*B部門入選作発表*

兼題「夏の果物」*全46投句(入選37句)


【特選】

一席
●じゃんけんは国々に有りラ・フランス=夏海


◎雪○葱、二、水、香、入△ス=14点
(雪:異国のじゃんけん、まさにラ・フランス!ですね。 葱:面白い!「じゃんけん」の使い方に澄子ファンも納得。 水:無邪気さと楽しさのある句でいいなぁ。 入:愉快な取り合わせで好きです。 ス:そうそう、取り合わせもおもろ〜!)

二席
●普段着の父の遺影に秋果積む=資料官


◎香○夏△久、二、男、澄、五、喋、メ=12点
(夏:盛装ではない「普段着」の遺影に日常のあれこれが思い出され、喪失感ひとしお。 五:この句も作者はわかりましたがついつい。「濃紫陽花たばこ片手の遺影かな 五」 お通夜の時に詠ませて頂きました。初盆たいへんでしたか? 葱:「秋菓」としたところに「遺影」の存在感を感じます。 入:そのままのお句でしょうが、普段着に秋果が映えて。)

三席
●無花果のなまあたたかきをもぎ取りぬ=雪絵


◎男○百、前、資△葱、澄=11点
(男:生暖かいがいいですね。 百:夏の果実そのもの 葱:「なまあたたかき」とよく字数を使いましたね、やるぅ〜! 入:晩夏の庭でふだんのことが、詩のようなものへ。)

三席
●きらめきの大河は分つ葡萄の野=夏海


◎砂○澄、水△男、五、君、入=11点
(水:フランスかドイツの風景でしょうか。行ってみたいなぁ。 男:雄大。筑紫路ですか。 五:筑後川を思い浮かべついつい。入:葡萄を大きな景で詠まれて。ユーラシア大陸?)

三席
●ラフランス役者に多き痣のあと=葱男


◎五、夏、○二、雪△君=11点
(五:二句一章がうまくはまりました。どうしても、日本の洋劇が思い起こされます。しかも、派手な喧嘩の劇。フランス革命物語? 夏:思いがけない取り合わせなのに、納得させられる句。ミュージカルの役者かな?激しい稽古で生傷が耐えない? 雪:なるほど! 入:林檎でもスイカでも、二十世紀でもなく、ラ・フランス!)


【入選】

●線香のにほひし二十世紀梨=資料官
◎百○久、雪、五=9点
(百:仏前に供えてあったお盆過ぎ 久:思い出す光景ですね。二十と世紀梨で詠む575は新鮮。 雪:お供えしていた梨でしょうか。二十一世紀もあまり見かけなくなりました。 五:単純ですが、よく定型に収まりました。 葱:「二十世紀」という梨の名前はよく考えるとシュールやなあ〜。)

●何事もなく今日終るデラウェア=砂太
◎葱、入△二、百=8点
(葱:季語が動かせない!プロの感触。 入:デラウェアってそんな食べ方ですよね。心憎し。 百:派手じゃない果物の感じがマッチして。)

●葡萄剥く指に味蕾のあるごとく=水音
○五、砂、入△雪、資=8点
(五:理系的な句。未来の方が文学的? 入:葡萄ならでは。)

●かりんの実遠くの山は青である=スライトリ・マッド
◎二○水△夏、君=7点
(夏:下五の断定、ああそうかも、と納得させられて。 水:カチーンと硬い花梨の実と、ぼわぁとした遠き山。質の違う青と硬軟の構図が面白い。 君:断定調が面白くて。 葱:「青である」という断定が俳句ですね。)

●いちぢくやブルカより見ゆ碧の眼=スライトリ・マッド
◎水○夏△百=6点
(水:無花果を持ってきたところがうまい。表記はいちじく?いちぢく? 夏:無花果は西南アジア原産。実の形と、中東女性の頭からすっぽり纏うブルカ姿が響き合ってます。 百:中近東の果物。 葱:アフガニスタンで悲惨な事件がありました。)

●うぶ毛照る幼き恋や水蜜桃=君不去
◎メ△久、前、資=6点
(メ:なんか思い出す。)

●おてんばに脆く折れけり庭の桃=五六二三斎
◎久○香△葱=6点
(久:桃の実コロリと言うことかな? 葱:日常を写生して厭味がない、清清しい句です。)

●梨を食ふ哀楽同居したままに=五六二三斎
○君△男、雪、砂、夏=6点
(雪:これが日常というものでしょうか。 夏:梨の食感、甘さの中の微かな酸味は「哀楽同居」に通じる気がします。 入:やっぱり梨ですかね。)

●ましら酒このさき道はゆきどまり=葱男
○ス△二、水、入、資=6点
(ス:お酒になるとお題に反してると思うのですが、入れました!猿も木から ですよね! 水:ましら酒は水菓子?と思ったけど、スキップしてしまいそうな楽しい句なのでいただきました。 百:なんかどこかで見たような・・・・。 入:奥深い森に酔っ払い?)

●太陽の水のかたまり水蜜桃=資料官
○メ△葱、澄、砂=5点
(メ:「太陽の水のかたまり」というのが面白い。 葱:「桃」を詠んでこんなにあっけらかんとした句も珍しい。)

●一粒の葡萄の奥に心あり=男剣士
◎澄△喋、メ=5点

●包丁にちちんぷいぷい西瓜かな=スライトリ・マッド
◎喋△二、香=5点

●無花果や乳香の夢羽音する=入鈴
◎ス△香=4点
(ス:イチジク大好物です!)

●葡萄棚空と葡萄を分かちをる=水音
○久△二、ス=4点
(久:葡萄の実は確かに垂れ下がっているのだけど、多分高台からの風景かな? ス:お空にも分けてあげましょ!)

●身重ゆえ冷やすなかれと昼の柿=久郎兎
◎前△香=4点

●洋梨の断面切り取り額の中=君不去
○葱△久、水=4点
(葱:こんな構図の絵を確かに見た事あります。 水:果物を乾燥させて使う押し花《押し果物?》の手法を想像しました。素敵な部屋の様子も見える。)

●青胡桃ホックストロットの波寄する=砂太
○資△前=3点
(入:取り合わせが斬新で迷いました。)

●有ノ実や鏡花の胸に龍の淵=夏海
◎君=3点
(君:妖しい!)

●大桃や兄弟げんかも消え入りぬ=香久夜
△夏、メ、入=3点
(夏:美味しい物の前ではみんな大人しく仲良くなりますね。 メ:おいしいものを前にするとね。 入:葡萄を大きな景で詠まれて。ユーラシア大陸?)

●尻尾振るパグの視線のブドウかな=男剣士
△砂、百、前=3点
(百:犬は大好きらしいですねブドウの皮。)

●せつなさや目で目にしぼるれもんれもん=葱男
○百△喋=3点
(百:れもんれもんが楽しい)

●梨冷えてピアノのリズム風をよぶ=香久夜
○前△男=3点

●一房の巨峰娘の帰り待つ=香久夜
○喋△五=3点
(五:この発想は、母娘の対話の少なくなられた前回と同じ作者か?)

●山法師熟るる街路のバスの窓=砂太
◎資=3点
(資:バスの左側の席に座ると街路樹を目の当たりにする。これが良い。)

●柿喰はば里の煙や匂ふ秋=喋九厘
○澄、メ=2点
(メ:匂ふ秋」がいい。)

●幸水や二十世紀経る世継ぎ梨=喋九厘
○君=2点

●三連の水車の恵み葡萄かな=五六二三斎
○ス=2点
(ス:巨峰はまさに恵み!筑後の三連水車いいですね。 入:すっきりとして筑後かなあ。)

●水蜜のほてりにそへば恋敵=入鈴
○喋=2点

●不揃いの葡萄篭盛り力む声=久郎兎
○男=2点
(男:不揃いだけで値下げかな。)

●みづみづと乳房の鈴の葡萄かな=入鈴
○砂=2点

●初デート食べづらきもの巨峰かな=男剣士
△ス=1点
(ス:ほほえましい!私なら手で剥いて一口でペロリです。)

●桃の果が桃色芋も画家の桃=メゴチ
△雪=1点
(メ:回文。 雪:すご〜い!脳みそを見てみたい!。 葱:意味がないんだけど、なんだか楽しいなあ〜。)


【無選】

●ぶどう狩り他県ナンバー道塞ぐ
(葱:地元優先せんかあ〜!って事でしょうか?)

●桃の実や伯母の三十三回忌
(葱:時代に左右されない桃の果物としての格を感じます。)


B部門入選作

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