*B部門入選作発表*

兼題「同窓会」*全45投句(入選38句)


【特選】

一席
●法師蝉筑紫(つくし)恋しと鳴くそうな=葱男


◎百、男、君○香、入、メ△喋、五、砂=18点
(百:へー度70点。 男:ツクシコイシなるほど。 五:これも筑紫を詠むという意味で頂き。)

二席
●母逝きし背面跳の空高し=五六二三斎


◎葱、ス、入△二、水、香、砂、君=14点
(葱:青く澄み切った秋の空の悲しさ、それは走り高跳びを何度もくり返す、純粋な少年の感情そのままを表しています。 ス:喜びも悲しみも高校時代の部活の仲間や級友が分かち合ってくれてたのかなあと。 入:鑑賞を超えてしまいます。でも敢えて、「母逝きぬ」だと思います。 水:以前C部門で読んだのを思い出しました。空の深さが心に沁みるようです。)

三席
●部室奥男子禁制吾亦紅=スライトリ・マッド


○白、水、喋、砂△二、雪、香、資=12点
(白:女子体育部系…作者が気になりますが、私の最近のこだわり「箱組み」が形となっている点、そして結びの三文字が気に入りました。 水:男子で入った人はいるのかな?砂太先生は入ってるよね!吾亦紅は「赤頭巾ちゃん・・」を連想し、更にそれは青春に繋がるのです。 雪:何部かな?生物部は狭い部屋でした。)


【入選】

●秋日傘マドンナのまま同窓会=資料官
◎前○喋△葱、五、香、入、砂、メ=11点
(葱:いい! 素直でとてもいい! 五:どなたのことか?マドウナ! 入:「のまま」は少し強引〜?。)

●金風やあだ名持つ師の名口調=夏海
◎水○久、雪、前△君=10点
(水:いろいろ思い出しました。金風が効いていますね。 久:カナカゼ?は知らないけど授業風景が伝わってきます。 雪:何人かの先生が浮かびますね。 葱:「金風」が心地よい、但し、中七、座五には類想ありか?)

●円かなる月に唄ひし豊津かな=砂太
◎二○ス、君△水、入=9点
(砂:福岡県立豊津高校=もと小笠原藩々校「育徳館」 ス:月に唄うがいいなあ。でも狼男にならないでくださいね! 水:格調の高さで。 入:誇りに満ちて、円、月、唄、豊津という字が絵みたい。)

●15パーセントあの日のままの秋=ひら百合
◎白○水、五△葱=8点
(白:私の場合は3%も残っていないように思うのですが、句の始まり方、そして結び方がとても好印象を受けました。 水:15%が微妙で、しかも絶妙。 五:定型によく収まっています。残りの人生が15パーセントということなのか? 葱:「15パー」で一回切るところが面白い。そう言われればなるほど15%ぐらいかもね。)

●踏めば鳴る母校の廊下去る燕=夏海
◎五○久、メ△前=8点
(五:母校のことを一番うまく詠んだと思い、天位にしました。 久:木の床は懐かしい。電車の床も教室の床も僕らの世代が最後だと思います。裸足で廊下を走ったのが懐かしい。去る燕がいささか唐突な感じのため2点にしました。 メ:雨の日の廊下と階段で部活〈テニス〉やってました。ゴメンナサイ。 葱:あの、少し焦げたようなそれでいて埃っぽい木の廊下のにほひ。無性に嗅いでみたくなる時があります。)

●「学校下」今なきバス停鰯雲=雪絵
○二、百、入△水=7点
(百:懐かしい名前がなくなってしまうんですね。 入:鰯雲がぴったり。 水:あの頃の風景を思い出してしまった。 葱:覚えてます、覚えてます! バス停後ろの店で必ず「チェリオ」を飲んだなあ〜。)

●温め酒楽器倉庫の痕古し=君不去
◎砂△夏、二、ス、雪=7点
(夏:様子が変わっていくのは寂しいことですね。 ス:音楽室の倉庫?古びた感じが郷愁を誘っていいですね。 雪:もう今は建て替えられているのかな。)

●名月を見しこと遠し夢二人=砂太
◎喋○澄、男△資=7点
(男:淡き初恋かな。)

●教室で洩れ聞くフォーク遠き秋=雪絵
○男△澄、二、百、ス=6点
(男:フォーク全盛か。スマッシュイレブン。 澄:なつかしいですね! 百:文化祭とかでやってましたっけ。 ス:あの頃はまだレコードの時代。携帯もi-Podもなかった。隔世の感あり。 葱:どなたか「カルピス」って下手なバンド知ってますか? )

●神社裏階段途中に秋の蝶=君不去
◎澄○夏△久=6点
(夏:野間神社の裏階段、懐かしい。 久:あそこは神社だったのかな?よそに行くとき着替えをしていました。)

●それぞれの持ち寄るピース露の宿=水音
◎夏○ス△男=6点
(夏:同窓会は各々の思い出を繋いで作るパズルということでしょうか。 ス:コラ〜なんばしよっとかね?!)

●薄紅葉十八のごと友ふり向く=入鈴
○砂、資△雪=5点
(雪:そうありたい!ちょっと厚かましいかーー。葱:ちょっと美しすぎるんじゃないか・・・と。)

●寝押しひだスカートジャケット悩んだ日=ひら百合
◎久△白、五=5点
(久:多くの人は悩んだと思います。僕は全然身なりには無頓着やった。 白:あの頃は女子だけでなく男子もズボンの折り目に苦心してました。それっておしゃれというよりも節目だったように思い起こすのは年老いた証拠ですかね〜。 五:寝押しで昔はアイロン代わりでしたね。よくぞ思い出しました。)

●三叉路の出合い占う白い息=香久夜
○夏、前△百=5点
(夏:初々しい恋。 百:今ならストーカー。)

●三色のロシアの切手秋深し=スライトリ・マッド
○砂△澄、二、入=5点
(ス:巡業中の中西さんより葉書。 澄:ロシアなんだか気になります。 入:赤から三色の国旗に国の歴史は変わったけど、シベリアは?)

●筑健児秋天斜めに指すところ=葱男
◎メ△百、資=5点
(メ:想いだすなあ。百:校歌、応援歌?そのままのような・・・。 資:筑高体操の指指すところ。)

●同窓の永久の十八歳(じゅうはち)夕化粧=夏海
◎資○二=5点
(資:まだまだ色っぽさを感ずる。)

●色も香もまどかに深し栗落つる=水音
◎雪△白=4点
(雪:こんな女性でありたいですね〜。栗落つるが、さらに深みを感じます。 白:色も香りも概念の断片として、かつ事態の本質として存在感を持っていると思います。そして、まどかに、まどやかに、まろやかに、まどに、まぶたに、まほらに、まほろばに…次々と連想を重ねていると、ただ、栗が落ちるという事象があるだけなんですね。)

●同窓会コスモス色の紅えらぼ=入鈴
○雪△ス、男=4点
(雪:いくつになっても、口紅の色は気になります。 ス:しっかりおしゃれして男性陣をくらくらさせてね! 葱:「楽しさ」が伝わってきます。)

●同窓会果てて京(みやこ)の星月夜=資料官
○澄△前、メ=4点

●青ふくべをみなに見ゆるわひねの字=スライトリ・マッド
○君△夏=3点
(ス:祝オープン!スペースF:わひね@稲毛 井上由美子さん。わひね=wahine=女性:マオリ語。 夏:お祝い句、ステキです。)

●遅生れ早生れかげん良くて秋=入鈴
○白△喋=3点
(白:55分の3をうまく表現しているようでいいですね。 葱:「かげんが良くて」で最後の「秋」が爽やかな季語になりました。)

●周回に部活の友の長き影=久郎兎
◎香=3点

●女装して反戦の歌文化祭=五六二三斎
○葱△君=3点
(葱:あー、懐かしい!楽しい!思い出すなあー! 過去の記憶がズイズイ刺激されます! 君:「文化祭」を秋の季語と考えました。)

●先生の遺影に鶏頭二三本=資料官
○葱△久=3点
(葱:「鶏頭」と言えば子規ですが、「先生」という言葉とよく響きますねえ〜。ましてや「遺影」が付くと鶏頭の赤い色がどんどん生きてきます。)

●ナイルカレー現国さぼって食べた秋=メゴチ
○百△久=3点
(百:これも懐かしい単語に惹かれ。 久:ああなつかしい。30年以上食べてない。現国を引っ張ってきたところがいいね。二宮先生の授業はよく自習になったりカットで帰宅していた。)

●丘の上に筑高体操いつの秋=喋九厘
△男、メ=2点
(葱:40年前の秋です。 メ:校舎屋上から見る体操は圧巻だった。)

●先生と見紛ふ友や時鳥草=雪絵
△二、喋=2点
(入:採りたかったのですが、時鳥草がわからんかった。 ※「時鳥草」=杜鵑草:山野に自生し、秋の初め、ホトトギスの羽に似た白に赤紫の斑点のある六弁花が開く。)

●トンボねぇ同窓生の子細顔=君不去
△葱、夏=2点
(葱:これは筑高生じゃないと分からない句、その特殊性に一票! 夏:季語をこう使う?! 思わずニヤリ。)

●まさかと思ふ人と月見る同窓会=砂太
○資=2点

●窓開きて学帽ひらり高き空=久郎兎
○五=2点
(五:私は、学帽はほとんど被りませんでした。無帽な男でした。)

●色黒のテニス仲間と秋夕焼=メゴチ
△香=1点

●応援のうろこ雲あり回転レシーブ=香久夜
△白=1点
(白:「母逝きし…」と同じ作者ではないかと思ったんですが、こちらの方が新鮮な感じがして選びました。ロシア版「戦争と平和」でアンドレイが見た空、「バンド・オブ・ブラザーズ」で名前は忘れましたがある兵士が見上げた空、マイナス1.5mの視点は本当に新鮮です。 葱:気持ち良さそう〜。 若い頃のように思いっきりスポーツしてみたいなあ。)

●長き夜や短き会話悔やまれる=五六二三斎
△前=1点
(五:原田千善先生)

●入学祝四十年の同窓会=喋九厘
△澄=1点 (澄:もう40年、夢の如しですね。)


【無選】

●お天気のことなど話し思ひ草
(入:会のオープニングあたりの雰囲気がよく出て。ナンバンぎせるのイメージに合点がゆかず。)

●なんとなし彼岸花咲く時が好き
(葱:悪くないなあ、その感じ。)


B部門入選作

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