*B部門入選作発表*

兼題「色」「若」*全49投句(入選40句)

【特選】

一席
●万緑の大向かうから吹奏楽=葱男


◎雪、香、君△水、夏=11点
(雪:微かに、でも確かな金管、木管の響き。こんな情景に出会ってみたいですね。 君:吹奏楽で決まり!! 水:選句をしている時、裏の高校から正に吹奏楽が聞こえてきて、、。 夏:気持ちの良い情景。)

二席
●梅雨近し伐採の幹白々と=香久夜


◎葱○水、雪、君△夏=10点
(葱:地味な句ですが、写生に力あり!ですね。 水:白々した幹が湿っぽい空気で尚白く感じられるようで。 雪:何か今の、重い現実を感じます。 夏:幹の白さがくっきり目に浮かびます。)

二席
●密やかな補色の吐息薔薇の園=水音


◎メ、資○香△久、君=10点
(メ:なんか怪しげな雰囲気がいい。 資:補色の吐息が色っぽくて良い。 葱:「補色の吐息」とは、うむむ、何か怪しいムードが漂ってきますね。)


【入選】

●新樹光旅立ちし人白寿なり=水音
◎澄○夏、資△五、ス=9点
(夏:「色」のお題の処理が素晴らしいです。新樹光との取り合わせもピッタリ。 資:あと1年で百歳だけどもうお祝いですね。 五:最後に選び直して入選。新樹光の季語が果たして合うか迷った。新樹光が旅立ちの人に光を与えているのか? ス:ご長寿を全うされたのですね。)

●猫に土盛りて緑雨のきざすまま=葱男
◎五、夏○入△二=9点
(五:「緑雨のきざすまま」という言い方が自然に委ねてる作者の気持ちを表していて天位にしました。 夏:飼い猫の死?哀切な感じが伝わりました。)

●むらさきの影も水面にかきつばた=資料官
◎久、百△澄、君、二=9点
(久:語順を変えてインパクトを強くしているから新鮮なのかな。 百:影にも色がある。)

●緑風や猫の水のむ音の澄み=入鈴
◎砂○ス、二△澄=8点
(ス:猫飼ったことなくて・・どんな音かしら? 葱:点盛りはできませんでしたが、なんという訳もなく気持ちの良い句です。字面も良いし、情景も爽やかです。「音の澄み」がいい。)

●小判草黄金(きん)のあごひげありし祖父=入鈴
○メ、砂、二△葱=7点
(葱:「小判草」がちょっと付き過ぎの感もありましたが、中七、座五の措辞に惹かれました。)

●都府楼趾歴史をめくる青葉風=雪絵
◎水○葱、砂=7点
(水:「歴史をめくる」がいいですね。 葱:「めくる」が効いています。「都府楼趾」を詠み尽くしている砂太先生に感想を聞きたいところです。)

●夏ぐみの梢(うれ)ほつほつと夕日色=夏海
◎喋○百△雪=6点
(百:グミに反応。 雪:とてもきれいな表現ですねぇ。)

●遥かなる十字架白し万緑裡=砂太
○葱、水△ス、資=6点
(葱:「万緑裡」と五文字に納めたところが技術です。 水:この時期町は日々盛り上がる緑に埋もれていくようですもんね。 ス:教会の見える風景でしょうか? 資:十字架なんだろうか、どくだみか。)

●まほろばの木影優しき樟若葉=喋九厘
○資△百、澄、メ=6点
(百:大きな樹なんでしょうね。)

●赤子抱いて乳の香るや聖五月=砂太
◎入△葱、君=5点
(葱:「乳香」という良い香りのする樹液は、キリスト生誕の頃から大変な貴重品として東西の文化交流の道を作ってきました。「乳」と「聖」は互いに呼び合って、母と子の神聖な交情を想わせてくれます。)

●風青し流木ひうと鳴りまする=葱男
◎ス○喋=5点
(ス:なんだかユーモラスでわびしくて。)

●早苗田を茜に染めて水鏡=喋九厘
○メ、香△久=5点
(メ:きれいな句ですね。)

●灰緑の葉づらを転ぶ雨ん粒=久郎兎
○喋△雪、百、メ=5点
(百:「灰緑」という言葉がそういう葉っぱをありありと目に浮かべさせる。 メ:雨ん粒がいいですね。)

●ひなげしのひとつ路傍に赤をなし=男剣士
○君△百、香、喋=5点
(百:ひなげしに反応。 葱:情景がすぐに浮かびました。それだけに「赤」にもう一工夫欲しい気がしました。)

●幾万の葉落として今樟若葉=君不去
○久、澄=4点
(久:毎年のこととはいえ、人生より永いことに最近気付いてしまいました。)

●若葉冷生まれかわりの白拍子=五六二三斎
◎二△ス=4点
(ス:いろんな想像がふくらむ句!)

●赤土に南進の兵芋植えん=久郎兎
○香△砂=3点

●紅子てふ婦人警官海芋咲く=スライトリ・マッド
△水、五、入=3点
(水:海芋がカラーとは知りませんでした。 五:面白い取り合わせ。これなら、類句、類想句はなさそう。)

●走り梅雨庭の緑の入り乱れ=香久夜
○久△百=3点
(久:雑草のことを思い出しました。庭の草木が膨れ上がり枝が交わる様子はもちろんですが。 百:風であおられた枝が揺れて・・。)

●肌色の軽き足取り夏来る=五六二三斎
○ス△入=3点
(ス:「ショーパンニーハイ」の子かな?!躍動感が感じられます。)

●水色のリヤカー待つ児若葉風=スライトリ・マッド
○五△二=3点
(五:若葉保育園の1日か?長閑な田舎を彷彿させる。)

●無機質の病室外は青葉風=雪絵
△葱、香、資=3点
(葱:病室と外の鮮やかな対比が良い。 普通、病室の窓から外を眺めた時の「青葉」との一体感を詠む句が多いと思いますが、この句は逆に「断絶」を詠んでいます。)

●石段に膝も笑えり樟若葉=夏海
△メ、資=2点
(葱:少し川柳っぽいけど、軽い諧謔味があっていいですね。)

●オクターブ若やぐ声は猫相手=ひら百合
○夏=2点
(夏:川柳的な洒落っ気が楽しい。)

●樫若葉いくつまでする青二才=五六二三斎
○雪=2点
(雪:樫の堅さは意思の堅さ!?最後まで貫き通しましょう!!)

●黒土やたづきなく若かえで映ゑ=入鈴
○五=2点
(五:詠み慣れた方の句か?映ゆがいいのか?これでいいように思えてきた。 葱:「たづきなく」の意味がよく分かなかったので、なんとも。黒土が「生活を支える手段」とはならないって事なんでしょうか?)

●薫風や素足に添へり青畳=香久夜
△久、喋=2点

●メイポールダンス水色の裾翻し=夏海
○入=2点
(葱:イギリスのリボンを使うダンスだそうですね、観た事がないので、作者の感動に共鳴する事ができず、残念。)

●若葉風丸き地球の不思議かな=水音
○澄=2点

●未だみぬ国オレンジ公夏来たる=ひら百合
△夏=1点
(夏:「色」のお題で『オレンジ公』、発想が素晴らしい。 葱:新鮮味のある、好きな句です。)

●色っぽいなんて死語さ夏きざす=君不去
△砂=1点

●風の音ざわわ若葉を裏返す=スライトリ・マッド
△五=1点
(五:ざわわが面白くもあるが、歌にあったのでありきたりにも感じる。しかし、若葉を裏返すはよい表現。)

●黒川と白川交わり若葉かな=喋九厘
△水=1点
(水:黒ナイルと白ナイルを思いましたが、情景を想像するのが難しい。 葱:熊本市内を流れる「白川」の支流が「黒川」だそうですね。あと、熊本には「緑川」という川もあるそうで、なんとまあ、色とりどり。 資:阿蘇外輪山の新緑が目に浮かびます。昔の国鉄高森線ですね。)

●そら豆に絹さや豌豆緑食す=君不去
△喋=1点

●点滴も今日でおしまい窓若葉==資料官
△砂=1点

●麦秋や少女のセーラー服白し=砂太
△雪=1点
(雪:街中ではセーラー服がめっきり減りましたね。)

●若楓博物館に子らの列=雪絵
△入=1点


【無選】

●紅色に必ずの鳥待つ五月
(葱:「必ずの鳥」が難しかった。それとも特定の鳥の別名?)


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