*B部門入選作発表*

兼題「新年の季語」*全41投句(入選34句)


【特選】

一席
●一人居に戻り行く子の三日かな=雪絵


◎久、資、砂、百○前、男、夏、香、君、ス△水=25点
(久:三日は正月三ヶ日、と解釈しました。あっという間の正月、親の気持ち2通り分かるようになりました。 男:今年一挙に子供3人がそうなりそう。 夏:しみじみ、親心ですねぇ。 ス:ちょっとさびしい感じが出てていいです。 水:寂しくもあり、ほっとするところもあり、、。)

二席
●歌留多とり恋しらぬ手のたかだかと=水音


◎前、香、雪○葱、久、砂、小△五、夏、喋、君=21点
(香:うまい!「恋しらぬ手」なんて表現がすばらしい。 雪:「恋知らぬ手」に、少女の初々しさが感じられて。 葱:やはり祭祀にはよりピュアな存在が似合います。恋は「知る」より「知らない」ほうがピュア。 久:真剣勝負のさまが目に浮かびました。詠み手は恋愛希望? 小:恋知らぬとはまだ幼いと理解してよいのでしょうか、それとも恋愛経験? 五:着物の手から若い体内が覗いてるのか?初々しいのですが、「恋しらぬ」より「あどけなき」がよくないでしょうか?)

三席
●初日の出温泉卵割るやうに=葱男


◎五、夏○砂、雪、喋△資=13点
(五:比喩のユニークさと温泉が新年の楽しさを演出している。 夏:温泉卵という発想がユニークで、かつぴったりなので感服。 雪:少し雲がかかった初日なんでしょうね。面白い表現です。)


【入選】

●初日記老いを誇りて生きんとす=砂太
◎メ、君○小、香△水、澄=12点
(水:そのとおりですね。)

●庭摘みの若き裏白餅に映ゆ=久郎兎
◎男、ス○喋、澄△二=11点
(男:穏やかな元旦ですね。 ス:お庭に裏白があるんですね。)

●裏白のフラクタルに問う自然律=白髪鴨
◎葱○夏、メ△二、久、ス=10点
(葱:自然の作り出す造形の不思議を思い、動物の雌雄の二元論の素晴らしさを思う。 夏:なるほど、と感心しました。私もフラクタルの句に何度か挑戦しては玉砕で。 久:詠み手は数学者?裏白1枚百円で売っていました。なんと高いことか。それにしても見ずにはウラジロは描けないですね。フラクタルは初めて知りました。 ス:中七の字余りが気になるところですが採っちゃいました。)

●古女にちと拗ね顔もありにけり=夏海
◎水、白△久、君、ス=9点
(水:古女ね、ふ〜ん、なるほどぉ。面白いじゃないっ! 白:ゴマメを古女と書くとは知らなかった。拗ね顔の古女は誰の顔だろう。ハレのときに日常的視線を絡ませたうまさ。以下「今宵まで」の句と「長老木」の句も同じ。 久:重箱に入っているときは曲がってるからね。 ス:小魚の顔なんてよく見たことありませんでした。)

●除夜の鐘母の齡となりにけり=五六二三斎
○久、君△葱、夏、小、水=8点
(久:至れけりではないところが、かえって心の揺れを感じさせます。 葱:八十いくつまで鐘を聞いていた、ということでしょう。お母様、長生きでなによりです。解釈、違ったかな??? 水:若くして亡くなったんですね。)

●片方で隠すふぐりや猿太夫=砂太
○五、水、ス△二=7点
(五:正月の愉快さ!裸踊り? 水:ふむ、ふむ。 ス:そうなんですかあ?)

●友一人彼岸に増やし年明くる=砂太
○雪△葱、前、百、香、メ=7点
(雪:そんな年齢になったのでしょうか。 葱:これからの人生は、毎年このような感慨を持って迎えることになるのでしょう。それがないのは自分が死ぬときです。)

●初夢やタイムマシンの句座にをり=五六二三斎
○百、澄△小、メ、雪=7点

●手水舎の作法の案内初参=雪絵
◎二○資△男=6点

●母ひとり花一輪の福寿草=資料官
◎喋、澄=6点

●淑気満つ馴染みの新聞配達夫=水音
○葱、百△香=5点
(葱:馴染みの風景に特別なものを見るのが精神文化であり、人間性であり、アートであります。)

●老親の足元あやし年迎へ=君不去
○メ△前、五、男=5点
(五:「老身」の方が無難か?将来が身につまされる。年取りたくなくなる新年だ。 男:自分の年考えるとそうですよね。)

●小みかんのおまけのつきぬ年用意=スライトリ・マッド
○二△砂、雪、君=5点
(雪:新年の季語はないけれど・・。)

●長老木のくるりと目出度き方を指せ=夏海
○水△二、白=4点
(水:毎年、初釜でちょろぎを頂きましたが面白い形をしていますよね。ちょろぎが本当に動きそう。 白:古女と今宵までの句と同じ感想。2010年はこれでいい、しかし私は今一度1968〜79年の地層に残る強度を問い直したいと、この三句を読んで感じた。)

●かまくらや生キャラメルなふたりごと=葱男
○白△澄=3点
(白:生キャラメルがどんな味だか分からないが、「ふたりごと」が表象する味覚なのだろう。親的な愛情のある包み込んだ視線。)

●去年今年悲観楽観悲観論=水音
△資、夏、メ=3点

●獅子舞の所作も悲しき古戦場=白髪鴨
○五△喋=3点
(五:どこの古戦場?壇之浦かな? 葱:上の十二文字は良かったけど、下五の意味がピンときませんでした。)

●太宰府線臨時急行初景色=資料官
○二△雪=3点

●天降川我如古大和ノ初手水=スライトリ・マッド
△喋、澄、白=3点
(白:読みの遊びか。われのごとく古いのか、古きことわれのごとくなのかでまるで意味が異なってくる。末の「大和ノ初手水」という表現に新鮮さを感じた。)

●初写真去年になき人ありし人=夏海
◎小=3点
(男:そういう年代に入りました。)

●初空や祈る天地の広きこと=君不去
△前、砂、香=3点

●初春や数えアラ還なりぬねの=喋九厘
○資△百=3点

●迎え方人それぞれに正の月=前鰤
○男△葱=3点
(男:正月の過ごし方も世相の変わりようでそれぞれ。 葱:正の月と分けたのが良かった。我が身を正しむる特別の刻が元旦です。)

●ようやっと年を越すかや鼻眼鏡=君不去
△資、砂、百=3点

●今宵までかるたを終へる日の寂し=香久夜
○白=2点
(白:古女の句と長老木の句とこの三句はほとんど同じ心的描写のように感じる。まさか作者が全部同一人物ではないだろうが、だとするとなるほど同世代の連衆だなと思わせるものがある。)

●太箸やピュリファイされし更年期=葱男
△五、ス=2点
(五:何だかユニークな句で頂きました。太箸でいっぱい食べて益々メタボになりませんように。 ス:ピュリファイ、ひっかかりましたが、おもしろく。)

●問答に生きる歓び去年今年=五六二三斎
○前=2点

●元旦や嫌な思い出リセットの日=メゴチ
△男=1点
(男:最近それができん。)

●松山より届く賀状の姫だるま=雪絵
△二=1点

●喪中だに善かれと若き年賀状=久郎兎
△小=1点

●指折りて数ふる歳に淑気歪みぬ=白髪鴨
△久=1点
(久:歳をとるのがめでたくない何かがあるんでしょうか。ひょっとしたら指折りで痛くなったとか。)


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