*B部門入選作発表*

兼題「色」*全43投句(入選38句)


【特選】

一席
●白シャツの貝ほど白く渇きけり=葱男


◎百、久、水、入○砂、喋△香=17点
(百:気持ちよくぱりっと乾いた感じがいい。 久:貝のボタンでしょうか。シャツのパリッとした感じが伝わってきます。 水:白に白を重ねたことで夏をくっきり感じます。 入:札幌近代美術館で見た貝の絵を言語化したよう。)

二席
●緑蔭や前世河童と云ひし人=スライトリ・マッド


◎夏、前○葱、久、喋、入△雪=15点
(夏:「前世河童」に、参りました。緑蔭の仄暗さもピッタリで。 葱:面白い!「緑陰」と「河童」はちょっと付き過ぎの感もありですが。 久:なんだかぁ物語の一場面を見ているよう。)

三席
●五月湧く裏宝満の金の水=喋九厘


◎葱、ス、資○二△五、男=13点
(葱:「宝満」と「金の水」がみごとに呼応して美しき聖五月のイメージが広がります。 ス:金の水美味しそうですね?! 五:宝満山には金の水がよく似合う。)


【入選】

●青梅の落つる音するゆふべかな=スライトリ・マッド
◎男○澄、百、水△小、雪、メ=12点
(男:何とも言えない響きでしょうね。 百:梅雨だしね。 水:実家の梅が落ちる重い音を思い出しました。)

●白雨来る一本丸太の猿の橋=夏海
○雪、ス、君△久、水、二、資、喋、前=12点
(雪:山の中にそんな猿の道があるんでしょうか。見てみたい! ス:なんだかいい感じがします。猿の橋って名前の橋があるのかな? 久:上五との関連がしっくりしませんが、分かる人には分かるのかな? 水:和紙のちぎり絵の風景のような。 葱:風情のある佳句です。「丸太の」の「の」は無くてもいいのかも、どうでしょう? 入:ガラガラドンという童話を久しぶりに思い出しました。)

●豌豆の青生きてゐる粥の中=砂太
◎小、喋○君△百、久、香=11点
(百:鮮やかな豆の青。 久:まるで出来上がりサンプルのような。本当に作れるかもしれませんね。 葱:上手い!)

●茶摘み手に青き妖精飛び跳ねり=久郎兎
○男、前△澄、小、ス=9点
(男:青い妖精と見ましたか。 ス:天ヶ瀬で兄と手摘みのお茶作ったこと思い出しました。 葱:「夫婦道」、武田の鉄ちゃん、毎回見てます。本假屋ユイカちゃんのことを想像してしまいました。)

●萬緑や円舞老女の赤き靴=水音
◎砂○雪、前△夏、君=9点
(雪:緑と赤がくっきり浮かびます。 夏:女性は何歳になっても赤い靴に心が弾みます。)

●裏翅は金色の蝶夏夕べ=五六二三斎
○葱、百、ス△砂、水=8点
(葱:珍しい種類の夏の蝶なんでしょうね!夕焼けに翅の金色がきらりと美しい。 百:ほの暗くて、密やかな庭の隅。 水:どんな蝶でしょうか? ス:きれいですねえ。)

●万緑の中の小走り黄鶺鴒=砂太
○五、香△葱、君、入=7点
(五:滑稽ながら、よき着目、観察。 葱:大景と小景の対比が効いていて、楽しい句。ただ「鶺鴒」が秋の季語なのは吟行句だからか? 入:日本画にありそう。)

●金色のふるさとの海袋掛け=スライトリ・マッド
○五、夏、二=6点
(五:これは、言葉のマジックか?袋掛けにしたことで、ふるさとの海をおふくろさんに包んでもらってるような感じがします。海は、長崎の大村湾か? 夏:金色の海」が素敵!この先の豊かな実りも見えるようで。)

●黒靴の底だけ咽ぶ薄暑かな=五六二三斎
○メ△百、久、二、喋=6点
(メ:黒靴の底だけ」が効いてますね。 百:靴が蒸し暑くなる季節ですよね。 久:底だけと言う控えめさがいいです。 入:なんだかわかるけど、底というのは靴底のことだとしたら??)

●白たらんとすれどあやふき牡丹かな=君不去
◎香△葱、夏、入=6点
(葱:白牡丹の花びらは先にほんのりと赤みがさしていますが、それをこんな風に逆に表現した句ははじめて見ました。 夏:白牡丹の美しさと儚さ。)

●歯の痛む砂色の朝竹落葉=水音
◎二○資△男=6点
(男:砂色の痛みがわかります。)

●茄子紺の一服大人の夕涼み=久郎兎
◎メ○入=5点
(メ:いまだ大人になり切れない余裕なしの自分がいる。 入:ピース缶ですかね?)

●赤い汁皿まであおる初西瓜=香久夜
○小、久=4点
(久:気持ちを煽るということでしょうか。)

●一片を散らして黒き薔薇となる=葱男
○資△夏、メ=4点
(夏:観察の確かな句。)

●白鷺に隠れて露天の湯浴みかな=香久夜
◎雪△前=4点
(雪:何とも艶っぽい景ですね! 入:白鷺のかくれてじゃないの??見込みの鷺って大好き。)

●新緑のかたちを円と覚ゑけり=葱男
○水△五、メ=4点
(水:なるほど、覚えました。 五:昨年、砂太先生、葱男部長と三人でこの場に居りました。 メ:いまいち理解できないけど語感がいいので。)

●青々と水を湛えて田植え待つ=男剣士
◎澄=3点

●青梅や姪もそろそろ反抗期=資料官
△ス、前、香=3点
(ス:姪御さんに対するやさしさが伝わって来ました。)

●浅葱色忘れ給ふな葱の花=久郎兎
◎君=3点
(君:ふふふ! 敬語を使って滑稽さが出ています。 入:いろいろな積み重ねが少し重いかなあ?)

●奄美梅雨紫陽花色に七変化=喋九厘
△澄、資、入=3点
(入:生まれた初めて沖縄への旅。南の姫百合の塔の海、薩摩に荒らされて、米軍基地の中部の海、今帰仁中世の海古宇利島の海の色、深い思いがありました。

●キス釣りの船に上がりし黄金色=メゴチ
○男△君=3点
(男:キスが光る季節になりましたね。 葱:実感のある句です。)

●原罪などしらぬ香水瓶の色絵=夏海
○砂△雪=3点
(雪:少し字余りが気になりましたが、気になる句でした。)

●新緑の射的屋台の男の子=雪絵
○夏△男=3点
(夏:楽しそうな縁日の風景が目に浮かびました。 男:何かの祭りですかね。)

●聖五月駅の記憶は薄みどり=資料官
○小△砂=3点

●半衿は白地にトンボ能登上布=雪絵
○香△砂=3点
(葱:軽くてテンポの良い、好きな句です。)

●朴咲けり父母すでにセピア色=砂太
◎五=3点
(五:父母すでに冥界に居られ、孤独が伝わってきます。朴の花は、大きな存在のご両親を思い起こす。)

●銀鱗の穂先に躍る五月かな=男剣士
○メ=2点
(メ:鮎釣りは未経験ですが、情景が浮かびます。)

●護摩焚きや乳白にほう初夏竈門=喋九厘
△百、小=2点
(百:「乳白にほう」のが匂う。 葱:旧仮名遣ひに揃へると「にほふ」。)

●降り初めぬ雨の真中に紅薔薇=君不去
○澄=2点

●緑そよぐ新茶の香り手摘みかな=メゴチ
○澄=2点

●宵闇に海芋の白き陣屋跡=夏海
△五、水=2点
(五:陣屋跡は唐津、名護屋のことでしょうか?何故、夜に訪れたのかはわかりませんが。 水:カラーは闇の中で輝くように白いんでしょうね。 ス:カラーの花と陣屋跡が合いますね。 葱:雰囲気のある句ですが「海芋の白き」はそのまま説明になってしまいました。これも兼題がアダになってしまったようです。)

●青嵐五つの色を放ちけり=五六二三斎
△葱=1点
(葱:「五つの色」の意味が分からないが、作者がそう言い切るには何かがあるのだろう。その何かを知りたい。)

●白服のしわしわ加工風透きぬ=香久夜
△二=1点

●天の青花に移りて地に下る=前鰤
△喋=1点

●薔薇の名はプリンセスミチコ茜色=雪絵
△資=1点
(葱:プリンセスミチコに1票を投じたかったのですが、「茜色」が余計な説明に思えました。兼題がアダになってしまいましたね。)


【無選】

●黒髪を誇れや乙女聖五月 (葱:同感!)


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