蝶描きけりつげ義春=葱男
△百、香=2点
(百:月並みでない使い方をしようとした努力を買います。)

●桃の新芽に魂の子溢るる=久郎兎
○澄=2点

●挙げぬ式七度の春の籍納め=ひら百合
△前=1点
(葱:うむ、感慨深い。 入:心よりお祝いしたい!!!)

●開花日や方程式で予想かな=前鰤
△香=1点

●今日もまた夕日まん丸桃や影=君不去
△澄=1点

●黒縁の友の写真や卒業式=雪絵
△メ=1点

●源平桃空き家の庭で憂い顔=メゴチ
△入=1点
(入:本当は紅白なのに、憂いありですものね。)

●騒がれず脇に徹する桃の花=香久夜
△五=1点
(五:桃の花は確かに脇役か?)

●幻某氏桃咲く都会に狂ひけむ=葱男
△五=1点
(五:小澤実調の句かなと思いました。)

●リバイバル富士を照らして桃の花=喋九厘
△澄=1点


【無選】

●春雨や完走メダル式ひとり
(入:どんな走りだったのでしょう、ひとりだが豊か。)

●桃の花ももももももと百ルクス
(葱:桃の枝に縦一直線に並ぶ花の様子がうまく表現せています。そうか、ルクスという単位か・・。)


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